BtoBマーケティングは、最終的な意思決定までに複数人の承諾が必要となるため、購買プロセスが長くなりがちです。
そのため、顧客と接点を持ち、信頼関係を強化したマーケティング戦略が必要となります。
DXサービスを提供するSansan株式会社が実施したBtoBマーケティングに関する調査結果によると、企業のマーケティング担当者のうち、BtoBマーケティングの重要性について9割以上が重要であると回答しています。
参考:『Sansan、「BtoBマーケティングに関する実態調査」を実施〜9割がBtoBマーケティングを重視、成果が出ている企業ほど顧客データベースを整備・活用〜』
では、ビジネスの競争激化が起きている今日において、どのようなマーケティング施策を打てば集客数や売上が伸ばせるのでしょうか?
今回はBtoBマーケティング戦略について解説していきます。
この記事を読めば、どのようなデジタルマーケティング施策を選び、どのように運用していけば良いかが分かるはずです。
ぜひ、BtoBマーケティング戦略を知りたい方は、この記事を読んでみてください。
関連記事:『Webマーケティングの戦略に役立つフレームワーク7選!』
BtoBマーケティングとは
BtoB(Business to Business) マーケティングとは、法人を対象にしたマーケティングのことをいいます。
顧客ニーズを理解して、ベストなタイミングでアプローチを行い、成約に導きます。
BtoBビジネスの場合は、BtoC(Business to Customer)ビジネスと比較すると単価が高く、成約に至るまで複数名の決裁者が関わるなどの違いがあります。
そのため、1人の担当者が自社の商品やサービスに興味を持っても、契約に至るまでに時間がかかってしまう傾向があります。
契約に至るまでの購買プロセスを把握して的確なアプローチを行い、受注するためにBtoBマーケティング戦略を考えていく必要があります。
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違い
BtoB | BtoC | |
ビジネス対象 | 法人 | 個人 |
商品 | 完成品以外にも原料や素材、機械や部品がある | 完成品 |
取引金額の規模 | 大きい | 小さい |
価格設定 | 案件ごとに見積もりを出す | 販売側が決定する |
販売戦略 | リード獲得・リード育成 | 集客 |
購入決定者 | 組織のトップ | 個人 |
購入決定までの期間 | 長期間 | 短期間 |
参考:『BtoBマーケティングとは?マーケターが教えるBtoCとの違いと成功事例』
BtoBマーケティングの成功事例
BtoBマーケティングの理解が深まったところで、実際にBtoBマーケティングではどのような効果が見込めるのかを成功事例を通して確認していきましょう。
ここでは、以下7つの施策ごとにBtoBマーケティングの成功事例をご紹介していきます。
- SEO
- SNS
- インタラクティブコンテンツ
- ホワイトペーパー
- メールマガジン
- デジタルサイネージ
- ウェビナー
SEO対策をしてリード獲得数150%アップ
アドビ株式会社は、米国に本社を置くソフトウェア会社です。
Adobe Marketo Engageと呼ばれるMAツールを提供しています。
同社は新型コロナウイルスの影響で展示会やイベントの実施が難しくなり、他の受注経路を模索していました。
模索する際に、ホームページ分析をしたところ、自然検索からの流入が成約に至っていることが判明したため、SEOに注力することにしたのです。
最初の3か月間はサイト分析と競合分析を徹底し、業種別などのコンテンツを細分化して制作し、上位に検索されるように工夫しました。
その結果、「MA」のキーワードで自然検索結果1位を獲得し、SEO対策によってリード獲得数150%アップという成果をあげました。
参考:『BtoBマーケティングの成功事例4選!自社に合った方法が見つかる』
関連記事:『SEOはガイドラインに沿って運用!Googleの5つの公式見解』
Twitterで豆知識を投稿しフォロワー8万人を達成
瞬間接着剤で皮膚同士がくっついてしまった時は、ぬるま湯の中でモミモミすると剥がれます👌
カッターを使ったり、無理に剥がして痛い思いをされる方をお見かけするため、セメダインでは定期的に「痛くない剥がし方」をお知らせしております。沢山の方に知っていただけますように・・・ pic.twitter.com/o5DUMQ333R
— セメダイン【公式】 (@cemedinecoltd) September 29, 2021
引用:『セメダインX公式アカウント』
セメダイン株式会社は、建築用や工業用など用途別の接着剤を販売している総合メーカーです。
普段の生活の中で接着剤を使う機会はあまりありませんが、建築や土木業界などのBtoB商材としてのニーズは高いです。
同社では、物を接着させる必要が出てきたときに「接着剤と言えば、セメダイン」と製品名を思い出してもらえる施策を考えていました。
よりお客様の傍にいられる存在になれるよう、双方間のコミュニケーションを行うためにTwitter運用を始めたのです。
Twitterでは接着材に関する豆知識で、「へぇ~」と思ってもらえる内容をつぶやいています。
このようなツイートを継続して発信すると年々フォロワーが増えていき、接着に関する相談を受けるようになりました。
エイプリルフールに考案した「結婚祝い用の接着剤 メデタイン」は限定数量販売しましたが、瞬く間に完売するなど認知度アップの成果が見込めました。
参考:『Twitter広告を活用した成功事例のご紹介 セメダイン | Xビジネス』
関連記事:『【企業向け】Twitterのフォロワー数を増やすためのポイント9選』
インタラクティブコンテンツでリード獲得数が2倍に
引用:『ログリー株式会社』
ログリー株式会社は、ネイティブ広告事業を展開しているマーケティング会社です。
ネイティブ広告のプラットフォームサービスとして「LOGLY lift」を提供しています。
同社は、新型コロナウイルスによる影響でオフラインセミナーなどの開催が難しくなり、リード獲得手段が減少したことからオンラインでのマーケティング施策を試みました。
そこで、Web上でもユーザーとの双方向的なコミュニケーションを取るために「インタラクティブコンテンツ」の設置を決めめたのです。
具体的には、CTAやクイズといったインタラクティブコンテンツをノーコードで作成できるツール「OPTIO」を導入しています。
このツールを活用し、インタラクティブコンテンツをポップアップ表示させることでブログ記事へと誘導する導線の設置や、商材である「LOGLY lift」のサービス資料をスライド形式で表示させるなどして工夫しました。
インタラクティブコンテンツを設置するにあたり、サイトを訪問するユーザーのニーズを逐一考え続け、仮説に応じてコンテンツ内容の改善も繰り返したと担当者は語っています。
その結果、1ヶ月当たりのリード獲得数を2倍にまで改善することに成功しました。
参考:『【最新版】デジタルマーケティングの事例で学ぶ|成功する戦略のポイント』
参考:『サイト来訪者が求める情報を瞬時に届けることで月間リード獲得数2倍を実現するログリー様から紐解くオプティオ活用法とは?』
関連記事:『インタラクティブ動画をマーケティングで活用する5つのメリット』
ホワイトペーパーの活用でセミナー申し込みが2倍以上増加
引用:『株式会社デボノ』
コマース特化のビジネスDXソリューションサービスを展開するスタークス株式会社は、以下の2つの課題がありました。
- 【営業】営業資料の型がないことで内容の抜け漏れになどよって資料の質が低くなっている
- 【マーケティング】アイディアはあるものの施策が追い付いていない・ホワイトペーパーも年に1回ほどしか制作できていない
こうした課題から、資料作成代行サービスを行う株式会社デボノに提案資料の作成とホワイトペーパーの作成依頼を行いました。
営業の課題であった提案資料については、作成準備がほぼゼロになったことで、コア業務により時間を費やすことができ生産性を向上させることができました。
そして、ホワイトペーパーの量産は、マーケティング目標であったセミナーへの申し込み数増加に役立ちました。
今までに比べてセミナーへの申し込みを促す訴求パターンが増えたことで、セミナー申し込みを2倍以上にすることができました。
また、毎月新しいホワイトペーパーを作成するこで、見込み顧客の興味関心に合わせた情報提供が可能となり、成果に繋がっています。
参考:『スタークス株式会社活用事例』
参考:『リード獲得と育成』
関連記事:『リード獲得とは?効果的な10のマーケティング手法を解説』
メルマガツールで成約率が20%から25%に向上
引用:『株式会社ワム』
エステサロン向けに美容・健康関連機器の企画・開発・製造をしている株式会社ワムは、見込み顧客リストを作成したものの成約に結びつかないことが悩みに上がっていました。
また、資料請求してくれた顧客の行動を追跡できておらず、アプローチできていないと悩みを抱えていました。
この悩みを解決するために、見込み顧客の行動履歴を解析できるツールを導入したのです。
そして、ユーザーの行動に見合ったアプローチをしました。
その結果、メルマガの反応率が上がり、お問い合わせからの成約率が20%から25%に向上しました。
参考:『メールマーケティングの成功事例4社を紹介!共通点は?』
デジタルサイネージ広告で視聴者の興味を喚起
引用:『タクシーCM MOMENTUM「アドフラウドおばけ」』
デジタルマーケティングに強いMomentum株式会社は、自社が提供しているサービス「MOMENTUM」をPRするために30秒のタクシーCMを制作しました。
広告詐欺の防止をテーマに公開されたこのタクシーCMでは、アドフラウドというあまり馴染みがない言葉を『アドフラウドおばけ』というキャラクターで表現したことで視聴者の興味をそそり、広告詐欺といったサイバー犯罪に対する注意喚起に成功しました。
そして、後半では視聴者にMOMENTUMのサービス概要を紹介し、「アドフラウド対策ならMOMENTUM」というフレーズと合わせて同サービスの認知拡大を図りました。
参考:『タクシー広告の3つのメリットとは? 事例や出稿までの流れも解説』
参考:『タクシーCM MOMENTUM「アドフラウドおばけ」』
ウェビナー開催で例年の2倍以上の集客に成功
クラウド型ビジネスチャットツール「Chatwork」を提供しているchatwork株式会社は、展示会「テレワークカンファレンス」をオンライン上で主催しました。
動画配信ツールを活用して開催されたこの展示会では、企業の経営者に有益な情報を提供し、自社製品の案内までを実施したのです。
オフライン展示会とは異なり、オンライン展示会はインターネット環境が繋がる場所であれば、誰でも気軽に参加できます。
このようなオンラインの強みを最大限に活かした結果、3回のオンライン展示会を開催して約3,000人を集客することに成功しました。
展示会後に実際に商談に繋がった割合(CVR)も10~13%と効果が見られました。
参考:『展示会の学校 費用0円で約3000人を集客したオンライン展示会の成功事例インタビュー』
関連記事:『ウェビナーマーケティングとは?成功させる7つのポイントを解説!』
成功事例で学ぶBtoBマーケティング戦略
BtoBビジネスマーケティングの成功事例をご紹介しましたが、成果を出すためには以下の戦略が必要になります。
- マーケティングの指標KPIを立てる
- ペルソナを設定する
- ツール導入の目的を明確にする
- 営業部門と連携をとる
- 継続的にコンテンツを制作する
- 外部パートナーに相談をしてみる
それぞれの戦略について、詳しく解説します。
関連記事:『YouTubeで集客する3つのコツを解説!BtoB企業の成功事例も紹介』
マーケティングの指標KPIを立てる
マーケティングは、目標を達成するための指標KPI(達成度合いを測るための指標)を立てることが大切です。
その理由は、目標数値を立てることで、達成度合いが見えてくるためです。
主要なKPIには、以下のものが挙げられます。
- アポイント件数
- 成約率
- リピート率
- 平均受注単価
KPIは、定量的に数値化できるかどうかが大きな特徴です。
短期目標と長期目標を掲げて、どの程度まで達成できたのかを確認できるようにしておくと、モチベーションを維持しながら運用がしていけます。
そのため、マーケティング戦略を実行する前に、指標KPIを立てましょう。
参考:『【最新版】デジタルマーケティングの事例で学ぶ|成功する戦略のポイント』
KPIについて詳しく知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
関連記事:『WebマーケティングにおけるKPIの重要性を4つのポイントで解説』
ペルソナを設定する
BtoBマーケティングで成果を出すためには、ペルソナを設定することが大切です。
自社ビジネスのターゲットとなる顧客の属性を明確に定めなければ、最適なコミュニケーションが取れません。
そのため、ペルソナを設定するようにしましょう。
BtoBビジネスの場合は、以下のようにペルソナを設定します。
BtoBマーケティングのペルソナ
- 業界
- 会社規模
- 部署規模
- 市場の状況
- 会社の状況・課題
- 部署の状況・課題
- 購買に関する情報・条件
これらのペルソナを設定すれば、顧客と最適なコミュニケーションが取れるようになります。
参考:『ペルソナとは?BtoBマーケティングでの役割と設定』
関連記事:『ペルソナがなぜ重要なのか?LPの効果を高める作り方とポイント3選!』
ツール導入の目的を明確にする
BtoBマーケティングの業務は、施策の立案や実行、効果測定など多岐に渡ります。
このようにマーケティング業務は幅広いため、業務効率化のためにはツール導入が欠かせません。
有名なツールとして、 Adobe Experience CloudやSATORIなどのMAツールがあります。
しかし、ツール導入自体が目的になっているケースもみられます。
このような状態に陥らないように、ツールを導入して何を実現したいか、どのように運用していくかまで見据えておきましょう。
また、ツールを導入する前に、実際に操作する担当者に使いやすいかを確認しておくと、上手く運用できるはずです。
参考:『 BtoBマーケティング事例13選|成功させるポイントも解説』
参考:『Adobe Experience Cloud』
参考: 『SATORI』
営業部門と連携をとる
BtoBマーケティングとは、リード獲得から契約、継続利用に至るまでの顧客対応をいいます。
しかし、顧客対応のフローは、一般的に「マーケティング部門」「営業部門」「カスタマーサクセス部門」と部門を跨いで行う場合が多いです。
各部門間で十分な情報共有や連携がされていないと認識の違いや齟齬が生じてしまい、質の高い製品やサービスの提供が難しくなってしまうでしょう。
例えば、部門間で連携がされていない場合は、マーケティング部門が獲得したリードの質が良かったか悪かったかフィードバックがもらえません。
フィードバックを受けなければ、どのような施策が効果を発揮するのか判断が付きにくいです。
このような問題を解決するために、マーケティング部門と営業部門は連携するようにしましょう。
参考:『BtoBマーケティングとは|基礎知識や戦略の考え方、成功事例を解説』
継続的にコンテンツを制作する
BtoBマーケティングを成功させるためには、継続的にコンテンツを制作できる体制を整えておきましょう。
近年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、BtoBビジネスの購買決定もオンライン上で完結するようになってきています。
そのため、オンライン上でユーザーにとって価値があるコンテンツを提供しながらアプローチしていくことで、自社の見込み顧客にする必要があります。
また、こういったデジタルマーケティングのコンテンツは、制作・公開して終わりではありません。
継続的にコンテンツを更新したり、内容を見直したりしなければいけません。
そのため、長期的にコンテンツを制作できる体制を確保しておきましょう。
参考:『 BtoBマーケティング事例13選|成功させるポイントも解説』
関連記事:『オウンドメディアでコンテンツを資産に!目的と6つのメリットを紹介』
PDCAサイクルを回す
BtoBのデジタルマーケティングは、運用データを分析して成果が出るように改善できることが魅力です。
そのため、マーケティング施策を実行した後は、必ず効果測定をしましょう。
マーケティングでは、仮説に基づいた施策を実行し、その結果を分析して改善を繰り返すことが必須です。
運用の結果が全て数値で分かるデジタルマーケティングだからこそ、PDCA(企画→行動→分析→改善)に取り組むようにしましょう。
参考:『【最新版】デジタルマーケティングの事例で学ぶ|成功する戦略のポイント』
関連記事:『広告レポート作成ツール8選!【PDCAの回し方も徹底解説】』
外部パートナーに相談をしてみる
BtoBマーケティングのノウハウがない場合は、広告代理店など外部パートナーを見つけて相談しても良いでしょう。
ペルソナ設定が分からなかったり、どのようなマーケティング施策が良いか分からない場合は、経験が豊富な外部パートナーに聞くと的確なアドバイスがもらえます。
外部パートナーを選ぶ場合は、同じ業界や規模の企業のマーケティング支援の実績を持っている広告代理店を選びましょう。
参考:『BtoBマーケティングとは|基礎知識や戦略の考え方、成功事例を解説』
以下記事では、BtoB向けの広告代理店をご紹介しています。
関連記事:『おすすめのBtoB広告代理店10選!会社選びで見るべき6つのポイント』
まとめ
今回は、BtoBマーケティングの成功事例を踏まえて、どのように工夫すれば良いかをご紹介しました。
最後に、BtoBマーケティング戦略のおさらいをしておきましょう。
BtoBマーケティング戦略
- マーケティングの指標KPIを立てる
- ペルソナを設定する
- ツール導入の目的を明確にする
- 営業部門と連携をとる
- 継続的にコンテンツを制作する
- 外部パートナーに相談をしてみる
この記事で紹介した企業はBtoBマーケティングに成功しています。
そのため、成功企業の各事例を参考にして施策を打っても効果が見込めるでしょう。
ぜひ、この記事を参考にBtoBマーケティングの施策や運用方法を考えてみてください。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。