広告を運用する中で、一度自社のサイトや広告に接触したが離れてしまったユーザーや、以前自社のサービスを利用したユーザーにもう一度アプローチしたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな時に役立つのが、Google広告のリマーケティングという機能です。
参考:『<調査報告>ECサイトのカゴ落ち率は平均は約64.7% ~ イー・エージェンシー』
デジタルマーケティングのサービスを展開している株式会社イー・エージェンシーが2022年に実施した調査では、ECサイトで商品をカートに入れたが購入に至らなかった割合である「カゴ落ち率」は平均で67.7%という結果が出ています。
また、カゴ落ちによる機会損失は最大で売上の2.4倍にも及びます。
参考:『<調査報告>ECサイトのカゴ落ち率は平均は約64.7% ~ イー・エージェンシー』
このような、自社の商品やサービスに接点はあるが離れてしまった見込み顧客に対して、Google広告のリマーケティングにより再度広告を配信し自社のサイトや広告に再訪問させることで、コンバージョンの獲得が期待できます。
今回の記事では、Google広告のリマーケティングの7つの種類やメリット、3つの設定手順までまとめて解説していきます。
関連記事:『リードナーチャリングの成功事例4つを紹介!成果に繋がるポイントとは?』
Contents
Google広告のリマーケティングとは
参考:『DMでリマーケティングやってみた(リコーのDM実践事例)』
Google広告のリマーケティングとは、自社のWebサイトやホームページ、また広告を訪れたことのあるユーザーに対して広告を再度配信する手段のことを指します。
Google広告のリマーケティングの仕組み
参考:『5分でわかるリターゲティング広告|効果的に運用する方法を解説』
Google広告のリマーケティングでは、リマーケティングタグ*の設置されたWebサイトや広告に訪れたユーザーのWebブラウザにCookieを付与します。
こうすることで、別のWebサイトなどを閲覧している時に再度広告を表示することができます。
参考:『Google 広告のリマーケティングとは?設定方法と成約率アップの10のポイント』
参考:『【完全版】リマーケティングとは?基礎や仕組みを分かりやすく解説』
関連記事:『Cookieは同意すべき?4つの種類とWebサイトへの影響とは』
Google広告のリマーケティングの7つの種類
Google広告のリマーケティングは下記の7つのデータセグメントに向けて広告を配信することができます。
- サイトの訪問者
- 動的リマーケティング
- 検索広告向けのデータセグメント
- YouTubeユーザー
- カスタマーマッチ
- アプリユーザー
- リードフォームセグメント
それでは、順番に解説していきます。
参考:『データ セグメントについて Google広告ヘルプ』
サイトの訪問者
サイトの訪問者のデータセグメントでは、過去に自社のWebサイトやアプリを閲覧したユーザーに対して広告を再度表示させることができます。
そのため、一度離れてしまった見込み顧客に対して再度アプローチすることで、コンバージョンの獲得が期待できます。
参考:『標準のGoogle 広告リマーケティング Google広告ヘルプ』
参考:『データ セグメントについて Google広告ヘルプ』
動的リマーケティング
参考:『Google広告の動的リマーケティングとは?関心の高いユーザーを集客』
動的リマーケティングでは、過去に自社のWebサイトの訪問やアプリを利用していたユーザーに対して、過去に閲覧していた商品やサービスを含めた広告の配信します。
ユーザーの過去の閲覧履歴をもとに、Googleが自動でユーザーに最適な広告を組み合わせ、使用する媒体に合わせた広告サイズで表示することができます。
そのため、ユーザーの購買意欲を促進したり、Webサイトの再訪問を促すことが可能です。
参考:『動的リマーケティングについて: サイト訪問者とアプリユーザーごとにカスタマイズされた広告を表示する Google広告ヘルプ』
参考:『動的リマーケティングの設定ガイド Google広告ヘルプ』
検索広告向けのデータセグメント
検索広告向けのデータセグメントでは、過去に自社のWebサイトや広告を訪れたユーザーに対して、ユーザーがGoogleの検索エンジンで検索するタイミングで、再度広告を配信することができます。
参考:『検索広告向けデータ セグメントについて Google広告ヘルプ』
関連記事:『動的検索広告(DSA)とは?5つのメリットと設定方法、注意点を解説』
YouTubeユーザー
YouTubeユーザーのデータセグメントでは、過去に自社のYouTubeチャンネルや動画などを視聴したことのあるユーザーに対して、ユーザーが動画サイトなどのアプリを利用しているタイミングで再度広告を配信することができます。
主に下記の8つの行動を行ったユーザーに対して広告を表示することが可能です。
- YouTubeチャンネルの動画視聴
- 特定の動画視聴
- YouTubeチャンネルの広告動画を視聴
- 特定の広告動画を視聴
- YouTubeチャンネルの登録
- YouTubeチャンネルのホームページにアクセス
- YouTubeチャンネルの動画への高評価
- YouTubeチャンネルの動画の再生リストへの追加
参考:『YouTube ユーザーにリーチを拡大する Google広告ヘルプ』
YouTubeユーザーのデータセグメントを作成するには、YouTubeチャンネルとGoogle広告アカウントのリンク設定が必要となります。
参考:『データ セグメントについて Google広告ヘルプ』
参考:『YouTube ユーザーにリーチを拡大する Google広告ヘルプ』
関連記事:『【初心者向け】動画広告8つの種類とポイントを事例付きで解説』
カスタマーマッチ
カスタマーマッチのデータセグメントでは、自社の保有しているユーザーの情報を基に既存顧客へ広告を再配信することができます。
また、自社の持つ情報を基に、類似ユーザーを作成し新規顧客へのアプローチも可能です。
広告を表示できる広告枠は下記の通りです。
- 検索広告
- ショッピング広告
- YouTube広告
- ディスプレイ広告
- Gmail広告
参考:『カスタマーマッチについて Google広告ヘルプ』
関連記事:『Gmail広告とは?配信できる4つのキャンペーンと出稿方法を解説!』
例えば、顧客情報を基に検索広告にカスタマーマッチを利用しリマーケティングするとします。
アプローチ方法 | |
既存顧客 | 「購入はこちらから」「予約はこちらから」 |
新規顧客 | 「資料請求」「無料トライアルセットはこちらから」 |
上記のように、顧客情報をもとに既存顧客だけでなく類似顧客リストから新規顧客への広告配信も可能です。
参考:『カスタマー マッチについて Google広告ヘルプ』
参考:『【図解】Google広告「カスタマーマッチ」とは? 活用方法と注意点を解説!』
アプリユーザー
参考:『注意喚起! 2023 年のアプリ保持率ベンチマーク レポート』
アプリユーザーのデータセグメントでは、過去に自社のアプリを利用したことのあるユーザーに対して再度広告を表示することができます。
アプリの定着率による調査では、2023年に1日のアプリの定着率12%減少し、日がたつにつれて、アプリの維持率が低下しているという結果が出ています。
そこで、アプリユーザーへのリマーケティングを行いアプリの再インストールを促すことで利用者数の向上が期待できます。
参考:『データ セグメントについて Google広告ヘルプ』
リードフォームセグメント
参考:『【お客さま窓口の利用実態調査2022】 チャットで問い合わせ経験がある人は7割以上と、4年間で約2倍に増加。消費者の約6割が、窓口対応に満足して購買・利用継続を決めた経験あり。』
リードフォームセグメントでは、リードフォームを送信したユーザーに対して広告を表示します。
リードフォームとは、検索広告などに設置することができるお問合せフォームや予約フォームのことを指します。
リードフォームによって送られてきた情報は、顧客情報としてリスト化することができるため、自社のアプローチしたいターゲット層に合わせたリマーケティングを行うことが可能です。
2022年に行われた「問い合わせに最も利用する手段」を聞く調査では、電話の32%に続き「お問い合わせフォーム」は31.1%と利用者数が多いことが分かりました。
一度問い合わせなどを行っているユーザーは自社の商品やサービスに対して関心度が高いと言えます。
そのため、リターゲティングによりリードフォームを送信したユーザーに対して再度アプローチを行うことでコンバージョンの獲得が期待できます。
参考:『データ セグメントについて Google広告ヘルプ』
参考:『リードフォーム アセットについて Google広告ヘルプ』
関連記事:『Google広告の広告表示オプションとは?12種類の機能と入稿STEPを紹介』
Google広告のリマーケティングを利用する3つのメリット
Google広告のリマーケティングを行うことで下記の3つのメリットを得ることができます。
- 繰り返し広告を表示させることでCVの向上が期待できる
- 見込み顧客へのアプローチができる
- ターゲットを絞って効率的な広告配信ができる
それでは、事例も含めて順番に解説していきます。
繰り返し広告を表示させることでCVの向上が期待できる
参考:『ザイアンスの法則とは?接触回数が増えるだけで好感度が上がる不思議』
Google広告のリマーケティングによって、一度自社と接点を持ったユーザーに対して繰り返し広告を表示させることで、ユーザーの購入意欲を促進させコンバージョン(CV)の向上が期待できます。
アメリカの心理学であるロバート・ザイアンスによって行われた研究では、同じ物を複数回に渡り接触することで好感度や親しみなど肯定的な感情が向上する「ザイアンス効果」(別名:単純接触効果)という心理傾向があると明らかにされています。
実際の実験では、対象者に顔写真をランダムに見せた際に、多く提示された顔写真の方が好感度が高くなるという結果が出ています。
参考:『Journal of Personality and Social Psychology Monograph Supplement』
参考:『ザイアンスの法則とは?接触回数が増えるだけで好感度が上がる不思議』
また、大学生を対象にバナー広告を繰り返し表示させた実験では、複数回に渡り広告を閲覧することで、商品名の認知度・商品に対する好感度・購入意図が向上する結果が出ました。
参考:『バナー広告への単純接触が商品評価と購買意図に及ぼす効果』
参考:『繰り返し見るだけで好意が高まる?広告やブランディングにも応用される単純接触効果』
このように、複数回に渡り広告を表示させることで、ブランドや商品への認知度および好感度、購入意欲が向上し、コンバージョンの獲得も期待できます。
見込み顧客への広告配信ができる
参考:『口コミによる購入経験は9割以上、企業アプローチの購買意欲への影響度は6割 「EC・通販ユーザー動向調査レポート2021“確報版”」を発表!』
一度自社のサイトや広告等に訪れたユーザーは、自社のサービスや商品に対して興味関心度が高いと言えます。
しかし、一度の訪問で購入や資料請求といったコンバージョンに至るユーザーは多くはありません。
実際に、2021年に行われたECサイトや通販アプリを利用する消費者行動の調査では、94%のユーザーが「類似商品などと比較検討や商品について調べてから購入する」と答えました。
参考:『口コミによる購入経験は9割以上、企業アプローチの購買意欲への影響度は6割 「EC・通販ユーザー動向調査レポート2021“確報版”」を発表!』
このような、他サイトなどでの商品検討により離れてしまったユーザーは、能動的にその商品やサービスに対して検索といった行動を起こしているため、関心度が高いと言えます。
参考:『口コミによる購入経験は9割以上、企業アプローチの購買意欲への影響度は6割 「EC・通販ユーザー動向調査レポート2021“確報版”」を発表!』
また、商品購入後にセール情報など情報提供によって、約6割以上のユーザーが購買意欲に影響すると回答しました。
そのため、見込み顧客だけでなく既存顧客へ再アプローチすることでリピーターの獲得も期待できます。
見込み顧客の獲得に関する詳しい内容は下記の記事を参考にしてみて下さい。
関連記事:『リードナーチャリングの成功事例4つを紹介!成果に繋がるポイントとは?』
ターゲットを絞って効率的な広告配信ができる
Google広告のリマーケティングでは、既に自社と接点のあるユーザーの中でターゲットをグループ化して配信することでより効果的な広告効果を期待できます。
また、特定のターゲットに向けて配信することができるリマーケティングは、ユーザーの興味関心に刺さる広告内容を作成することができることから、コンバージョン率を向上させ顧客獲得単価を抑えることが可能となります。
参考:『CV数が175%に! Google ショッピング広告の改善事例』
実際に、広告運用代行を行うGladCubeでは、ショッピング広告に動的リマーケティング機能を導入した事例があります。
動的リマーケティングを活用し、購入に至らなかったユーザーをターゲットとして広告を配信したことで、コンバージョン数を69%増加、顧客獲得単価を53%削減という結果が出ています。
参考:『CV数が175%に! Google ショッピング広告の改善事例』
関連記事➀:『ターゲティング広告とは?6種類と仕組みをわかりやすく解説!』
関連記事➁:『リスティング広告のCPA改善方法7選!【業種別の平均CPAを徹底解説】』
Google広告のリマーケティングの設定方法3ステップ
Google広告でリマーケティングを行うための3つのステップ解説していきます。
- Google広告のリマーケティングタグの発行と設定方法
- セグメントの作成
- キャンペーンへの紐づけ
Google広告のリマーケティングタグの発行と設定方法
Google広告にログイン
Google広告にログインし、Google広告管理画面を開きます。
オーディエンスマネージャーをクリック
次に、左側のメニューにある「ツールと設定」をクリックし、「オーディエンスマネージャー」を選択します。
「データソース」をクリック
オーディエンスマネージャー画面の上部にある項目から「データソースを」選択します。
データソース画面を開いたら、Google広告タグの右側にある「︙」をクリックし、「ソースを編集」をクリックします。
リマーケティング欄からデータの種類を選択
データソースの編集画面になったら、リマーケティング欄から「Webサイトへのアクセスに関する一般的なデータのみを収集してお客様のWebサイトの訪問者に広告を表示します」を選択。
さらに「保存して次へ」をクリックします。
3つの種類からタグの設定方法を選択
タグの設定方法は下記の3種類から選択してください。
- タグを自分で追加する
- タグをメールで送信する
- Googleタグマネージャーを使用する
今回は、「タグを自分で追加する」を選択します。
タグを一括に管理したい場合は「Googleタグマネージャー」の使用がお勧めです。
タグをコピー
発行されたタグをコピーします。
自身のWebサイトのHTMLファイルを開き、</head>タグの直前に設置したら完了です。
関連記事:『Google広告のコンバージョンタグをタグマネージャーで設定する5ステップ』
セグメントの作成
オーディエンスマネージャー画面を開く
Google広告画面に戻り、共有ライブラリから「オーディエンスマネージャー」を開きます。
次に「オーディエンス」を選択し「+」ボタンをクリックします。
新しいオーディエンスを作成
新しいオーディエンスを作成する画面になったら「オーディエンス名」を入力します。
対象となるセグメントを選択
下記の3つの中からリマーケティングを行う際に対象となる項目を選択します。
セグメント名 | 詳細 |
カスタムセグメント | ユーザーの検索行動、ダウンロードしたアプリ、訪問したWebサイトに基づくユーザー |
広告主のデータ | 過去に自社のサービスを利用したことのあるユーザー |
興味関心と詳しいユーザー属性 | ユーザー個人の興味関心、ライフイベントなどの属性に基づくユーザー |
関連記事:『Google広告のオーディエンスマネージャー・3つのメニューとは 』
ユーザー属性の設定
ユーザー属性の選択では、詳細なターゲットを絞り込まない場合は、推奨されている「すべてのユーザー属性」を選択する。
キャンペーンへの紐づけ
「データセグメント」を選択
データセグメントを選択し、紐づけたいセグメント名にチェックを入れます。
上部に表示されている「次に追加」をクリックし、「広告グループ」または「キャンペーン」を選択する。
適応させたいキャンペーンを選択
上部の画面が表示されたら、紐づけたいキャンペーンを選択し「次へ」をクリックします。
ターゲティングの指定
ターゲティングの指定後「オーディエンスセグメントを追加」をクリックすると、紐づけたキャンペーンにてリマーケティングが開始されます。
参考:『【Google広告】リマーケティングとは?リマーケティングリストの概要から設定方法まで解説』
まとめ
本記事では、Google広告のリマーケティングの7つの種類やメリット、3つの設定手順をご紹介しました。
Google広告のリマーケティングを活用することで、一度自社のサイトや広告に触れたユーザーに対して再アプローチができ、見込み客の獲得やコンバージョンの獲得が期待できます。
今回の記事を読んで、自身でGoogle広告のリマーケティングを行うことが少しでも難しいと感じた方は、広告代理店に任せるのも一つの手です。
株式会社Unionでは、Google広告を含むデジタルマーケティング全般のご相談を承っております。
弊社はGoogle広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されており、蓄積されたノウハウから短期間で課題を解決に導きます。
また、弊社の広告運用担当はYahoo!広告、およびGoogle広告の認定資格保持者であり、知識のアップデートを行っております。
薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。