顧客分析は、自社の成長にとって非常に重要な要素の一つです。
顧客分析を行うことで、どのような顧客が自社の商品やサービスを利用しているのか、またどのような行動をとっているのかを把握することができます。
顧客のニーズや嗜好をより深く理解することができるだけでなく、それに基づいて新しい商品やサービスの開発、既存商品やサービスの改善やプロモーションの改善などを行うことが可能です。
また、顧客分析によって特定した優良顧客に対して、特別なオファーやキャンペーンを提供することで、顧客の継続的な利用を促すことができます。
本記事では、顧客分析の重要性や効果的な7つの分析手法、分析時のポイントや注意点を詳しく解説していきます。
関連記事:『広告効果はどう分析する?基本の分析方法10種類を解説!』
顧客分析とは
顧客分析とは、企業が自社の顧客に関する情報を収集し分析することで、顧客のニーズや行動パターンを理解することを指します。
顧客分析では、顧客の属性や購買履歴などのあらゆるデータを収集し、それらを分析します。
代表的な分析項目には以下のようなものがあります。
- 顧客属性(年齢、性別、趣味など)
- 購買履歴(購入商品、時期、頻度、金額など)
- 行動履歴(アクション履歴、クリック履歴、検索履歴など)
- 顧客の課題やニーズ(顧客満足度、顧客ロイヤルティなど)
- 購買意思決定プロセス
これらの分析を通じて、自社の顧客についての理解を深めることができます。
関連記事:『eマーケティングの7種類の手法とは?顧客獲得の戦略まで解説』
顧客分析はなぜ必要なのか
顧客分析は、自社の顧客について理解し、企業の売り上げを伸ばすために必要な工程です。
では、なぜ顧客分析は重要なのでしょうか。
ここからは顧客分析の必要性について解説します。
顧客のニーズを理解するため
引用:『LAWSON』
顧客分析によって、企業が自社製品やサービスを提供する際、顧客が求めるニーズを正確に理解することができるため、製品やサービスの改善や新規開発に役立ちます。
成功事例として、ローソンはポイントサービス「Ponta(ポンタ)」の導入により、1割のヘビーユーザーが6割の売り上げを占めていることを把握し、リピート率が最も重要な指標の1つであることを知りました。
例えば、ローソンで販売している菓子パン「ほろにがショコラブラン」は、売上順位が31位と一見人気商品ではないように見えますが、顧客分析したところ女性の一部から頻繁にリピートされていることが判明しました。
このように、顧客分析によって商品の売り上げ順位と支持率はイコールの関係ではないことが分かり、ローソンはこの商品の販売継続を決定しました。
顧客分析によって顧客のニーズや求めているものを掴めなければ、売り上げの拡大はなかなか見込めず、大きな機会損失になりかねません。
顧客にとって有用な製品やサービスを提供し、顧客満足度を高めるためにも、顧客の行動を分析することでニーズを読み解くことが重要なのです。
参考:『ローソン「31位の菓子パンを売り続ける理由|PRESIDENT Online』
マーケティング戦略を改善するため
引用:『ヤクルト本社』
顧客の行動を分析することは、企業がマーケティング戦略を改善する上でも重要な役割を果たします。
顧客分析を行うことによって、顧客がどのようなメディアを利用し、どのような情報に関心を持っているかを把握することができます。
これにより、適切な広告やプロモーションの方法を選択し、より効果的なマーケティング戦略を実現することができます。
例えば、日本のヤクルト本社では顧客分析によって的確なマーケティング戦略を立てたことで売上を15~20%増加させることができました。
具体的には、顧客の購買データや移動データ、Google検索結果、広告へのアクセス、気象データなどを総合的に分析しました。
その結果、夏のキャンペーンが失敗した理由は、移動データによると休暇で旅行に出かけた割合が多かっただけであることが分かり、マーケティング戦略の見直しを実現しました。
参考:『ヤクルトの売り上げを大幅に伸ばしたデータアナリティクスの秘密:Computer Weekly – ITmedia エンタープライズ』
関連記事:『おすすめの広告効果測定ツール5種類!分析可能な項目もご紹介』
施策の効果測定をするため
引用:『株式会社ビィ・フォア―ド』
顧客分析は、企業が施策の効果を測定するための重要な手法です。
広告キャンペーンの成功を判断するためにキャンペーン前後の顧客の行動や評価を比較したり、製品やサービスの改善前後の顧客の反応や評価を比較することで、改善の効果を評価することができます。
顧客分析を通じて、企業は顧客の声を正確に捉えることで、顧客満足度の向上につながります。
ちなみに、Google広告では、広告キャンペーンのクリック数やコンバージョン率などの顧客の行動データを、年齢や性別などのデモグラフィック情報に基づいて分析することができます。
例えば、中古車輸出を展開している株式会社ビィ・フォアードは、Google広告運用開始後にROI(投資収益率)を600%向上させることに成功しました。
さらに、動的リマーケティングによる顧客の流入数が4倍に増加するなど施策の効果を測定しました。
参考:『国ごとの検索傾向に合致したキーワードで効率的に集客「ビィ・フォアード」』
関連記事:『【初心者向け】広告効果とは?基本の分析方法10種類を解説!』
顧客分析におすすめの手法
ここからは、顧客分析を行うときに用いられる7つのフレームワークを紹介します。
顧客分析に便利なフレームワークとしては以下が挙げられます。
- デシル分析
- RFM分析
- セグメンテーション分析
- 行動トレンド分析
- コホート分析
- CTB分析
- LTV分析
関連記事:『【基本】SWOT分析で簡単自社分析!やり方とポイント5つ紹介』
デシル分析
デシル分析は、顧客を購買金額が多い順に10等分して、各ランク(デシル1~10)の購買行動の違いを分析する方法です。
デシル分析には、以下のようなメリットがあります。
- 「購買金額」という一つの指標に沿った分析ができるため取り入れやすい
- 売り上げアップを図りやすい
この分析は、企業がどのような顧客から最も多くの収益を得られるかを知る際に有効です。
例えば、あるスーパーマーケットの研究では、過去1年分の顧客情報を分析するためにデシル分析を行いました。
その結果、分析対象のスーパーマーケットチェーンにおいて、顧客デシルの上位3グループが売上の84.0%を生み出していることが分かりました。
つまり、この上位3グループを優良顧客として定義し、ダイレクトメールや割引クーポン等の広告宣伝費を集中させることで、効果的に売上を伸ばすことができるということです。
この分析によって、どのグループに重点を置いて施策を行えば売上が伸びるかを把握することができ、効果的なマーケティング戦略を立てることができます。
参考:『人工知能学会研究会論文』
参考:『デシル分析とは?活用の目的とメリット・デメリット、実施手順をわかりやすく解説』
分析手順
デシル分析は以下の手順で行うことができます。
- 既存顧客の購買金額を洗い出す
- 購買金額が高い順に並べ、それぞれの顧客数が均等になるように10等分する
- グループごとに「購入金額合計」「購入金額比率」「一人当たりの購入金額」を算出する
デシル分析を行う際は、以下のような表を作成してデータをまとめると分かりやすいです。
参考:『デシル分析とは何か?顧客分析に役立てるやり方と活用法も解説!』
RFM分析
RFM分析は、Recency(最終購入日)、Frequency(頻度)、Monetary(金額)の3つの指標に基づいて顧客をグループ分けし、それぞれのグループの特徴を分析する手法です。
この分析は、企業が顧客の購買行動を理解し、マーケティング戦略を立案するために有効です。
- Recency(最終購入日):顧客が最後に購入した日を算出し、最終購入日から時間が短い顧客を高く評価
- Frequency(頻度):顧客が何回購入したかを算出し、回数が多い顧客を高く評価
- Monetary(金額):顧客の購入金額を算出し、金額が高い顧客を高く評価
上記のスコアを合算し、全スコアが高いほど優良顧客と見なされます。
「Rのスコアは高いけどFやMが低い」「Fは高いけけどMが低い」などの分析によって、顧客の属性に合わせたマーケティング戦略を立てることができます。
なお、RFM分析には以下のメリットがあります。
- 顧客の属性に合わせたグルーピングにより効果的な施策が期待できる
- 無駄のない効率的な施策を実現できる
3つの視点から分析することで全てのスコアが低い顧客の発見にもつながるため、見込み顧客に絞った施策の実行が可能になります。
参考:『RFM分析とは?マーケティングに役立つ基本知識や分析方法を紹介|Adobe』
分析手順
RFM分析は以下の手順で行うことができます。
- 事前に分析期間を決めておく
- 必要な顧客データを収集する
- 顧客データに基づきそれぞれランク分け(分類)する
- ランクごとの顧客データを分析する
- 分析結果に応じて施策を立案・実行する
顧客データは分類するランクが多いほどその後の分析が複雑になってしまうため、最初は3~5つのグループに分類するのがおすすめです。
RFM分析を行う際は、以下のような表を作成してデータをまとめると分かりやすいです。
参考:『RFM分析とは?マーケティングに役立つ基本知識や分析方法を紹介|Adobe』
セグメンテーション分析
顧客分析におけるセグメンテーション分析とは、顧客を特定の属性や購買行動などの観点から分類し、グループ化することで、異なる顧客グループの特徴を把握する手法です。
セグメンテーション分析には以下のメリットがあります。
- 市場において自社に最適なセグメントを見つけることができる
- 急速なIT化や購買手段の多様化に対応できる
この分析は、企業が顧客をより詳細に理解し、的確なマーケティング施策を実施するために重要な役割を果たします。
セグメンテーション分析では、顧客分析でどんな情報が知りたいかに応じてセグメントする指標が異なります。
セグメンテーションの代表的な分類指標は地理的変数、人口動態変数、心理的変数、行動変数の4つです。
顧客を類似点や共通点をもとにグループ分けすることで、それぞれのグループの特徴を把握し、適切な施策を実施する際のターゲティングに用いられます。
分析手順
セグメンテーション分析は以下の手順で行うことができます。
- 顧客をそれぞれの基準に合わせて分類する(地理的変数、人口動態変数、心理的変数、行動変数など)
- 顧客を細分化できたら、その中から自社で狙えるターゲットを定める
上記で挙げた4つの分類方法については以下で詳しく説明します。
地理的変数
地理的変数(ジオグラフィック変数)とは、地理的な要素に基づいたセグメンテーション方法です。
主な分類と具体例は以下の通りです。
分類 | 具体例 |
世界の地域 | アジア、北米、南米、ヨーロッパ、中東など |
日本の地方 | 北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州など |
気候 | 降雨量、積雪量、気温、湿度など |
人口密度 | 都市部、郊外、準郊外、地方など |
駅の有無 | ターミナル駅、郊外の駅など |
人口動態変数
人口動態変数(デモグラフィック変数)とは、消費者にフォーカスした要素に基づいたセグメンテーション方法です。
消費者を客観的な属性で分類するため、比較的分析が容易です。
主な分類と具体例は以下の通りです。
分類 | 具体例 |
年齢 | 20代、30代、40代、50代、60代以降など |
性別 | 男性、女性など |
職業 | サービス業、製造業、事務、営業、IT系、福祉系、プログラマー、マーケターなど |
最終学歴 | 中学、高校、短期大学、4年制大学、大学院、専門学校など |
家族構成 | 既婚/未婚、子供の有無、子供の年齢など |
心理的変数
心理的変数(サイコグラフィック変数)とは、個人の価値観やライフスタイルといった要素に基づいたセグメンテーション方法です。
心理的変数は他のセグメンテーション方法に比べて分類要素が定性的であるため、インターネットやSNSを活用することで消費者データを収集することが重要です。
主な分類と具体例は以下の通りです。
分類 | 具体例 |
ライフスタイル | アウトドア/インドア派、スポーツ/文化、ブランド重視/オーガニック重視など |
パーソナリティ | 社交的、内向的/外向的、革新的/保守的、神経質、野心的など |
購買動機 | 品質重視/価格重視、安全重視/時間重視など |
参考:『セグメンテーションとは何か?【そのポイントを事例で解説】』
行動変数
行動変数(ビヘイビア変数)とは、消費者の行動パターンや反応、商品知識などに基づいたセグメンテーション方法です。
主な分類と具体例は以下の通りです。
分類 | 具体例 |
商品の使用状況 | 日常的に利用、特別な日に利用、休日に利用、特定のシーズンで利用など |
重視するベネフィット | 品質、サービス、経済性、利便性など |
購買(使用)頻度 | ライトユーザー、ミドルユーザー、ヘビーユーザーなど |
商品知識 | 良く知っている、まあまあ知っている、名前は知っている、全く知らないなど |
参考:『セグメンテーションとは?使い方や活用事例|Adobe』
行動トレンド分析
行動トレンド分析は、顧客がどのようなシーズンに商品を購入する傾向があるのかというトレンド性を分析する手法です。
具体的には、季節や時間帯、曜日などの要素のうち、顧客はどのタイミングの購買意欲が高いのか、どのシーズンが最も売り上げが高いのかを分析することができます。
例えば、若年層で都市部に住む顧客が冬によく商品を購入することが分かった場合、冬季限定のキャンペーンをこのターゲットに合わせて実施することができます。
このように、行動トレンド分析によって得られた情報は、タイミングを見極めたマーケティング施策の改善や新商品の開発などに活用されます。
この手法は、小売業やアパレル業界のように、季節やイベントによって需要が大きく変動する業界で特に有効です。
なお、行動トレンド分析には以下のようなメリットがあります。
- 優良顧客にピンポイントでアプローチできる
- トレンド性を把握することで質の高いマーケティング施策が可能になる
参考:『行動トレンド分析とは?的確に顧客を理解してCRM施策に活用しよう』
参考:『顧客分析とは?5 つの手法を知り顧客獲得に役立てよう』
分析手順
行動トレンド分析は以下の手順で行うことができます。
- 必要な顧客データを収集する
- 売り上げデータとシーズンを照らし合わせ、どの時期の売れ行きが好調か分析する
- 売れ行きが好調なシーズンを見つけたら、その時期で購入額の高い顧客層をさらに分析する
行動トレンド分析を行う際は、以下のようなグラフを作成してデータをまとめると分かりやすいです。
参考:『顧客分析とは?5 つの手法を知り顧客獲得に役立てよう』
コホート分析
コホート分析とは、顧客を一定条件でグループに分け(コホート)、時間経過に伴ってそれぞれのコホートがどのような傾向を示すかを分析する手法です。
この分析を用いることで、顧客獲得の傾向や、継続的な顧客としてのロイヤルティの維持についてより深く理解することができます。
ある旅行会社では「同じツアーに参加した顧客」でコホートに分けて、各グループ内での口コミや評価などを分析することで、今後の商品改善や新規開発に活用されます。
コホート分析は、WEBマーケティングだけでなく、年代や居住地などの属性に応じて顧客をグループ化することもできるため、顧客情報があれば幅広く活用できる手法です。
コホート分析には以下のメリットがあります。
- 顧客のトレンドを把握できる
- ユーザーのニーズを把握することで顧客ロイヤルティ向上につながる
- 一定期間のデータの推移が可視化され、今後の需要予測にも活用できる
参考:『コホート分析とは?顧客行動を把握して維持対策に活かす – コラム – グロースハック / プロダクトアナリティクス – Mixpanel | NTTコム オンライン』
コホート分析にはツール活用がおすすめ
コホート分析を行う際はツールを活用するのがおすすめです。
コホート分析ができるツールとして代表的なものに「Excel」があります。
Excelのピポットテーブル機能を活用しデータ入力することで簡易的な表を作成できます。
以下の表は、あるECサイトで「初回登録をした顧客」を登録日ごとでコホートに分けて、それぞれの何日目で離脱したかを分析する際の表です。
引用:『ピボットテーブルを作成してワークシート データを分析する|Microsoft』
また、世界で共通のツールとしてはMixpanelがあります。
「Mixpanel」は、顧客のデータ分析ツールとして世界で26,000社以上もの企業で活用されており、信頼性の高いツールです。
引用:『Mixpanel』
CTB分析
CTB分析とは、以下の3つの指標を使用して顧客をグループ分けし、次にどのような購買行動をするかを予測する手法です。
- Category:商品を大分類と小分類に分け、顧客の嗜好を把握する。
- Taste:色や形、サイズなどのデザインに注目し、顧客の好みを探る。
- Brand:メーカーやファッションブランド、キャラクターなどのブランドに着目し、顧客の好みを特定する。
分類方法は商材によって異なりますが、ブランドや機能、サイズなどをさらに細かく分析することで、顧客の購買予測が可能になるだけでなく顧客のニーズを落とし込んだ商品やサービスの実現に繋がります。
CTB分析には以下のメリットがあります。
- 顧客の趣味嗜好を深く理解することで、顧客が好むパターンを分析できる
- 自社のペルソナに最適な商品を考案できる
分析手順
CTB分析は以下の手順で行うことができます。
- 商品の大まかなカテゴリー分けと顧客属性を分類する
- 分類したカテゴリーをさらにテイストごとに細分化する
- 顧客が好むブランドを分析する
CTB分析のポイントは、できるだけ細かく分類することです。
例えば、ECサイトで顧客が購入した商品の場合は「スポーツ用品」や「家電」などの大まかな大分類に分け、その中でスポーツ用品であれば「ランニングシューズ」、家電であれば「スマートフォン」といった小分類にさらに分けていきます。
カテゴリーやテイストを細かく分類することで、顧客の好みを把握しやすくなります。
参考:『CRMで顧客を分析!代表的な手法とそれぞれの活用方法|デジタルマーケティングソリューション|日立ソリューションズ』
LTV分析
LTV分析とは、顧客のライフタイムバリュー(顧客生涯価値)をもとに企業への貢献度が高い顧客を分析する手法です。
顧客生涯価値とは、顧客一人当たりが自社利用を始めてから終了するまでの間でどのくらいの利益を企業にもたらすかを表す指標です。
顧客の購買履歴や解約率、平均購入額、再購入率などのデータを基に、顧客ごとにLTVを算出し、優良顧客や問題のある顧客を把握することができます。
LTV分析には以下のメリットがあります。
- 売上とコストを可視化でき、費用対効果の高い施策を実行できる
- 複数の商品やサービスを提供している場合は、それぞれの利益構造を把握できる
LTVの値に変化があった場合は、以下を参考に「なぜ変動したのか」の理由を解明して改善していくことが重要です。
LTVが上昇した場合
- 獲得した顧客の多くが継続を選び、定期的に購入していることにより、LTVが上昇している可能性がある。
- 既存顧客の購入額が増えており、LTVが上昇している可能性がある。
- 購入額や購入頻度の低い顧客が離脱している可能性がある。
LTVが低下した場合
- 新規顧客の獲得に注力しているため、LTVが低下している可能性がある。
既存顧客の購入額や購入頻度が低下しており、LTVが低下している可能性がある。
購入額や購入頻度の高い顧客が離脱しており、LTVが低下している可能性がある。
LTVの算出方法
LTVは着目したいポイントに応じて以下の方法で算出することができます。
- 年間取引額や収益率に着目したい場合LTV=年間取引額×収益率×継続年数
- 購入単価や購入回数に着目したい場合LTV=購入単価×購入回数×収益率
- 売上や購入者数に着目したい場合LTV=(売上高-売上原価)÷購入者数
参考:『LTV(顧客生涯価値)分析とは? LTVの算出方法と向上のポイント』
上記でご紹介したフレームワークを以下にまとめました。
目的や利用シーンに応じて使い分けてみてください。
分析手法 | 特徴 | 利用シーン |
デシル分析 | 顧客を10つに区分し、それぞれの購買行動を分析する | 優良顧客を見つけたいとき 売上アップを図りたいとき |
RFM分析 | 直近の購入日、頻度、金額の3つの指標で顧客を区分し、スコア化することで購買行動を分析する | 優良顧客を見つけたいとき |
セグメンテーション分析 | 顧客の属性や購買行動などから顧客区分 | 顧客の類似性や共通点を知りたいとき |
行動トレンド分析 | 特定のシーズンごとの顧客の購買行動を分析する | トレンド性を知りたいとき |
コホート分析 | 一定の条件で顧客をグループに分け、時間の経過に伴う行動の変化を分析する | 商品のリピート率や購買意欲の高いユーザーを把握したいとき |
CTB分析 | カテゴリー、趣向、ブランドの3つの指標から分析する | 顧客の趣向に合わせたアプロ―チがしたいとき |
LTV分析 | 顧客生涯価値(LTV)をもとに企業への貢献度が高い顧客を分析する | 優良顧客とそうでない顧客を見極めたいとき |
参考:『「LTV」とは? | マーケティング用語集 | シナジーマーケティング株式会社』
参考:『LTV分析とは』
関連記事:『Web広告の戦略を考えるときに使えるオススメのフレームワーク4選』
ユーザー行動の分析にはツール活用も有効
ユーザー行動を明らかにするための顧客分析手法として、フレームワークを活用するだけでなく解析ツールを活用することも効果的です。
ここでは、顧客分析手法として代表的なツールを2つご紹介します。
Googleアナリティクス4
広告運用やSEO解析ツールとして活用されている方も多いGoogleアナリティクスですが、ユーザーの詳細なデータを簡易的に確認できる点では顧客分析においても有効です。
具体的に以下のような指標が確認できます。
- 1日の平均購入者数
- 新規ユーザー数
- 1日後/2~7日後/8~30日後のリピート購入者数
- 7日/30日/90日以内に購入したアクティブユーザー数
- リピーター数 など
上記以外にも、セッション数や直帰率、エンゲージメント率などさまざまな情報を把握できます。
アナリティクスで確認できるデータはどれも簡易的なものばかりですが、それぞれの指標を期間指定して推移をグラフ表示できるため数値の変動が分かりやすく、ユーザーの行動変化にも気づきやすい点が特徴です。
関連記事:『Googleアナリティクス4の特徴は?設定と6つの注意点を解説』
Clarity
引用:『Clarity』
Clarityは、Microsoft社が無料で提供しているヒートマップツールです。
このヒートマップ機能では、ユーザーがWebページ内のどこをクリックしたのか、Webページがどこまでスクロールされたのかといった、Webページ内でのユーザー行動記録を色別で確認することができます。
ユーザーがページ内のどこをよく見ていて、どこを飛ばしているかが分かればユーザーの離脱ポイントの発見にも繋がり、LP改善を効果的に行うことができます。
関連記事:『無料ヒートマップツール「Clarity」の使い方と4つの特徴』
顧客分析をする際の4つのポイント
顧客分析では、以下のポイントを意識することでより効果的な企業戦略につなげることができます。
分析対象となる顧客タイプを選定する
行動分析の目的に応じて、分析する顧客層を選定しましょう。
顧客分析においては、自社における顧客やターゲット層の選定が非常に重要です。
「顧客」と一括りに言っても、顧客の購入価格や購買行動、購入頻度はさまざまだからです。
顧客は属性によって「新規顧客」「既存顧客」「休眠顧客」の3つのタイプに分けることができます。
それぞれのフェーズの顧客層によって最適なマーケティング戦略が異なるため、分析対象とする顧客に合わせてアプローチ方法や施策を柔軟に変える必要があります。
たとえば新規顧客獲得の場合は、営業やSNSなどを通じてアプロ―チを行い、既存顧客の維持の場合は、割引クーポンやVIP特典など自社へのロイヤルティを高めることが効果的でしょう。
しかし既存顧客のうち、休眠顧客は商品をしばらく購入していないためリピート客に比べて利益をもたらす確率が低いです。
そのため休眠顧客を狙う場合は、どのようにして購買行動を取り戻すかを考える必要があります。
参考:『新規顧客と既存顧客のどちらを優先すべき?それぞれのポイントについても解説 – Accel by Magic Moment』
関連記事:『潜在層へアプローチ!有効な4個の方法と5個のポイント!』
ペルソナを決める
ペルソナを明確にすることも分析には有効です。
ペルソナとは、自社商品やサービスのターゲット層として設定しているユーザーの年齢やライフスタイルなどを具体化して架空の人物像に落とし込んだものです。
例えば、「20代の女性会社員」「デザイン性に優れた商品を好む」「趣味や悩み」などあらゆる角度から条件を設定していきます。
ペルソナを明確に決めておくことで、ターゲットユーザーのニーズを把握できることはもちろん、それに合わせた商品コンセプトや方向性、プロモーション手段など効果的な戦略を決めることができるため、ユーザーの求めているものを実現しやすくなります。
ペルソナは具体的で明確であるほど効果的なので、顧客分析の際は自社が求める顧客像を明確に設定しておきましょう。
参考:『顧客分析が必要な理由とは?5つのフレームワークとポイントを解説』
関連記事:『ペルソナがなぜ重要なのか?LPの効果を高める作り方とポイント3選!』
顧客のニーズを明確にする
顧客のニーズを明確にしましょう。
具体的には、顧客が何を求めているのか、何を必要としているのか、何に困っているのか、またどのような価値を求めているのかを把握することが重要です。
顧客ニーズを正確に把握することで、顧客満足度やロイヤルティの向上、新商品やサービスの開発など、ビジネス上の重要な意思決定につながります。
富士通クラウドテクノロジーズの事例
引用:『富士通』
例えば、富士通クラウドテクノロジーズ(現在は富士通株式会社)では、顧客分析によってアプリ開発者向けのモバイルバックエンドサービス「mobile backend」の会員数を増加させることに成功しました。
具体的には、顧客ひとりひとりのアクセス状況や流入経路を分析し、見込み顧客の抱える課題に合わせたコンテンツを提供しました。
その結果、UU数と会員数は爆発的に増加しました。
参考:『スマホアプリ開発者を支援するサービスを無料で提供。伸び悩みの理由は手つかずのWeb施策にあった』
関連記事:『【基本】カスタマージャーニーとは?目的と6つの活用場面を紹介』
購買意思決定プロセスを分析する
顧客の購買意思決定プロセスを分析することで、ターゲット顧客に合わせたマーケティング戦略を立てることができます。
購買意思決定プロセスには、以下の代表的な5段階モデルがあります。
- 問題認識:顧客自身が自分の欲求や悩みを認識する
- 情報探索:これらの悩みを解消するために情報を収集する
- 代替品の評価:自身のニーズを解決できる商品を評価する
- 購買決定:複数の商品から評価が最も高いものを選び、購入する
- 購買後の行動:購入した商品がもたらした価値を評価する
顧客に適切なアプローチを行うためには、顧客分析により購買プロセスや意思決定に関わる人物の傾向を把握することが必要です。
これにより、購入・導入に至るまでのプロセスをスムーズに進めることができます。
参考:『購買意思決定プロセスとは?BtoCとBtoBの購買プロセスの違い – 顧問のチカラ|KENJINS[ケンジンズ]』
顧客分析における注意点
以下では、顧客分析を売り上げに活かすために注意しておくべき点について詳しく説明します。
目的を明確にしておく
顧客分析をする際は、何を明確にしたいのかあらかじめ目的を立ててから実行するようにしましょう。
例えば、「自社の商品やサービスを購入してくれる顧客層を正確に把握したい」「メインターゲットのニーズが知りたい」などです。
目的を明確にしないまま顧客分析をしても、数値を集計しただけで満足してしまい、肝心な施策に落とし込むことができません。
自社に最適なマーケティング戦略を立てるためにも、まずは何のために顧客分析をするのかを明確にしておくことが重要です。
参考:『顧客分析が必要な理由とは?5つのフレームワークとポイントを解説』
市場の成長性を考慮する
顧客分析を行う上で、市場の成長性を考慮することも重要です。
市場が成長している場合は、競合が激化することが予想され、より多くの販売チャネルを確保したり、新しい販売戦略を考えたりする必要があります。
逆に、市場が縮小している場合は、新しい顧客層を開拓するなどして市場の拡大を目指す必要があります。
以上のように、顧客分析においては自社や市場の状況を正確に把握し、それに基づいたマーケティング戦略を立てることが重要です。
参考:『顧客分析とは?7つのフレームワークや分析に役立つツールを解説』
関連記事:『【初心者向け】市場分析のやり方とは?6種類の手法と事例を紹介』
定量データと定性データを意識する
顧客分析には、「定量データ」と「定性データ」の2種類のデータがあります。
顧客の行動を分析する際は、目的に応じて定量データと定性データを活用することが重要です。
2つの明確な違いは、量的なものか質的なものかという点です。
- 定量データ:数値化できるデータ(年齢、性別、購入回数、アクセス数など)
- 定性データ:数量化できないデータ(アンケート、口コミ、SNS上での発言など)
定量データとは、数値化できるデータのことであり、年齢、収入、購買履歴などが挙げられます。
一方で定性データは、数値化できないデータのことであり、顧客が感じる満足度、好み、ニーズなどが挙げられます。
定量データと定性データを組み合わせることにより、顧客の深い理解や傾向を把握することができます。
例えば、ある製品の購買履歴から得られた定量データをもとに、その製品を購入する顧客の属性を分析することができます。
そして、その属性に基づいて、定性データで得られた顧客の感想やニーズを分析することで、より深い洞察や傾向を把握することができます。
また定性データの分析には、テキストマイニングや感情分析などの手法があります。
テキストマイニングとは、text(文章)とmining(採掘)を合わせた言葉で、企業が保有するデータから顧客分析に必要な情報を発掘することをいいます。
これらの手法を活用することで、大量の定性データを効率的に処理し、顧客の趣向や意見を把握することができます。
以下の記事では、アクセス解析で知っておきたい用語について解説しています。
関連記事:『【初心者向け】アクセス解析の用語15選!マーケティングの基本を解説』
参考:『定量データ|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA』
参考:『定性データ|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA』
参考:『テキストマイニングの基礎知識|3つの方法、ツール選びのポイントを解説』
まとめ
この記事を読んで、顧客分析が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
株式会社Unionは、広告運用やECサイトの改善などのご相談を承っております。
Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されており、蓄積されたノウハウから短期間で課題を解決に導きます。
また、弊社の広告運用担当はYahoo!広告、およびGoogle広告の認定資格保持者であり、知識のアップデートを行っております。
薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能です。
お客様のあらゆるニーズに対し 分析・調査を行い最適なプランをご提案しますので、お気軽にご相談下さい。
監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。