一般的なWeb広告では、クリックした後にランディングページ(LP)やECサイト、企業のサイトなどの外部のWebページに遷移します。
「広告はクリックされるものの、申し込みフォームの送信に至らないユーザーが多い」「LPの途中でユーザーが離脱してしまう」といった課題を抱えている企業も多いでしょう。
今回ご紹介するFacebook/Instagramのリード獲得広告は、このようなケースにおいてコンバージョン率や獲得数の向上が期待できるフォーマットです。
広告の特徴や配信方法、有効活用するためのポイントについてまとめているので、ぜひ導入の際の参考にしてみてください。
なお、リード獲得広告はFacebookとInstagramの両方で使用できる広告フォーマットです。
以下の記事では、各広告プラットフォームの特徴を解説しています。
関連記事:『Instagram広告とFacebook広告の違いと特徴!成果を出す4つのポイント』
Contents
FacebookとInstagramのリード獲得広告とは?
そもそもリードとは、マーケティング用語で「見込み顧客」を表します。
リード獲得広告は、Facebook/Instagramを運営するMeta社(旧Facebook社)によって2015年10月に運用が開始されました。
まずは、リード獲得広告の特徴についてみていきましょう。
参考:『株式会社翔泳社『Facebook、リード獲得広告を日本でも正式リリース』』
ユーザー情報の獲得が可能
リード獲得広告は、Facebook/Instagram広告の配信方法の一つです。
広告と申し込みフォームが直結しており、外部サイトを経由せずにコンバージョンが完結するという特徴があります。
多くのWeb広告は外部サイトにリンクされていますが、リード獲得広告は、クリックするとすぐにユーザー情報を入力するフォームが出現します。
リード獲得広告の用途の例として、Meta社の公式サイトでは以下が紹介されています。
- ビジネスの潜在顧客を特定する。
- 会社ニュースレターの購読者情報を収集する。
- ホワイトペーパーやパンフレットなどの限定コンテンツのダウンロードを促進する。
- 潜在顧客の興味・関心や行動を把握する。
- プログラムへの参加を促す。
ユーザーがリード獲得広告をクリックすると、ユーザー情報の入力フォームに遷移します。
そこでユーザーが自分自身の情報を入力することによって、企業は見込み顧客の情報を獲得することができるのです。
リード獲得広告の入力フォームは「インスタントフォーム」と呼ばれています。
インスタントフォームでは、あらかじめ用意された定型の質問や、自社のビジネスに合わせて自由に設定できるカスタム質問が最大15個まで設定可能です。
以下は、インスタントフォームに設定できる項目の一覧となります。
インスタントフォームに設定できる定型質問
カテゴリー | 設定可能な項目 |
連絡先 |
|
ユーザー情報 |
|
利用者層 |
|
勤務先 |
|
参考:『Meta社『インスタントフォームで利用できる定型の質問』』
自社の商品・サービスの内容に合わせて自由に設定するカスタム質問では、以下の形式が選択可能です。
カスタムで作成できる質問の種類
種類 | 内容 |
多肢選択式 | ユーザーが複数の選択肢から回答を選ぶ形式。質問と回答の選択肢を作成する |
短い回答 | ユーザーが意見を表明できる自由回答形式の質問 |
条件付き回答 | 前の質問に対するユーザーの回答によって変化する、一連の条件付き回答の質問 |
販売店情報 | ユーザーが最寄りの店舗や所在地を検索できる |
予約リクエスト | ユーザーが予約や来店の日時をリクエストできる |
参考:『Meta社『リード獲得広告のインスタントフォームにカスタム質問を追加する』』
プラットフォーム内でコンバージョンが完結するためLP不要
リード獲得広告は、広告のクリックからコンバージョンまで、FacebookまたはInstagramのプラットフォーム内で完結します。
多くのWeb広告は、以下の流れでコンバージョンを獲得します。
- ユーザーが広告をクリック
- ランディングページ(LP)に遷移
- LP上の申し込みフォームからユーザー情報が送信される
- コンバージョンを獲得
一方、リード獲得広告の場合は、コンバージョンまでの流れは以下の通りです。
- ユーザーが広告をクリック
- インスタントフォームからユーザー情報が送信される
- コンバージョンを獲得
このように、リード獲得広告ではLPを経由しないため、通常の広告よりもコンバージョンへのステップが短いのが特徴です。
参考:『株式会社ジャリア『LPなしでリード獲得!インスタグラムのリード獲得広告について』』
LPについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
関連記事:『ランディングページ(LP)で踏まえるべき内容10選! 順番も解説』
リード獲得広告を導入するメリットは?
FacebookやInstagramのプラットフォーム内でユーザーの情報取得が可能なリード獲得広告。
ここでは、さまざまなメリットについてご紹介します。
費用や時間をかけずに配信できる
リード獲得広告は、外部サイトを経由せずにユーザーをコンバージョンに誘導するため、LPなどに費用や時間をかけずに広告を運用できるというメリットがあります。
「FacebookやInstagramに広告を出したいけれど、LPが用意できていない」「費用やリソースの問題で、すぐにLPを制作できない」という場合にも、スピーディーな出稿が可能です。
スピード感が求められる期間限定キャンペーンなどの広告を配信する際や、費用や時間のコストを抑えて運用したい小規模の企業にも適しています。
参考:『株式会社ジャリア『LPなしでリード獲得!インスタグラムのリード獲得広告について』』
コンバージョン率の向上が期待できる
広告のクリックからすぐにインスタントフォームに遷移することでユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン率の向上が期待できる点も、リード獲得広告のメリットの一つです。
インスタントフォームは、Facebookに登録されているユーザー情報を入力欄に自動的に反映します。
名前や住所、メールアドレス、生年月日などが登録されている場合、ユーザーが入力する手間を削減することができます。
デジタルマーケティングを手がけるブルースクレイ・ジャパン株式会社のサイトでは、リード獲得広告を導入した事例として、前後でコンバージョン率(CVR)が6.59%から12.30%に向上したデータが紹介されています。
また、同データではコンバージョンの獲得単価(CPA)も¥6,033から¥3,111へと改善され、コストが抑えられています。
参考:『ブルースクレイ・ジャパン株式会社『BtoB企業必見!Facebook・Instagramリード獲得広告のすべて』』
CRMと連携し、顧客情報を管理できる
リード獲得広告で得たユーザー情報は、Meta広告マネージャあるいはMeta Business Suiteのリードセンターからダウンロードするか、CRMシステムと連携することで活用が可能です。
リード獲得広告のユーザー情報をリンクさせられるCRMは、600種類以上にものぼります。
連携できるCRMシステムの一例
- Mailchimp
- Salesforce
- Microsoft Dynamics 365 CRM
- Freshsales
- HubSpot
- Gmail
- Google Drive
- Google Analytics
- Google Ads など
参考:『Meta社『リード獲得広告について』』
参考:『Meta社『リード獲得広告に利用可能なCRMシステム連携』』
自社のユーザーのニーズや傾向を読み解くには、顧客分析に取り組むのも一つです。
以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:『顧客分とは?ユーザー行動を紐解く7つの手法と注意点をプロが解説』
ユーザーの行動履歴をチェックできる
リード獲得広告では、ユーザーの行動を90日前まではさかのぼれます。
広告の効果が想定よりも低い場合、原因をつきとめるための判断にも役立ちます。
たとえば、コンバージョンに到達しなかったユーザーについて「インスタントフォームを開いていない」「フォームを開いたものの、送信には至らなかった」などの把握が可能です。
フォームに到達していないユーザーが多いなら広告文やクリエイティブを改善する、フォームの送信が少ない場合は質問項目を変更するといった施策を試してみるなど、状況に合わせた施策を考えることができます。
参考:『株式会社ベーシック『【事例あり】リード獲得広告とは?Facebookでの使い方と効果を出すコツ』』
リード獲得広告の配信面
FacabookとInstagramのリード獲得広告には、幅広い配信面があります。
具体的には以下の広告枠に配信可能です。
プラットフォーム | 配信面 | 概要 |
Facebookフィード | Facebookホーム画面のタイムラインに配信 | |
Facebookストーリーズ | Facebookストーリーズの再生中に配信 | |
Facebookインストリーム動画 | 知名度の高いパブリッシャーやデジタルメインのクリエイターによる動画コンテンツの再生中や、承認された一部のパートナーによるライブストリーミング内で配信 | |
Facebook Marketplace | ローカルコミュニティ内で商品の販売・購入ができるMarketplaceに配信 | |
Instagramフィード | Instagramホーム画面のタイムラインに配信 | |
Instagramストーリーズ | Instagramストーリーズの再生中に配信 |
参考:『Meta社『リード獲得広告について』 』
Facebookフィード
引用:『Meta広告マネージャの目的のアップデート|Meta』
Facebookフィードは、Facebookホーム画面のタイムラインに表示される配信面です。
画像や動画形式で広告表示ができます。
フォローしているユーザーの投稿や近況情報のほか、「いいね!」などが表示され、常に最新の投稿が更新されます。
Facebookストーリーズ
引用:『Meta広告マネージャの目的のアップデート|Meta』
Facebookストーリーズでは、縦型フルスクリーン表示で広告配信ができます。
スタンプや絵文字などのクリエイティブ要素だけでなくCTAボタンも追加できるので、ストーリーズを閲覧したユーザーに対してアクションを促すことも可能です。
Facebookストーリーズ広告で使用できるCTAには以下のようなものがあります。
- 申し込む
- 予約する
- ダウンロード
- お問い合わせ
- 購入する
- 詳しくはこちら など
参考:『Facebookストーリーズ広告で利用できるCTAボタン|Meta』
Facebookインストリーム動画
引用:『Meta広告マネージャの目的のアップデート|Meta』
Facebookインストリーム動画では、知名度の高いクリエイターによる投稿動画をFacebook上で視聴しているユーザーに対して配信できます。
5~15秒間の動画広告が再生され、オーガニック動画の再生前後と再生途中に配信することが可能です。
Meta社に承認された一部のパートナーが行うFacebookライブストリーミング中にも配信できます。
参考:『Facebookインストリーム広告について|Meta』
Facebook Marketplace
引用:『Meta広告マネージャの目的のアップデート|Meta』
Facebook Marketplaceとは、特定のコミュニティ内で商品の出品や購入ができる配信面です。
商品画像とともに商品の詳細情報を表示でき、Facebookユーザーにリーチすることができます。
商品に興味を持ったユーザーは、販売店に直接メッセージを送ることも可能です。
なお、Marketplaceの広告はFacebookフィードにも配信されます。
参考:『Marketplaceの広告|Meta』
参考:『Marketplaceの広告について|Meta』
参考:『販売する商品と地元のコミュニティとをつなぎます。|Meta』
Instagramフィード
引用:『Meta広告マネージャの目的のアップデート|Meta』
Instagramフィードは、Instagramアプリのタイムライン上に表示される配信面です。
画像や動画形式で掲載できるので、商品やサービスのビジュアルでユーザーの目を引くことができれば認知度アップに繋げられます。
参考:『画像広告について|Meta』
Instagramストーリーズ
引用:『Meta広告マネージャの目的のアップデート|Meta』
Instagramストーリーズでは、Facebookストーリーズと同様に縦型フルスクリーンで広告表示ができます。
Instagramストーリーズの再生中に配信されます。
2020年1月時点では、毎月当たり約400万人の広告主にストーリーズが利用されていることが分かっており、ビジネス利用にも効果的な没入感のあるフォーマットです。
一般ユーザーによるオーガニックストーリーズの間で配信され、画像の場合は5~16秒間、動画の場合は1枚につき15秒の表示が可能です。
関連記事:『Instagramストーリーズ広告とは?9つの作成ポイントを徹底解説!』
リード獲得広告の注意点は?
リード獲得広告では、企業側とユーザー側の両方の手間を抑えながらユーザー情報を得ることができます。
一方で、LPや外部サイトを経由しないことによるデメリットもあります。
LPを経由しないためメリットが伝えにくい
通常のWeb広告では、LPで商品・サービスの魅力やこだわりなどを訴求することができます。
広告に興味を持ってクリックしたユーザーに対して必要な情報を提示することで期待感を高め、コンバージョンの獲得につなげています。
一方、リード獲得広告はクリック後すぐにインスタントフォームに遷移するため、商品・サービスのアピールが不十分になりやすいのがネックです。
売上獲得の見込みが低いケースがある
リード獲得広告は、ユーザーの入力の手間を削減できることから、コンバージョンへのステップ数が少ない点がメリットです。
一方で、コンバージョンへのハードルが低いことから、売り上げの獲得につながりにくいリードまで獲得してしまうという懸念があります。
リードの質を向上するには、インスタントフォームのタイプ(後述)で「高い志向」や「豊富なクリエイティブ」を選択したり、質問の項目数を増やすといった方法を試してみるのも一つです。
参考:『株式会社星組『Facebook Instagramのリード獲得広告とは?設定や費用、リードのダウンロード方法を解説』』
リード獲得広告の出稿手順
リード獲得広告は、Meta広告マネージャ、Facebookページ、Meta Business Suiteで作成が可能です。
ここでは、広告マネージャでの作成方法を例としてご紹介します。
なお、FacebookページおよびMeta Business Suiteから作成したい場合は以下のページを参考にしてみてください。
参考:『Facebookページからリード獲得広告を作成する方法』
参考:『Meta Business Suiteからインスタントフォームを作成する』
➀広告マネージャを開き、キャンペーンの目的を選択
Meta広告マネージャを開き、「+作成」をクリック。
キャンペーンの目的として「リード」を選択し、キャンペーンの詳細、A/Bテストの情報、キャンペーン予算などの情報を入力します。
➁リード方法の設定、利用規約の確認
この記事でご紹介しているインスタントフォームでのリード獲得を促す場合は、リード方法の設定で「インスタントフォーム」を選びます。
その後、広告の利用規約を確認し「同意」をクリックしてください。
次に、最適化と配信の設定項目で「リード」を選択します。
③インスタントフォームの作成
インスタントフォームの設定画面で、フォームの作成を行います。
ビジネスのゴールに応じた3種類のインスタントフォームが用意されており、「フォームタイプ」の項目で選択することができます。
3種類のインスタントフォームの違いは以下の通りです。
- 大量用: 大量のリード獲得を目的としており、モバイルデバイスで入力や送信が簡単にできるフォームを使用します。デフォルトではこの「大量用」が設定されています。
- 高い意向:特定の商品・サービスに関心がありそうな、意向の高いリードの獲得を目的としています。フォーム送信前に、利用者が入力した情報を確認するための画面が表示されます。
- 豊富なクリエイティブ:ターゲットとなるオーディエンスに特化したインスタントフォームの作成が可能。オプションで会社情報、商品詳細、レビューのセクションといった補足情報を含めることもできます。
「イントロ」では、自社の商品・サービスや、フォームについての説明テキストを作成できます。
そして「質問」の項目で、前述のカスタム質問または定型の質問を設定します。
必要項目の設定ができたら、「公開」ボタンをクリックして完了です。
参考:『Meta社『インスタントフォームのタイプについて』』
参考:『株式会社ベーシック『【事例あり】リード獲得広告とは?Facebookでの使い方と効果を出すコツ』』
参考:『株式会社soraプロジェクト『Facebookリード獲得広告とは?メリットやデメリット、設定方法を解説』』
参考:『Meta広告マネージャを使ってリード獲得広告を作成する方法』
リード獲得広告を活用する際のポイント
ご紹介したメリットや注意点などをふまえ、リード獲得広告でより多くのユーザー情報を得るためのポイントについて解説します。
質問項目を少なめに設定する
ユーザーの負担を抑えながらコンバージョンにつなげられるのが、リード獲得広告の大きな利点です。
広告はクリックされているものの、フォームの送信につながらないユーザーが多い場合は、質問項目が多すぎないかをチェックしてみてください。
ユーザーの氏名やメールアドレスなどの基本的な情報は自動入力されるので、それ以外の項目は可能な限り数を絞ることをおすすめします。
商品・サービスの魅力を広告に盛り込む
リード獲得広告は、LPでの商品・サービスの魅力が訴求できません。
そのため、広告文やクリエイティブ、フォームのイントロ部分で端的にアピールする必要があります。
また、商品・サービスの内容についてはもちろんですが、フォームを送信することでユーザーが何を得られるのかをわかりやすく記載しておくことも大切です。
ユーザーが広告をクリックしたくなるようなメリットや利点を含めることで訴求力がより強まります。
例えば、「お試しサンプルプレゼント」「今なら無料で体験できる」などの文言を、目立つ位置に配置するのが効果的です。
以下記事では、LPを制作する際のポイントについてご紹介しています。
関連記事:『「こんなお悩みありませんか?」LPを作る際の8つのポイントを解説!』
A/Bテストで効果的な質問を検証する
広告運用を開始した直後は、リードを獲得しやすい質問項目やフォームの種類、配信方法なども手探りになります。
広告のクリエイティブやインスタントフォームを複数用意し、A/Bテストによって効果が出やすいパターンを絞り込んでいきましょう。
以下の記事では、A/Bテストの方法について詳しく説明しています。あわせてご覧ください。
関連記事:『A/BテストでLPを改善!方法と注意すべき3つのポイントを紹介』
参考:『株式会社soraプロジェクト『Facebookリード獲得広告とは?メリットやデメリット、設定方法を解説』』
参考:『株式会社星組『Facebook Instagramのリード獲得広告とは?設定や費用、リードのダウンロード方法を解説』』
まとめ
この記事を読んで、FacebookやInstagramのリード獲得広告の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
弊社ではInstagram広告運用代行というサービスを展開しております。
Instagram広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
蓄積されたノウハウから短時間で課題を解決に導きます。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。