リスティング広告やSNS広告などのWeb広告を運用していてコンバージョンが思うように獲得できないとき、まずはその原因を明確にすることが大切です。
コンバージョン数を向上させたいけれど、どこを改善すればいいのかがわからないなら、マイクロコンバージョンを設定するのがおすすめです。
たとえばある宝飾系のECサイトでは、広告改善を実施しようにもそもそもの購入数(コンバージョンの数)が少なく、改善点の発見やデータ分析自体が難しい状況でした。
そこで、商品購入に至る前の段階である「商品をカートに追加する」というアクションを起こしたデータ数をマイクロコンバージョンとして設定し、運用の改善をはかりました。
結果的に、商品購入に至る数(コンバージョン)がおよそ5倍になるという結果に。
参考: 『S&Eパートナーズ株式会社『マイクロコンバージョン導入で反響数が5倍に増加したECサイトの事例』』
マイクロコンバージョンを導入することで、コンバージョンの獲得数を増やすだけでなく、広告をクリックしたあとのユーザーの行動が可視化されるというメリットがあります。
コンバージョンまでの一連の流れのなかでどの点を改善するべきなのかが明確になるため、広告の改善に役立つのです。
今回は、マイクロコンバージョンの定義やメリット、設定にあたって知っておきたいポイントについて解説します。
Web広告の成果を向上させたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
以下は、リスティング広告の効果改善について解説した記事です。
「コンバージョンがなかなか獲得できない」「コンバージョン率を上げる方法がわからない」という課題があるなら、こちらも参考になるでしょう。
関連記事:『【3段階で分析】ボトルネック別・リスティング広告運用改善9案』
Contents
マイクロコンバージョンの定義やコンバージョンとの違いは?
マイクロコンバージョンとは
マイクロコンバージョン(MCV)とは、最終のゴールであるコンバージョンに至るまでに経由する、中間ゴールのことを指します。
「中間コンバージョン」という名称が用いられる場合もあります。
たとえば、Web広告をクリックした先にあるECサイトの最終ゴールが商品の購入であった場合、「商品の詳細ページを閲覧する」「商品をカートに入れる」「購入手続きのページに遷移する」などの中間行動がマイクロコンバージョンにあたります。
マイクロコンバージョンは、対象となるページに専用のタグを埋め込むことで計測が可能です。
詳しい設定方法は、後ほど解説します。
コンバージョンタグについては、以下の記事でもご紹介しています。
関連記事:『Google広告のコンバージョンタグをタグマネージャーで設定する5ステップ』
マイクロコンバージョンが計測できる広告媒体
なお、マイクロコンバージョンが計測できる広告媒体として、以下が挙げられます。
- Google広告
- Yahoo!広告
- Facebook広告
- Twitter広告
- LINE広告
参考:『アジト株式会社『マイクロコンバージョンとは?設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』』
参考:『【徹底解説】マイクロコンバージョンとは?設定の注意点や事例を紹介!』
コンバージョンとの違いは
引用:『【3段階で分析】ボトルネック別・リスティング広告運用改善9案』
コンバージョン(CV)とは、そのサイトに設定された最終のゴールとなるユーザー行動を指します。
ECサイトなら「商品の購入」、健康食品を紹介するランディングページなら「無料お試しに申し込む」など、サイトによって最適なCV項目は異なります。
コンバージョンは、必ずしも申し込みや購入を設定する必要はありません。
傾向として、マンションや車などの高級商材の場合は、Web広告のコンバージョンとして「資料請求」「説明会の予約」などが設定されています。
まとめると、以下の通りです。
- コンバージョン…サイトの目的となる最終ゴール
- マイクロコンバージョン…最終ゴールに至るまでの中間ゴールとなるユーザー行動
マイクロコンバージョンは、コンバージョンの前段階にある中間地点であり、最終目標を達成するための数値を集めるためのものです。
以下の記事では、コンバージョン測定の方法について解説しています。
マイクロコンバージョンの導入を検討しているなら、こちらもぜひご覧ください。
関連記事:『コンバージョン測定とは?確認方法や計測できる9種のCVを解説!』
マイクロコンバージョンを設定するメリット
マイクロコンバージョンを設定することで、以下のメリットが得られます。
- コンバージョン数の向上に役立つ
- 自動入札に活用できる
- コンバージョンに至るまでのユーザー行動が可視化される
ここでは、それぞれのメリットについて解説します。
コンバージョン獲得数の向上に役立つ
コンバージョンが思うように獲得できていないが原因がわからない場合、マイクロコンバージョンを設定することでボトルネックとなっている箇所を発見することができます。
商品・サービスの内容によっては、比較検討の期間が長い、高額であるなどの理由でコンバージョン数が少ないこともあるでしょう。
コンバージョンのサンプルが少ないと、施策の成果を検証するのが困難です。
マイクロコンバージョンを設定すれば、材料にできるデータが増えるため、より高い精度で広告の効果検証が可能になります。
たとえば、複数のパターンの広告を掲載してコンバージョン数が同じであるケースでも、「入力フォームへの遷移」などの中間地点に至った件数を比較することで、どれがより効果的であるかの判断ができます。
自動入札に活用できる
Google広告やYahoo!広告などの広告媒体には、自動入札という機能があります。
自動入札とは広告の入札戦略の一つで、「サイトアクセスを増やす」「目標コンバージョン単価でコンバージョンを増やす」「予算全体を使いながらコンバージョンを増やす」などの目標に応じて、広告の入札価格を自動で調整する仕組みを指します。
この自動入札の活用には、広告運用の手間が削減される、広告の費用対効果を向上させられるといったメリットがあります。
参考:『Google広告『自動入札機能について』』
自動入札は機械学習を重ねることで精度が上がっていくのが特徴です。
しかし、獲得しているコンバージョン数が少ないとなかなか反映されないというデメリットもあります。
Google広告では正確に評価を行うために、1か月〜の期間に30回以上のコンバージョン(目標広告費用対効果の場合50回以上)を獲得していることが推奨されています。
マイクロコンバージョンのデータは自動入札に使用できるため、本来のコンバージョンのデータを補完し、運用を最適化したい場合におすすめです。
なお、マイクロコンバージョンデータを自動入札で使用するには、広告の管理画面から(Googleの場合だと「コンバージョンアクションの設定」)、該当するデータを「コンバージョン列に含める」と設定する必要があります。
詳しくはGoogleなどからリリースされている手順をご覧ください。
Web広告の自動入札戦略については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:『Google広告の自動入札とは?6つの戦略と手動入札との違いを紹介』
参考:『 [コンバージョン列に含める] 設定について』
コンバージョンに至るまでのユーザー行動が可視化される
マイクロコンバージョンを導入するメリットとして、最終ゴールであるコンバージョンに至るまでのユーザーの行動が可視化できるという点も挙げられます。
マイクロコンバージョンは複数設定が可能なので、中間のポイントごとに計測すれば、ユーザーがどこで離脱しているのかを明確にできます。
たとえば、ひとつのランディングページでも「ページの閲覧」「申し込みフォームのクリック」「入力確認の表示」「申し込み完了画面の表示」といったさまざまな中間ポイントがあります。
- ページを閲覧した人数:80名
- 申し込みフォームに到達した人数:5名
- 入力確認を表示した人数:4名
- 申し込み完了画面の表示に至った人数:4名
上記の計測結果では、①と②の数値に大きな開きがあり、約94%のユーザーが申し込みフォームに至る前にページを離脱していることがわかります。
この場合「広告の訴求内容とランディングページの内容が一致していない」「ページ内で魅力的な訴求ができていない」などの仮説が立てられます。
このようなユーザー行動の可視化によって、コンバージョン獲得の精度を高めることができます。
参考:『【徹底解説】マイクロコンバージョンとは?設定の注意点や事例を紹介!』
マイクロコンバージョンを導入する際の注意点
マイクロコンバージョンには、先にご紹介したメリットがある反面、導入にあたって注意点もあります。
ここでは、マイクロコンバージョンを設定する前に知っておきたいポイントについてまとめました。
あらかじめこれらの知識を頭に入れておくことで、より慎重に運用できるでしょう。
数値管理が複雑になる
マイクロコンバージョンを設定すると、通常のコンバージョンとともに把握する必要があるため、管理する指標が増え、分析業務のボリュームも上がります。
Web広告の運用では、コンバージョンだけでなく、広告のインプレッション(表示)数や、クリック数、クリック率、クリック単価、コンバージョン単価といった指標のチェックが欠かせません。
そこにマイクロコンバージョンが加わることで、分析業務が複雑になったと感じる場合もあるでしょう。
マイクロコンバージョンの数値を追うにあたって留意したいのは、あくまでコンバージョン獲得をより効率的に行うための材料であるという点です。
マイクロコンバージョンを上げることに重きを置くのではなく、コンバージョン数を増やす手がかりとして活用しましょう。
参考:『【徹底解説】マイクロコンバージョンとは?設定の注意点や事例を紹介!』
以下の記事では、Web広告の運用に際して知っておくと便利な用語や指標について説明しています。
広告運用初心者の方は参考にしてください。
関連記事:『【初心者向け】アクセス解析の用語13選!マーケティングの基本を解説』
自動入札に影響する場合も
先述のように、Google 広告やYahoo!広告の目的に合わせて入札の戦略を設定できます。
入札戦略のなかでも「スマート自動入札」は、コンバージョン数またはコンバージョン値の最適化を行うのが特徴です。
スマート入札戦略の種類
- 目標コンバージョン単価でコンバージョンを増やす
- 各コンバージョンの価値が異なる場合に、目標広告費用対効果(ROAS)を達成する
- 予算全体を使いながらコンバージョンを増やす
- 予算全体を使いながらコンバージョン値を増やす
参考:『Google広告『自動入札機能について』』
マイクロコンバージョンを設定することで、自動入札の機械学習を促進しますが、入札価格の調整に影響を及ぼす場合もあります。
たとえば「予算全体を使いながらコンバージョンを増やす」という設定をした際、マイクロコンバージョンの数が増えるように調整が行われるというケースがあります。
運用の際は、獲得ボリュームがマイクロコンバージョンに寄りすぎないよう、こまめに数値をチェックしておくことが大切です。
以下の記事では、Web広告の自動入札機能にも導入されている機械学習の仕組みについて解説しています。
広告運用の手間を削減し、効率よく運用したい方に役立つでしょう。
関連記事:『今注目を集める広告業界のAI活用とは?5つの事例を解説!』
はじめはマイクロコンバージョンを多く設定する
マイクロコンバージョンは複数設定することが可能です。
運用を始める際、まずは対象となるランディングページやサイトにある、すべての中間地点となるポイントをマイクロコンバージョンとして設定することをおすすめします。
そうすることで、ユーザー行動の全体が可視化され、どこにボトルネックがあるのかを発見しやすくなるためです。
サイトを俯瞰で見るためにも、マイクロコンバージョンとなるポイントを絞りすぎないようにしましょう。
参考:『アジト株式会社『マイクロコンバージョンとは?設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』』
マイクロコンバージョンのポイント(一例)
- 商品ページの表示
- 問い合わせフォームの表示
- 資料請求フォームの表示
- 商品購入用カートページの表示
- 申込みフォームの表示
- 入力内容確認ページの表示
ボトルネックの改善方法
マイクロコンバージョンを計測することで、ランディングページやWebサイトのボトルネックが明確になった場合、どのような改善方法があるのかを解説します。
LPO(ランディングページ最適化)
LPO(ランディングページ最適化)とは、コンバージョン率を向上させるためにランディングページの構成や内容を改善する施策のことを指します。
マイクロコンバージョンを計測し、ランディングページ内にユーザーが大きく離脱するポイントがあった際は、改善に取り組む必要があります。
たとえば、ランディングページへのアクセスはあるものの、次のマイクロコンバージョンポイントでユーザーの数が大幅に減っている場合、以下のような原因が考えられます。
- 広告のクリエイティブやテキストの内容とランディングページに乖離がある
- ファーストビューでユーザーを惹きつけることができていない
①の場合、広告の内容かランディングページ、いずれかの改善を行います。
広告が商品・サービスに適していないのか、またはランディングページが上手く機能していないのかを見極めることが大切です。
②の場合、LPのキャッチコピーが商品・サービスの魅力を訴求できているか、メインビジュアルの写真や画像のクオリティーに問題がないかなどを検証してください。
また、ファーストビューが情報過多になり、ユーザビリティーが下がっていないかもチェックしておきましょう。
また、ランディングページのボリュームが多い場合、マイクロコンバージョンのポイントに到達する前にユーザーが離脱している可能性があります。
「問い合わせ」「申し込み」などのCTAを随所に設置するなどの対策を試みてください。
参考:『シナジーマーケティング株式会社『マーケティング用語集 CTA』』
以下の記事では、LPOの基礎知識についてご紹介しています。
ランディングページに改善点が見つかった際は、チェックしてみてください。
関連記事:『LPO(ランディングページ最適化)とは?基礎知識と改善ポイント5選!』
EFO(入力フォーム最適化)
引用:『株式会社Union』
EFOとは、コンバージョン率を向上するために入力フォームを最適化する施策のことを指します。
以下の場合、入力フォームに改善点がないか確認してみると良いでしょう。
- 資料請求の入力フォームにアクセスがあるものの、入力情報確認フォームに遷移しているユーザーが少ない
- 商品をカートに入れるところまでは進むが、購入に至らないユーザーが多い
①②いずれのケースでも、フォームの入力率を上げるために、ユーザーにかかる工数を極力減らすことが重要です。
以下の施策のなかで、取り入れられるものがあれば反映させてみてください。
EFO施策の一例
- CTAを活用し、ページ内の各所から入力フォームに遷移できるようにする
- 入力フォームの必須項目のなかに不要なものがあれば削る
- 住所の自動入力機能を導入する
- 未入力の項目や入力エラーがある項目は目立つ色の文字で注意喚起をする
EFOの詳しい内容は、以下の記事でも取り上げています。
関連記事:『EFO(入力フォーム最適化)とは?CVRを改善する6つのポイントとは』
広告クリエイティブの改善
LPO(ランディングページ最適化)の項目でもお伝えしたように、広告クリエイティブの内容と遷移先のページに乖離がある場合は、改善する必要があります。
たとえば、リスティング広告のテキストには「期間限定!7月末までの申し込みで30%OFF」と表記があるのに、ランディングページ内で割引についての言及がない場合、ユーザーは不安を感じてページから離脱する可能性があります。
また、広告では「30%OFF」と書かれていたにもかかわらず、遷移先のページで「20%OFF」と異なる表記がなされていた場合、ユーザーを混乱させてしまい結果的に離脱を促してしまうでしょう。
このように、広告と遷移先の内容を一致させることが大切です。
また、記載されている情報だけでなく、広告クリエイティブとランディングページのトンマナを揃えることも、ユーザーに違和感を覚えさせないために心得ておきましょう。
参考:『LINEヤフー for Business『トンマナとは?デザイン・文言で決めるべき項目、重要性や設定時の注意点を解説』』
マイクロコンバージョンの設定方法
Google広告を例として、マイクロコンバージョンの設定方法について解説します。
Google広告管理画面から新しいコンバージョンアクションを追加
Google広告の画面を開き、上部にあるメニューから「ツールと設定」を選択→「測定」のメニューから「コンバージョン」をクリックします。
「概要」ページの左上にある「+新しいコンバージョンアクション」をクリックします。
コンバージョンの種類を選択し、Webサイトの情報を入力する
トラッキングするコンバージョンの種類を選びます。LPやECサイト内でマイクロコンバージョンを計測する場合は、「ウェブサイト」を選択して、対象とするサイトのURLを入力しましょう。
コンバージョンアクションを設定する
カテゴリ
コンバージョン名
カウント方法
コンバージョンアクションの設定画面で「カテゴリ」「コンバージョン名」「カウント方法」などを選択または入力してください。
設定後は、「コンバージョン列に含める」で「はい」を選びます。
タグの追加方法「タグを自分で追加する」「タグをメールで送信する」「Googleタグマネージャーを使用する」が表示されるので、方法を選択します。
参考:『アジト株式会社『マイクロコンバージョンとは?設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』』
まとめ
この記事を読んで、マイクロコンバージョンの最適な活用が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
弊社ではリスティング広告運用代行というサービスを展開しております。
リスティング広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
蓄積されたノウハウから短時間で課題を解決に導きます。
また、薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。