ディスプレイ広告とは、様々なパートナーサイトの広告枠に表示される静止画やテキスト、動画形式の広告の事を指します。
Webコンテンツに出稿可能なディスプレイ広告は、ニーズが顕在化していないお客さんにアプローチ可能な点が大きな魅力です。
リスティング広告をはじめとする幅広い広告サービスを提供しているGoogle広告とYahoo!広告は、このディスプレイ広告に対応しています。
2023年の日本の総広告費は、通年で前年比103.0%の7兆3,167億円となり、1947年の推定開始以降、前年に続き過去最高を更新しました。
その中でインターネット広告費(1996年に推定開始)は、社会のデジタル化を背景に堅調に伸長し、前年より2,418億円増加して3兆3,330億円(前年比107.8%)と過去最高を更新し、日本の総広告費全体の45.5%を占めました。
一方で、 Googleディスプレイネットワーク(GDN) と Yahoo!広告ディスプレイ広告(運用型)(YDA) の2つの違いが明確にわからない、使い分ける基準を知りたいと思う方も多いのではないでしょうか。
今記事では、Googleの提供しているGoogleディスプレイネットワーク(GDN)とYahoo!広告ディスプレイ広告(運用型)(YDA)の5つの違いを紹介します。
関連記事:『YouTube内にディスプレイ広告を出すための8ステップを解説!』
Contents
ディスプレイ広告について
ディスプレイ広告の特徴
ディスプレイ広告は見ている客層や掲載する媒体、Webコンテンツの特性に合わせて広告を表示します。
そのため様々なユーザーターゲティングが可能で、運用の方法や趣向も検索連動型広告と異なります。
ディスプレイ広告の種類は主にテキスト広告、バナー広告、動画広告、レスポンシブ広告の4つです。
関連記事:『ディスプレイ広告のプレースメントターゲティングの活用方法5選』
テキスト広告
テキスト広告は検索連動型広告と同様にテキストで表示されます。そのため複数のテキスト広告が並んだ時に注目してもらえるような広告文を用意することが重要です。
関連記事:『検索連動型広告とは?仕組みと運用開始までの12のステップを解説』
バナー広告
バナー広告はテキスト広告枠を複数使用し表示されます。
テキスト広告に比べ画面の占有率が高く、画像を使ったアピールも可能です。バナー広告では質の高い画像や内容が明確な動画を用意することが重要です。
関連記事:『【もう迷わない!】7つの広告サービスでバナーサイズを解説』
動画広告
動画広告は文字や静止画を使用する上記の広告と異なり、動画が表示されます。
短い時間で多くの情報をユーザーに提示できるほか、音や映像で強いインパクトを与えることが出来ます。
株式会社サイバーエージェントの2024年の調査では、動画広告の2023年の市場は6,253億円で前年比112%の値となっており、今後の成長が期待されています。
レスポンシブ広告
レスポンシブ広告は、広告枠に合わせて広告のサイズ、表示形式、フォーマットが自動調整される広告です。
様々な掲載面に自動で掲載されるため、特定サイズの画像もしくは動画とテキストを入稿するだけで配信可能です。
そのため製作に時間やコストがかからず、比較的素早く広告配信ができます。
それぞれGDNはGoogle広告で出稿、Googleの提携サイトに、YDAはYahoo!広告からYahoo!の提携サイトに広告が配信されます。
参考:『サイバーエージェント、2023年国内動画広告の市場調査を実施』
利用する目的
ディスプレイ広告は主にブランドや広告認知度の向上、新規ユーザーへの注意や想起に適しています。
認知度を高めるために重要なのが多くのユーザーへのリーチです。
検索連動型広告では、能動的に検索したユーザーにのみ広告が配信されますが、ディスプレイ広告では様々なパートナーサイトの広告枠に広告を表示可能なためアプローチできる人数が多くなります。
また、ほぼすべてのインターネットユーザーにアプローチが可能です。
Googleディスプレイネットワークはインターネットユーザーの90%以上にアプローチすることが可能との結果が出ており、ブランディングや認知度向上に適しています。
参考:『Google ディスプレイ ネットワークのターゲット設定を使用して、より多くのユーザーや新しいユーザーにリーチする』
訴求する商品やブランドへの信頼性を担保する上で重要なのが、広告のアセットである画像や動画です。
質の高い素材を広告に使用することで目に留まりやすい、文面に比べて信頼を得やすいなどのメリットがあります。
項目 | コンテンツ連動型広告 | |
対象者 | 潜在的ユーザー | |
表示箇所 | プラットフォーム(Google、Yahoo!)各提携先のサイト | |
表示内容 | テキスト、画像、動画等 商品やサービスの訴求に適している | |
目的 | 商品やサービスの認知 興味を持ちそうな潜在的ユーザーへのアプローチ |
関連記事:『Google広告のブランド効果測定とは?10ステップで調査開始』
予約型と運用型
ディスプレイ広告は大きく予約型と運用型に分けられます。
予約型は掲載期間や掲載面掲載期間などがあらかじめ設定されているディスプレイ広告を指します。
予約型に関してはGoogleやYahoo!と取引のある広告代理店を経由して広告を出稿することができます。
一方で運用型はリスティング広告などの検索連動型広告と同様オークション課金制のディスプレイ広告です。
運用型は必要な時だけ、加納の予算で広告を出稿可能です。
関連記事:『運用型広告の種類7選!【本当に効果のある広告はどれ?】』
ディスプレイ広告のターゲティング
市場を細分化し、条件を指定してターゲットを絞りマーケティングを展開することをターゲティングといいます。
ディスプレイ広告の特徴の一つとして、コンテンツ連動型広告であることが挙げられます。
コンテンツ連動型広告は、コンテンツを視聴するユーザーが現在興味のあることに関連して広告を配信可能な点が大きな魅力です。
ディスプレイ広告は2種類のターゲティングに分類できます。
- 人のターゲティング…広告を表示させる「人」の興味関心に絞るターゲティング。
- 枠のターゲティング…広告を表示させる「枠」の取り扱い内容に絞るターゲティング。
関連記事:『【すぐわかる】YouTube広告のターゲティング2種類と使い方を解説!』
「人」のターゲティング
ユーザーを指定して広告を配信する「人」のターゲティングに該当するのがオーディエンスターゲティングです。GoogleにはCookieという仕組みが使用されています。
ユーザーがWebサイトを初めて訪問した際にWebサーバーはCookieファイルという小さなファイルをブラウザに生成します。
ファイルを元にユーザーのWebサイト閲覧情報がサーバーに蓄積され、ユーザーの興味関心に基づいた広告を配信することができます。
そのためCookieを設定しているWebサイトではユーザーがCookieを承認するかどうかの選択画面が表示されます。
Googleは検索やGoogle MapなどGoogleが提供しているサービスの利用状況をもとにユーザーのおおよその年齢や性別を推測しています。
Googleの設定画面からCookieに関する条件はいつでも変更可能となっています。
「枠」のターゲティング
一方広告を表示する広告枠を指定する「枠」のターゲティングにおいては、ディスプレイネットワークが広告を掲載するWebページの単語の出現頻度や文字の位置大きさなどでそのページのメインテーマを解析しています。
そのため広告主はキーワードを使用しメインのテーマを指定する、もしくはあらかじめ分類されたトピック・カテゴリなどを指定することでより訴求力の高い広告を出稿することが出来ます。
例えば、プロ野球チームの最新ニュースを読みたいと思うユーザーが、野球関連の情報が充実しているサイトに訪れた場合、広告主が設定したキーワードやトピック・カテゴリに基づいて、プロ野球チームの試合観戦や野球用品、プロ野球チームのグッズなど野球関連の広告が表示されます。
アトリビューション
ディスプレイ広告は多くの潜在的なユーザーにアプローチするため、後にリスティング広告など他の施策に与える間接的な影響があります。
そのためディスプレイ広告はクリックされた場合と閲覧された場合の両方で効果があると言われています。
つまり、バナー広告を閲覧したユーザーが表示された商品やキーワードで検索行動を行い、リスティング広告をクリックして購買するというケースが考えられます。
このような場合、ディスプレイ広告の効果を正当に評価するためには直接的に購買につながった広告だけではなくディスプレイ広告のクリックや閲覧度合いが間接的にコンバージョンに影響した部分も合わせて確認する必要があります。
このようにコンバージョンに至るまでの流入元の履歴のデータを用いコンバージョンへの貢献度を各流入元に配分することを、広告・マーケティング業界におけるアトリビューションといいます。
ディスプレイ広告の直接もしくは間接のクリック閲覧回数の貢献度合いも含めて分析することが可能なため、ディスプレイ広告を運用する上でアトリビューション分析やコンバージョンパスデータ(例:Cookie)は非常に重要です。
参考文献:『アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法』インプレスジャパン
GDNとYDAの違い
ターゲティング
ディスプレイ広告のターゲティングはユーザーが閲覧するWebサイトの内容に応じて表示される「枠」のマーケティングか、ユーザーの興味関心、性別や年代を指定する「人」のターゲティングの2つに分けられます。
GDN、YDAによって名称が異なりますがこれら運用型ディスプレイ広告は広告「枠」のターゲティングとユーザーである「人」のターゲティングのどちらか、もしくは組み合わせによって設計が可能です。
GDNは自由形式のターゲティング手法に適しており、目的のユーザーを細かく指定することが可能です。
特にキーワードを設定し、関連性の高いサイトに広告を表示するコンテンツターゲットはニーズを持った潜在的な顧客にアプローチが可能です。
一方YDAはサーチターゲティングという実際の検索履歴からユーザーの趣味・関心を導き出すことが出来るターゲティングが魅力です。
関連記事:『ターゲティング広告とは?6種類と仕組みをわかりやすく解説!』
GDNのターゲティング
広告枠
- コンテンツターゲット
- トピックターゲット
- プレースメントターゲット
オーディエンス
- デモグラフィック
- アフィニティカテゴリ
- カスタムアフィニティ
- ライフイベント
- 購入意欲の強いユーザー層
- オーディエンスキーワード
- カスタムインテント
- 類似ユーザー
- カスタマーマッチ
- リマーケティング
YDA
広告枠
- サイトカテゴリーターゲティング
- プレイスメントターゲティング
- コンテンツキーワードターゲティング
オーディエンス
- デモグラフィック
- オーディエンスカテゴリーターゲティング
- オーディエンスリストターゲティング
- サーチキーワードターゲティング
- サイトリターゲティング
ターゲティング | GDN | YDA |
性別 | 男性・女性・不明 | 男性・女性・不明 |
年齢 | 18-24歳、25-34歳 35-44歳、45-54歳 不明 | 13-14歳、15-17歳 18-19歳、20-21歳 22-29歳、30-39歳 40-49歳、50-59歳 60-69歳、70歳-、不明 |
地域 | 国、都道府県 市町村、その他 | 日本、都道府県 市町村 |
子供の有無 | 子供あり、子供なし 不明 | – |
世帯年収 | 上位10%、11-20%21-30%、31%-40%41-50%、下位50% 不明 | – |
配信スケジュール | 曜日、時間帯 | 曜日、時間帯 |
参考:『GDN(Googleディスプレイ広告)とYDA(Yahoo!ディスプレイ広告)の特徴と違い』
関連記事:『YDAコンテンツキーワードターゲティングの設定方法!3つの手順で解説』
配信先
GDNを活用すれば、Googleアドセンスを利用している個人ブログからGoogleが掲載しているパートナーサイト(例えば、ライブドアブログ、教えてgoo、BIGLOBE、食べログ、pixiv等200万以上のサイト)の他、GmailやYouTubeといった提供するサービスで広告を掲載することが可能です。
対して、YDAはYahoo!JAPANの運用するYahoo!ニュース、Yahoo!転記、Yahoo!知恵袋、アメーバブログ、cook pad、ニコニコ動画などのコンテンツに広告が配信されます。
Yahoo!のサービスサイトが中心になるため情報サイトや法人サイトへの掲載が多く、個人ブログや個人サイトには表示されないことがGoogleとの大きな違いです。
項目 | GDN | YDA |
自社配信先 | – | Yahoo!の 各サービスサイト |
提携配信先 | ライブドアブログ 教えてgoo 食べログ pixiv YouTube etc | アメブロ 知恵袋 NAVERまとめ cookpad ニコニコ動画 etc |
特徴 | 個人運用ブログも対象 | 法人のみ |
GDNではより多くのサイトに広告を掲載可能であるのに対し、YDAは比較的信頼性の高い法人のサイトをメインに広告を表示できます。
参考:『GoogleディスプレイネットワークとYouTubeのディスプレイ広告』
参考:『GDNとYDAとは?ディスプレイ広告の配信先・ターゲティング・入稿方法を解説』
広告フォーマット
GDN、YDAで大きくフォーマットは異ならず、バナー広告、テキスト広告、動画広告、レスポンシブ広告が用意されています。
しかし、テキストやそれぞれの媒体で掲載可能なサイズが決まっています。
使える記号やテキストの文字数等に関してはGoogle、Yahoo!共にヘルプページで公開しています。
参考:『[ブログ記事] Google 広告で使用できる記号一覧』
参考:『Yahoo! 文字、記号を使用する際のルール』
例えば、レスポンシブ広告では以下のようなフォーマットの違いがあります。
アセットの種類 | GDN | YDA | 横縦比 |
容量の上限 | 5120KB | 3MB | – |
横長 | 600×314以上 | 1200×628 | 1.91:1 |
スクエア | 300×300以上 | 300×300 | 4:01 |
ロゴ (省略可能) | 128×128以上 | 180×180 | 1:01 |
– | 512×128以上 | 4:01 |
合わせてYDAのみ、スマートデバイスに最適化したインフィード広告に近い形での配信が可能です。
こちらはスマートフォン画面で表示されたYahoo! JAPANの提携サイトに掲載されます。
その大きな特徴はタイムライン上の記事に挟まれる形で配信されるため、比較的広告と気づきにくく、ユーザーが自然に広告に触れる場合があります。
参考:『ディスプレイ広告(運用型)でインフィード広告のような配信をする方法はありますか?』
広告掲載基準
GoogleとYahoo!は名称が異なるものの、それぞれ広告掲載基準が設定されています。
これらのポリシーに反した場合は、広告の出稿が認められないことがあります。
Googleでは主に、偽造品や危険な商品、不正行為を助長するような商品やサービス、不適切なコンテンツが禁止されています。
また、政治に関するコンテンツ、ギャンブル、著作権侵害、アルコール、アダルトコンテンツ、金融サービスは制限付きコンテンツに該当し、事前に幾つかの要件を満たすことで初めて広告を配信できます。
参考:『Google 広告のポリシー』
Yahoo!も同様に、性に関する内容や政治コンテンツ、商工ローン、宗教団体といった内容を含む広告は制限付きコンテンツと認定されています。
Yahoo!広告ヘルプにて、掲載制限、販売制限が記載されていますので、それぞれ広告掲載前に一読しておくことをオススメします。
参考:『Yahoo!広告ヘルプ』
関連記事:『【初心者向け】成果を上げる広告文の作り方と8つの訴求軸を解説』
運用方法
予算管理方法
GDNはリスティング広告と同じ予算枠で管理可能なため、予算の全体額をGDNとリスティング広告で分配して運用します。
一方YDAはリスティング広告と別の予算枠で管理する必要があります。
そのため、YDA、リスティング広告それぞれ予算を振り分けて入金する手順になります。
予算配分
GDNは「広告配信方法の設定」より標準と集中化を使い分け、予算のペース配分の調整が可能です。一方YDAは予算使用を1日で均等配分します。
仮に表示回数が多くなり、予算を超えてしまうと判断した場合はシステムが自動で判断し、広告の表示もしくは非表示をコントロールし、予算以上広告を配信しない仕組みになっています。
細かく設定したい場合はGDN、予算配分等システムに任せられる点はYDAが使う手間が省けるため優位と言えるでしょう。
関連記事:『Google広告の予算設定方法を紹介!3点に注意して費用対効果を高める』
デバイス設定
GDN、YDA共に配信先デバイスをPCとスマートフォンに分けて設定可能ですが、それぞれ設定する階層が異なります。
GDNでは広告キャンペーン階層で設定するのに対し、YDAでは広告グループ階層で設定します。
参考:『GDNとYDNの違いとは? | 違いを理解して成果を最大化しよう』
関連記事:『Yahoo!ディスプレイ広告のキャンペーンエディター設定方法5STEP!』
まとめ
GDN、YDAそれぞれ配信される媒体が異なる他、ディスプレイ広告の特徴である多くのユーザーへのリーチと認知度の向上等の効果を鑑みるに、予算の可能な範囲でGDN、YDAを両方使用しながら広告を出稿することをオススメします。
またリスティング広告の流入の元である検索行動は、ユーザーがインターネット上で情報や商品を調べる要因がないと実現しません。
検索数を増やし、検索経由での訪問者数を増加させるには、潜在的に興味がある層に対して、多くのユーザーにリーチ可能なディスプレイ広告を活用し、検索の要因を生むことが重要です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。