近年、EC分野は著しい成長を遂げています。
経済産業省が2023年8月に公開した日本の電子商取引に関する実態調査結果によると、EC分野の市場規模は年々増加しており、全商取引におけるEC(電子商取引)の割合を示すEC化率も右肩上がりで増加していることがわかります。
ECの市場規模拡大に伴い、Webマーケティングの一環としてオンラインストアを運営している方も多いのではないでしょうか。
データマーケティング支援を行うGlossom株式会社が2022年に10代から70代の男女2,464人を対象に行った調査によると、商品やサービスの購入を検討する際に参考にする情報源として、33%のユーザーがECサイトを挙げています。
また、20代以降の男性のEC利用率は90%を超えていることからも、ECサイトなどのオンラインショップの利用が浸透していると言えます。
参考:『【ソーシャルコマースに関する定点調査2022】 コロナ禍を経て消費行動に変化、リアルなコミュニケーションによる情報収集が再び活発化』
ECサイトを運営する際の有用なサービスの1つに、Google Merchant Centerがあります。
Google Merchant Centerに商品を登録することで、ショッピング広告や無料リスティングへの掲載を行うことが可能になり、多くのユーザーにリーチすることができます。
当記事では、Google Merchant Centerの概要や主な機能、登録方法について紹介します。
なお、Googleは2023年時点でGoogle Merchant CenterからGoogle Merchant Center Nextへの移行を進めています。
当記事では、2023年10月時点の情報に基づいて紹介しています。
参考:『【新UI】Google Merchant Center Next(マーチャントセンター ネクスト)登場』
関連記事:『ECサイト、LPの3個の違い!メリットと使い分けを解説!』
Contents
Google Merchant Centerとは
引用:『さまざまなGoogleサービスでビジネスや商品を無料でアピール』
Google Merchant Centerとは、店舗や自社商品に関する情報を登録し、Googleユーザーに表示することで多くの見込み顧客にアピールできる無料ツールです。
Google Merchant Centerを使用することで、多くのユーザーがオンラインで商品を見つけることが可能になります。
参考:『さまざまなGoogleサービスでビジネスや商品を無料でアピール』
Google Merchant Centerの主な3つの機能
ここからは、Google Merchant Centerの主な活用方法についてご紹介します。
Google Merchant Centerでは、大きく分けて以下の3つの機能があります。
- 無料リスティング
- ショッピング広告
- 動的リマーケティング
以下で詳しく解説します。
参考:『Google Merchant Centerとは?出来ることやメリットを徹底解説!』
無料リスティング
無料リスティングでは、Googleサービス内のさまざまな場所に自社商品を無料で掲載することができます。
コストがかからないことから非常にハードルの低い施策であり、多くの企業が導入しています。
例えば、アメリカのカジュアルファッションブランドであるAEROPOSTALEは、無料リスティングを活用し、新規顧客の獲得に成功しました。
結果、過去2年間におけるオンラインショッピングの収益増加率400%を達成しました。
参考:『より多くの顧客にアプローチし、さまざまな Google サービスに無料で商品を掲載』
このように、無料リスティングを活用して商品をアピールすることで、オンラインビジネスにおいて効果的な結果をもたらすことが可能です。
無料リスティングの主な掲載可能枠は以下の通りです。
- ショッピングタブ
- YouTube
- Google検索
- Google画像検索
参考:『Google で無料リスティングが表示される場所|Google Merchant Centerヘルプ』
関連記事:『【初心者向け】Googleショッピング広告の仕組みと4つのメリット』
ショッピングタブ
ショッピングタブでは、同じような商品を探しているユーザーに対し関連性の高い広告を表示することが可能です。
また、無料ローカルリスティングを有効にすることでユーザーが探している商品が近くの店舗にあるか否かを表示することが可能です。
その他にも、ユーザーに対し店舗の営業時間やルート、電話番号などの詳細情報も提供することができます。
参考:『Googleで無料リスティングが表示される場所|Google Merchant Centerヘルプ』
YouTube
YouTubeで動画を視聴しているユーザーに対し、動画の下で直接購入可能な商品リストを表示することが可能です。
YouTubeで商品名を検索した場合は、検索結果画面にそのまま該当商品が表示される場合もあります。
参考:『Googleで無料リスティングが表示される場所|Google Merchant Centerヘルプ』
関連記事:『YouTube広告出稿時の単価は?仕組みや相場を理解する4つのTips』
Google検索
リッチリザルト
Googleの検索エンジンで商品名やブランド名、販売店を入力した場合に、検索結果画面の横に表示されます。
通常のテキストだけの検索結果と異なり、視覚的な情報が追加されている点が特徴です。
リッチリザルトについて詳しく知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
関連記事:『【基礎】リッチリザルトとは?3つの効果と代表的な機能を紹介!』
ショッピングナレッジパネル
ナレッジパネルとは、人物や場所といった特定の情報について検索した際にGoogle検索結果の目立つ位置に表示される情報ボックスを指します。
ショッピングナレッジパネルでは、特定の商品名やカテゴリーを検索した際にヒットした商品情報を整理して表示させることができます。
商品画像だけでなく、その商品を販売している店舗情報や商品レビューなども含まれます。
参考:『ナレッジパネルについて』
参考:『Googleで無料リスティングが表示される場所|Google Merchant Centerヘルプ』
Google画像検索
画像検索をした際に「商品」ラベル(タグマーク)のついたものがあります。
これは商品が購入可能であることを示しており、画像をクリックした場合、Google Merchant Centerに登録した価格などの情報が表示されます。
Googleレンズ
また、無料リスティングはGoogleレンズを使用した検索にも対応しています。
Googleレンズとは、写真や画像から関連する情報を検索するためのツールです。
例えば、気になるファッションを見かけた場合、Googleレンズのアイコンをタップすると、似ている服やファッション雑貨を探すことができます。
この際に表示された画像の中に「商品」ラベルがあった場合、ユーザーは購入することが可能です。
参考:『Googleで無料リスティングが表示される場所|Google Merchant Centerヘルプ』
参考:『Google広告の「無料リスティング」とは?設定方法やショッピング広告との違いを紹介』
ショッピング広告
引用:『Google検索』
ショッピング広告とは、Google検索結果画面に表示される商品情報を含んだ広告です。
上の画像は『パソコン』で検索した際の検索結果です。
一般的なリスティング広告よりも上部に表示され、表示可能な文字数は少ないものの画像を使用した訴求ができるため非常に視認性の高い施策であると言えます。
ショッピング広告では、通常のGoogle広告と同様の管理画面で設定を行います。
Google Merchant Centerに商品情報を登録し、Google広告とリンクすることで使用可能です。
参考:『ショッピング広告とは』
参考:『Google 広告アカウントを Merchant Center にリンクする』
関連記事:『【保存版】リスティング広告の用語14選!マーケティングの基本を解説』
動的リマーケティング
動的リマーケティングでは、ユーザーが過去にサイトで閲覧した商品やサービスなどの商品情報に基づき、それらに関連した広告を配信できるようになります。
サイト内のユーザー行動を追える「タグ」により閲覧履歴をデータ化し、商品情報の詳細をまとめた「商品フィード」を活用することで関連した商品を配信を表示させるような仕組みです。
ショッピング広告と同様、Google広告との連携が必要です。
参考:『小売店向け動的リマーケティングについて』
参考:『Google広告の動的リマーケティングとは?仕組みと始め方を徹底解説』
参考:『動的リマーケティングとは?CVRを4倍に改善した事例や画像を用いて設定方法を紹介』
関連記事:『リスティング広告と相性が良い4つの商品と相性が悪い4つの商品』
Google Merchant Centerに登録するメリット
- 幅広いユーザーにアプローチできる
- Google Merchant Center独自の分析を行うことが可能
以上の2点がGoogle Merchant Centerに登録するメリットです。
幅広いユーザーにアプローチできる
引用:『Google Merchant Center でビジネスを拡大|Google for Retail』
Google Merchant Centerで自社商品を掲載することで、潜在層から見込み顧客まで幅広いユーザーにアプローチすることができます。
例えばショッピング広告では、関連性が高いキーワードをGoogleが自動で判断してくれます。
そのため、商品名やブランド名に合致しないキーワードであっても、登録した商品情報に基づき関連性が高いと判断された場合は商品をユーザーに表示することができるのです。
また、動的リマーケティングでユーザーの過去の行動履歴や興味関心をもとに商品を表示することで、ニーズが近い見込み顧客にもアプローチできます。
現在ECの需要は右肩上がりで上昇していることからも、Web上に商品情報を掲載することでユーザーに商品を認知してもらいやすくなります。
なお、以下の記事では潜在層に向けたマーケティング手法について解説しています。
関連記事:『潜在層へアプローチ!有効な4個の方法と5個のポイント!』
参考:『Googleマーチャントセンターとは?できることやメリット、登録や設定方法を解説』
参考:『【基本】Google ショッピング広告とは?メリットや設定方法を詳しく解説』
独自の競合分析を行うことが可能
Google Merchant Centerでは、独自の分析レポートを用いて市場調査を行うことが可能です。
引用:『Google Merchant Centerでビジネス拡大|Google for Retail』
Google Merchant Centerの分析レポートで優れている点として、競合分析を行える点が挙げられます。
Google Merchant Centerでは、登録した商品は自動的にカテゴライズされ、ブランドや価格などがユーザーに正確かつ適切に表示されます。
例えば「競合視認性レポート」では、分類された各商品カテゴリにおける競合の状況を確認することで視認性の改善に貢献することができるでしょう。
競合視認性レポートでは以下の情報を閲覧できます。
- ショッピング広告と無料リスティングそれぞれのユーザーリーチ
- 競合他社
- 上位の販売者との比較
- 競合他社、上位の販売者と時系列で比較した際のランキング
参考:『競合視認性レポートについて』
また、「価格競争力レポート」では、類似商品を販売している競合他社の商品価格を確認することで、商品の平均価格や商品単価を調整する際の参考にできます。
これらの独自の分析レポートをもとに競合分析を行うことで、売れる商品の傾向や価格帯を把握でき、売上向上に繋げやすくなります。
参考:『価格競争力レポートについて』
参考:『Google 商品カテゴリ [google_product_category]』
参考:『Google Merchant Centerとは?出来ることやメリットを徹底解説!』
Google Merchant Centerに登録する際の注意点
- 審査を通過する必要がある
- ガイドラインを遵守する
以上の2点がGoogle Merchant Centerに登録する際の注意点です。
審査を通過する必要がある
Google Merchant Centerに商品を登録してGoogleサービスに商品を掲載するには、審査に通過する必要があります。
なお、よくある不承認理由としては以下のようなケースが挙げられます。
- 画像でプロモーションのオーバーレイ(重なり)が発生している
- フィード情報と設定リンク内の商品価格や在庫状況が一致していない
- ショッピング広告のポリシーに違反している
- 必要な値が設定されていない
- 画像の審査が完了していない(保留中になっている)
参考:『Keyword marketing | Googleショッピング広告のよくある不承認理由と対処法。審査基準も丁寧に解説』
引用:『画像の自動改善について|Google Merchant Centerヘルプ』
例えば上の図例のような商品画像の場合、プロモーションのオーバーレイが発生しているという理由で審査に落ちてしまいます。
オーバーレイとは「画像の重なり」を意味し、図例では「50%オフ」の文言(プロモーション)が元画像に重なっていると見なされ不承認に該当します。
Google Merchant Centerで許可されていないプロモーション要素にはほかにも以下のようなものがあります。
- 行動を促すフレーズ:「ご購入ください」など
- サービスに関連する情報:「延長保証」など
- 「送料無料」
- 宣伝に関する形容詞:「最高の」「安い」など
- 状態や互換性に関する情報:「新品」「適合」など
- バーコード
- ブランド、メーカー、販売店の名前やロゴ
また、Google Merchant Centerには、画像の自動改善機能があります。
デフォルトではオフになっているため、Google Merchant Centerアカウントにログインし、以下の手順で設定できます。
➀Google Merchant Centerの画面から[商品]をクリック
➁[自動改善]をクリック
③[画像品質の自動改善]>[編集]をクリック
④[画像品質の自動改善]から[商品のメインの画像を自動的に改善する]を選択し、保存
なお、リスティング広告における審査と対策方法については以下の記事で紹介しています。
関連記事:『リスティング広告の審査対策5選【Google広告・Yahoo!広告】』
参考:『商品画像リンク』
参考:『画像の自動改善について』
ガイドラインを遵守する
Google Merchant Centerを登録する際は、商品掲載後になんらかのトラブルが発生しないためにも事前にガイドラインを遵守しましょう。
Google公式ヘルプでは、Google Merchant Centerのアカウント承認を維持するためのガイドラインとして以下の内容が明記されています。
- ショッピング広告のポリシーを遵守する
- 宣伝するのは直接購入できる商品のみ
- 商品を掲載する際は、Google Merchant Centerでサポートされている言語を使用する
- 商品の返品と払い戻しポリシーを記載する
- ユーザー情報の取り扱いに注意する
- Webサイトに関する要件を明記する
- 商品を登録する際は、商品データの仕様に適合させる
- Google Merchant Centerのアカウントはアクティブな状態を維持させる
⑥に関しては、お問い合わせフォームやメールアドレス、電話番号、支払い方法などを明記する必要があります。
また⑧に関しては、Google Merchant Centerでは定期的なログインを推奨しており、最低でも14ヶ月に1回はログインすることを忘れないようにしましょう。
参考:『Google Merchant Centerとは?出来ることやメリットを徹底解説!』
参考:『Merchant Center のガイドラインを遵守してアカウントの承認を維持する』
Google Merchant Centerの設定方法
Google Merchant Centerの設定は以下の2ステップで完了します。
- アカウントの開設
- 商品情報やWebサイトの登録
なお、Google Merchant Centerのアカウントを開設するにはGoogleアカウントが必要です。
まだ持っていない方はこちらから作成してください。
アカウントの開設
Google for RetailのページからGoogle Merchant Centerのアカウント開設を開始することが可能です。
引用:『Merchant Centerアカウントを設定する』
「始める」をクリックして、簡単な質問に答えます。
➀ビジネス情報の入力
まずは、ビジネス情報の入力を行います。
➁購入できる場所の選択
次に、購入手続きを行う場所を以下の3つから選択します。
- 自社のウェブサイトで購入
- Googleで購入
- 付近の店舗で購入
ECでGoogle Merchant Centerを活用する場合は「自社のウェブサイト」を選択しましょう。
複数チェックすることも可能です。
③使用するツールの選択
Shopfyなど他のツールも活用している場合は該当するものにチェックを入れましょう。
最後に、新機能や最新情報に関するメール受信の設定を選択します。
以上でアカウント開設は完了です。
参考:『Google Merchant Center』
参考:『Google Merchant Center に登録する』
商品情報やWebサイトの登録
商品の登録は、左メニューに表示されている[商品]から可能です。
➀商品を掲載する国を指定
Google Merchant Centerで商品を掲載したい国を指定します。
➁商品の追加方法を選択
商品の追加方法を選択します。
どれを選択した場合でもフィードを作成することは可能です。
例えば、Googleスプレッドシートを選択した場合であれば、Googleスプレッドシート内に商品名や価格など必要な情報を入力することで登録を完了することが可能です。
また、ファイルから商品を追加する場合は、ファイルのURLを入力するか、パソコンからファイルをアップロードする必要があります。
ここでは、「商品を1つずつ追加」を選択します。
③商品の詳細情報を追加
登録したい商品情報を追加します。
以下の内容の入力が必須項目になります。
- WebサイトのURL
- タイトル(150字以内)
- 説明文(5,000字以内)
- 商品画像
- 商品価格
- 言語
必要事項を入力して、「保存」をクリックしたら商品登録が完了です。
参考:『Google Merchant Centerとは?出来ることやメリットを徹底解説!』
まとめ
Google Merchant Centerに商品情報を登録することで、ショッピング広告や動的リマーケティング、無料リスティングを用いてユーザーにリーチすることが可能です。
コストをかけずに認知度を高められることから、商品を販売している方であれば多くの人にとって有用な施策になるのではないでしょうか。
通常のリスティング広告と異なり画像を用いて訴求できる点や、ショッピング広告に関しては一般的なリスティングと比較し上部に配置されるなど多くの魅力があるため導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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監修者
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