Web上において、Cookie*を含むトラッキング技術は、パスワードの自動入力やユーザー毎にカスタマイズされたコンテンツ表示など、多くの利便性をもたらしています。
こういったトラッキング技術は、ユーザーの利便性を向上させるだけでなく、デジタルマーケティングや広告運用においても効果を発揮します。
しかしながら、トラッキングについて「聞いたことはあるけど詳しく知らない」「どんな仕組みなのか分からない」「トラッキングすることでメリットがあるのか」など、あらゆる疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
そんな方向けに、今回はトラッキングの概要や仕組み、マーケティング領域におけるメリットや活用方法についてご紹介していきます。
トラッキングについて詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
関連記事:『【基礎】知っておきたいマーケティング用語一覧!33選を詳しく解説』
Contents
そもそもトラッキングとは
トラッキングとは、ユーザーのWebサイト上での行動を詳細に追跡することをいいます。
Webサイトに訪問したユーザーが、サイト内のどの部分を閲覧しているのかやどういったページに遷移しているのか、どのくらいサイトに滞在したかなどを追跡することで、Webサイトの改善や分析に繋げることができます。
例えば、デジタルマーケティング領域においては以下のような技術もデータ取得の際にトラッキングを活用しています。
- コンバージョン計測
- アクセス解析
参考:『マーケティング用語集トラッキング』
参考:『トラッキングとは?意味と仕組み、Webマーケティングでの活用方法を解説』
トラッキングを活用した技術➀コンバージョン計測
コンバージョンの計測では、Webサイトに訪れたユーザーがコンバージョンポイント*に到達したかを追跡する際にトラッキングが不可欠です。
ユーザーがサイトを訪問した瞬間から追跡が始まり、コンバージョンポイントに達したかどうかを計測することで、効果的なCPA*の把握が可能になります。
関連記事:『リスティング広告で悩むポイント!目標CPAの決め方3つを解説』
参考:『トラッキングとは?意味と仕組み、Webマーケティングでの活用方法を解説』
参考:『「トラッキング」「アクティビティの追跡」って結局なんなの? ネット広告のプロに聞いた』
トラッキングを活用した技術➁アクセス解析
アクセス解析は、Webサイトに訪問したユーザーの行動や特性を分析することにより、コンバージョン率の向上や訪問者数の増加を目指す重要なプロセスです。
この分析も、トラッキング技術によって実現されています。
ユーザーがサイトにアクセスしてから、どのような順序でページを閲覧し、各ページにどれくらい滞在したかなどのデータはトラッキングなしには収集することができません。
トラッキングにより、Webサイト内のユーザー行動を追跡することで、サイト改善およびコンバージョンの向上を促すことが可能になります。
関連記事:『【初心者向け】アクセス解析の用語15選!マーケティングの基本を解説』
参考:『トラッキングとは?意味と仕組み、Webマーケティングでの活用方法を解説』
参考:『アクセス解析とは?アクセス解析が重要な理由と、おすすめツール3選!』
トラッキングの代表的な方法と仕組み
ここでは、代表的なトラッキングの方法とその仕組みについてご紹介します。
代表的なトラッキングとしては以下のような技術が挙げられます。
- Cookie
- 広告識別子(広告ID)
- スマートフォンアプリによるトラッキング
- ブラウザーフィンガープリント
Cookie
Cookieは、トラッキングの最も代表的な手法として利用されています。
厳密には、CookieとはWebブラウザ上に保存される小さなテキストファイルのことを指し、最大のファイルサイズでも4KBほどです。
これによりユーザーのサイト閲覧情報などが一時的に記録され、ユーザーが再アクセスした際にCookieにより記録情報を読み込むことができます。
Cookieには「ファーストパーティCookie」と「サードパーティCookie」の2種類が存在します。
ファーストパーティCookie
ファーストパーティCookieは、ユーザーが直接訪れているWebサイトによって発行されます。
例えば、ECサイトではユーザーが商品を購入する際に入力する個人情報などがファーストパーティCookieとして保存されることで、ユーザーが再入力する手間を削減することができます。
サードパーティCookie
対照的にサードパーティCookieは、訪れているWebサイト以外のドメインから発行されます。
ユーザーのインターネット上におけるブラウジング行動を追跡し、広告配信をするために使用されることが多いです。
Cookieの取り扱いの現状
当初、プライバシー保護の観点からサードパーティCookieの廃止を目指していたGoogleですが、2024年7月に廃止を中止する方針への転換を発表しました。
プライバシーの保護に関してはChromeに新しい機能を導入して、トラッキングについてユーザーが選択できるようにすることで解決する方針のようです。
とはいえ、今後さらに方針転換が起きる可能性は十分ありますので、気になる方は動向をチェックすることがおすすめです。
Cookieについて詳しく知りたい方は、以下記事も合わせてご覧ください。
関連記事:『Cookieは同意すべき?4つの種類とWebサイトへの影響とは』
参考:『オンラインでのプライバシーを保護する』
参考:『トラッキングを許可しても大丈夫?セキュリティ的視点から解説』
参考:『ウェブ向けプライバシーサンドボックスの新しいアプローチ』
広告識別子(広告ID)
広告識別子(広告ID)とは、スマートフォンやタブレットなどのデバイスに固有で割り当てられる一意のIDです。
各端末を識別するために割り当てられ、各ユーザーは自由に変更したりリセットすることはできません。
大きく分けてiOS端末向けの「IDFA」とAndroid端末向けの「AAID」の2種類に分けられます。
- 「IDFA」(Identifier For Advertisers):iPhoneやiPadなどのiOSデバイス
- 「AAID」(Google Advertising ID):iPhoneを除く大半のスマートフォンやiPad以外のタブレット端末
広告IDは、アプリ内でユーザーに広告を配信する際に使用されます。
このようなユニークな広告IDにより、その端末を通じて得られる情報を蓄積することで、より精度の高いユーザー分析やターゲットに合わせた広告配信が可能になります。
ちなみに、Amazon.comが提供するOSである「FireOS」でもAndroidのOSを基にしているため、AAIDが割り振られます。
参考:『トラッキングを許可しても大丈夫?セキュリティ的視点から解説』
参考:『「ADID、IDFA、AAID・・・広告ID(広告識別子)とは?」今さら聞けない!基本の『キ』』
スマートフォンアプリによるトラッキング
引用:『Appがアクティビティを追跡してもよいか確認してくる場合』
スマートフォンアプリを開いた際に、上のような画面が表示されたことがある方も多いのではないでしょうか?
スマートフォンアプリでは、インストールの際に、デバイス内の様々なデータへアクセスするための権限を得ます。
これには位置データ、連絡先リスト、カメラ、デバイスのストレージ、そしてセンサーデータなどが含まれます。
これらのアクセス権を活用して、スマホアプリはユーザーの活動を継続的に追跡することが可能です。
Apple公式の情報によれば、アプリでのトラッキングについて以下のように記述されています。
トラッキングが行われると、個人やその所有デバイスを特定するような情報をAppが収集し、その情報がターゲティング広告や広告効果測定といった目的で、他社が所有する App、Web サイト、その他の場所で収集された同一個人やその所有デバイスを特定する情報と紐付けられたり、Appが収集した情報がデータブローカーと共有されたりします。
また、アプリのトラッキングに関してはiPhoneであってもAndroid端末であっても、設定でトラッキングを拒否することも可能です。
参考:『トラッキングを許可しても大丈夫?セキュリティ的視点から解説』
参考:『スマホのトラッキングとは?許可しても大丈夫?確認方法と危険性を解説』
ブラウザーフィンガープリント
フィンガープリント(Fingerprint)は本来「指紋」という意味ですが、近年ではデジタル認証の領域においても用いられており、特定の個人やデバイスを識別するための一意な情報として機能します。
ブラウザーフィンガープリントはこの概念を応用した技術で、ユーザーのWebブラウザやデバイスに関する詳細情報を指します。
具体的には以下のようなデータが当たります。
- 使用言語
- タイムゾーン
- インストール済みのプラグイン
- ブラウザ・OSの種類やバージョン など
これらのデータを組み合わせてハッシュ化することでデータが暗号化されます。
この方法により、インターネット上でユーザーの追跡や、不正アクセスの防止に活用できます。
また、ターゲティング広告で利用されることも多く、ブラウザーフィンガープリントによってユーザーのWebサイトへのアクセス傾向を把握し、その情報を基にしてユーザーの属性や趣味嗜好に合わせた広告の配信を可能にしています。
参考:『ブラウザーフィンガープリント』
参考:『トラッキングを許可しても大丈夫?セキュリティ的視点から解説』
参考:『ブラウザフィンガープリントとは?今注目されている理由やクッキー(cookie)との違い、規制動向についてもご紹介【マーケティングコラム】 』
トラッキングを活用する際のメリット
上述のように、トラッキングを活用することでユーザーそれぞれの興味関心に基づいた広告配信が可能になり、利便性の向上に貢献することができます。
一方で、企業や運営側はトラッキング技術によってどういったメリットが得られるのでしょうか。
ここでは運営側から見たメリットを2つご紹介します。
マーケティングに効果的
第一に、トラッキング技術でユーザー行動を追跡することでWebマーケティングに役立てることができます。
具体的には以下のような点でマーケティング効果を発揮します。
- 検索キーワードの発見
- コンバージョンに至るまでの要因分析
- Webサイト内におけるUXの改善
- PDCAサイクルの構築 など
例えば、トラッキングによりWebサイトに訪問したユーザーの行動を把握することで、どういったページがよく見られているかやどういった操作を行っているかといった情報を入手することができます。
これらの情報をもとにユーザーに合わせたWebサイト改善やコンバージョンに至るまでのカスタマージャーニーを分析することで、ユーザー理解を深め、Webマーケティングを効果的に進めることができるでしょう。
なお、カスタマージャーニーについては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:『【基本】カスタマージャーニーとは?目的と6つの活用場面を紹介』
参考:『トラッキングとは?方法やメリット、関連資料の比較・一覧・まとめ』
マッチ度の高い広告配信が可能
トラッキング技術を活用することで、ユーザーそれぞれの興味関心や嗜好にマッチした広告を配信することができます。
年齢や性別、購買傾向など、トラッキングによって得た情報に合わせて広告を表示することでコンバージョンの向上も期待できるでしょう。
また、広告ごとにどれくらいの効果を得られているかを確認することも可能です。
具体的なトラッキングの広告活用例についてはのちほど後述します。
参考:『トラッキングのマーケティングにおける使われ方とは?活用の方法とデバイス側での設定を解説』
トラッキングを活用する際のデメリット
一方で、トラッキング技術を活用することで生じるデメリットもあります。
それは、セキュリティリスクが増加してしまうという点です。
トラッキングを行うことでユーザーの個人情報が入手できるため、こういった情報が漏えいしないように万全な対策を講じなければなりません。
特に個人情報の不正攻撃として気をつけなければならないものの一つに「セッションハイジャック」があります。
セッションハイジャックとは、セッションID*が不正に乗っ取られる被害のことです。
ユーザーのセッションIDが乗っ取られることで、個人情報の漏えいだけでなくクレジットカードの不正利用やオンラインバンクでの不正取引が発生してしまう恐れがあります。
万が一こういったトラブルが発生してしまったら、企業の信用度を低下させてしまう事態にもなります。
トラッキングを活用する際は、事前にセキュリティリスクについて十分に把握しておくようにしましょう。
参考:『トラッキングのマーケティングにおける使われ方とは?活用の方法とデバイス側での設定を解説』
参考:『トラッキングとは?種類とメリット、デメリット、Z世代のトラッキングの捉え方を解説』
参考:『セッションハイジャックとは?攻撃の手口・事例と被害を防ぐための対策』
広告運用におけるトラッキング活用例
次に、トラッキングが広告運用においてどのように活用されているのかを見ていきましょう。
広告運用および広告配信において、トラッキングは幅広く活用されています。
ここでは一例として、リターゲティング広告とオーディエンスターゲティングを挙げて解説します。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、Webサイトへ一度訪れたユーザーに対して特定の広告を再表示する広告手法です。
一度ページに訪れているユーザーは、製品やサービスに対する関心が通常のユーザーに比べて高い可能性があるため、そういったユーザーをターゲットとして狙うことで、効果的に再リーチすることが可能になります。
リターゲティング広告の仕組みとして、Webサイト訪問者のブラウザにCookieを配置することによって個々のユーザー情報をリスト化し、後にインターネットを閲覧した際にターゲット広告を表示します。
Webサイトに設置された広告タグがユーザーのブラウザにCookieを割り当て、このCookieを通じて広告システムがユーザーを追跡し、特定の広告をそのユーザーに向けて展開します。
参考:『トラッキングとは|スマホの「トラッキング許可」は安全?セキュリティ・広告への影響を丁寧に解説!』
参考:『【2023年最新版】リターゲティング広告とは?仕組みから活用方法まで徹底解説!』
オーディエンスターゲティング
Googleのプラットフォームで提供される「オーディエンスターゲティング」は、ユーザーの属性や行動のデータを分析し組み合わせて、特定のオーディエンスにカスタマイズされた広告を配信する方法です。
Googleでは、ユーザーの検索や購入の履歴、興味関心、さらには人口統計学的な情報などのデータをリアルタイムで収集し、これを活用してGoogle広告を介したオーディエンスターゲティングを行います。
この情報を基に適切なターゲット層を定めることで、Googleはマーケティングの効果を高める精密な広告戦略を展開しています。
引用:『オーディエンスリストターゲティング』
なお、Yahoo広告では、「オーディエンスリストターゲティング」として提供されています。
オーディエンスに関するデータを基にした「オーディエンスリスト」と「共通オーディエンスリスト」の2種類のリストを広告グループに関連付けることで、リストに対応したユーザーに対して広告配信を行うことができます。
参考:『Google広告 オーディエンスターゲティングの概要とは?種類やメリットを徹底解説!』
参考:『オーディエンスリストターゲティング』
関連記事:『コンバージョン測定とは?確認方法や計測できる9種のCVを解説!』
まとめ
本記事では、広告のトラッキングに関して、トラッキングの仕組みやトラッキングの影響、セキュリティのリスクに関して解説しました。
この記事を読んで、広告運用の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。