神戸デジタル・ラボの発表では、Google広告の広告費用対効果(ROAS)の平均は200%とされています。
これは、Google広告に100円投資すると、平均すると200円の売上が得られることを示しています。
しかし、この数値は業界によって異なり、一部の専門家は、Google広告キャンペーンにおける良好なROAS比率は約400%、つまり4:1のリターンと考えています。
実際にGoogleもROASの目標値を500%で設定する例を紹介しています。
女性用の靴を販売するオンラインストアで売り上げを測定しており、ショッピングカートの合計額を基準に入札単価を最適化するとします。
目標は広告にかける費用100円につき、売り上げ(コンバージョン値)500円を獲得することです。
この場合、広告に100円かけるごとにその5倍の収益を得られるように、目標広告費用対効果を500%に設定します。
算出式:
売り上げ500円÷広告費用100円×100% = 目標広告費用対効果500%
上の数字はあくまで目安であり、リピート率の高い商品やサブスクリプション型の商品などはROASが100%もしくは100%を切っている場合でも十分効果が出ていると判断できる場合も多いため注意する必要があります。
参考:『What’s The Average Google Ads ROAS By Industry?』
参考:『広告の投資対効果を表すROAS(ロアス)の意味とその目安とは?』
現在Google広告を活用し、ビジネスの拡大を目指している方の中には、平均的なROASと比較し、うまく広告を運用できておらず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ROAS向上を目指す上で効果的な施策の1つに、自動入札タイプ「広告費用対効果の目標値」があります。
広告費用対効果の目標値とは、Google広告の自動入札戦略の1つで、広告主が投資に対するリターンを最大化することを目指します。
具体的には、広告主は投資した広告費に対して得られる収益の目標値を設定し、Googleのアルゴリズムがその目標を達成するように広告の入札を自動的に調整します。
この戦略をうまく活用することで、広告主は投資対効果を最大化し、ビジネスの成長を促進することができます。
今回は、自動入札タイプ「広告費用対効果の目標値」について設定項目や活用するメリットについて紹介します。
関連記事:『Google広告の入札戦略レポートとは? 確認手順3選と6つの入札戦略』
Contents
広告費用対効果の目標値とは
広告費用対効果の目標値は、Google広告の自動入札機能の1つです。
この機能は、広告運用者が設定した目標数値(ROAS)に基づいて、広告の入札単価を自動で調整します。
これにより、広告運用者はコンバージョンを効率よく獲得することが可能となります。
具体的には、広告予算を50万円投下して100万円売上をあげたい場合、目標費用対効果の設定は「200%」になります。
この設定により、広告は目標費用対効果の200%に対して、効率よくコンバージョン獲得の成果がでるように最適化されます。
参考:『目標広告費用対効果に基づく入札について|Google広告ヘルプ』
関連記事:『11種類の入札戦略!正しい選択でGoogle広告の費用対効果を高める』
広告費用対効果の目標値のメリット
作業工数の削減
広告費用対効果の目標値を利用すると、広告運用者の作業工数を大幅に削減できます。
なぜなら、この方法を使用した場合、入札単価を自動で調整することができるからです。
具体的には、ユーザー検索が価値の高いコンバージョンに至ると機械学習によって判断が下された場合、入札単価が高くなり、その可能性が低いと判断された場合は入札単価が低く調整されます。
入札単価がオークション時に自動的に最適化されるため、各オークションごとに入札単価を調整することも可能です。
結果、運用者は各商品の売上の規模や利益率を手動で追跡する必要がなくなります。
各商品の売上の規模や利益率の調整を自動化することにより、広告運用者は他の重要なタスクに集中することができます。
目標ROASの維持とコンバージョンの増加
また、設定した広告費用対効果の目標数値(ROAS)を維持しながら、コンバージョンの獲得を増加させることが可能です。
これは、過去の広告配信実績やユーザーの基本情報、ブラウザの種類、地域、時間帯、そして競合他社の入札状況などのデータを利用して、未来のコンバージョンを予測し、それに基づいて入札単価を調整することができるからです。
参考:『目標広告費用対効果に基づく入札について|Google広告ヘルプ』
広告費用対効果の目標値のデメリット
一方で、広告費用対効果の目標値にはいくつかのデメリットも存在します。
広告費用対効果の目標値は過去のデータが十分でない場合(検索キャンペーンであれば過去30日間にコンバージョンを15件以上獲得出来ていない状態)では、広告の最適化が行われません。
これは、過去のコンバージョン実績に基づいて入札単価が調整されるため、データが不足していると正確な予測ができず、最適な入札単価が設定できないからです。
また、目標ROASが高すぎると、配信ボリュームが制御され、広告の表示回数が減少する可能性があります。
これは、高いROASを達成するためには、高いコンバージョン率が必要となり、その結果、広告が表示される機会が減少する可能性があるからです。
参考:『目標広告費用対効果に基づく入札について』
広告費用対効果の目標値と他のスマート自動入札との比較
広告費用対効果の目標値は、ROAS(投資収益率)の目標が明確で、さらに、各コンバージョン(商品やサービスの購入やメルマガの登録など)が自社に対してもたらす価値が異なる場合に最適な選択となります。
なぜなら、この戦略は各コンバージョンの価値に応じて最適な入札単価で広告入札を行うことができるからです。
これに対して、他のスマート自動入札戦略は以下のような特性を持ちます。
コンバージョン数の最大化
コンバージョン数の最大化は、指定した予算内で可能な限り多くのコンバージョンを得ることを目指すスマート自動入札戦略です。
この戦略は、予算を最大限に活用してコンバージョンを増やすことに重点を置いています。
予算の消化を優先し、すべてのコンバージョンがビジネスに同等の価値をもたらす場合やROASの目標が具体的に設定されていない場合に適しています。
参考:『「コンバージョン数の最大化」による入札について|Google広告ヘルプ』
目標コンバージョン単価
指定した単価でコンバージョン(ユーザーの行動)を最大限に獲得できるように入札単価が自動調整されるスマート自動入札戦略です。
この戦略は、1 件あたりのコンバージョンに対してお支払いいただける平均額を指定し、その目標に合わせて最適化を行います。
ROASの目標値は具体的に設定されており、すべてのコンバージョンが自社に対してほとんど同じ価値をもたらす場合に適しています。
参考:『「目標コンバージョン単価制」入札戦略について|Google広告ヘルプ』
コンバージョン値の最大化
コンバージョン値の最大化は、指定した予算内で最大のコンバージョン値を得ることを目指すスマート自動入札戦略です。
この戦略は、広告予算を最大限に活用してコンバージョンの価値を最大化することに焦点を当てています。
それぞれのコンバージョンが自社に異なる価値をもたらす場合、もしくはROASの目標値を具体的に設定することが難しい場合に適しています。
参考:『「コンバージョン値の最大化」入札戦略について|Google広告ヘルプ』
まとめると、スマート自動入札は以下のようなニーズで使い分けることが効果的です。
入札戦略 | 特徴 | メリット |
広告費用対効果の目標値 | 広告費に対する収益の目標値を設定し、その目標値に基づいて広告の入札を最適化します。 | 広告費に対する収益を最大化することが可能です。 |
コンバージョン数の最大化 | 指定した予算内で可能な限り多くのコンバージョンを得ることを目指します。 | 予算を最大限に活用してコンバージョンを増やすことが可能です。 |
目標コンバージョン単価 | 指定した単価でコンバージョン(ユーザーの行動)を最大限に獲得できるように入札単価が自動調整されます。 | 1 件あたりのコンバージョンに対してお支払いいただける平均額を指定し、その目標に合わせて最適化を行うことが可能です。 |
コンバージョン値の最大化 | 指定した予算内で最大のコンバージョン値を得ることを目指します。 | 広告予算を最大限に活用してコンバージョンの価値を最大化することが可能です。 |
ROAS目標が明確で、各コンバージョンの価値が異なる時に、広告費用対効果の目標値を活用しましょう。
例えば、オンラインストアで収益率を最大化したい場合やリードごとに価値を整理して広告を配信する場合は広告費用対効果の目標値を使用することをおすすめします。
また、スマート自動入札についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
関連記事:『Google広告の自動入札戦略とは?3つのメリットや手動入札との違いを紹介』
広告費用対効果の目標値の設定項目
広告費用対効果の目標値の設定項目は以下のとおりです。
- コンバージョン値の設定
- 予算設定の確認
- 目標広告費用対効果の設定
- 入札単価の上限 / 下限の設定
- 入札するコンバージョンの選択
コンバージョン値の設定
引用:『コンバージョン値のルールのセットアップ|Google広告ヘルプ』
広告費用対効果の目標値を設定する前に、トラッキングしているコンバージョンの値を設定する必要があります。
これにより、広告がどれだけの価値を生み出しているかを具体的に把握することができます。
そのためには、コンバージョン値のルールを設定することが重要です。
以下にその手順を説明します。
Google広告から「コンバージョン」を選択
Google広告のダッシュボードにログインします。
画面右上のメニューから「ツールと設定」をクリックし、ドロップダウンメニューから「計測」セクションの「コンバージョン」を選択します。
コンバージョン値のルールを作成
新しい画面が開きます。左側のパネルから「価値のルール」をクリックします。
画面右上の「コンバージョン値のルールを作成」をクリックします。
ルールの条件を設定
次に、ルールの条件を設定します。メインの条件は必須で、予備の条件はオプションです。
条件は「デバイス」「地域」「オーディエンス」から選択できます。
さらに条件を絞り込みたい場合は、予備の条件を設定します。
メインと予備の条件はANDロジックで動作します。
つまり、設定したすべての条件を満たすコンバージョンにのみルールが適用されます。
次に、条件が成立したときの調整方式を設定します。
「追加」または「乗算」から選択できます。
「追加」の場合は0より大きい値を、「乗算」の場合は0.5から10までの値を入力できます。
条件と調整方式を設定したら、設定のプレビューが右上に表示されます。
最後に「保存」をクリックして設定を完了します。
以上の手順により、コンバージョン値のルールを設定し、広告費用対効果の目標値をより正確に設定することが可能になります。
参考:『URL パラメータについて|Google広告ヘルプ』
参考:『目標広告費用対効果に基づく入札について|Google広告ヘルプ』
予算設定の確認
予算は、広告が表示される頻度と、広告がどの程度の時間表示されるかを決定します。
したがって、予算設定は広告のパフォーマンスと直接関連しています。
Google広告では、1日の予算を設定しますが、その日の広告費用は予算の2倍まで上昇することがあります。
これは、Googleが広告の表示を最適化し、より多くのクリックやインプレッションを得るために、広告の表示を増やす日もあるからです。
しかし、1ヶ月全体で見ると、1日の平均予算の30.4日分を超える請求が発生することはないよう設計されています。
したがって、予算設定を行う際には、費用が1日の平均予算の最大2倍に達する可能性があることを考慮に入れる必要があります。
これにより、広告のパフォーマンスが予算の範囲内で最適化され、広告の効果を最大化することが可能になります。
参考:『目標広告費用対効果に基づく入札について|Google広告ヘルプ』
引用:『キャンペーンの 1 日の平均予算を設定、変更する|Google広告ヘルプ』
予算を設定する際には以下の手順に則してください。
以下に、予算の設定と変更方法を説明します。
キャンペーンの1日の平均予算を設定する
Google広告アカウントにログインし、「キャンペーン」ページに移動します。
その後、予算を設定したいキャンペーンを選択します。
月間予算を設定している場合、その金額を30.4(1ヶ月の平均日数)で割り、1日あたりの予算を算出します。
「予算」列に表示されている鉛筆アイコンをクリックします。
1日あたりの新しい予算額を入力します。
入力が完了したら、「保存」をクリックします。
キャンペーンの1日の平均予算を変更する
Google広告アカウントにログインし、「キャンペーン」ページに移動します。
予算を変更したいキャンペーンを選択します。
「予算」列に表示されている鉛筆アイコンをクリックします。
1日あたりの新しい予算額を入力します。
入力が完了したら、「保存」をクリックします。
目標広告費用対効果の設定
広告に投じたコストに対して獲得を検討しているコンバージョンの価値の平均を設定します。
目標広告費用対効果の設定は、獲得可能なコンバージョンの量に影響する可能性があるため、適切な設定が必要です。
広告費用対効果の目標値が効果を発揮するシチュエーションは、コンバージョンが自社にもたらす価値が異なる場合、もしくは達成しようとしている広告費用対効果(ROAS)の目標が具体的に決定されている場合です。
コンバージョンに応じて適切な費用対効果を設定することで当施策の効果を最大化させることが可能です。
入札単価の上限 / 下限の設定
入札単価の上限と下限を設定することで、広告の予算を管理し、広告のパフォーマンスを最適化します。
上限を設定することで、広告の費用を制御し、下限を設定することで、広告の表示頻度を確保します。
入札するコンバージョンの選択
広告のパフォーマンスを最適化するために、どのコンバージョンを入札の対象とするかを選択します。
これにより、広告の目標となるコンバージョンを明確にし、広告の効果を最大化します。
参考:『目標広告費用対効果に基づく入札について|Google広告ヘルプ』
関連記事:『キーワードの入札単価とは?単価の決め方5種と設定方法を解説!』
広告費用対効果の目標値の注意点
広告費用対効果の目標値を設定する際には、いくつかの重要な注意点があります。
これらの注意点を理解し、適切に対応することで、広告の効果を最大化することが可能となります。
適切な目標値の設定
目標広告費用対効果で設定した目標数値が高すぎる場合や低すぎる場合に、コンバージョンの獲得数が減少し、最終的なROASに悪い影響を及ぼす可能性があります。
目標数値を設定する際は、過去30日間に配信した広告のROASに基づいて設定をするようにしましょう。
そうすることで、目標数値を維持したままコンバージョン獲得を増加させることができます。
しかし、Google広告のヘルプによると、目標広告費用対効果に基づく入札をキャンペーンで使用するには、過去30日間にコンバージョンを15件以上獲得する必要があります。
これはほとんどのキャンペーンタイプに適用されます。
つまり、一定のデータがなければ、この入札戦略を開始することはできません。
また、広告に応じて最適化された目標広告費用対効果を設定するためには、過去のパフォーマンスに基づいた推奨値を使用することが推奨されています。
これにより、キャンペーンの広告費用対効果を維持しながら、コンバージョン値の改善を目指すことが可能です。
参考:『目標広告費用対効果に基づく入札について|Google広告ヘルプ』
関連記事:『コンバージョン測定とは?確認方法や計測できる9種のCVを解説!』
マイクロコンバージョンの設定
マイクロコンバージョンは、最終コンバージョン手前に設定する中間目標のことを言います。
例えば、最終コンバージョンが「資料請求」や「商品購入」とすると、マイクロコンバージョンは「お問い合わせページへの遷移」「カートへ追加」などになります。
過去のデータが十分に獲得できていない場合は、マイクロコンバージョンの活用を積極的に採用することで効果的な広告入札を実施できる可能性を高めることが可能です。
マイクロコンバージョンを活用することで、広告費用対効果の目標値の導入ハードルは確かに下がります。
なぜなら、マイクロコンバージョンを設定することで、ユーザーの購買プロセスの中間段階を追跡でき、より多くのデータを収集できるからです。
これは、広告費用対効果の目標値を設定する際に必要な過去のコンバージョンデータが不十分な場合、特に有効です。
したがって、中小企業でも、マイクロコンバージョンを設定することで、広告費用対効果の目標値を活用しやすくなります。
これにより、広告運用の効率化と成果の最大化を図ることが可能となり、広告予算の最適な活用を実現できます。
参考:『【徹底解説】マイクロコンバージョンとは?設定の注意点や事例を紹介!』
関連記事:『Google広告のコンバージョンタグをタグマネージャーで設定する5ステップ』
まとめ
自動入札タイプ「広告費用対効果の目標値」は、ROASの目標値が明確になっており、またコンバージョンに応じて異なる費用対効果を期待するユーザーにとって有用な広告手法の1つです。
設定可能な項目を必要に応じて活用し、少ない工数で広告効果の最大化を実現しましょう。
この記事を読んで、Google広告の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。
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