ユーザーの購入やブランド発見の方法は変化しており、パーソナライズされたフィード、ニュースや動画がユーザーに対してインスピレーションを与え、意思決定の手助けをします。
実際にこの変化を背景にして、85%のユーザーは関心を持った商品に対して24時間以内にアクションを取ると述べています。
この動向に対応するために、タイムリーなユーザーの関心を引き付けるファインドキャンペーンが2020年に本格的に導入され、2023年にはその後継としてデマンドジェネレーションキャンペーンが誕生しました。
本記事では、デマンドジェネレーションキャンペーン(旧ファインドキャンペーン)について、詳しく解説していきます。
参考:『さまざまな場でユーザーに発見してもらえるファインド広告』
参考:『Google 広告、ファインド広告のデマンドジェネレーションキャンペーンへのアップグレードを発表』
Contents
デマンドジェネレーションキャンペーンとは
引用:『間近に迫るファインド広告からデマンド ジェネレーションへのアップグレード』
デマンドジェネレーションキャンペーン(Demand Gen Campaigns)とは、Googl広告の旧ファインドキャンペーンがリニューアルされた新しいキャンペーンタイプです。
2023年6月に発表されたこのキャンペーンでは、Google AIを活用することでクリエイティブや入札戦略が最適化され、新しいユーザーへのアプローチやコンバージョンの拡大をサポートします。
YouTube、Gmail、およびDiscoverなどの主要なGoogleサービスに広告を配信することができ、ユーザーの高いエンゲージメントやアクションを獲得することも可能となります。
Z世代に関する調査では、興味をひく新製品を調べるのにYouTubeを利用すると答えたユーザーが86%に及ぶことが明らかになっていることからも、デマンドジェネレーションキャンペーンは現代における購買行動のニーズに応えるキャンペーンであると言えるでしょう。
参考:『間近に迫るファインド広告からデマンド ジェネレーションへのアップグレード』
旧ファインドキャンペーンとの違い
引用:『さまざまな場でユーザーに発見してもらえるファインド広告』
ここでは、従来の旧ファインドキャンペーンとの違いに触れてみましょう。
旧ファインドキャンペーンとは、YouTube、Gmail、およびDiscoverの3つの主要なGoogleサービスに広告を配信することができるキャンペーンタイプでした。
最大29億人のユーザーに広告を届けることが可能となっており、単一の画像やカルーセルを利用してユーザーを魅了しブランドストーリーを伝えることで、ユーザーの行動を促進することができます。
また、Googleのログインユーザーの行動シグナルを活用して、高精度なターゲティングを提供することも可能です。
このように、Googleファインドキャンペーンはとても機能性の高いキャンペーンタイプではありましたが、同時に制約もいくつかありました。
具体的には以下のような点です。
- 入札戦略はコンバージョンをベースとしたもののみ
- 配信面の指定ができない
- パーソナライズド広告の審査が厳しい
関連記事:『Googleのパーソナライズ機能とは?押さえておきたい4つのポイント』
こういった制約がアップデートされ、より広告配信の利便性が高くなったのがデマンドジェネレーションキャンペーンです。
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、入札戦略として「クリック数の最大化」が新たに追加され、コンバージョン以外の目標にも対応できるようになりました。
また、配信面としては新たに「YouTubeショート」が追加され、より柔軟な広告配信が可能になりました。
他にもデマンドジェネレーションキャンペーンでアップグレードされた点はいくつかあります。
以下は旧ファインドキャンペーンとデマンドジェネレーションキャンペーンの機能を比較したものです。
旧ファインドキャンペーン | デマンドジェネレーションキャンペーン | |
配信面 |
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クリエイティブ |
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入札戦略 |
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オーディエンス |
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新たに追加された項目について、以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
参考:『デマンドジェネレーションキャンペーンについて』
参考:『ディスプレイキャンペーンとファインドキャンペーンの広告について』
参考:『Google広告のデマンドジェネレーションキャンペーンとは。ファインドの違いとキャンペーン設定・ターゲット設定を徹底解説』
参考:『Google広告から「デマンドジェネレーションキャンペーン」発表!ファインドキャンペーンとの違いや導入時に知っておきたいこと』
デマンドジェネレーションキャンペーンの基本情報
ここからは、デマンドジェネレーションキャンペーンの基本情報として、4つの切り口で解説していきます。
デマンドジェネレーションキャンペーンの配信面
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、以下の配信面に広告を表示できます。
Discover
引用:『Discoverとウェブサイト|Google検索セントラル』
ユーザーの興味関心に基づいてコンテンツが表示されるGoogle検索の「Discoverフィード」画面に配信されます。
Gmail
Gmail広告は、Gmailの受信トレイの「プロモーション」「ソーシャル」タブ内の上部に表示される広告です。
通常の受信メールと同様に受信トレイの中で配信されるため広告感が少なく、最上部に表示されるためユーザーの目に入りやすい点が特徴です。
関連記事:『Gmail広告とは?配信できる4つキャンペーンと出稿方法を解説!』
YouTubeショート
YouTubeショートは2021年7月にリリースされた機能で、最大60秒までの縦型動画を配信できます。
配信動画はパソコンだけでなくスマートフォンからも作成が可能です。
オーガニック投稿のショート動画の合間に広告が表示され、ユーザーはスワイプすることで広告をスキップすることができます。
YouTubeショートについて詳しく知りたい方は以下記事も合わせてご覧ください。
関連記事:『YouTubeショート広告とは?仕組みや効果を出す配信のコツ3選』
参考:『広告の仕組み|YouTubeヘルプ』
参考:『YouTubeショートの作成を始める』
参考:『いよいよ日本でYouTubeショートが始まります』
YouTubeインフィード
引用:『インフィード動画広告』
YouTubeの検索結果のほか、「次のおすすめ」「ホームフィード」に広告を表示することができます。
画像サムネイルと1行程度の広告見出しとテキストが表示され、関連性の高い動画を閲覧しているユーザーにアプローチできます。
参考:『インフィード動画広告』
関連記事:『インフィード動画広告でYouTubeチャンネル登録者数を増やす際の4つの注意点』
デマンドジェネレーションキャンペーンのクリエイティブ
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、「画像」「商品フィード」「動画」形式のクリエイティブが配信できます。
商品フィードでは、商品画像を表示することでユーザーのWebサイト訪問や購入を促すことも可能です。
いずれもGoogleの機械学習により、各フィード画面に適した形の広告がカスタマイズされ、効果が見込めるクリエイティブを配信できます。
なお、クリエイティブアセットの要件としては以下になります。
画像
- 横向き1.91:1
- ロゴ1:1
- 縦向き4:5
- スクエア1:1
テキスト
- 広告見出し
- 説明文
- 最終ページURL
- ビジネス名
- CTA
カルーセル広告
- 広告見出し
- 説明文
- 最終ページのURL
- ビジネス名
- 行動を促すフレーズ
- ロゴ(1:1)
- 2~10枚のカード(横向き1.91:1、縦向き4:5、スクエア1:1)
関連記事:『Instagramのカルーセル広告とは?2つの活用事例を紹介』
動画
- 横向き
- 縦向き
- スクエア
デマンドジェネレーションキャンペーンの入札戦略
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、目的に合わせて以下の3つの入札戦略から選択することができます。
コンバージョン数の最大化
あらかじめ設定した予算内で「コンバージョン数」を最大化するために、入札単価が自動で最適化されます。
コンバージョン値の最大化
あらかじめ設定した予算内でコンバージョン値(成果)を最大化するために、入札単価が自動で調整されます。
上述の「コンバージョン数の最大化」では、あくまでキャンペーンによって獲得したコンバージョンの数に着目しているのに対し、こちらはコンバージョンによって得られる価値に着目します。
参考:『Google広告のコンバージョン値の最大化とは?仕組みや設定方法、注意点を解説』
クリック数の最大化
新たに追加された入札戦略です。
あらかじめ設定した予算内で「クリック数」を最大化するために、入札単価をGoogle AIが自動で最適化してくれます。
以下記事ではGoogle広告の入札戦略について詳しく解説しています。
関連記事:『11種類の入札戦略!正しい選択でGoogle広告の費用対効果を高める』
参考:『デマンドジェネレーションキャンペーンについて』
参考:『Google広告の「クリック数の最大化」とは?運用者の必須知識を総まとめ』
デマンドジェネレーションキャンペーンのオーディエンス
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、以下の4つのオーディエンスをターゲティング設定できます。
- オーディエンスセグメント
- 最適化されたターゲティング
- 類似セグメント
- デバイスターゲティング
参考:『Google広告から「デマンドジェネレーションキャンペーン」発表!ファインドキャンペーンとの違いや導入時に知っておきたいこと』
オーディエンスセグメント
オーディエンスセグメントでは、ユーザーの属性、興味関心、行動履歴に基づいて広告を表示します。
他のキャンペーンのパフォーマンスを参考に、カスタムセグメントや広告主のデータなどを設定することで、コンバージョンに至る可能性が高いオーディエンスを絞り込むことができます。
具体的には以下のような種類があります。
- アフィニティセグメント:ユーザーの興味関心
- カスタムセグメント:ユーザーと関連性の高いキーワードやURLを指定
- 購入意向
- ライフイベント など
以下記事ではアフィニティセグメントについて解説しています。
関連記事:『【Google広告】アフィニティセグメントとは?3つのメリットと活用方法を解説』
参考:『オーディエンスセグメントについて|Google広告ヘルプ』
参考:『ソーシャル戦略を拡大し、需要を創出してコンバージョンに転換する|Google広告ヘルプ』
最適化されたターゲティング
最適化されたターゲティングは、コンバージョンに至ったユーザーの検索語句や、コンバージョンデータに基づいて広告を表示します。
リアルタイムで高い成果を上げているオーディエンスをGoogleの機械学習が分析し、コンバージョンに至る可能性が高いオーディエンスを見つけます。
そのため、高い成果が見込める新規顧客の獲得にも効果的です。
参考:『ソーシャル戦略を拡大し、需要を創出してコンバージョンに転換する|Google広告ヘルプ』
参考:『最適化されたターゲティングについて|Google広告ヘルプ』
類似セグメント
類似セグメントでは、既存のユーザーリストとの関連性が高いユーザーや同じ特徴を持つユーザーに広告を表示します。
既存の顧客リストやWebサイト上でのアクティビティ、YouTubeコンテンツのエンゲージメントなどのデータをもとに類似セグメントが作成され、以下の3つから最適なオプションを選択することでより意図に合ったターゲティングが可能になります。
- 「類似性の高いユーザーに限定」:配信対象のうち2.5%のユーザーに限定
- 「バランス重視」:配信対象のうち5%のユーザーに限定(デフォルト設定)
- 「幅広いユーザーにリーチ」:配信対象のうち10%のユーザーに限定
これにより、ターゲットと近い属性を持つ新規ユーザーに効率的にリーチすることができます。
参考:『類似セグメントを使用してオーディエンスを増やす||Google広告ヘルプ』
参考:『類似セグメントをターゲットに追加する|Google広告ヘルプ』
デバイスターゲティング
ユーザーが使用しているデバイスのうち、PC、モバイル、タブレット、テレビ画面の中からターゲティングした上で広告を表示できます。
参考:『モバイルデバイスターゲティングについて|Google広告ヘルプ』
デマンドジェネレーションキャンペーンのメリット
デマンドジェネレーションキャンペーンを活用することで、以下のようなメリットが得られます。
- 多くのユーザーにアプローチできる
- 他のSNSとのタッチポイントが増える
多くのユーザーへアプローチできる
デマンドジェネレーションキャンペーンを使用して、YouTubeのホームフィード、おすすめフィード、Discover、さらにGmailの[プロモーション]や[ソーシャル]タブに広告配信することで、多くのユーザーにアプローチができ認知拡大に貢献できます。
実際にGoogle広告ヘルプでは、消費者の約3人に1人が購入する予定ではなかったものをGoogleフィードを通して購入した経験があると明らかにしています。
引用:『令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』
また、配信面の一つであるYouTubeはユーザーの利用率が高いプラットフォームの一つでもあり、総務省が公開した調査結果によると、2022年度のYouTube利用率は全世代で87%となっています。
このように、すでにユーザーの生活の一部になりつつあるYouTubeを含む配信面に広告を配信することで広範囲なアプローチおよび認知拡大が期待できます。
参考:『デマンドジェネレーションキャンペーンについて』
参考:『デマンドジェネレーションキャンペーン(Demand Gen Campaigns)とは?【Google広告】』
他のSNSとのタッチポイントが増える
デマンドジェネレーションキャンペーンを活用することで、GoogleだけでなくTikTokやInstagramなどのSNS広告においてもタッチポイントが増えることが期待できるでしょう。
これは、デマンドジェネレーションキャンペーンで新たにYouTubeショートへの広告配信が可能になったことによる恩恵でもあります。
TikTokやInstagramはショート動画にも適応しているため、YouTubeショートで配信したクリエイティブをこれらのSNSに配信しやすくなります。
また、他のオーガニック投稿と同じように配信されるYouTubeショート広告はユーザーにネイティブ広告*として表示され、ユーザー体験を損なうことなく自然な広告表示ができます。
この結果、煩わしさなくユーザーの興味を引き、所望のアクションを誘導することが可能です。
参考:『縦型ショート動画の利用実態と利用目的【GLAPentertainment調査】』
さらに、近年では短編動画から購買に繋がる傾向が顕著になっており、株式会社GLAPentertainmentの調査では「縦長ショート動画をきっかけに欲しい商品などを見つけたことがあるか」という質問に対し、YouTubeでは約49%、Instagram(61%)、TikTok(66%)が「ある」と回答していることが分かりました。
このことからも、他のSNSとのタッチポイントが増えたりショート動画による広告配信が可能になることでコンバージョンに効果的に繋げることができるでしょう。
参考:『デマンドジェネレーションキャンペーン(Demand Gen Campaigns)とは?【Google広告】』
参考:『ネイティブ広告とは?消費行動モデルに基づいて活用方法を徹底解説』
参考:『縦型ショート動画の利用実態と利用目的【GLAPentertainment調査】』
デマンドジェネレーションキャンペーンの設定方法
最後に、デマンドジェネレーションキャンペーンの設定方法についてご紹介します。
デマンドジェネレーションキャンペーンでの広告配信を検討している方は以下の手順で行ってみてください。
➀Google広告にログイン
引用:『Google広告』
まずはGoogle広告にログインします。
➁新規キャンペーンを作成
管理画面の左上の「+作成」マークから「キャンペーン」をクリックし、新規キャンペーンを作成します。
③キャンペーン目標を選択
キャンペーン目標を選択します。
赤線で囲った5つの目標から選択するとデマンドジェネレーションキャンペーンを選択できます。
④「デマンドジェネレーション」を選択
キャンペーンタイプで「デマンドジェネレーション」を選択し、「続行」をクリックします。
⑤キャンペーン名を追加
キャンペーン名の入力とキャンペーン目標を1つ選択します。
⑥対象の地域と言語を選択
選択肢の中から対象の地域と言語を選択します。
⑦入札戦略を選択
入札戦略を選択し、1日の平均予算を入力し、「次へ」をクリックします。
⑧ターゲティングを設定
目標に沿ったターゲティングを設定します。
⑨クリエイティブを設定
最後にクリエイティブを設定します。
広告の種類や広告名、必要なアセットを追加していきます。
プレビューで各配信面での配信イメージが表示されるので確認しながら進めましょう。
「キャンペーンを公開」をクリックして設定が完了です。
参考:『デマンドジェネレーションキャンペーンを作成する|Google広告ヘルプ』
まとめ
本記事では、デマンドジェネレーションキャンペーンに関して基本情報やメリットについて解説しました。
この記事を読んで、デマンドジェネレーションキャンの最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
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監修者
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