皆さんは情報収集をするために、1日どれくらいの時間スマートフォンを使っているでしょうか。
企業のデジタルマーケティング支援を行っているGlossom株式会社が、スマートフォンユーザーの情報収集動向を時系列に分析するために実施した「スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2023」によると、情報収集におけるスマートフォンの1日の平均利用時間は132.1分となっております。
参考:『【スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2023】コロナ禍の制限解除により可処分時間が限られる中、スマホ利用はタイパ重視傾向』
この2時間以上あるスマートフォン利用時間の中で、とくに長時間利用されているサービスがLINEやTwitterなどを始めとするSNSです。
そんなSNS上で広告配信ができる「SNS広告」が今注目を集めています。
SNS広告とは、SNSユーザーの基本情報などをもとにターゲティングをし、能動的に情報提供を行う、TVCMや看板と同様のプッシュ型(ユーザーに直接届ける広告)の広告手法です。
多くの方がSNSを利用した情報収集を長時間行っている今、SNSを積極的に使ったマーケティングを行うことは、有効な広告手段のひとつです。
また、一言でSNSといっても様々な種類があり、いざSNS広告の運用をスタートしても、どれを使用すれば高い広告効果を実現しやすいのか迷ってしまうことも。
当記事では、SNSの種類ごとの特徴を比較し、それぞれのSNSにはどのような業種、商品、サービスがフィットするのか解説します。
なお、本記事ではSNSの中でも特に利用率の高いTwitter、Instagram、Facebook、LINE、YouTubeをピックアップし、5大SNSと位置付けたうえで、それぞれの特徴やターゲット層の違いについて解説していきます。
参考:『【スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2023】コロナ禍の制限解除により可処分時間が限られる中、スマホ利用はタイパ重視傾向』
参考:『令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書概要』
関連記事:『運用型広告の種類7選!【本当に効果のある広告はどれ?】』
Contents
SNS広告の特徴
そもそもSNSは広告を掲載することにおいて非常に適したサービスです。その理由について解説していきます。
SNSが広告に向いている理由として、以下の3つが挙げられます。
- 多くのユーザーに対してアプローチを仕掛けることができる点
- 商品やサービスについて認知していないユーザーにも情報を届けられる点
- ターゲティングが行いやすい点
関連記事:『【初心者向け】SNS広告の用語30選!マーケティングの基本を解説』
多くのユーザーに対してアプローチを仕掛けることができる
SNSは平均すると、スマートフォン利用時間の中の半分以上を占めているサービスです。
日本のユーザーにとって生活の一部となっているため、広告を掲載する際に多くのSNSユーザーに情報を伝えることができます。
さらにSNSの種類によっては、フォロワー間で情報が共有されていく中で、企業が直接アプローチをしなくとも、間接的に情報伝達が行われるというメリットがあります。
商品やサービスについて認知していないユーザーにも情報を届けられる
SNS広告はユーザー目線で見ると受動的なサービスといえます。
タイムラインやバナーなどに流れてくる広告を眺めることでユーザーは情報を獲得することができます。
これと対照的な広告の例としてリスティング広告があります。
リスティング広告は、ユーザーの能動的な検索に対して相性のいい広告を露出するサービスです。
そのため、自らのニーズを理解しているユーザーにしかアプローチをかけることができません。
これに対して、SNS広告は、性別や年齢といった個人情報をもとにアプローチを仕掛けるため、広告を見るまでニーズに気づけていない潜在的なユーザーに対しても情報を届けることができます。
関連記事:『SNS広告の5つのメリットと4つのデメリット!成功事例までご紹介!』
ターゲティングが行いやすい
SNSに登録するときのことを思い出してみてください。
年齢や性別、職業といった基本情報から、趣味や既婚・未婚などといった踏み込んだ情報までパーソナルな情報を尋ねられたのではないでしょうか。
この情報に基づいて、広告配信時に細かくターゲットを設定することができます。
そのためニーズがあるユーザーやニーズがある可能性が残されているユーザーにのみにアプローチをかけることができます。
ユーザーが入力した情報を基に正しくターゲティングを行えば、無駄なコストをかけずに広告掲載を行うことができるため、費用対効果の高い広告といえます。
関連記事:『ターゲティング広告とは?6種類と仕組みをわかりやすく解説!』
各SNSの特徴
この章では、上で述べた多くのSNSユーザーにアプローチできることや、SNSに登録する際の個人情報の活用、ターゲティングのしやすさといったSNS広告のメリットを最大限に活かすために、どのSNSを利用するべきか解説します。
Twitterの特徴
Twitterは他のSNSと比べて、拡散力の強いSNSです。
なぜなら、フォローしている他のSNSユーザーが「いいね」や「リツイート」「引用リツイート」した情報もタイムライン上に流れるからです。
Twitter広告も通常投稿と同様、ユーザーから「いいね」や「リツイート」など投稿に対して反応してもらうことが可能であるため、結果的に多くのユーザーのタイムライン上に広告掲載することになり、高い広告効果を見込めます。
関連記事:『【企業向け】Twitterのフォロワー数を増やすためのポイント9選』
Twitterのターゲット層はどこ?
参考:『令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』
上のグラフは、令和4年に総務省から公開されたデータを基にしたTwitterの年代別利用率を表しています。
ユーザーの多くは10代~30代が多く、とりわけ20代のユーザーが78.8%と多い傾向にあることが見て取れます。
また、Twitterの拡散力を活かせるような商品やサービスで広告を利用するべきといった観点から、季節性や話題性があり、ユーザーの目に留まって「いいね」など反応したくなるような商品やサービスの広告を掲載するべきでしょう。
例えば、Twitterが紹介している成功事例の中でGuinness World Record Japanは、ギネス記録が更新された場合などギネス記録の最新ニュースを投稿しているため、話題性があります。
また「誰にでも世界一を取れる可能性を秘めている」というポリシーを持ってTwitter広告の運営に取り組んでおり、今後ギネス記録に挑戦する可能性を秘めている比較的若い層にアプローチをかけていることから成功につながったと考えられます。
参考:『広告主様のTwitter活用事例』
以上をまとめると、以下のような条件を満たす商品やサービスをプロモーションしたい場合は、積極的にTwitter広告を活用するべきであるといえるでしょう。
- 10代~30代(とりわけ20代)がターゲットの商品やサービス
- 季節性や話題性があり、思わず反応してしまうような商品やサービス
関連記事:『Twitter広告で費用対効果をUPさせる5つの秘訣!その特徴を解説!』
Instagram広告
Instagram広告の特徴
Instagram広告の一番の特徴は、フォーマットの拡張性です。
大きく分けて2種類の広告手法があり、フォローしているユーザーのストーリーズを3回見るごとに挿し込まれるストーリーズ形式の広告と、フィード投稿の間に挿し込まれるフィード投稿形式の広告に分けることができます。
引用:『Instagram広告』
Instagramには、投稿に自社製品のカタログを載せ、商品購入ページに誘導するコレクション広告機能があったり、発見タブにもフィード投稿した広告を掲載できたり、ニーズに合わせて広告手法を拡張できる点が優れており、臨機応変に対応することができます。
引用:『Meta for Business Facebook広告ガイド』
Instagramのターゲット層はどこ?
参考:『令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』
利用率の推移の分布はTwitterと似ており、10代、20代のユーザーが多いSNSであると言えます。
また、ガイアックスソーシャルメディアラボの記事によると、Instagramのメインターゲットである10代、20代を含め、全体的に女性の割合が高いことが読み取れます。
参考:『Instagramの年齢別ユーザー数 男女別(国内)』
以上より、この場合には積極的にInstagram広告を利用すべきであるといえるでしょう。
- 10代、20代の女性が欲しくなるような商品やサービス
- 写真映えするような商品やサービス
実際の成功事例では、ブルガリやReserved、FURLAといったファッションブランドが多く紹介されており、10代、20代の女性をターゲットとする写真で良さが伝わる商品やサービスに関しては成功しやすいと言えます。
関連記事①:『Instagram広告とは?3つの特徴と広告配信のポイントを解説』
関連記事②:『【Instagram広告】クリエイティブデザインで意識するべき11のコツ』
Facebook広告
引用:『Meta for business』
Facebook広告の特徴
Facebookは実名制を基本とした正確なデータベースがあるため、他のSNSと比べより高いターゲティング精度で広告を掲載できる点が魅力です。
また、Facebook広告はFacebook内で掲載されるのはもちろんのこと、関連サービスであるInstagramやAudience Network、Messengerにおいても掲載することができます。
どのSNSに、どういった形で広告を掲載するのか手動で決めることもできますし、自動配置機能を用いて、効果の高い方法を判断し、自動的に広告掲載をしてもらうこともできます。
自動配置機能には成果が見込まれる手法を判断しているため、費用対効果を高めやすいというメリットがあります。
関連記事:『Facebook広告の費用相場はいくら? 2つの課金方式と支払い方法も解説!』
Facebook のターゲット層はどこ?
参考:『令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』
世代間で利用率の変化が小さいSNSであることが読み取れます。先述した通り、職業や趣味といった情報の精度が高いSNSです。
そのため、例えば経営者向けのセミナーに招待する場合や車の広告など、限られた人間にのみニーズのある情報を提供する際に使用する際に使用すると効率的に使用できるといえるでしょう。
Facebook for Businessのホームページによると、成功事例としてベンツが例に出されており、一言で車と行っても趣味嗜好はさまざまであるため、Facebookの正確なデータベースに基づき、ニーズに合いそうな車の広告を投稿することで、高い効果を発揮したとのことです。
参考:『Facebook広告の成功事例 | Facebook for Business』
以上をまとめるとこの場合にはFacebook広告を積極的に利用すべきであるといえるでしょう。
- 年齢層によって利用率に変化がないため、若年層はもちろん30代以降向けの商品やサービス
- 経営者限定や車の広告など限られたユーザーにのみニーズがある商品やサービス
関連記事:『Facebook広告の効果を上げるためのターゲティング活用ガイド5選』
LINE広告
LINE広告の特徴
LINE広告の掲載先は他のSNSと比較して多岐にわたっています。
運用元のLINE株式会社が横展開する各メディアにも記載されることが大きな特徴です。
具体的には、以下が挙げられます。
- LINEのトーク画面上部
- タイムライン
- LINE NEWS
- 「LINEマンガ」など、LINEのファミリーアプリ内
参考:『LINE広告 配信面|LINEヤフー for Business』
引用:『【公式】LINE広告とは?丨配信面や費用、出稿方法まとめ』
また、LINE広告でLINE NEWSに広告を出す場合、記事型のLPと相性が良い点も特徴の一つです。
なぜなら、ニュースとニュースの間に広告が配置されているため、記事型LPは広告感なく自然に情報を提供できるからです。
例えば、プロのトレーナーからマンツーマンで指導を受けられるストレッチ専門店「Dr.stretch(ドクターストレッチ)」を展開しているフュービックはこの記事型LPを活用し、導入半年で新規獲得数530%アップを達成しました。
このように、記事型LPを使用しやすい商品やサービスの場合、広告効果を高めやすいです。
引用:『新規獲得数を530%アップさせたDr.stretchのLINE広告活用とは』
関連記事:『LINE広告とは?14種類や費用、配信方法をわかりやすく解説』
LINE広告のターゲット層はどこ?
参考:『令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』
他のどのSNSよりも利用率が高く、加えて年齢による差が少ないSNSであることが見て取れます。
特に10代~50代の利用率は90%超えと、ほとんどのユーザーが使用しているSNSであることから、幅広い層に情報を提供することができます。
向いている広告の種類に関しても、ユーザー数の多さと、ファミリーアプリがあることによる掲載先が幅広いことから比較的どんな商品やサービスであってもマッチするといえるでしょう。
しかし、LINE広告には掲載不可能の商品やサービスがいくつか存在するため、注意しなければなりません。
掲載できない業種やサービスの一例としては、下記が挙げられます。
- 宗教関連
- ギャンブル関連、パチンコ等(公営競技・公営くじは除く)
- アダルト関連
- 出会い系、マッチングサイト等(一部当社が認めた場合を除く) など
参考:『LINE広告審査ガイドライン』
以上をまとめると、これらを満たす場合、積極的にLINE広告を利用すべきであるといえるでしょう。
- 比較的どんな商品やサービスでもマッチしやすい
- 記事型LPを使用しやすい商品やサービスの場合効果を発揮しやすい
関連記事:『スマホで始めるLINE公式アカウント!8項目をアプリで簡単管理』
YouTube広告
引用:『動画広告フォーマットの概要』
意外とSNSとして認識していない方も多いと思いますが、YouTubeは立派なSNSです。
総務省のホームページによるとSNSとは、登録された利用者同士が交流できるWebサイトの会員制サービスのことを指します。
コメント欄やアンケート機能を使って投稿者と視聴者がやり取りできるYouTubeはこの範囲に属するため、SNSであると言えます。
本記事では、こういった判断からYouTube広告をSNS広告の1つであると判断し、考察対象として取り入れて解説します。
参考:『SNSの仕組み』
関連記事:『YouTube広告の費用対効果を高める5つのポイントと事例をご紹介』
YouTube広告の特徴
YouTube広告の大きな特徴は、広告方法が多く9パターンもある点です。
具体的に、9つの広告方法とは以下を指します。
- スキップ可能なTrueViewインストリーム広告
- スキップ不可のTrueViewインストリーム広告
- インフィード動画広告(旧:TrueViewディスカバリー広告)
- TrueViewアクション広告
- バンパー広告
- アウトストリーム広告
- マストヘッド広告
- オーバーレイ広告
- ディスプレイ広告
それぞれの詳細については、『動画広告フォーマットの概要』をご確認ください。
YouTube広告においては、これら9つの広告方法を用いて、マーケティング目標に沿った以下の3点を訴求することを広告掲載の目標としています。
- 認知度と広告想起率を高める
- 比較検討や関心の度合いを高める
- ユーザーのアクションを促す
多くの成功事例がありますが、今回は①に絞って紹介します。
旭化成ホームプロダクツ株式会社クックパーブランドでの事例
旭化成ホームプロダクツ株式会社の「クックパー」ブランドでは、クッキングシートやフライパン用ホイルを展開しています。
競合の参入などを背景に、好意度を高めてブランドとしての地位を確立すべくYouTube広告を選択しました。
YouTube広告では、認知と特設サイトへの誘導を目標として設定。
フォーマットは、認知を目的としたTrueViewインストリーム広告と特設サイトへの誘導を促す動画アクションキャンペーンを併用しました。
結果として、TrueViewインストリーム広告の完全視聴率は36.4%と高い数値を記録。
さらに広告接触者のブランド好意度は非接触者と比べて23.5ポイント、利用意向度は23.4ポイント増加し、クックパーブランド商品について「使うと料理が楽になると思う」との回答も15.9ポイント増加しました。
このようにYouTube広告は、訴求目標が明確である場合、それに対するソリューションを9種類の広告手段から選ぶことができ、効率よく、目標にアプローチすることができます。
デメリットとしては、オーバーレイ広告とディスプレイ広告以外は動画広告であり、他のSNSと比べると、写真や文字だけで広告掲載できない点で、掲載までのハードルが高いです。
参考:『楽天トラベル、ソニーCP、日赤など4社のYouTube広告戦略——ROI向上など効率よく成果』
関連記事:『YouTube内にディスプレイ広告を出すための8ステップを解説!』
YouTube広告のターゲット層はどこ?
参考:『令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』
YouTubeの利用率をみると、10代から年齢層が高まるごとに利用率が低下していることが見て取れます。
しかしながら、世代ごとで見れば、一番低い50代ですら85.3%と高い利用率であることから、どの年齢層がターゲットの商品やサービスであったとしても、掲載する価値のあるSNSであるといえるでしょう。
以上より、これを満たす場合は積極的にYouTube広告を利用すべきであるといえるでしょう。
- ユーザー数がどの世代も多く、広告手段も豊富であるため、どの世代に向けた商品やサービスでも広告効果を上げやすい
- 広告に使う動画を用意できる
関連記事:『【すぐわかる】YouTube広告のターゲティング2種類と使い方を解説!』
おわりに
SNSが広告運用をする場としていかに優秀であるか、そして5種類のSNS(Twitter、Instagram、Facebook、LINE、YouTube)の特徴、ターゲット層の違いについて説明させていただきました。
SNSの拡散力を使って一気に認知度を上げたいケースや、商品に合った広告方法を可能な限り追求できる拡張性の高い広告で効率よく購買につなげたい場合など、自分にニーズに応えられるSNSを見つけ、商品やサービスを効率よくプロモーションしていきましょう。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。