WebサイトやWeb広告をはじめとするWebマーケティングの運用において、PV数をはじめ、クリック数、ユーザーの属性といったデータの収集・管理が必須です。
Webマーケティングの施策によって発生するさまざまなユーザー行動をデータとして収集し、それらの傾向や関連性を見出す「データ分析」を行うことで、よりスムーズな意思決定、効果的な施策の策定が可能になります。
今回はWebマーケティング担当者に向けて、データ分析の目的や使用されるデータの種類、実施する際のステップを解説します。
なお、施策についてのデータ分析とは別に、自社の事業の状況を分析する際は「フレームワーク」の活用がおすすめです。
以下の記事では、17種類ものフレームワークをご紹介しています。
関連記事:『新規事業立案時に有効活用したい!17種類のフレームワークを紹介』
Contents
データ分析とは?
まずは、データ分析の概要やそこで使用する「データ」が何を指すのかをみていきましょう。
データ分析の概要
データ分析とは、情報(データ)を収集し、それらを整理、加工したうえで分析を行う一連の流れを指します。
Webマーケティングには、Web広告やSEO、InstagramやX(旧Twitter)をはじめとするSNS、メールマガジンといったさまざまなチャネルがあります。
各施策のプロセスや結果で得られるさまざまなデータを活用することで、マーケティングの問題を解決したり、より効果的な方法を探り当てたり、取捨選択を行ったりできます。
たとえば、データ分析によって自社の商品をWebサイト上で購入しているユーザーの年齢や性別の傾向が判明した場合、その層に焦点を当てて広告を配信する、コンテンツを作るといった活用が可能です。
参考:『データ分析とは?メリット・デメリットや具体的な方法を紹介』
データ分析における「データ」の定義
データ分析で扱う「データ」は、「客観性、再現性が裏付けされている数値や資料」と定義されます。
データというと、数値だけがイメージされる場合もありますが、たとえば画像やユーザーによって作成されたテキスト(レビューなど)も含まれています。
参考:『データ分析(活用)の目的・メリット・考え方とは?利益向上に効果的?』
データを活用したWebマーケティングについては、こちらの関連記事でも詳しく解説をしています。
関連記事:『データマーケティングとは?3つのメリットや導入事例も解説』
データ分析はなぜ必要?実施の目的は?
Webマーケティングを成功させるためには、効果的なデータ分析が欠かせません。
ここではデータ分析がなぜ必要なのか、その目的についてご説明します。
根拠のあるデータをもとにマーケティング活用を行うため
データを積極的に活用することで、勘や経験に基づかないデータドリブン*な意思決定が可能です。
判断の基準がデータであるため、個人の主観や感覚に偏らずに現状を把握し、アクションへとつなげます。
ただし、信憑性の高いデータを取得するためには、一定のルールを設けて収集や管理をする必要があります。
参考:『データ分析とは?メリット・デメリットや具体的な方法を紹介』
参考:『データドリブンとは?注目される理由やメリット、注意点などを解説』
意思決定や問題解決のスピードを早めるため
前述のように、データ分析は数値をはじめとする客観的な事実をもとにするため、判断基準が明確です。
たとえば新しい施策を行う際は、あらかじめ「この基準をクリアしていれば成功」という線引きをしておくことで、継続するのかまたは取りやめるのかを迅速に決定できます。
データを活用することで、問題解決のスピード向上も可能です。
売り上げの低下、アクセスの減少といった問題が生じた際は、データ分析によって課題を明確にし、解決するための手段(仮説)を絞り込みます。
参考:『データ分析(活用)の目的・メリット・考え方とは?利益向上に効果的?』
参考:『データ分析の目的とは?明確にする理由から方法まで分かりやすく解説』
問題点や、利益を上げるためのポイントを発見できる
データ分析をするなかで、これまで見落としていたマーケティングの問題点や、自社の強みなどを発見できる場合があります。
下記は一例です。
- 特定の広告プラットフォームのみ、コンバージョン率が低い
- リスティング広告のテキストを変更してから、クリック率が減少した
- 決まった曜日や時間帯において、広告の表示回数が増える傾向にある
- 想定していなかった層のユーザーからの申し込みが多い
Webマーケティングでは、Webコンテンツや広告ごとに目標として設定された成果(ユーザー行動)をコンバージョンと呼びます。
これらのポイントは、データを収集・分析しているからこそ見つけられるものです。
発見した新しいインサイトをもとに、マーケティングだけでなく、新しい商品・サービスの開発や営業施策につなげられる可能性もあります。
参考:『データ分析(活用)の目的・メリット・考え方とは?利益向上に効果的?』
以下の記事では、コンバージョンの種類や測定方法について知ることができます。
関連記事:『コンバージョン測定とは?確認方法や計測できる9種のCVを解説!』
データの種類
データ分析では、どのデータを使用するのかが重要です。
ここでは、マーケティング施策の分析で用いられるデータの種類をチェックしましょう。
分析に使用されるデータの種類
データ分析に活用される数値や資料の代表的なものをご紹介します。
商品・サービスの特性や分析の目的によって、使用するデータの種類は変わってきます。
POSデータ
POSは「Point Of sales(販売時点情報管理)」の略語で、店舗のレジで金銭のやりとりが発生した際に記録されるものです。
POSデータの収集によって、購入された商品の種類や価格、個数、客単価、購入時間、購入店舗などの情報が得られます。
商品の主な販売チャネルが店舗である場合、POSデータの分析・活用はユーザーのニーズを探るうえで非常に重要です。
行動データ
ユーザーの行動を数値・資料にしたものを行動データと呼びます。
たとえば、Webサイト内でのユーザーのアクション(流入や離脱、コンバージョンなど)や、検索履歴などが該当します。
自社のWebサイトを分析するにあたり、行動データの収集は不可欠です。
アクセス解析ツールを導入することで、サイト内のユーザー行動の把握ができます。
代表的なツールとしては、Google社が提供する無料ツールである「Googleアナリティクス4(GA4)」 が挙げられます。
Googleアナリティクス4の詳しい導入・活用方法については以下をご覧ください。
関連記事:『Googleアナリティクス4の特徴は?設定と6つの注意点を解説』
ユーザー属性
ユーザーの属性に関するデータです。
年齢や性別、居住エリア、言語、興味・関心などが挙げられます。
前述のGoogleアナリティクス4でも、上記のデータを収集することができます。
属性ごとにフィルタをかけて、傾向を分析するのに役立ちます。
属性データは、優先順位をつける際にも活用可能です。
例を挙げると、年代ごとにコンバージョン率にばらつきがある場合、利益につながる可能性が高い(CV率が高い)ところに広告予算を集中させるといった施策が可能です。
アンケート
アンケート調査を実施すれば、数値には表れないユーザーの声を把握できます。
また、自社のWebサイトにレビュー機能を実装すれば、商品・サービスに対するユーザー評価のチェックが可能です。
アンケートそのもののトータルの結果をみるのはもちろんですが、ユーザー属性ごとに傾向を整理するといった分析方法もあります。
参考:『データ分析(活用)の目的・メリット・考え方とは?利益向上に効果的?』
参考:『POSデータとは?分析すべきデータと売上アップに役立つ活用例』
Webマーケティングのデータ分析に活用できる指標
Webマーケティングのデータ分析で活用されることが多い行動データの指標をご紹介します。
今回は、Googleアナリティクス4、Google広告、Instagram広告からピックアップしています。
アクセス解析(Googleアナリティクス4)
指標 | 概要 |
ユーザー数 | 設定している期間内でサイトを訪問したユーザーの総数 |
新規ユーザー数 | 一定期間の間に訪問履歴がない新規のユーザー数 |
セッション数 | ユーザーがサイトを訪問してから離脱するまでで1カウントされる。1人のユーザーが同日内に2回訪問した場合のセッション回数は2回となる。 |
ページビュー数 | PV数と呼ばれる。ユーザーが閲覧したページの総数。1度のセッションで5つのページを閲覧した場合のPV数は5となる。 |
平均セッション時間 | 全セッションをもとに算出された、平均のセッション時間(最後に閲覧したページは滞在時間にカウントされない) |
平均ページ滞在時間 | ユーザーがページに滞在した平均時間(最後に閲覧したページは滞在時間にカウントされない) |
直帰率 | 全セッションのなかで、最初に訪問したページ以外を閲覧せずにサイトを離脱した割合 |
離脱率 | 該当ページでサイトを離脱したユーザーの割合 |
コンバージョン(CV) | Webサイトの成果として指定したユーザー行動に到達した数。例)商品の購入、資料請求、来店予約、動画の再生など |
参考:『【初心者向け】Googleアナリティクス(GA4)で見るべきポイントと確認方法を解説!』
Google広告
指標 | 概要 |
インプレッション数 | 広告がユーザーのデバイス画面に表示された回数 |
クリック数 | 広告がユーザーにクリックされた回数 |
クリック率(CTR) | 広告のインプレッションに対してクリックされた割合 |
平均クリック単価(CPC) | 広告1クリックにかかる費用の平均 |
コンバージョン率(CVR) | クリックのうち、コンバージョンに至った割合 |
コンバージョン単価(CPA) | コンバージョン1件にかかる広告費用 |
参考:『リスティング広告は意味が無い?判断前に見直したい4ポイントを解説』
Instagram広告
指標 | 概要 |
リーチ数 | 広告が表示されたユーザーの人数。同一のアカウントに複数回表示があった場合も1カウント |
エンゲージメント数 | 投稿に対して、ユーザーからのアクション(いいね・コメント・保存・シェア)があった数 |
インタラクション数 | いいね数、コメント数、保存、シェアの各数 |
プロフィールへのアクセス数 | アカウントのプロフィールにアクセスがあった回数 |
フォロー数 | フォローされた数 |
[電話する][メールを送信][ウェブサイト]ボタンのタップ数 | プロフィール画面から各ボタンがタップされた回数 |
参考:『企業がInstagramを成功させる基礎知識!おすすめ運用法5選』
使用するツールやプラットフォームによって、計測できる指標が異なります。
それぞれの意味を理解し、分析に必要なデータの選定を行いましょう。
以下の関連記事では、広告運用の解析レポートに必要な指標について解説しています。
データ分析においてレポートの作成は必須となるため、ぜひチェックしてみてください。
関連記事:『どの数字が重要?広告運用の解析レポートに欲しい指標11選!』
Webマーケティングの代表的なデータ分析の手法
Webマーケティングでデータを用いた分析を行う際の手法をいくつかご紹介します。
より効果の高い広告クリエイティブを探り当てたい場合は「A/Bテスト」、Webサイト内で改善すべき点を見つけるなら「ヒートマップ分析」など、適切な方法で分析を行うことが重要です。
A/Bテスト
「A/Bテスト」とは、広告のクリエイティブ(テキストや画像)、WebサイトやLP(ランディングページ)の構成などを最適化する際に用いられる方法です。
具体的には、特定の箇所のみが異なる「パターンA」「パターンB」を作成し、同条件下でユーザーと接触させることで、どちらがより成果につながるのかを検証します。
A/Bテストの結果がよかった方のパターンを採用・実装して改善をはかり、クリック率やコンバージョン率を高めるのが狙いです。
なお、パターン数は2つに限らず、複数で検証できます。
参考:『今さら聞けない「A/Bテスト(ABテスト)」とは?成果を出すための進め方』
以下では、A/Bテストを用いたLPの改善方法をご紹介しています。
A/Bテストを導入してみたいと考えている方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
関連記事:『A/BテストでLPを改善!方法と注意すべき3つのポイントを紹介』
アクセス解析
「アクセス解析」は、Googleアナリティクス4をはじめとするWebサイトのアクセス解析ツールを使って行動データやユーザー属性データを収集し、その傾向を分析する方法です。
収集したデータは、クロス集計*などの分析手法で分析します。
分析の結果をもとに施策を打ち出し、サイトへの流入数やコンバージョン率の向上などを目指します。
参考:『Webサイトのデータ分析とは?抑えておくべき手法と無料ツールも解説』
参考:『クロス集計は分析の基本!メリットと分析できることを解説』
以下では、アクセス解析の結果をマーケティングに活用するためのポイントを解説しています。
関連記事:『【基礎】アクセス解析をマーケティングに活かす4つのポイント』
ヒートマップ分析
ヒートマップとは、WebサイトやWebページ内でユーザーがクリックをしたポイントや離脱した箇所、熟読されている箇所などを確認するためのツールです。
サーモグラフィーのように色分けすることで、熟読の度合いやクリックポイントを目視できます。
「ヒートマップ分析」では、ヒートマップツールを使って得たデータをもとに、離脱されやすい部分の改善、サイトのUIの変更、CTAのデザインやテキスト、配置の見直しなどをはかります。
サイトやページへのアクセス数が多いにもかかわらず、コンバージョン率につながっていない場合は、ヒートマップ分析を通して改善点を探してみるのがおすすめです。
参考:『Webサイトのデータ分析とは?抑えておくべき手法と無料ツールも解説』
参考:『ヒートマップとは?その種類とユーザー行動を分析してサイトを改善』
ヒートマップを用いた分析を導入する際は、ぜひ以下で解説している内容を参考にしてみてください。
関連記事:『ヒートマップを用いた分析手法は?4つのポイントとツールを解説』
データ分析の4つのステップ
自社のWebマーケティングにデータ分析を取り入れる際、どのような順序で進めれば良いのでしょうか。
ここでは、データ分析のステップや各段階での取り組みについてみていきましょう。
データ分析の目的を定める
最初の段階では、データ分析を行う目的や目標の設定を行います。
まずは、現状のWebマーケティング上の課題を明確にしてください。
たとえば「Webサイト経由での申し込みが減少している」という点が問題である場合、その原因の究明と改善が目的となります。
はじめに目的をしっかりと定めておくことで、不要なデータ収集や分析を行うことなく、スムーズに課題解決にあたれるでしょう。
参考:『データ分析はなぜ必要?分析するメリット・方法・使い方をご紹介!』
参考:『データ分析の目的とは?明確にする理由から方法まで分かりやすく解説』
分析手法を選定する
次の段階では、分析の手法を策定し、どのようなデータが必要になるのかを洗い出します。
前項で挙げた「Webサイト経由での申し込みが減少している」という課題を例にして考えてみましょう。
申し込み減少の原因は、一例として以下が考えられます。
- Webサイトへのアクセスが減少している
- Webサイト内のコンバージョン率が低下している
まずは、Webサイトへのアクセスの増減を確認します。
Googleアナリティクス4などの解析ツールを用いてアクセス数のチェックを行ってください。
もし、過去と比較してアクセス数が減少している場合、今度は「どの流入経路からのアクセスが減少しているのか」を探り当てます。
オーガニック検索(SEO)、Google/Yahoo!のリスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告からのアクセス数を、解析ツールや広告の管理画面でチェックしましょう。
「全体的にアクセス数が減少している」「特定の経路からの流入が減少している」など、傾向が見えてくるはずです。
Webサイトへのアクセス数が減っていない場合は、サイト内でコンバージョンが獲得できていないと考えられるでしょう。
その場合は、アクセス解析ツールやヒートマップツールで原因となるポイントを絞ります。
このように、事前に分析の方法や必要なデータ、ツールを定めておくことが、スムーズなデータ分析には欠かせません。
参考:『データ分析はなぜ必要?分析するメリット・方法・使い方をご紹介!』
データを収集する
分析の手法や必要なデータが決まれば、データの収集を行います。
必要な際にすぐにデータを取り出すことができるよう、あらかじめ取得や管理の方法をルール化しておく必要があります。
データの収集・保管に関するルール(一例)
- 取得方法やタイミング
- 保管場所
- 保管形式
- 分析などに持ち出す際のルール
とくに、取得の方法やタイミングについてはデータ取得の作業をするメンバーによってばらつきが出ないように、ルールを明確にしましょう。
参考:『データ分析はなぜ必要?分析するメリット・方法・使い方をご紹介!』
参考:『データ分析とは?メリット・デメリットや具体的な方法を紹介』
データの収集や管理を手軽に行うためのツールの導入もおすすめです。
下記の関連記事では、おすすめの広告効果測定ツールを複数ご紹介しています。
関連記事:『おすすめの広告効果測定ツール6種類!分析可能な項目もご紹介』
結果をもとにデータ分析を行う
必要なデータが揃ったら、それらをもとに分析を実施します。
例として前述した「②Webサイト内のコンバージョン率が低下している」のケースでは、コンバージョン率の低下が著しいページをヒートマップで分析し、離脱されているポイントを見つけます。
もし「LPのファーストビューで離脱するユーザーが多い」という課題が浮かび上がった場合、該当部分のキャッチコピーやビジュアルに変更を加えることでコンバージョン率が改善される可能性があります。
測定期間を設けたうえで現状のLP、キャッチコピーやビジュアルを修正した新たなLPを両方運用して、改善が見込めるかどうかのA/Bテストを行うと良いでしょう。
一連のデータ分析が完了したあとは、選択した手法やデータの種類が適切であったかどうかの評価や振り返りをしましょう。
参考:『データ分析とは?メリット・デメリットや具体的な方法を紹介』
まとめ
この記事を読んで、データ分析の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。