多くの企業が自社の商品・サービスの認知拡大や購入促進のために運用するリスティング広告。
ユーザーが検索した語句に応じて広告が表示されるため、効率良く運用するにはキーワードの選定が肝となります。
自社の商品に興味を持ってくれるユーザーにはどんな検索ニーズがあるのかを理解し、キーワードに反映させることが重要です。
実際に観光のオプションツアーを販売する企業では、キーワードのバリエーションを増やしたのち、コンバージョン(CV)*の見込みが薄いものを精査するという施策によって、CV獲得数を約3倍、CPA(平均コンバージョン単価)を70%抑制することに成功しました。
参考:『株式会社MOLTS「リスティング広告運用を成功に導く!分析のポイントと改善の流れとは」』
今回は、ユーザーの検索ニーズをリスティング広告の運用に反映させるためのポイントを解説します。
これからリスティング広告の運用をスタートする方や、キーワードの選定がうまくいっていないと悩む方は必見です。
関連記事:『【保存版】リスティング広告の用語23選!マーケティングの基本を解説』
Contents
リスティング広告のメリットとは?
リスティング広告は検索連動型広告とも呼ばれ、ユーザーがGoogleやYahoo!などの検索エンジン上で特定のキーワードを検索した際に表示されるテキスト形式の広告を指します。
ユーザーが検索をしたタイミング(=興味を持ったタイミング・商品やサービスが必要なタイミング)で、即時に広告を反映させられるのが、リスティング広告の大きなメリットです。
また、検索という能動的な行動が起点となるため、コンバージョンの見込みが高い層を取り込むことができる点も魅力です。
低予算からスタートできる、キーワードの入札や停止などを管理画面上で行えるなど、フレキシブルな運用に対応しているところも多くの企業に利用されている理由の一つです。
リスティング広告の表示順位は、キーワードの入札価格と品質スコアにもとづいた広告ランク(オークションランク)によって決定されます。
アメリカのContentive社の調査データによると、平均表示順位が1位のリスティング広告のCTR(クリック率)は12.2%、1.5位では4.3%、2位では1.5%でした。
1位と2位の間に大きな差異があり、リスティング広告で上位に表示されることがいかに重要であるかがわかります。
引用:『Contentive社「PPC Click-Through Rate by Position: Does Rank Matter? [Data]」』
リスティング広告の特徴や、広告の効果測定に必要なコンバージョンタグの設定については下記の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:『検索連動型広告とは?仕組みと運用開始までの12のステップを解説』
関連記事: 『Google広告のコンバージョンタグをタグマネージャーで設定する5ステップ』
キーワード選定の基本
リスティング広告においてキーワード選定が重要なのは、次の理由によります。
- 適切に広告を表示させるため
- 顕在ニーズがある層にはもちろん、選定次第では潜在的な顧客にもアプローチができるため
自社の商品・サービスの需要がある層を取りこぼさないことはもちろんですが、キーワードの選び方次第では、購買や申し込みの検討フェーズでない層にも訴求が可能です。
ここからは、基本的なキーワードの選定方法について解説します。
メインとなるキーワードを決める
最初に決めるのは、広告の核となるメインキーワードです。
自社の主力となる商品やサービスを検索する際に、大多数のユーザーが入力するであろうキーワードを核として設定します。
たとえば求人サイトのリスティング広告を作成するなら「転職」や「就職」などが当てはまります。
そのほかにも「求人」など、検索キーワードの中心になる語句をピックアップしましょう。
Googleトレンドを活用すると、キーワードの人気度の動向、関連するトピックスやキーワードなどを参考にできるのでおすすめです。
参考:『Googleトレンド』
まずはざっと挙げられるだけあげてから、不要なものを候補から外しましょう。
たとえば転職中心の求人サイトの場合、新卒の就職活動でよく使われる「就職」というキーワードは適切でないかもしれません。
かけあわせるキーワードを選定する
中心になるキーワードが決まれば、次はそれにかけあわせる語句を選びます。
自社のユーザーのニーズを捉えた語句を選択できるかどうかが、広告の成果を大きく左右します。
- 転職 30代
- 転職 アパレル
- 転職 アパレル
- 第二新卒 転職
- アパレル 未経験
入札するキーワードは、上記のように2語または3語のかけあわせがベターです。
「転職」「求人」のような単一のキーワードは検索数が多いため、リスティング広告で表示に表示させるには費用がかかります。
できるだけコストを抑えながら運用するためにも、複数のキーワードをかけあわせて登録をしましょう。
なお、かけあわせのキーワードを選定する際はツールを活用するのがおすすめです。
Google広告が無料で提供している「Googleキーワードプランナー」や、検索エンジンで表示されるサジェストワードなどをチェックできる「ラッコキーワード」などを使うのが一般的です。
Googleキーワードプランナー
引用: 『Google広告 キーワードプランナー』
Google広告の機能として搭載されているキーワードプランナーは、特定の語句にかけあわせるキーワードの候補を調べることができるツールです。
無料で提供されているので、Google広告に登録しているならぜひ活用してください。
キーワードプランナーでは、キーワードの候補に加え、検索ボリュームや競合性(高・中・低)、広告枠の上位に表示させるために必要な入札価格などがわかります。
関連記事:『Googleキーワードプランナーの使い方とは?6つの便利機能を解説』
ラッコキーワード
引用:『ラッコキーワード 』
ラッコキーワードもGoogleキーワードプランナーと同様に、無料で提供されているツールです(一部有料の機能あり)。
Google検索の際に表示されるサジェストを一覧で見ることができます。
キーワードプランナーやラッコキーワードなどのツールで候補を挙げたうえで、自社のターゲットにマッチするキーワードに絞りましょう。
たとえば下記は、ラッコキーワードで調査をした「転職+D」(キーボードで「D」を入力した際に提示される)のサジェスト一覧です。
- 転職 第二新卒
- 転職 doda
- 転職 デザイナー
- 転職 大学職員
- 転職 出戻り
- 転職 高収入
- 転職 高卒
- 転職 デメリット
- 転職 動機
- 転職 第二新卒 大手
この中では「転職 doda」(競合名)や「転職 出戻り」(前の職場に戻りたいというニーズ)は入札キーワードとしてはミスマッチでしょう。
あらかじめ自社の商品・サービスのターゲット像を明確にし、合わないものはキーワードの候補から外します。
たとえばミドル世代(35歳〜54歳)を対象とした転職サイトであれば「転職 第二新卒」「転職 第二新卒 大手」、営業職に特化した転職サイトであれば「転職 デザイナー」「転職 大学職員」などもユーザーのニーズに合わないため、候補から除外されます。
リスティング広告の運用に着手するにあたり、ペルソナを定めておくと良いでしょう。
ペルソナ設定については、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:『ペルソナがなぜ重要なのか?LPの効果を高める作り方とポイント3選!』
かけあわせ以外のキーワードを選定する
核となるキーワードと、それに関連する語句の組み合わせ以外にも「ユーザーが検索しそうなキーワード」を想定して候補に入れてみるのもおすすめです。
たとえば転職を考えているユーザーの悩みとして、下記が想定されます。
「今の仕事が辛い。会社をやめたい」→会社 辞めたい・仕事 辞めたい
「転職活動にあたり、履歴書や職務経歴書の書き方がわからない」→履歴書 書き方・職務経歴書 書き方
自社がターゲットとするユーザーの悩みや疑問、行動などをもとにキーワードの候補を洗い出してみてください。
なおキーワードの選定方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:『リスティング広告のクリック率が向上するキーワード選定方法5選!』
関連記事:『リスティング広告の正しいキーワード選定手順とは?3ステップで解説』
3種類のマッチタイプを解説
キーワードの選定ができたら、マッチタイプを設定しましょう。
リスティング広告では、キーワードに設定したマッチタイプによって、広告を表示させる範囲を決めることができます。
ユーザーが検索した語句(検索クエリ)と登録したキーワードの一致度をもとに、マッチタイプに合わせて広告がされるかどうかが決定されます。
マッチタイプは、完全一致・インテントマッチ・フレーズ一致の3種類です。
キーワードごとに適切なマッチタイプを設定することで、必要なユーザーに広告を配信させます。
ここでは、3つのマッチタイプについてご紹介します。
引用:『Google広告ヘルプ「キーワードのマッチタイプについて』
完全一致
完全一致とは、登録キーワードと一致する語句や同じ意図を表す語句で検索があった場合に広告を表示させるマッチタイプを指します。
以前は語順が異なる場合は完全一致とはみなされず、広告表示の対象ではありませんでした。
現在は検索エンジンのアップデートにより、語順や表記が違っていても意図が同じであれば、広告を表示させる範囲に含まれます。
広告が表示される数は絞られるものの、見込みの高いユーザーに配信できる点が利点です。
不要なクリックによるCPA(平均コンバージョン単価)の高騰を抑えたい場合におすすめします。
インテントマッチ
インテントマッチでは、入札したキーワードと検索クエリに関連性がある場合に広告を表示させます。
3つのマッチタイプの中では広告を表示させる範囲が最も広いのが特徴です。
関連性が高い語句だと判断されると、実際の検索クエリと異なるケースで広告が表示されるのも特徴です。
Google広告では「たとえば、インテントマッチで『車 窓 修理』というキーワードを設定した場合、『自動車 ガラス 交換』などの検索語句に対して広告が表示されます。」と示されています。
引用:『Google広告ヘルプ | インテント マッチ(旧:部分一致): 定義』
幅広く訴求できる反面、関連キーワードで検索をした興味が薄いユーザーにも配信されるため、不要なクリックの増加が懸念されます。
なおインテントマッチはキーワードを登録した際にデフォルトで設定されているため、ほかのマッチタイプで入札を考えている場合は注意しましょう。
広告表示を最適化するために、ユーザーの最近の検索アクティビティ・ランディングページの内容・広告グループ内の他のキーワードといった情報も考慮されています。
参考:『Google広告ヘルプ「キーワードのマッチタイプについて」 』
フレーズ一致
フレーズ一致は、キーワードと検索クエリの意味が一致した際広告が表示されるマッチタイプを指します。
文言が異なる場合も、同義とみなされる場合は広告配信の対象となります。
また、検索クエリにキーワード以外の具体的な情報が追加されている場合もフレーズ一致に該当します。
たとえば「転職 30代」というキーワードをフレーズ一致で設定した場合「転職 30代 未経験」でも広告表示の対象となります。
マッチタイプは、下記の記事でも具体的なキーワードを例に挙げて解説しています。
関連記事:『リスティング広告のマッチタイプ3種類を解説【正しい効果測定も紹介】』
検索ニーズを反映させるために知っておきたい3つのポイント
ここでは、ユーザーの検索ニーズに沿ってリスティング広告を運用するために知っておきたい施策をご紹介します。
ぜひ日々の運用に活用してください。
キーワード入札の優先順位
「リスティング広告の予算に上限がある」「まずはスモールスタートで効果を測定したい」という場合、候補のキーワードをすべて入札できないこともあるでしょう。
より重要なキーワードを優先する必要がある場合は、下記を優先した選定がおすすめです。
指名キーワード
指名キーワードとは、社名やブランド名、商品名などを指します。
自社名などで検索をかけたCVの見込みが高いユーザーを取りこぼさないためにも、必ず入札しておきましょう。
【指名キーワードの入札+SEO対策】の組み合わせによって、検索結果ページ上位の大部分を自社のリスティング広告・自社のホームページで占めることも可能です。
指名キーワードで検索したユーザーが自社のサイト・LPに訪問する確率を上げたい場合は、ぜひこちらも試してみてください。
「購入」「申し込み」などCVの見込みが高いキーワード
すでに購入や申し込み、予約などの意思がある顕在層を想定したキーワードは、優先的に入札しましょう。
- 新宿 忘年会 予約
- 表参道 美容院 月曜営業
上記のように、即時に商品・サービスを求めるユーザーを想定した組み合わせは、CVの見込みが高いキーワードとして入札しておくと良いでしょう。
また、トラブル回避のためにも、他社名や他社の商標などを指名キーワードとして設定するのは避けましょう。
参考:『広告文のキーワードの挿入機能について – Googleヘルプ』
除外キーワードの設定
インテントマッチなどを使用していると、関連性の低い検索クエリに対しても広告が表示されるケースが多々あります。
そこで広告を表示させたくないキーワードについては「除外キーワード」に設定することをおすすめします。
参考:『Google広告ヘルプ「除外キーワードについて」 』
除外キーワードに設定された語句を含む検索は、広告配信の対象から除外されます。
関連記事:『検索広告で利用される除外キーワードリストとは?設定の手順3つを紹介』
検索クエリの活用
Google広告の「検索語句レポート」やYahoo!広告の「検索クエリーレポート」を利用すれば、広告表示につながった検索クエリや、そのパフォーマンスについて確認できます。
自社の広告を閲覧したユーザーにどんなニーズがあるのか、またどんな検索クエリがCVを獲得しているのかをふまえ、入札を強化する、広告文やLPの文言などにも反映させるなどの方法で活用してみてください。
検索クエリを確認する方法
Google広告
- Google広告の管理面の左側に表示されるナビゲーションパネルで「すべてのキャンペーン」を選択する。
- ページメニューの 「キーワード」 を選択する。
- 「キーワード」 メニューのリストで「検索語句」 を選択すると、検索語句のデータが表示される。
Yahoo!広告
- Yahoo!広告管理ツールの「検索広告」タブを選択する。
- 「レポート」タブの「▼」をクリックし、プルダウンの「パフォーマンスレポート」または「レポート」タブを選択する。
- 「新規レポートを作成」ボタンをクリックする。
- 作成するレポートの種類で「検索クエリーレポート」を選択し、他項目の設定を行う。
- 項目の設定が完了したら「作成」ボタンをクリックする。
- パフォーマンスレポート画面の「作成したレポート」一覧から、参照したいレポートの「ダウンロード」ボタンをクリックする。
参考:『Google広告ヘルプ「検索語句レポートについて」』
参考:『Yahoo!広告ヘルプ「検索クエリーレポート」』
参考:『パフォーマンスレポートの作成』
まとめ
この記事を読んで、リスティング広告のキーワード選定を最適に行うのが難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
弊社ではリスティング広告運用代行というサービスを展開しております。
リスティング広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
蓄積されたノウハウから短時間で課題を解決に導きます。
また、薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能です。
お客様のあらゆるニーズに対し 分析・調査を行い最適なプランをご提案しますので、お気軽にご相談下さい。
KW選定に取り組んだことで広告効果が改善した事例、もしくは情報の裏付けがあればより説得力が増すかと思いました。
監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。