デジタルマーケティングの世界では、ランディングページ(LP)の最適化が企業の成長やビジネスの成功を大きく左右します。
Webマーケティング事業を展開するTruelistによる調査では、最適化されたLPはコンバージョン率を最大300%まで向上させる可能性があることが示されています。
しかし、現実的には、LPの半分しかモバイルデバイス向けに最適化されていないなど、まだ改善の余地が多く存在します。
参考:『Landing Page Statistics – 2023』
このような課題を解決するために、コンバージョン率最適化(CRO)ツールの使用は不可欠です。
これらのツールを定期的に使用することで、様々なデータを分析し、最大223%のROI※を達成することが可能です。
参考:『Landing Page Statistics – 2023』
参考:『ROIとは?意味や計算式、ROASとの違いや改善方法を解説』
その中でもGoogleアナリティクス4(GA4)は、その強力な機能と使いやすさから、世界中の企業に広く使用されています。
Googleアナリティクス4を使用することで、LPのユーザー行動やコンバージョンを詳細に追跡し、データに基づいた意思決定が可能になります。
しかし、その機能をフルに活用するには、正しい使い方を理解し、適切なステップを踏むことが重要です。
本記事ではGoogleアナリティクス4を用いたランディングページの分析方法をステップごとに解説します。
関連記事:『【基礎】アクセス解析をマーケティングに活かす4つのポイント』
Googleアナリティクス4とは
引用:『Google Analytics』
Googleアナリティクス4 (GA4)は、Webサイトとアプリの両方からイベントベースのデータを収集する、次世代のGoogleアナリティクスです。
Googleアナリティクス4は、Googleが開発した新しい種類のプロパティで、カスタマージャーニーをより深く理解するために、Webサイトとアプリのデータを共に収集することが可能です。
参考:『[GA4] 次世代のアナリティクス、Googleアナリティクス 4 のご紹介|Googleアナリティクスヘルプ』
関連記事:『【初心者向け】アクセス解析の用語13選!マーケティングの基本を解説』
ユニバーサルアナリティクスからの変更点
Googleアナリティクス4は2020年10月14日に公開されたGoogleアナリティクスの最新バージョンで、2005年に開始されたユニバーサルアナリティクス(UA)が測定できないシーンが増えたことを背景にしています。
ユニバーサルアナリティクスからGoogleアナリティクス4への移行に伴い、どこが大きく変化したのでしょうか。
参考:『What’s new|Meet the next generation of Google Analytics|Analytics Help』
新しいレポーティングインターフェース
ユニバーサルアナリティクスでは多数のレポートとツールがあり、新規ユーザーにとっては複雑であることが課題でした。
これに対し、Googleアナリティクス4(GA4)のインターフェースははるかにシンプルで、柔軟性があり、直感的です。
レポートはWebページとiOS/Androidアプリからの集約された情報を表示します。
その結果、ユーザーが慣れ親しんだレポートや指標のセットは一部が置き換えられ、または削除されました。
また、Googleアナリティクス4を使い始める場合は、これまでユニバーサルアナリティクスを使用している場合であっても、イベントをトラッキング開始しなければ多くのレポートは見られません。
参考:『Migrating from Universal Analytics to GA4』
Cookieに対する依存度の低下
引用:『基礎知識 Cookieの仕組み|総務省』
Googleアナリティクス4はプラットフォーム全体で動作するように設計され、デバイスベースのCookieに依存していません。
代わりにイベントベースのデータモデルを使用し、機械学習とAIを活用することで、これは、より洗練されたデータ追跡を提供します。
ユーザーがCookieによるトラッキングを拒否した場合でも、正確で信頼度の高い分析を実現することが可能です。
参考:『10 Changes to Google Analytics. The Whys and Hows of Migrating to GA4』
関連記事:『Googleアナリティクス4の特徴は?設定と6つの注意点を解説』
カスタマージャーニー測定の改善
Googleアナリティクス4は、カスタマージャーニーのデータをさまざまなデバイスから一元化する機能を備えています。
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入に至るまでの一連のプロセスを旅に見立てた概念です。
顧客の行動、思考、感情を理解するのに役立ち、主に顧客体験の向上を目指すことを目的として活用されます。
現代のビジネスでは、特にECサイトなどで顧客体験の向上が重要視されており、顧客理解を深めて適切な顧客体験を提供するために、多くの企業がカスタマージャーニーの概念を採用しています。
参考:『カスタマージャーニーとは?基礎知識をわかりやすく解説』
Googleアナリティクス4ではユーザーが複数のデバイスをまたがってアクセスした場合に関しても、統合的な視点で分析することが可能です。
ユニバーサルアナリティクスの場合、モバイルアプリのトラッキングは困難で、モバイルアプリのユーザー行動やエンゲージメントを詳細に追跡・分析するために、Googleが提供するモバイルアプリ開発プラットフォームであるFirebase内のGoogleアナリティクスfor Firebaseを活用しなければなりませんでした。
参考:『Firebase 向け Google アナリティクスの概要|Firebaseヘルプ』
しかしGoogleアナリティクス4を使用することで、1つのプラットフォーム内ですべてをトラッキングすることが可能になりました。
参考:『Migrating from Universal Analytics to GA4』
関連記事:『Google広告のオーディエンスマネージャー・3つのメニューとは』
統一されたデータモデル
従来のユニバーサルアナリティクスでは、レポートは主にページ訪問やログインページへの訪問数、コンバージョンに使用されたURLなどを分析するためのセッションとページビューに基づいていました。
Googleアナリティクス4では、このデータ分析方法が変更され、従来のページビュー、ソーシャルインタラクション、トランザクションなどを廃止し、「イベント」という一つの概念の下に統一しました。
つまり、ページビュー、アプリビュー、スクリーンビューなど、どんなインタラクションもすべてが「イベント」として考えられるようになりました。
以下に、Googleアナリティクス4で使用されるイベントの種類を整理します。
イベントの種類 | 内容 |
自動収集イベント(Automatically Collected Events) | Googleアナリティクス4は、ウェブサイトまたはアプリでGoogle Analyticsを設定した場合にデフォルトで収集されるイベントです。 これらのイベントは、ユーザーの基本的なインタラクションや動作を自動的に追跡します。 |
拡張計測機能イベント(Enhanced Measurement Events) | Googleアナリティクス4を設定し、拡張計測機能が有効になっている場合に収集されるイベントです。 拡張計測機能には、リンククリック、動画再生、フォーム送信など、特定のインタラクションに関連するイベントが含まれます。 |
推奨イベント(Recommended Events) | お客様が実装することが推奨されているイベントで、名前とパラメータが事前に定義されています。 これらのイベントを実装することで、既存のレポート機能と将来追加されるレポート機能を活用することができます。 一般的な推奨イベントには、ページビュー、セッション開始、セッション終了、コンバージョンなどがあります。 |
カスタムイベント(Custom Events) | お客様が独自に定義するイベントです。 カスタムイベントは、お客様の特定のユースケースに合わせて設計され、他のイベントが機能しない場合に使用されます。 カスタムイベントは、ほとんどの標準レポートには表示されず、有意な分析を行うにはカスタムレポートやデータ探索ツールを使用する必要があります。 |
参考:『[GA4] イベントについて|アナリティクスヘルプ』
参考:『Migrating from Universal Analytics to GA4』
予測分析
Googleアナリティクス4はGoogleの機械学習を利用し、顧客の未来の行動を予測することが可能となりました。
機械学習アルゴリズムと構造化されたイベントデータに基づいて、以下の予測メトリクスを計測することができます。
指標 | 概要 |
購入確率 | 過去28日間に操作を行ったユーザーが、今後7日間以内に特定のコンバージョンイベントが記録される可能性。 |
チャーン(離脱)確率 | 過去7日以内にアプリやサイトで操作を行ったユーザーが、今後7日以内に操作を行わない可能性。 |
予測収益 | 過去28日間に操作を行ったユーザーが今後28日間に達成する全購入コンバージョンによって得られる総収益の予測。 |
これらのメトリクスを活用することで、将来のeコマースのパフォーマンスを予測し、マーケティング予算を効率的に活用することが可能になります。
また、Googleアナリティクス4で予測分析を活用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 過去28日間の間の7日間で、予測条件(購入または離脱)をトリガーしたリピーターが1,000人以上、トリガーしていないリピーターが1,000人以上いること。
- モデルの品質が一定期間維持されていること。
- 購入の可能性と予測収益の指標を収集するためには、プロパティは purchase(収集が推奨されるイベント)と in_app_purchase(自動的に収集されるイベント)、またはそのどちらかを送信する必要があります。
ストリームライン化されたオーディエンスビルディング
ユニバーサルアナリティクスからGoogleアナリティクス4への移行に伴い、顧客追跡のアルゴリズムが改善され、有料キャンペーンの成果を向上させるための洗練されたオーディエンス作成が可能になりました。
例えば、顧客がデスクトップ上のGoogle広告で初めてブランドを知り、後にタブレット上で特定の製品のショッピング広告を通じて購入を行った場合、ユニバーサルアナリティクスではこのような行動の追跡は難しいといった欠点がありました。
各ステージが異なるデバイスで行われた行動を観測する手段が備わっていないからです。
しかし、CookieレスのGoogleアナリティクス4では、この顧客行動を全体として追跡し、総合的に分析することができます。
さらに、特定のグループを基にオーディエンスを作成し、それらにカスタムオファーを提供することが可能になりました。
例えば、特定の商品カテゴリーを閲覧したが購入を完了していない顧客のグループを元にオーディエンスを作成することができます。
そして、このオーディエンスには、他のデバイスで実際に購入を行った人は含まれません。
これにより、予算の無駄遣いを防ぐことができます。
参考:『10 Changes to Google Analytics. The Whys and Hows of Migrating to GA4』
Googleアナリティクス4でランディングページの分析を行う方法
Googleアナリティクス4でランディングページの分析を行う方法について、具体的な手順とそれぞれのステップで行うべきアクションを詳しく説明します。
STEP1: 新しい探索を作成
引用:『Google Analytics4』
まず初めに、「探索」機能を使用して新しい探索を作成します。
Googleアナリティクス4にログインし、左サイドバーから「探索」を選択し、「空白」をクリックして新しい探索を作成します。
この新しく作成された探索には任意の名前をつけることができます。
ここでは例として、「LP分析」という名前を設定します。
STEP2: セグメントの新規作成
引用:『Google Analytics4』
次に、新しいセグメントを作成します。左サイドバーの「セグメント」欄から「+」マークをクリックして新規セグメントを作成します。
任意のセグメント名を設定し、「ユーザーセグメント」を選択します。
次に、「session_start」を検索して設定し、「保存して適用」をクリックすれば、新規セグメントの作成は完了です。
STEP3: ディメンションの選択
引用:『Google Analytics4』
続いて、ディメンションを選択します。左サイドバーの「ディメンション」欄から「+」マークをクリックしてディメンションを選択します。
ここでは、「ページタイトルとスクリーン名」にチェックを入れて、右上の「インポート」をクリックします。
これでディメンションの選択が完了します。
STEP4: 指標の選択
引用:『Google Analytics4』
最後に、指標を選択します。
左サイドバーの「指標」欄から「+」マークをクリックして指標を選択します。
ここでは、使用頻度の高い「セッション」を選択します。
検索欄から「セッション」にチェックを入れ、右上の「インポート」をクリックすると、指標の選択が完了します。
また、ニーズに合わせて様々な指標を使い分けることでさらに細かい分析を実現することも可能です。
具体的には以下のとおりです。
指標 | 概要 | 使用方法 |
セッション | ユーザーがWebサイトを訪れてから離れるまでの一連のアクション | Webサイトの利用状況やユーザーの行動パターンを理解するために使用します。例えば、セッション数を確認することで、Webサイトへの訪問の頻度を把握できます |
ユーザー | Webサイトを訪れた個別のユーザー | 新規ユーザー数やリピートユーザー数を分析するために使用します。これにより、Webサイトのユーザー獲得効果や顧客ロイヤルティを評価することが可能です |
コンバージョン | 目標となる行動(購入、問い合わせ等)をユーザーが行った場合 | コンバージョン数やコンバージョン率を確認し、マーケティング活動の成果を測定します。また、ランディングページや広告キャンペーンなどのパフォーマンスを評価します |
エンゲージメント率 | ユーザーがWebサイトで積極的に行動(ページビュー、イベントの発生等)を起こしている割合 | サイトのコンテンツやデザインがユーザーにとって魅力的かどうかを評価するために使用します |
直帰率 | セッションのうち、1ページだけ見てすぐに離れたものの割合 | サイトの初回訪問者がどれだけエンゲージメントを示さないかを理解するために使用します。高い直帰率は、ランディングページの改善が必要な可能性を示します |
平均セッション時間 | セッションあたりの平均滞在時間 | ユーザーがWebサイトにどれだけの時間を過ごしているかを確認し、エンゲージメントの程度を測定します |
Googleアナリティクス4でLPのレポートを作成する方法
レポートの編集
GAにログインし、ダッシュボードから「トラフィック獲得」を選択します。
デフォルトのレポート画面が表示されたら、右上の「✐(鉛筆)」アイコンをクリックします。
これはレポートをカスタマイズするためのボタンです。
プライマリディメンションの設定
引用:『レポートのプライマリ ディメンションを変更する|アナリティクスヘルプ』
プライマリディメンションとは、Googleアナリティクス4のレポートでデータテーブルの上部に表示される要素のことです。
それぞれのレポートについて、使用するプライマリディメンションを選択することが可能です。
プライマリディメンションを変更することで、テーブルに適用され、データの表示方法が変更されます。
参考:『レポートのプライマリ ディメンションを変更する|アナリティクスヘルプ』
レポート編集画面の右側に表示される「レポートデータ>サイズ」から「ディメンションを追加」をクリックし、「ランディングページ」を選択します。
「ランディングページ」を選択後、「適用」をクリックしてディメンションを設定します。
レポートの保存
レポートが必要な形になったら、「保存」ボタンをクリックします。
ドロップダウンメニューから「新しいレポートとして保存」を選択し、「ランディングページ」などの名前をつけて保存します。
指標のカスタマイズ
再度、「✐(鉛筆)」ボタンをクリックし、「レポートデータ」の「指標」を編集します。
ここでは表示したい項目を選択し、順番をドラッグアンドドロップで調整します。「指標を追加」をクリックすることで、表示したい他の指標も追加できます。
レポートをナビゲーションメニューに追加
編集が完了したら、「レポート」をクリックし、表示される「ライブラリ」を選択します。
次に「ライフサイクル」のカード内にある「コレクションを編集」をクリックし、作成したレポートをドラッグアンドドロップで適切な位置に移動します。
「保存」をクリックすれば完了です。
これで、「ライフサイクル > 集客」のメニュー内にカスタマイズしたレポートが表示されます。
関連記事:『コンバージョン測定とは?確認方法や計測できる9種のCVを解説!』
まとめ
Googleアナリティクス4を使用したランディングページの分析は、あらゆるWebサイト運用者にとって非常に重要なスキルです。
今回、その手順を具体的に4つのステップに分けて紹介しました。
まずは、Googleアナリティクス4のセットアップから始め、次に目標(コンバージョン)を設定します。
その後、必要な分析指標を理解し、最後にGoogleアナリティクス4でのレポート作成方法を習得することで、効果的なランディングページ分析が可能になります。
この過程は、Webサイトの利用状況やユーザーの行動パターンを理解するだけでなく、マーケティング活動の成果を測定するためにも必要なものです。
また、ユーザーのエンゲージメントやランディングページのパフォーマンスを評価することで、改善点を見つけることもできます。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。
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