Google広告において、自動入札の利用がGoogle広告の利用者から注目を浴びています。
Google内部のデータとして2021年の時点でGoogle広告を利用している広告主の80%以上の方々が自動入札の機能を利用していると計測されました。
自動入札では、高度な機械学習を用いることで、ユーザーの性別や年齢、デバイスを始めとするユーザーの属性をもとにして、入札単価を自動的に設定します。
自動入札を利用するにあたり、入札戦略レポートとよばれるツールを利用することで、入札戦略の成果を確認することができます。
本記事は、入札戦略レポートについて、レポート内で確認することができることや、入札戦略レポートの確認手順、確認することのできるレポートの種類について解説しています。
参考:『検索広告の入札単価設定をさらにスマートにGoogle 広告の自動入札機能』
参考:『Google広告、入札戦略レポートを確認する方法と活用の仕方』
関連記事:『Google広告の自動入札とは?6つの戦略と手動入札との違いを紹介』
Contents
入札戦略レポートとは
引用:『自動入札戦略の入札戦略レポート』
入札戦略レポートは、自動入札*を採用した戦略においてその成果を把握するのに利用されるツールになります。
入札戦略のステータス、傾向の推移、目標達成に至るまでの所要時間などの情報の確認ができます。
設定された入札戦略の種類に基づいて、重要なデータや最も高い関連のある指標がレポートとして表示されます。
参考:『自動入札戦略の成果を評価する』
参考:『自動入札戦略の入札戦略レポート』
参考:『【Google入札戦略レポート】を使おう!』
入札レポートの内容
入札戦略レポートで確認できる内容は以下の通りです。
- 入札戦略のステータス
- 上位のシグナル
- スコアカード
- コンバージョン達成までの所要時間
- 掲載結果グラフ
- シミュレーション
これらの内容を確認することができます。
参考:『自動入札戦略の入札戦略レポート』
入札戦略のステータス
入札レポートの確認画面において最上部に入札戦略のステータスが表示されます。
この指標では、状況に応じた自動入札戦略の状態を示しており、入札戦略の成果や注意するタイミングを知ることができます。
入札戦略には5種類のステータスがあり、それぞれGoogle広告のヘルプで以下のように定義されています。
無効
入札戦略が無効になっています。この場合3つの理由が考えられます。
- キャンペーンが一時停止されているか、適用されているキャンペーンがない。
- 戦略を使用しているすべてのキーワードや広告が一時停止している。
- 前払いの残高が不足している。
有効
入札戦略が有効な状態で、掲載結果を最適化するように入札単価が設定されている状態なので、変更の必要はありません。
学習中
自動入札戦略を変更した際に、機械学習が最適な状態になるためには2~4週間ほどかかります。
その際、ステータスが「学習中」に変わります。
以下の4つの理由のいずれかに該当します。
- 新しい戦略
- 設定の変更
- コンバージョンアクション設定の変更
- 構成要素の変更
なお、ステータスが「学習中」の場合でも引き続き利用することはできますが、パフォーマンスが安定しないため、ステータスが変わってから改めて掲載結果を測定するようにしましょう。
制限付き
入札戦略が制限されている状態です。
以下に示す3つのいずれかの理由により、入札戦略が制限されています。
- 広告枠…広告表示ができる検索件数が限られている
- 入札単価の上限 / 下限…入札単価の上限、下限に達している
- 予算制限…戦略を使用しているキーワードで予算制限を受けている
設定が不適切
設定が不適切である場合に表示されることがあります。
理由としては主に以下の2つが考えられます。
- 「クリック数の最大化」「コンバージョン数の最大化」「コンバージョン値の最大化」の入札戦略において、他の入札戦略と予算を共有している
- 「目標コンバージョン単価」「目標広告費用対効果」「コンバージョンの最大化」の入札戦略において、適切なコンバージョンアクションが設定されていない
参考:『入札戦略のステータスについて』
参考:『【Google入札戦略レポート】を使おう!』
参考:『自動入札戦略の入札戦略レポート』
上位のシグナル
この項目では、コンバージョンをベースとした一部の戦略において、ユーザーの中でコンバージョンに至る可能性の高い場合の入札単価が自動で設定されているディメンションについて確認することができます。
ディメンションはデータの属性を表しており、値がレポートの行に表示されています。
具体的な上位シグナルの例としては、以下のものが挙げられます。
- デバイスのタイプや種類
- 位置情報
- 曜日や時間帯
- 検索語句
- リマーケティングリスト
- カスタマーマッチリスト など
参考:『Googleアナリティクスのディメンション|指標との違いと使い方を解説』
参考:『自動入札戦略の入札戦略レポート』
参考:『上位のシグナルを活用して入札戦略を分析する』
スコアカード
スコアカードでは、入札戦略のタイプに沿った指標の確認を行います。
指標としては、「平均目標コンバージョン単価」「実際のコンバージョン単価」「コンバージョン数」や「クリック数」「クリック単価」などを確認することができます。
入札戦略とスコアカードの関係は以下の通りです。
入札戦略 | スコアカードの項目 |
目標コンバーション単価 | 「平均目標コンバーション単価」「実際のCPA」「費用」「コンバーション数」「コンバーション率」 |
目標広告費用対効果 | 「実際の広告対効果」「費用」「コンバーション値」「コンバーション数」 |
目標インプレッションシェア | 「検索広告のインプレッションシェア」「表示回数」「費用」 |
クリック数の最大化 | 「費用」「クリック数」「平均クリック単価」「クリック率」 |
コンバーション数の最大化 | 「費用」「コンバーション率」「コンバーション単価」 |
コンバーション値の最大化 | 「費用」「コンバーション値」「平均広告費用対効果」 |
引用:『【Google入札戦略レポート】を使おう!』
参考:『自動入札戦略の入札戦略レポート』
コンバージョン達成までの所要時間
ユーザーがコンバージョンに至るまでの所要時間を確認します。
コンバージョンが完全に記録されたのちに、入札戦略の効果を評価します。
参考:『自動入札戦略の入札戦略レポート』
掲載結果グラフ
2つ以下の指標について掲載結果の推移を比較します。
期間を調整し、任意の日にちの範囲でのデータを表示することが可能です。
参考:『自動入札戦略の入札戦略レポート』
シミュレーション
目標とする値や1日の予算を変更した際に、効果にどのような変化があるかを推測し、その推測結果を確認します。
参考:『自動入札戦略の入札戦略レポート』
入札戦略レポートの確認手順
入札戦略レポートは、入札戦略のタイプごとに指標を確認できます。
ここでは、標準の入札戦略とポートフォリオ単位(ここでは複数のキャンペーン、広告グループ、キーワードのグループを指します)での入札戦略について、それぞれのレポート確認手順を説明します。
入札戦略レポート確認手順(標準戦略とポートフォリオ入札戦略の場合)
キャンペーンを個別で確認する、もしくはポートフォリオ入札戦略について確認する際には以下の手順で確認します。
キャンペーンをクリック
Google広告アカウントから[キャンペーン] をクリックします。
キャンペーンごとに 1 つの行が表示されます。
入札戦略レポートにアクセス
[入札戦略タイプ] 列で、リンクをクリックして入札戦略レポートにアクセスします。
入札戦略レポートを確認
キャンペーンで標準(キャンペーン レベル)の入札戦略を使用している場合は、キャンペーンレベルのレポートが表示されます。
キャンペーンがポートフォリオの一部である場合は、ポートフォリオ入札戦略全体の入札戦略レポートが表示されます。
「入札戦略タイプ」の列が表示されていない場合
「入札戦略タイプ」の列が表示されていない場合は、以下の方法で確認することができます。
[キャンペーン] をクリック
Google広告アカウントにログインし、[キャンペーン] をクリックします。
[表示項目]アイコンをクリック
表の上にある表示項目アイコンをクリックします。
その後、プルダウンの中から[表示項目の変更] をクリックします。
[属性] プルダウンを選択
[キャンペーンの表示項目を変更] で、[属性] プルダウンを選択します。
[入札戦略タイプ] を選択
[属性] カテゴリで [入札戦略タイプ] を選択します。
最後に[適用]ボタンをクリックしたら完了です。
引用:『入札戦略レポートを表示する』
参考:『入札戦略レポートを表示する』
入札戦略レポート確認手順(ポートフォリオ戦略のみの場合)
アカウントの様々なポートフォリオ入札戦略すべての集計結果を確認したい際は、この方法で確認することが勧められます。
ツールアイコンをクリック
Google広告アカウントにログインし、ツールアイコンをクリックします。
[入札戦略] を選択
[共有ライブラリ] で [入札戦略] を選択します。
その後、ポートフォリオ入札戦略の名前をクリックしてレポートにアクセスします。
引用:『入札戦略レポートを表示する』
参考:『入札戦略レポートを表示する』
アカウントの入札戦略レポートの確認手順
ポートフォリオ入札戦略に含まれておらず、Google広告アカウント内のすべての入札戦略の集計結果を確認したい場合は、以下の手順でアカウントの入札戦略レポートを確認します。
ツールアイコンをクリック
Google広告アカウントにログインし、ツールアイコンをクリックします。
[入札戦略] を選択
[共有ライブラリ] で [入札戦略] を選択します。
[アカウントの入札戦略] を選択
左側のパネルで [アカウントの入札戦略] を選択します。
引用:『入札戦略レポートを表示する』
参考:『入札戦略レポートを表示する』
入札戦略レポートの確認でわかる入札戦略の種類
入札戦略レポートでは、以下の入札戦略について、キャンペーンもしくはポートフォリオ単位での確認ができます。
- 目標コンバージョン単価
- 目標広告費用対効果
- 目標インプレッションシェア
- クリック数の最大化
- コンバージョン数の最大化
- コンバージョン値の最大化
参考:『自動入札戦略の入札戦略レポート』
目標コンバージョン単価
自動入札戦略の一つである目標コンバージョン単価制は、設定された単価で最大のコンバージョン獲得が可能になるように入札単価が自動調節されます。
この自動入札戦略では、標準入札戦略として1つのキャンペーンに適用することやポートフォリオ戦略として複数のキャンペーンにまたがって適用させることもできます。
「目標コンバージョン単価」の入札戦略を作成する際は、1件のコンバージョンで支払う平均額を設定します。
その後、自社の情報をユーザーが検索した際に設定していた目標コンバージョン単価をもとに、コンバージョン獲得の可能性をもとに入札単価が自動で設定されます。
例として、目標コンバージョン単価を5,000円として設定した際には、その5,000円でできる限り多くのコンバージョンを獲得することを目標として自動で入札単価が設定されます。
目標広告費用対効果
目標広告費用対効果では、ユーザーの検索に対して見込まれるコンバージョンを分析、予測した上で、該当する検索語句の入札単価が自動で調整されます。
こちらに関しても、標準入札戦略とポートフォリオ戦略のどちらにも使用することができます。
目標広告費用対効果を入札戦略として適用するには、トラッキングするコンバージョンの値の設定が必要になります。
なお、この入札戦略をキャンペーンで使用する際は、過去30日間のうちコンバージョンを15件以上獲得していることが条件となります。
また、広告費用対効果はコンバージョンによって異なりますが、設定された目標広告費用対効果と費用当たりのコンバージョンが同等になるように調整されます。
例として設定した目標広告費用対効果が200%である際には、その目標を達成するのに加えて、コンバージョンの値を最適化するために入札単価が自動で調節されます。
その際、入札単価はリアルタイムの情報によって調整されます。
この目標広告費用対効果は、入札戦略を新たに作成した場合や、最適化スコアの最適化案を選択した場合に適用するキャンペーンを指定することで推奨値が表示されます。
目標広告費用対効果の推奨値は、実際の過去数週間分の広告の費用対効果をもとに算出されています。
参考:『目標広告費用対効果に基づく入札について』
目標インプレッションシェア
この入札戦略では、Google検索の検索結果を示すページにおいて最上部や上部、もしくは任意のスペースに広告を表示するように、入札単価を自動で設定します。
こちらに関しても、標準入札戦略としてもポートフォリオ戦略としても適用することができます。
目標インプレッションシェアの適用は、キャンペーンの中でブランドキーワードを使用する際に効果的であり、ブランドの認知を拡大させるのに利用されます。
ブランドキーワードとは、企業の名前や製品の名前など企業のブランドに関連のあるキーワードを指します。
目標インプレッションシェアの設定を100%にした場合、設定したキャンペーンの広告を100%検索結果に表示することができます。
仮にページ最上部のインプレッションシェアの目標を60%と設定した際には、ページ最上部に自社の広告が表示される可能性のある回数の60%は目標を達成するように自動でクリック単価を設定します。
例として大型のシューズショップと競合してローカルのシューズショップが広告を掲載している場合、目標インプレッションに集中することで、自社のブランドをユーザーの検索結果に表示することができます。
参考:『ブランドキーワード(指名検索キーワード)対象のWebコンテンツによる集客』
参考:『目標インプレッション シェアによる入札について』
クリック数の最大化
こちらの入札戦略を適用することで、設定した予算内において最大のクリック数が獲得できるように自動で入札単価が調整されます。
「クリック数の最大化」に関しても、キャンペーン単体の標準入札戦略としてもポートフォリオ戦略としても適用することができます。
この入札戦略を使用する際には、上限クリック単価を設定し、入札単価の上限を定めます。
上限クリック単価は、ユーザーが広告を1回クリックすることに対して支払い可能な上限金額として設定されます。
指定した上限クリック単価の金額を超えた請求はされません。
なお、上限クリック単価を設定しなかった場合は、予算内でクリック数を最大化するように、制限なしで入札単価が自動的に調整されます。
参考:『「クリック数の最大化」入札戦略について』
参考:『上限クリック単価』
コンバージョン数の最大化
こちらの入札戦略を適用すると、予算内で得られるコンバージョン数が最大になるように自動で入札単価を調整されます。
そのため、獲得するコンバージョン数を重要視するのであれば、効果のある入札戦略になります。
「コンバージョン数の最大化」では、キャンペーンの過去の情報やその時の状況をもとに、機械学習とオークションの自動入札機能を用いて予算内でコンバージョン単価が最も低くなるように設定されます。
目標コンバージョン単価を設定しなかった場合は、あらかじめ設定していた予算が、コンバージョンの獲得数を最大にするために利用されます。
1日に利用できる平均予算を使い切るように入札されるので、1日の平均予算額を確認する必要があります。
目標コンバージョン単価を設定した場合、そのコンバージョン単価を維持しつつ、その中でできる限り多くのコンバージョン数を獲得できるようになります。
コンバージョン値の最大化
この入札戦略を利用することで、設定していた予算内でキャンペーンを合計した際のコンバージョン値を最大にすることが可能です。
1つのキャンペーンに利用することも、ポートフォリオ入札戦略で複数のキャンペーンにまたがって適用させることもできます。
この入札戦略を利用する際は、注文や購入などのコンバージョン値をコンバージョントラッキングの設定であらかじめ割り振っておく必要があります。
コンバージョン値の調整は、ユーザーやデバイス、場所においてコンバージョンの価値が高いかどうかで設定することもできます。
商品購入の例を用いると、コンバージョン1回であっても購入された商品の値段によってそのコンバージョン自体が持つ価値は異なります。
そのため、正確にコンバージョンの値を測定するには、コンバージョン1回あたりの持つ価値については、状況に応じて値を決定するように指定する必要があります。
Webサイトで変動するコンバージョン値の設定を行う方法に関しては、Google広告が公式で公開している「注文や購入ごとに変動するコンバージョン値をトラッキングする」の記事を参照してください。
この入札戦略では、機械学習を用いて過去の掲載結果やオークションの状況を基に分析を行います。
結果として広告の表示に必要な入札単価を自動で調整できるため、限られた予算で最も価値が高いコンバージョンの獲得を目指します。
なお、この入札戦略では指定していた予算でコンバージョン値の高い結果を得ることを目標にしているため、オークションにおいてコンバージョン値が小さいものよりも、コンバージョン値が大きいもののほうが、入札単価が高くなってしまうことがあります。
参考:『「コンバージョン値の最大化」入札戦略について』
参考:『コンバージョン値について』
参考:『注文や購入ごとに変動するコンバージョン値をトラッキングする』
まとめ
本記事では、入札戦略レポートについて、レポート内で確認できる内容や、入札戦略レポートの3種類の確認手順、確認することのできる6種類の入札戦略について紹介しました。
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監修者
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