Webマーケティングに関連した用語には、「ROI」「ROAS」と呼ばれる指標があります。
参考:『マーケティングROIが経営層に最も重要視されている一方、測定能力が不足|イギリスでの調査より』
特にROIは、重要視されている指標です。
1,610人のマーケティング担当者に対して調査では、CEOやCFO、取締役会メンバーにとって重要な指標にROIと答えたのが約半数の48.4%に及ぶアンケート結果も存在します。
それぞれ費用対効果を示す指標になりますが、この二つの指標の違いを明確に理解できず混同してしまっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ROIとROASについて、それぞれの説明や、計算方法、メリットとデメリットなどの違いについて解説します。
参考:『Marketingweek』
関連記事:『WebマーケティングにおけるKPIの重要性を4つのポイントで解説』
Contents
ROIとROASについて
ROIとは
ROI(Return On Investment)は、投資した資本に対する利益の割合を示す指標であり、投資の効果を評価するための基準として用いられます。
特に広告活動においては、支出した広告費に対してどれだけの利益を生み出したのかを示すための重要な指標となります。
高いROIの数値は、広告費として投じられた資金に対して、高いリターンが得られていることを示し、その施策の効果が良好であることの証拠として評価されます。
参考:『ROI・ROASとは?それぞれのメリット・デメリットや違いを解説』
参考:『ROIとROASの違いとは?メリット・デメリット、使い分けを解説』
参考:『【重要指標】ROIとROASの違いとは?意味や計算方法などを解説』
ROASとは
ROAS(Return On Advertising Spend)は、広告費に対する売上の効果を示す指標であり、具体的には広告費1円ごとに生み出される売上を示します。
この指標はパーセントで表示され、数値が高いほど広告の効果が高いと評価されることができます。
そのため、ROASは広告活動の成果を可視化し、効果の度合いを評価するための基準として使用されます。
参考:『ROI・ROASとは?それぞれのメリット・デメリットや違いを解説』
参考:『ROIとROASの違いとは?メリット・デメリット、使い分けを解説』
参考:『ROIとROASって何が違うの?広告運用の成果を測る重要な指標について』
関連記事:『おすすめの広告効果測定ツール5種類!分析可能な項目もご紹介』
ROIとROASそれぞれの計算方法
ROIの計算方法
ROIの計算方法としては以下の3つの種類があります。
- 利益額と広告費を基にする
- 売り上げと広告費を基にする
- コンバージョンを基にする
利益額と投資額を基にする
利益額÷広告費×100(%)
上記の計算式を基に計算例を示します。
広告費が20万円で、それに対して80万円の利益を得た場合は
80万円÷20万円×100=400で、ROIは400%です。
売り上げと投資額を基にする
{(売り上げ-売り上げ原価)-広告費}÷広告費×100(%)
上記の計算式を基に計算例を示します。
売り合げが100万円で、その原価が20万円、広告費用が20万円であるとき、
{(100万円-20万円)-20万円}÷20万円×100=300で、ROIは300%です。
コンバージョンを基にする
(平均利益単価×コンバージョン-広告費)÷広告費×100(%)
上記の計算式を基に計算例を示します。
平均単価が1万円で、コンバージョンが100、広告費として20万円であるとき
(1万円×100-20万円)÷20万円×100=400で、ROIは400%です。
参考:『【重要指標】ROIとROASの違いとは?意味や計算方法などを解説』
参考:『ROIとROASの違いとは?メリット・デメリット、使い分けを解説』
参考:『ROIとROASって何が違うの?広告運用の成果を測る重要な指標について』
ROASの計算方法
ROASの計算方法は以下の式です。
売り上げ÷広告費×100(%)
上記の計算式を基に計算例を示します。
売り上げが100万円で、広告費用が20万円であったとき、
100万円÷20万円×100=500で、ROASは500%です。
参考:『【重要指標】ROIとROASの違いとは?意味や計算方法などを解説』
ROIとROASのそれぞれのメリット
ROIのメリット
投資額に対して利益の確認ができる
ROIの利点は、投資額に対する利益を数値ベースで確認できることです。
具体的には、ROIを用いることで各広告や事業がどれほど採算性を持っているかを明確に可視化することができます。
この指標を参照することにより、ROIの数値がマイナスであれば事業戦略の見直しや、撤退の判断が容易になります。
例として、とある企業が広告Aと広告Bの運用をしていたとします。
それぞれのROIの数値が、広告Aでは60%、広告Bでは-40%であるとき、企業は利益の出ていない広告Bの運用を停止し、利益の出ている広告Aの運用に費用を充てることで、より多くの採算をとるように方針を決定することができます。
そのため、未来のリスクを低減する上で、ROIを算出し、それを基に方針を立てることができるメリットがあります。
参考:『【重要指標】ROIとROASの違いとは?意味や計算方法などを解説』
参考:『ROIとROASの違いとは?メリット・デメリット、使い分けを解説』
参考:『ROIとROASって何が違うの?広告運用の成果を測る重要な指標について』
ROASのメリット
広告の売り上げを確認できる
ROASの強みは、広告からの売り上げ貢献度を迅速かつ明瞭に知ることができる点です。
この指標を用いることで、広告の売り上げを詳細な分析や調査をせずとも、計算式により容易に把握できます。
ROIと比較しても、過去の実績や未来の売り上げ予測といった情報は手に入れやすく、それに伴ってより低いハードルで性能評価ができるメリットを持つ指標として、広告の評価に大きく貢献します。
高いROASを示す広告は売上向上の可能性を含む場合があり、そういった広告には予算を増やすなどの対策が考えられます。
一方で低いROASの場合は、戦略の見直しや予算の再配分が必要だとされます。
参考:『【重要指標】ROIとROASの違いとは?意味や計算方法などを解説』
参考:『ROIとROASの違いとは?メリット・デメリット、使い分けを解説』
参考:『ROIとは?ROASとの違いと共に解説、投資の成果を数値で把握』
関連記事:『広告効果測定はWebマーケに必須!9 つの指標を徹底解説』
ROIとROASの注意点
ROIの注意点
ROIは主に現状の利益の範囲を示す指標であり、長期的な事業の評価や将来の成長予測には適していません。
企業は高いROIを示す項目に対して投資する傾向がありますが、現在のROIが低いことがそのプロジェクトや投資が将来的に成功しないことを意味するわけではありません。
例として、企業が広告Aと広告Bの運用を行っているとします。
広告AのROIは常に50%であるのに対して、現状ではROIの数値の低い広告Bは最終的には150%の向上が期待されます。
このような場合に関して、現状のROIの数値のみで判断してしまうと、広告Bではなく広告Aのほうが、採算がとれるとされてしまいます。
ROIを参照する際は、その時点の成果を評価する手助けとして活用することは有益ですが、絶対的な基準として扱うべきではないと認識しておくべきです。
参考:『【重要指標】ROIとROASの違いとは?意味や計算方法などを解説』
参考:『ROIとROASの違いとは?メリット・デメリット、使い分けを解説』
参考:『ROIとは?ROASとの違いと共に解説、投資の成果を数値で把握』
ROASの注意点
利益の判断が難しい
ROASは売上に基づく指標であり、その結果から直接的な利益がどれだけ出ているのかを判断するのは難しいというデメリットがあります。
ROASの数値は、広告費に対する売上を示すだけで、その背後の利益率までは明らかにしないため、ROASのみを重視して戦略を立てると、結果として会社の収益性に悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。
利益率は、総利益÷売り上げ×100の式で計算されます。
利益の判断が難しいとされる例として、ROASの値が100%以上の売り上げを示していても、ROIが100%以下であったら、その広告は広告費自体の回収ができていないことを表しています。
ROASを適切に活用するためには、他の指標と併せて評価することが重要です。
また、一般的にROASに比べてROIの方が知名度が高く、ROASはそれほど馴染みがないため、そのデメリットとして、経営者や他の関係者への説明時に混乱を生む可能性があります。
ROASの説明をする際は、相手が正確に理解しているかを確認し、必要に応じて丁寧に説明を行う態度が求められます。
参考:『ROI・ROASとは?それぞれのメリット・デメリットや違いを解説』
参考:『【重要指標】ROIとROASの違いとは?意味や計算方法などを解説』
参考:『ROIとROASの違いとは?メリット・デメリット、使い分けを解説』
参考:『ROIとは?ROASとの違いと共に解説、投資の成果を数値で把握』
ROIとROASが重視されるケース
ROIとROASは、広告の効果を測る際に参考にされる指標ですが、混同しやすい部分もあります。
これらの指標は、投資や広告運用に対するリターンを評価する点で一致しますが、評価の基準が異なります。
評価の基準の違い
具体的には、ROIは広告費に対する利益を評価するもので、0%を境に利益が出ているかを判定します。
一方、ROASは売上に焦点を当て、広告費をどれだけ回収できているかを示す指標で、100%がその基準となります。
企業の経営の観点からみると、売上だけではなく、実際の利益がどれだけ得られているかがキーとなるため、ROIが特に重視されることが多いです。
もちろん、売上の拡大も重要ですが、経営の継続性を考えると、ROIを基にした利益の視点が不可欠です。
以下にその理由を、例を利用して説明します。
広告費:200万円
売り上げ:500万円
利益:-100万円
上記の状態であるとき、ROASを計算すると
ROAS=500÷200×100=250%
広告費200万円に対して、250%の売り上げを得ていることがわかります。
広告運用において、売り上げが高い状態であっても、利益がマイナスになってしまう理由としては、広告費用に多額の費用が掛かってしまう場合が考えられます。
特に、キーワードの競合が激しい場合などで、高い売り上げを生み出すために広告費用が高くなってしまい、結果として広告費用が売り上げを上回ってしまうことが考えられます。
しかし、同様の条件でROIを計算すると
ROI=-100÷200×100=-50%
広告費用として200万円を利用したのに対して、ROIの値はマイナスの値になっています。
つまり、200万円の広告費(投資)に対しての売り上げはプラスであるのに対して、利益はマイナスになっています。
そのため、広告費に対する利益について調査するならROI、広告費に対する売り上げについて調査するならROASの値を重視します。
これらの違いをしっかりと理解し、目的に応じて適切な指標を活用することが求められます。
参考:『ROI・ROASとは?それぞれのメリット・デメリットや違いを解説』
参考:『【重要指標】ROIとROASの違いとは?意味や計算方法などを解説』
参考:『ROIとROASの違いとは?メリット・デメリット、使い分けを解説』
広告効果を測定できる他の指標
CPA
CPAは、Cost Per Action、またはCost Per Acquisitionの略称です。
一つのコンバージョンに対するコスト、すなわち顧客獲得単価を意味する指標になります。
この値は、コンバージョン1件当たりにかかる広告支出を表し、
式は「CPA = 総広告費用 ÷ コンバージョン数」で計算されます。
低いCPAは、広告の効率的な運用を示しており、達成したいコンバージョンには商品の購入、会員登録など様々な形があります。
ROIは投資から得られた利益の割合を、ROASは広告支出に対する売上の割合を示すのに対し、CPAは顧客獲得のコストをそれぞれ計測します。
したがって、目標に応じた指標の選択が重要です。
例えば、問い合わせや資料請求の増加を目指す場合はCPAを主要指標とし、利益増大や売上向上を目指す場合はROIやROASを重視するのが適切と言えるでしょう。
これらの指標を使い分けることで、広告戦略の目的に合わせた最適なパフォーマンス測定が可能になります。
参考:『ROI・ROASとは?それぞれのメリット・デメリットや違いを解説』
参考:『【重要指標】ROIとROASの違いとは?意味や計算方法などを解説』
参考:『ROIとROASの違いとは?メリット・デメリット、使い分けを解説』
LTV
LTVはLife Time Valueの略称であり、顧客生涯価値と訳されます。
顧客が提供する長期的な利益を測定する指標になります。
この値は、一人の顧客が繰り返し購入することによってビジネスにもたらす全体的な価値を量化するもので、顧客が将来的にもたらすであろう収益を推定します。
LTVの算定には
「LTV=平均顧客単価 × 購買頻度 × 収益率 × 顧客が継続して購入する期間」という式を用います。
例えば、平均顧客単価が1万円で、毎月2回購入し、これが5年間続く場合、その顧客のLTVは「1万円 × 2回 × 60ヶ月」として120万円になります。
このように、LTVは継続期間やリピート購入の傾向を重視することで顧客一人ひとりが企業にもたらす全体的な価値を把握することを可能にし、顧客獲得と関係維持のための戦略を立てる際に重要な役割を果たします。
参考:『【重要指標】ROIとROASの違いとは?意味や計算方法などを解説』
参考:『ROIとROASの違いとは?メリット・デメリット、使い分けを解説』
CVR
CVRは、Conversion Rateの略称であり、はウェブサイトの訪問者が目的のアクション(コンバージョン)に至る割合を測る指標です。
この率は、広告からウェブサイトへの訪問者数に対して、実際に目的の行動を取った人数の比率を表し、マーケティング戦略の有効性を評価する上で不可欠なデータです。
CVRの計算式は「コンバージョン数 ÷ サイト訪問数 × 100」
または「コンバージョン数 ÷ 広告のクリック数 × 100」として算出され、ウェブサイトや広告のパフォーマンスを測定する上で重要な数値です。
参考:『【重要指標】ROIとROASの違いとは?意味や計算方法などを解説』
参考:『ROIとROASの違いとは?メリット・デメリット、使い分けを解説』
関連記事:『【初心者向け】アクセス解析の用語15選!マーケティングの基本を解説』
EPC
EPCは(Earning Per Click)の略称であり、一回の広告クリックによって得られる平均収入を指す用語です。
これはアフィリエイト広告プログラムを選定する際に重要な基準として利用されます。
EPCは以下の式で求めることができます。
EPC=アフィリエイト報酬金額÷広告クリック数
参考:『EPC』
関連記事:『アフィリエイトとアドセンス(Google)4つの違いを解説』
まとめ
本記事では、広告の効果を測定する指標であるROIとROASについて、それぞれの説明や、計算方法、メリットと注意点などについて解説しました。
この記事を読んで、広告運用の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。