2,000年代から近年にかけて社内のIT化などを目的に急速に普及したクラウドサービス。
1997年に南カリフォルニア大学のラムナト・チェラッパ氏により提案されたクラウドコンピューティングの概念が発端とされています。
日本でのクラウドサービスの利用状況に関しては、少なからずサービスを利用している企業は2016年の46.9%だったのに対し、2021年には70.4%と23.5ポイント向上の約7割ほどになりました。
また、コロナ禍の影響で在宅勤務やリモートワークが普及し、場所や時間を問わず利用できるクラウドサービスがより注目を集めました。
Statista社の調べによると、コロナの影響で増えたテクノロジーの支出としては、74%の第2位でクラウドの活用が増加しました。
本記事では、クラウドサービスについて、種類ごとに解説しています。
また、それらのメリットや大手3社が展開するクラウドサービスについて紹介します。
参考:『クラウドの歴史とこれからの未来について徹底解説』
参考:『コロナ禍で加速するクラウド活用を支えるクラウドの進化【第43回】』
Contents
クラウドサービスとは
クラウドサービスとは、ソフトウェアなどをインストールすることなくインターネットを利用できるサービスのことです。
なぜクラウドと呼ばれているのかは諸説ありますが、インターネット(雲)の向こう側のサービスを利用していることから、クラウド(cloud=雲)と呼ばれるようになったともいわれています。
1990年代以降に、それまで主流だった大型PCから安価で購入しやすい小型PCへと需要が切り替わったことで、コンピューターのデータ処理においても「一台集中型」から「分散型」の傾向が強まりました。
こういった背景から、コンピューターの情報処理速度の改善や膨大な量のサーバー管理が求められた中で解決の糸口になったのがクラウドサービスです。
本来システムを構築する際には、ハードウェアやソフトウェア、データに関して必要な要素は利用する方が自ら保有する必要があり、管理と運用を行っていました。
しかし、それらのリソースを要することなく利用できるのがクラウドサービスの特徴になります。
そのことにより、システム構築の初期投資や運用の工数に負荷をかけることなく、サービスを利用しやすくなりました。
GmailやMicrosoft365を始めとしたクラウドサービスを利用しているメールサービスを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
クラウドサービスのメールを利用すると、パソコンが使用できなくなっても、他のパソコンやスマートフォンやタブレットからログインをすることで確認できます。
参考:『クラウドサービスとは?種類や例をもとにメリットを解説』
参考:『【すぐわかる】クラウドサービスとは?種類の違いやメリデメも解説』
参考:『パブリッククラウドのメリットを解説!プライベートクラウドの違いやセキュリティ対策について』
参考:『コンピューティングとは』
クラウドサービスの種類
配置される形態による分類
参考:『プライベートクラウドのメリットを解説!ホスティング型とオンプレミス型の違いとは?』
クラウドサービスは配置される形態によって、パブリッククラウドサービスとプライベートクラウドサービスの2つに分類されます。
違いを一言で表現すると、パブリッククラウドサービスは「共有」のクラウドサービスであり、プライベートクラウドサービスは「占有」のクラウドサービスになります。
参考:『プライベートクラウドのメリットを解説!ホスティング型とオンプレミス型の違いとは?』
パブリッククラウド
参考:『プライベートクラウドのメリットを解説!ホスティング型とオンプレミス型の違いとは?』
パブリッククラウドは、クラウドサービスの提供者が企業や個人など不特定多数の利用者に対してサーバーやストレージ、ソフトウェアなどのサービスを提供し、ユーザー間で共有するクラウド環境です。
パブリッククラウドサービスのメリットは以下の通りです。
- 経済性
- 柔軟性
- 可用性
- 構築のスピード
これらのメリットは、オンプレミス環境と比較して考えることでより理解が深まります。
オンプレミス環境とは、サーバーやネットワーク回線、ソフトウェアなどを自社で保有した上でシステムを利用、運用できる環境のことで、クラウドとは反対の意味を指します。
参考:『オンプレミスとは | IT用語集』
経済性
パブリッククラウドサービスの利用によって、ハードウェアやソフトウェアの購入が不要になるため、コストを抑えることができる点で経済性で優位になります。
利用したい機能のソフトウェアの購入が必要であるオンプレミス環境とは異なり、パブリッククラウドは必要な分の機能と期間を指定して利用することで、利用量に応じた料金が発生する仕組みだからです。
加えて、事業部ごとバラバラに管理していたデータをクラウドを利用して一括で管理できるようになれば、データの保守やソフトウェアの更新といった管理作業を効率的に進めることができます。
柔軟性
パブリッククラウドサービスは、用途に応じて柔軟な利用が可能です。
オンプレミス環境ではシステムの構築や拡張するために高い技術やコストが必要になりますが、パブリッククラウドの場合、利用するコンピューティングリソースの範囲を必要に応じて調整することができます。
つまり、利用する分だけ拡張することもできれば、必要がなければ縮小するということが容易にできるのです。
可用性
パブリッククラウドサービスは可用性に優れています。
可用性とは、システムが安定して継続的に稼働できるかどうかの程度を指します。
パブリッククラウドは、ハードウェアの一部に支障が起きたとしても継続的に利用できるため、障害対策でバックアップや助長化といった措置が必要であるオンプレミス環境に比べて可用性が優れていると言えます。
構築のスピード
パブリッククラウドは、システム構築の速さにも優れています。
ハードウェアやソフトウェアの設置に時間がかかってしまうオンプレミス環境に比べて、パブリッククラウドサービスの利用ではその手間を省いて瞬時にシステムの構築を行えます。
参考:『パブリッククラウドのメリットを解説!プライベートクラウドの違いやセキュリティ対策について』
参考:『オンプレミスとは | IT用語集』
プライベートクラウド
プライベートクラウドは、特定のユーザーに対して提供されるクラウド環境です。
主に企業を対象にしたインターネット回線で、VPN接続や専用線を用いて提供されるクラウドサービスになります。
VPN接続は、Virtual Private Networkの略であるVPNを用いた仮想の専用線でつないだインターネットの接続法です。
クラウドサービスの提供者がほかのユーザーに対して確立された占有のクラウド環境を提供する場合と、ユーザー自身がクラウド環境を構築する場合の二つが存在します。
特に企業が自社専用のプライベートなクラウド環境を構築することで、その企業のサービスの特徴や業務の形態に沿った形でクラウド環境を整備することができます。
プライベートクラウドには、2つのメリットが存在します。
- パブリッククラウドよりも優れたセキュリティ
- 特定の業務に特化した環境構築
パブリッククラウドよりも優れたセキュリティ
プライベートクラウドでは、高度なセキュリティ管理が可能です。
サービスの利用者を限定しないパブリッククラウドでは、利用のしやすさやシステム構築の速さといった利点がある一方で、利便性の裏側にはセキュリティ面の懸念が必要になります。
プライベートクラウドでは、企業ごとに定められたセキュリティーポリシーに応じたセキュリティ設定が可能なため、高いセキュリティをもってクラウドを活用することができます。
特定の業務に特化した環境を構築できる
プライベートクラウドでは、環境構築においてのカスタマイズ性が高いこともメリットの一つです。
業務内容に応じて、特殊なシステムを使用したい場合などにも対応でき、プライベートクラウドを利用して企業に沿った独自環境を構築することができます。
それに伴い、企業の基幹システムや、従業員の個人情報を扱うにあたって安全性を考慮して利用することが可能です。
参考:『プライベートクラウドのメリットを解説!ホスティング型とオンプレミス型の違いとは?』
参考:『VPN接続とは?仕組みや種類、利用するメリット・デメリットを紹介』
サービスの運用管理範囲による分類
サービスの運用管理範囲を基準にしてクラウドサービスを分類した際には、「SaaS」「IaaS」「PaaS」の3つの種類に割り振られます。
SaaS
SaaSは、「Software as a Service」の略称で、ユーザーはインターネットを介してクラウド上のソフトウェアやアプリケーションを利用できる仕組みです。
SaaSの特徴は、利用するソフトウェアをパッケージとして購入またはインストールする必要がないという点です。
ユーザーはソフトウェアを利用したい時に利用でき、それが有料であれば使った分だけの料金を払う仕組みになります。
費用の相場として、20人程度で利用することを想定した際に、オンプレミス環境では導入費用が約50万円~220万円になります。
それに対して、クラウドサービスの利用料金の目安は年間で約12万円~24万円となっております。
またSaaSでは、ユーザーがアカウントを持っていればどこからでも自由にアクセスすることができます。
加えてグループ内でデータやファイルを共有することができます。
SaaSの主なサービスは以下の通りです。
- メールツールのGmail、iCloudサービス、Yahoo!メール
- 情報共有ツールのSlack、NotePM
- オフィスソフトのMicrosoft Office 365
- オンラインストレージのDropbox
- グループウェアのサイボウズ
SaaSのメリットは以下の通りです。
導入しやすい
ユーザーはアカウントを持っていれば自由にアクセスしてサービスをすぐに利用でき、ソフトウェアの取得が不要なので簡単に導入することができます。
また、株式会社コミクスが提供するSaaS・ITサービス比較サイト「kyozon」では、自社に合ったクラウドサービスを手軽に見つけることができます。
気になる方は以下も参考にしてみてください。
参考:『SaaS・ITサービスの比較サイト』
コストが低い
クラウドサービス自体が、提供されるクラウドを使用すれば環境の構築が不要であり、導入のコストが低く済みます。
それに加えて、使った分の使用料金を払うことでサービスを利用できるので、別途でメンテナンスの費用や更新費用がかからないというメリットがあります。
好きな時間、場所で利用できる
クラウド上に置かれているSaaSのサービスはアカウントとデバイス、インターネット環境があれば時間や場所に縛られることなくサービスを利用することが可能です。
システム運用の負荷軽減
システム運用においては、セキュリティの向上などを目的としたアップデートにより、本来であれば企業側が定期的な更新作業を行わなければなりません。
しかしSaaSを利用することで、そのソフトウェアの提供者側によって自動更新が適応されるので、ユーザーの運用や管理の負担は軽減されます。
参考:『【徹底比較】クラウドには3種類ある!メリット・デメリットを解説』
参考:『【すぐわかる】クラウドサービスとは?種類の違いやメリデメも解説 』
参考:『SaaS,PaaS,IaaSとは?クラウドサービス定義の違いを比較し読み方や意味などを解説』
PaaS
PaaSは「Platform as a Service」の略称であり、クラウド上にあるプラットフォームを利用することができるサービスです。
PaaSにおいて提供されるアプリケーションの開発や、実行環境として活用されます。
PaaSでは、大規模なデータセンターに用意されているOSやミドルウェアなどのプラットフォーム上で、アプリケーションの稼働に利用されるネットワークやサーバーシステムなどの開発を行うことができます。
OSは、Operating Systemの略称であり、PCやアプリケーションを利用する際に動作するソフトウェアを指しています。
この環境を利用することで、企業のユーザーは手早く、コストを抑えたシステム開発が可能になるのです。
ユーザーは提供されたプラットフォーム上で任意のソフトを利用してその分の使用料を払います。
上記のように、アプリケーション開発に必要なデータベースと連動しているサーバーOSやミドルウェアを用いてPaaSを活用したり、SaaS型のサービスを提供する会社がアプリケーションの開発のためにPaaSを利用したりできます。
PaaSの主なサービスは以下の通りです。
- AWS(Amazon Web Services)
- Microsoft Azure
- Google Cloud Platform
PaaSのメリットは以下の通りです。
コストの削減
初期投資という面では、PaaSを利用することでハードウェアやサーバー、OSを自社で用意する必要がないのでコストを抑えることができます。
また運用コストの面では、プラットフォーム上でのトラブルへの対応や、その他保守作業の必要がないので、保守にかかるはずだった時間や人件費を削減することができます。
導入してから開発までが容易
PaaSは、導入から開発までに時間がかからないという利点があります。
PaaSではクラウドに用意されたインフラ環境を利用することができるため、環境の構築をする必要がなく、導入後すぐに開発に取り組むことができます。
そのためアプリケーションの開発に取り掛かりやすく、バックアップの設定やミドルウェアをインストールする必要もないので、ユーザーの作業負荷を軽減することに繋がります。
参考:『【徹底比較】クラウドには3種類ある!メリット・デメリットを解説』
参考:『SaaS,PaaS,IaaSとは?クラウドサービス定義の違いを比較し読み方や意味などを解説』
参考:『OSってなに?』
IaaS
IaaSは「Infrastructure as a Service」の略称で、インターネットを介して、メモリやストレージ、CPUといったサーバーなどのコンピューティングリソースを利用することのできるサービスになります。
本来、システムのインフラ開発を行う際には、ITシステムを自社で購入して構築、運用する必要があります。
しかし、IaaSを利用することで必要な分を必要な時に利用することができ、開発環境を1から構築することができます。
環境の構築にあたって、利用するOSやサーバーをなどの選択や設定が必要なのでカスタマイズの幅は広いですが、その分システムの構築にあたり保守や必要な作業の手間がかかります。
IaaSは、一見サーバーの貸し出しを行っているホスティングサービスと似たサービスのように見えますが、選択するハードウェアやソフトウェアの自由度が高く、OSの変更やCPUのグレードアップによる柔軟性がある点でホスティングサービスよりも最適化に優れていると言えます。
上記の図では、IaaSのクラウドサービスを利用して構成したインフラをユーザーに向けて提供しています。
ユーザーの数が増加した際には、CPUやメモリなどのコンピューティングリソースの編集が可能で追加や削除をすることで開発したシステムの規模を拡大できます。
また図にあるように、IaaSでは社内システム向けのサーバーとユーザーに公開する用のサーバーに分類することが可能です。
そのため、企業の機密情報を扱う際には、セキュリティ面での担保があるVPS接続をして企業の管理者に限ってアクセスを可能にすることができます。
VPS接続のVPSは「Virtual Private Server」の略称で、仮想専用のサーバーを指しています。
サーバーを1台用意し、そこに仮想のサーバーを複数台構築することでユーザーはそれらのサーバーに接続して利用することができます。
IaaSの主なサービスは以下の通りです。
- Amazonが提供する「AWS」より、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)、Elastic Load Balancing(ELB)
- マイクロソフトが提供する「Microsoft Azure」より、Virtual Machines、Load Balancer
IaaSのメリットに関しては以下の通りです。
自由な環境構築
IaaSの利用によって、提供されるインフラのOSやネットワークを使い、自由にアプリケーションや利用するプラットフォームの選択が可能です。
システム開発やアプリケーションの開発の際に、IaaSを使い自由に構築を行えるメリットがあります。
コストが低い
IaaSの利用は、導入と運用にかかる費用の削減というメリットがあります。
導入の際に数十万円かかるサーバーの購入をする必要がなく、自社で運営するオンプレミス環境と比較して導入にかかる初期費用が削減されます。
またIaaSでは、サービスの利用料に応じて請求額が変化する従量課金制を採用しており、システムを構築した際に利用した分のメモリやCPUのスペックに応じた料金を支払う仕組みなので、ランニングコストを下げることができます。
BCPの対策が可能
BCPとは「Business Continuity Plan」の略で、災害時などでも重要な業務を継続して行えるための戦略を意味します。
東日本大震災の発生をきっかけに、企業が災害時に継続して事業を行えるようにするための施策としてBCPが注目を集めました。
IaaSは利用するデータをデータセンターで保存しているため、災害時でもインターネットを介してデータセンターにアクセスすればデータを取り扱うことができます。
また、バックアップを確保しておくことができるので、重要なデータの紛失を防ぐことができます。
こういった災害時に重要視されるBCP対策の観点でもIaaSはメリットを持ちます。
参考:『SaaS,PaaS,IaaSとは?クラウドサービス定義の違いを比較し読み方や意味などを解説』
参考:『VPSとは? レンタルサーバーとの違いやメリット / デメリットを紹介』
参考:『ホスティングサービスとは?機能や提供される内容を徹底解説!』
参考:『BCP(事業継続計画)』
大手3社のクラウドサービスについて
大手3社のAmazon、Microsoft、GoogleはそれぞれAWS、Azure、GCPのクラウドサービスを展開しています。
Canalysと呼ばれる調査会社によれば、2023年の第2四半期の時点における世界のクラウド市場の占有率はAWSが30%で市場全体において最も多く、次いでAzureの占有率は26%、そしてGCPが9%になっています。
特にPaaSとIaaSの市場では、大手3社がほとんど占有している状態にあります。
ここでは大手3社のクラウドサービスの特徴についてご紹介します。
参考:『グローバルのクラウドインフラ市場シェア、AWSがトップ維持、GoogleCloudは成長率キープ2023年第2四半期』
参考:『【徹底比較】クラウドには3種類ある!メリット・デメリットを解説』
AWS
引用:『AWS』
ネット通販で知名度があるAmazonが提供しているクラウドサービスのAWSは、現在最も多く利用されています。
AWS自体は、もともとAmazon社内のインフラを整えることを目的としてつくられたもので、それを社外の企業に展開したサービスが現在のAWSです。
現在では、サーバー環境の構築データベースの利用、AIやデータレイクの分析、IoTなどを始めとした200以上サービスを提供しており、スタートアップ企業から大企業、政府機関の何百万にわたるユーザーに利用されています。
AWSの特徴
- 企業で利用することに加えて、個人でもサービスを利用することができます。
- インターフェースやAPI(Application Programing Interface)で標準技術の推進をしており、アプリケーションの開発がしやすい環境にあります。
- サービスの展開から長い期間の実績があり、利用しているユーザーの数やAWSを経験したことのあるエンジニアの方が多くいます。
参考:『【徹底比較】クラウドには3種類ある!メリット・デメリットを解説』
AWSの導入事例
BMWグループ
引用:『BMW』
高級自動車メーカーであるBMWグループは、新たなイノベーションを生み出すためにAWSのクラウドサービスを利用しました。
BMWは世界的で大規模なメーカーであるがゆえに、国境を越えたさまざまな言語で業務を管理する必要がありました。
そこで、総勢120,000人もの従業員と顧客との高品質なコミュニケーションを成立させるためにAmazon Translate機能を導入することにしました。
その結果、それまで翻訳にかけていた時間を75%以上削減することに成功し、多言語ビジネスを実現したのです。
参考:『BMW GROUP|AWS』
コカ・コーラ
引用:『コカ・コーラ』
清涼飲料水を製造販売するコカ・コーラは、2013年にAWSの利用を開始しました。
過去にWebサイトのトラフィックが一時急増し、サーバーダウンの危機に陥ったことがきっかけでAWSへの移行を決定したコカ・コーラは、さらなる生産性の向上を目指してAWSのデータベースや分析ソリューションを活用した世界クラスのプロセス構築を試みました。
具体的には、構造化データや非構造化データを保存できるリポジトリを指すデータレイクを構築し、複数のデータを1つの情報源に統合したのです。
その結果、分析における生産性を80%向上させることに成功しました。
参考:『AWSを利用するThe Coca-Cola Company | AWS』
Epic Games
引用:『Epic Games』
アメリカに本社を置くコンピューターゲーム企業のEpic Gamesは、ユーザーに常にアップデートされたゲームを届けるために2012年に大規模なゲームモデルの変革を開始しました。
変革に伴い、世界中のユーザーがアクセスできるような信頼性の高いプロバイダーが必要になり、AWSの導入を決めたのです。
このAWSの導入により、数百万人のユーザーが同時にゲームをプレイできるほどのシステム処理が可能になりました。
その結果、Epic Gamesでは現在、4億人を超えるプレイヤーにゲームを通してエンターテインメントを届けています。
NETFLIX
引用:『NETFLIX』
映画やドラマなどさまざまなジャンルのコンテンツをプラットフォーム上で提供しているNetflixでもAWSが導入されています。
当時リーズナブルで拡張性が高く、グローバルに活用できるEメールソリューションを必要としていたNetflixは、2020年にAWSのAmazon SESというメール配信ソフトウェアを導入したことで、それぞれのインターネットサービスプロバイダーに最適化したメールの送信が可能になりました。
このAmazon SESを取り入れたことで、現在Netflixでは190か国で2億6,000万人を超える顧客とコネクションができています。
参考:『AWSのNetflix | AWS』
Azure
引用:『Azure』
AzureはMicrosoftが提供しているクラウドサービスでWindowsを手掛けています。
Windowsと聞いて、PCのOSを思い浮かべることができますが、それに加えて多くの企業においてサーバーとしても利用されています。
AzureはWindowsをもとにして構築されていることもあり、Microsoftの商品との相性がよく、Windowsユーザーの企業では扱いやすいクラウドサービスになります。
セキュリティ保守の面でも政府機関において利用されるほどの固いセキュリティを持っており、高性能であることもあり特に中・大企業において利用されています。
引用:『Azure』
提供しているサービスに関しても、上記にあるデータベースやAIを用いたコンテンツ分析、セキュリティによる環境の保護などを含む200以上の製品を展開しています。
参考:『【徹底比較】クラウドには3種類ある!メリット・デメリットを解説』
参考:『Azure』
Azureの特徴
- Windowsとの高い親和性を活かして、企業のWindowsをベースにして構築されたITインフラに利用しやすい。
- Microsoftが展開するWordやExcelを始めとするOffice365や社員管理に用いられるActive DirectoryなどのMicrosoftツールと相性がよい。
- 初めてクラウドサービスを利用する方には少し難易度が高い
参考:『【徹底比較】クラウドには3種類ある!メリット・デメリットを解説』
Azureの導入事例
NBA
引用: 『NBA Official』
世界的な知名度を持つプロバスケットリーグのNBAは、現在約215ヵ国で約50言語に翻訳されて視聴されています。
そんなNBAは、ITプラットフォームをAzureに移行することで革新的なエクスペリエンスを創出し、ファンのエンゲージメントを維持するとともにレフェリーがすべての試合で安定してジャッジできるようにしました。
結果として、ファンと競技の距離が近くなったことでバスケットボール競技の世界的な発展という目的を推進することになり、現在ではソーシャルメディアアカウントのフォロワー数は2億人を超え、知名度を増やしています。
参考:『NBA:業務改善とファンエンゲージメントの強化で大きな成果を得る』
H&R BLOCK
引用:『H&R BLOCK』
米国を中心に展開している税務会社のH&R Blockは、納税申告書の作成にかかる工数削減に頭を悩ませており、いかに申告書の作成を効率化させるかが課題でした。
そこでH&R Blockは、Azure AIとAzure Machine Learningの利用をすることで、フォーム入力のデジタル化を行いました。
AIを活用することで申告書の作成プロセスが簡略化され、結果としてより少ない時間で納税申告の処理を最適化することに成功しました。
参考:『H&R Block が Azure AI を使用して納税申告書を変革する方法』
FUJITSU
引用:『FUJITSU』
日本の大手テクノロジーメーカーである富士通では、消費者の生活やニーズが多様化したことによって、消費者のニーズに迅速に対応できなくなってきたことが課題でした。
より消費者ニーズを明確にして事業拡大へと繋げるために、富士通はAzureを導入してサービスの基盤を整備するところから着手しました。
具体的には、クラウド戦略でオンプレミスの環境にあったデータセンターをAzureに置き換え最新化したことで、スピード感をもった基盤に拡張することができ、同時にコストの削減にも成功しました。
Azureの充実したPaaSにより、運用工数を削減した効率的なサービス開発が可能になりました。
参考:『富士通Japan が自社ソリューションを Azure の PaaS フル活用で新規構築! メリットと「Java on Azure」の魅力とは』
GCP
引用:『Google Cloud』
GCPは検索エンジンの世界市場で84.1%のシェアを占めるGoogleが提供しているクラウドサービスになります。
検索処理や、Google広告の最適化などで獲得した知識や技術を活用した独自のサービスを展開しています。
GCPはその中でも機械学習系のサービスとデータ分析系を扱う基盤システムに強みをもっています。
現在では、GmailやGoogle mapを始めとする世界で幅広く利用されるサービスを支える基盤としてGCPが利用され、しっかりとした運用実績が存在します。
引用:『Google Cloud』
上記には、一部ではあるものの指定の使用量までは無料で扱うことのできるプロダクトが紹介されています。
参考:『【徹底比較】クラウドには3種類ある!メリット・デメリットを解説』
参考:『Google Cloud』
参考:『情報通信分野の現状と課題 | 総務省』
GCPの特徴
- Googleが提供しているサービスで利用されているインフラと、サーい親和性が高いクラウドサービスを利用できる。
- Googleがこれまで展開してきた幅広いサービスから構成されているので、データ分析などを行いやすい
参考:『【徹底比較】クラウドには3種類ある!メリット・デメリットを解説』
GCPの導入事例
くら寿司株式会社
引用:『くら寿司』
大手回転寿司チェーンのくら寿司は、人件費削減のためにお客様の来店から会計までの業務対応を完全自動化にするべく、GCPの導入を決めました。
具体的には、スマホ注文機能をGKE(Google Kubernetes Engine )で構築したり、AI技術を会計時に取り入れるためにEdge TPUを利用しました。
この結果、当時の課題であったお客様の来店から会計までの効率化に成功し、新たな生活様式にコミットしたサービスの提供に至りました。
参考:『くら寿司:GKE や Edge TPU などを駆使して来店から会計までを完全自動化し、新しい生活様式のためのサービスを提供 | Google Cloud』
NTT docomo
引用:『NTT docomo』
大手通信サービスのNTTドコモでは、2021年に無料アプリ「マイマガジン」をリニューアルしたことをきっかけにGCPを導入しました。
具体的にはマネージドサービスとマイクロサービス化を行い、社内において価値創出や改善の活動に集中できるような環境つくりを行いました。
また施策サイクルの高速化により、マイクロサービスなどの構築プロセスが円滑化し、開発プロセスの短縮を実現しました。
参考:『NTTドコモ:マネージド サービスとマイクロサービス化で価値創出や改善活動に集中できる環境を実現』
京セラ株式会社
引用:『京セラ株式会社』
主に半導体や自動車部品などを扱う京セラ株式会社は、デジタルプラットフォームの構築に伴いGCPを全面採用し、ものづくりでのDX化を行いました。
主にデータ収集、データ活用、およびそれらを機能として提供するサービスの3つの部分でGCPを取り入れています。
GCPの活用により、AIを活用したデータ収集・分析で運用がスムーズに進み、人件費などのコスト削減を実現しました。
参考:『京セラ:デジタルプラットフォームにGoogle Cloudを全面採用、ものづくりの “Dx” を次のフェーズへ | Google Cloud』
コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社
引用:『コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社』
数多くのチェーン店を展開しているコカ・コーラボトラーズジャパンでは、主にデータ分析や機械学習のプロセスにおいてGCPを取り入れました。
GCPを活用して約70万台もの自動販売機の分析や機械学習を行うことで、予測を行うプラットフォームの構築を、短時間で実現できました。
GCPの導入により、最終的にはそれまで一週間ほどの時間がかかっていたデータ分析をリアルタイムで処理できるまでに効率化させることに成功しました。
参考:『コカ・コーラ ボトラーズジャパン:約 70 万台の自動販売機の分析・機械学習による予測プラットフォーム構築を短期間で実現 | Google Cloud』
まとめ
本記事では、クラウドサービスについて分類ごとの特徴やメリットを解説し、大手3社が展開しているクラウドサービスについて紹介しました。
この記事を読んで、Webサービス利用の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
株式会社Unionは、複数の自社メディアを運用しており、具体的な数値と仮説に基づいた改善を続けています。
Web広告運用のご相談と併せてLPの制作・改善相談も承っております。
蓄積されたノウハウから短時間で課題を解決に導きます。
お客様のあらゆるニーズに対し分析・調査を行い最適なプランをご提案しますので、お気軽にご相談ください。
監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。