昨今ではSNSでの検索やレコメンドが台頭してきていますが、いまだに「検索エンジン」は多くのユーザーが頻繁に利用しています。
LINE株式会社が2021年に公開した調査レポートによると、スマホで調べものをするとき、SNSを使うユーザーが59%いるのに対して検索エンジンを使うユーザーは93%だということがわかりました。
本記事では、そんな検索エンジンを使用したマーケティング「SEM」の種類や特徴、活用方法を解説していきます。
参考:『スマホで検索するときに重視していることや調べるジャンルは?』
Contents
SEMとは?
SEM(Search Engine Marketing)とは、「検索エンジンマーケティング」とも呼ばれ、SEOやリスティング広告などの検索エンジンを活用したマーケティングを総称したものです。
インターネット広告市場は年々拡大しており、そのうち市場規模が一番大きい広告が検索連動型広告です。
運用型の検索連動型広告は、インターネット広告媒体費の39.9%を占めており、このような検索エンジンを活用した広告は最もメジャーだといえます。
SEMは、GoogleやYahoo!といった検索エンジンからユーザーを自社のWebサイトやランディングページに呼び込むことを目的としています。
SEMでは、比較的ニーズが明確な顕在ユーザーに対してアプローチすることができます。
なぜなら、検索キーワードにはユーザーの「悩み」や「解決したいこと」が含まれている場合が多いからです。
例えば、「美容液 おすすめ」→美容液を探している、「中古車 安い」→安い中古車を探しているなど、検索キーワードからユーザーのニーズを汲み取ることができます。
ここからはSEMで用いられる代表的な手法、「SEO」「リスティング広告」「ディスプレイ広告」の3種類をご紹介します。
参考:『2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析|電通』
関連記事:『【3段階で分析】ボトルネック別・リスティング広告運用改善9案』
SEMの施策3種類
SEO
SEO(Search Engine Optimization)とは、「検索エンジン最適化」とも呼ばれ、自然検索結果で上位表示を目指し、自社サイトにユーザーを呼び込むための施策です。
下図のように、検索結果ページ上で「広告」と表示されていない箇所が、自然検索結果(オーガニック検索)です。
SEOでは、検索エンジンのアルゴリズムに適したWebサイト運営を行うことで、検索結果の上位に表示されていきます。
SEO対策は大きく分けて、内部対策と外部対策の2つに分類することができます。
関連記事:『【初心者向け】SEOの専門用語34選!マーケティングの基本を解説』
内部対策とは?
SEOの内部対策とは、自社サイトに施すSEO対策です。
具体的な方法は以下の通りです。
- コンテンツの品質を上げる
- キーワードの選定
- ページスピードや操作性の改善
- HTMLタグの最適化
関連記事:『SEO施策とは?効果的な9つの内部施策と4つの外部施策を紹介』
外部対策とは?
SEOの外部対策とは、自社サイト以外に施すSEO対策です。
具体的な方法は以下の通りです。
- 検索エンジンのクロール・インデックス対策
- 被リンクの獲得
自社サイトのリンクを外部サイトに貼ってもらうことで、自社サイトが有益なコンテンツを提供しているとみなされます。
例えば、「自社の調査結果が外部サイトの記事に紹介され、参考元として自社サイトのリンクが貼られた」といったケースです。
Googleが推奨しているSEO対策の詳細ついては下記をご覧ください。
参考:『Google Search Central』
参考:『SEO「内部対策」と「外部対策」の違いとは?どちらが重要?』
関連記事:『【初心者向け】SEOライティングで上位表示を狙うための9つのコツ』
リスティング広告
リスティング広告とは、「検索連動広告(PPC)」とも呼ばれ、検索エンジンの検索結果に掲載されるWeb広告です。
下図のように、検索結果ページ上で「広告」と表示されているサイトがリスティング広告です。
検索結果の上部または下部に掲載されます。
リスティング広告では、予算や入札単価、広告の品質を高めることで検索結果の上位に表示させることができます。
リスティング広告の詳しい仕組みや運用方法は下記の記事をご覧ください。
リスティング広告は、予算に余裕がありすぐに成果を求める場合に適しています。
参考:『SEM・SEO・リスティング広告の違いを徹底解説!効果的な活用法も紹介』
関連記事:『検索連動型広告とは?仕組みと運用開始までの12のステップを解説』
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリ上の広告枠に掲載されるテキスト広告、画像広告、動画広告のことです。
バナーで表示されることが多いため、「バナー広告」とも呼ばれています。
リスティング広告では、検索キーワードに連動してニーズの明確な顕在層にアプローチできるのに対して、ディスプレイ広告はニーズが明確になっていない潜在層へのアプローチに活用されます。
ディスプレイ広告は、画像や動画等で視覚的に訴求したい場合に適しています。
参考:『SEMとは?SEO対策とリスティング広告の違いと使い分けを解説 | LINEヤフーfor Business』
関連記事:『ディスプレイ広告とは?GDNとYDAの5つの違いを解説 』
SEOとリスティング広告の違い
SEOとリスティング広告は、検索結果ページに表示されるという点は同じですが、費用やクリック率など異なる点が多くあるため両者の違いを理解しておきましょう。
SEOとリスティング広告の違いは以下の通りです。
SEO | リスティング広告 | |
費用 | ◎無料 | △有料 |
クリック率 | ◎高い(上位表示のみ) | △低い |
コントロール性 | △低い | ◎高い(掲載順位・設定の調整可能) |
即効性 | △上位表示まで時間がかかる | ◎すぐに掲載可能 |
持続性 | ◎表示され続ける | ×掲載されなくなる |
ABテスト | ×不可 | ◎可能 |
ブランディング効果 | ◎期待大 | △期待小 |
ターゲット層 | 準顕在層 | 顕在層 |
以降で、それぞれの違いや特徴をみていきましょう。
参考:『【マーケティング】SEMとは?SEOとリスティング広告の違いをわかりやすく解説』
費用
リスティング広告は、ユーザーが広告をクリックした際に費用が発生する「クリック課金制」です。
検索結果への掲載のみであれば課金されないのが特徴です。
逆にクリック回数が多くなると、その分広告費が増加します。
一方、SEOは基本的に無料です。
しかし、自社サイトの制作や改修、記事作成を制作会社に依頼する場合は費用が必要です。
参考:『SEM・SEO・リスティング広告の違いを徹底解説!効果的な活用法も紹介』
関連記事:『成果報酬型リスティングサービスとは?4つの特徴を徹底解剖』
クリック率
リスティング広告は、自然検索の上部または下部に掲載されますが、広告に抵抗があるユーザーからはクリックされにくい傾向があります。
一方、SEOは検索結果の上位サイトほどクリック率が高くなる傾向にあります。
FirstPageSageが公開した2024年の検索順位別クリック率データは以下の通りです。
参考:『2024年のGoogleクリックスルー率(CTR)ランキング順位別』
1位になると39.8%という高い確率でクリックされ、順位が下がるにつれてクリック率も低下しています。
参考:『SEM・SEO・リスティング広告の違いを徹底解説!効果的な活用法も紹介』
参考:『2024年のGoogleクリックスルー率(CTR)ランキング順位別』
関連記事:『【リスティング広告】クリック率が向上する広告文の作成ポイント8選』
コントロール性
リスティング広告は、予算や入札単価の設定によって、ある程度は掲載順位をコントロールすることができます。
オークションで競合よりも上位であれば、自社広告を上位掲載することができるため、比較的コントロール性が高いと言えます。
GoogleとYahoo!リスティング広告の掲載順位については下記をご覧ください。
参考:『Google広告ヘルプ』『Yahoo!広告ヘルプ』
一方、SEOは検索エンジンのアルゴリズムによって順位が決まるため、様々な対策を行なっても上位表示されるとは限りません。
突然、表示順位が落ちることもあるため、表示順位のコントロール性は低いです。
検索エンジンに認識されやすいサイトを制作するために、最低限行ってほしいSEO対策をGoogleは「SEOスターターガイド」として提供しています。
参考:『SEM・SEO・リスティング広告の違いを徹底解説!効果的な活用法も紹介』
運用作業
リスティング広告は、オークションによって掲載順位が変わるため、市場や競合状況によって変動します。
そのため、広告掲載後も成果の出ない広告文の変更などの運用作業が必要になります。
一方、SEOは上位表示に成功した後、競合サイトの状況やGoogleアナリティクスなどから得られる解析データをもとに、サイトを適宜ブラッシュアップし、上位表示を維持する必要があります。
参考:『SEM・SEO・リスティング広告の違いを徹底解説!効果的な活用法も紹介』
即効性
リスティング広告は、料金を支払えば最短で当日から広告出稿・上位掲載が可能です。
また、広告掲載の開始・停止や掲載内容の変更も、すぐに反映されます。
一方、SEOは検索エンジンのアルゴリズムによって順位が決まるため、上位表示までに時間がかかったり、サイト内の変更が反映されるまでにタイムラグが発生することがあります。
参考:『【マーケティング】SEMとは?SEOとリスティング広告の違いをわかりやすく解説』
持続性
リスティング広告は、広告の出稿を停止すると検索結果に掲載されなくなります。
そのため、広告費が無くなれば、Webサイトへの流入・コンバージョン数が減少します。
また、競合が市場に参入してオークションで負けると広告表示がされないケースもあるため、持続性はあまり高くありません。
一方、SEOは上位表示を維持できていれば、継続的にサイトへのアクセスが期待できます。
検索エンジンのアルゴリズムのアップデートや競合の上位表示が無ければ、上位の表示順位を費用なしでキープすることができます。
参考:『SEM・SEO・リスティング広告の違いを徹底解説!効果的な活用法も紹介』
関連記事:『【SEOとコンテンツマーケティング】2つの違いとは?各施策を解説』
A/Bテスト
A/Bテストを実施したい場合は、リスティング広告が向いています。
A/Bテストとは、Webサイトや広告文を最適化するために、2つ以上のパターンに分けてテストを行なうことです。
どのパターンがより良い成果を出すのか検証することが可能です。
リスティング広告は、同じターゲットやキーワードに対して異なるパターンの広告を配信することができるため、成果が上がる広告を見極めることが可能です。
一方で、SEOはターゲティングができない、主要タグの変更が検索結果に反映されるまでに時間がかかるなどコントロール性に劣っているため、基本的にABテストは不可能です。
参考:『SEM・SEO・リスティング広告の違いを徹底解説!効果的な活用法も紹介』
関連記事:『A/BテストでLPを改善!方法と注意すべき3つのポイントを紹介』
ブランディング効果
SEOは、上位表示された場合はブランディング効果が期待できます。
なぜなら、常に上位にある記事は「自身のニーズを満たしてくれる優良なコンテンツ」と認識してもらいやすくなるためです。
それによってWebサイトや企業への信頼感が高まり、購入や契約に繋がる可能性があります。
参考:『SEM・SEO・リスティング広告の違いを徹底解説!効果的な活用法も紹介』
関連記事:『Google広告のブランド効果測定とは?10ステップで調査開始』
ターゲット層
SEOは準顕在層向け
SEOの主なターゲット層は、「まだまだ客」「そのうち客」と呼ばれる準顕在層です。
準顕在層とは、ニーズはあるものの解決策が不明瞭で、商品が検討段階に入っていないユーザーのことを指します。
SEOでは、費用をかけずに多くのキーワードで上位表示を狙えるため、まだニーズへの解決策が不明瞭な準顕在層(+潜在層)へのアプローチに適しています。
商品の認知度や信頼度を高め、顧客獲得に繋げます。
リスティング広告は顕在層向け
リスティング広告の主なターゲット層は、「お悩み客」「今すぐ客」と呼ばれる顕在層です。
顕在層とは、ニーズが明確で商品やジャンルに興味関心を持っており、比較検討段階に入っているユーザーのことを指します。
リスティング広告では、費用はかかるものの、時間をかけずに検索されやすいキーワードで上位掲載を狙えるため、すでに購買意欲が高い顕在層へのアプローチが可能です。
商品やサービスをすでに知っているユーザーにアプローチし、購入や申し込みに繋げます。
参考:『SEM・SEO・リスティング広告の違いを徹底解説!効果的な活用法も紹介』
関連記事:『Google/Yahoo!リスティング広告のリタゲ活用法4選』
SEOとリスティング広告の使い分け
長期的な運用
SEOは、良質なコンテンツを制作するまでに手間や時間がかかりますが、一度上位表示されれば、安定して成果を得られる可能性があります。
広告に頼らずに、自社サービスのファンを育成したい、長期的に集客を伸ばしたい場合に向いています。
参考:『SEM・SEO・リスティング広告の違いを徹底解説!効果的な活用法も紹介』
関連記事:『【初心者向け】SEOの専門用語34選!マーケティングの基本を解説』
短期間な運用
リスティング広告は、SEOと比較してコントロール性に優れているため即効性があります。
例えば、チョコレート専門店であれば、バレンタインの時期に集中的に売上を伸ばしたい場合はリスティング広告が向いているでしょう。
今すぐ成果が欲しい方は、リスティング広告を使用して、流入数・コンバージョンを増やしましょう。
参考:『SEM・SEO・リスティング広告の違いを徹底解説!効果的な活用法も紹介』
関連記事:『【保存版】リスティング広告の用語23選!マーケティングの基本を解説』
その他
SEOが有効な場合
- 長期的な集客のために、メディアを作りたい
- 高額な商品など、比較検討に時間を要する
- リスティング広告の競合が多い
関連記事:『【初心者向け】SXOとは?SEOとの違いや対策方法を7つ解説』
リスティング広告が有効な場合
- 新商品発売や限定キャンペーンを宣伝したい
- ターゲットが限られている
- SEOの競合が強い
参考:『【マーケティング】SEMとは?SEOとリスティング広告の違いをわかりやすく解説』
関連記事:『リスティング広告のよくある質問5つ!広告代理店のプロが回答』
まとめ
今回は、SEM・SEO・リスティング広告の違いや活用方法を解説していきました。
SEMは、関連ユーザーをWebサイトに呼び込むための施策です。
SEMを成功させるためには、リスティング広告で短期的に大きな成果を上げ、SEOで長期的に運用を行なう必要があります。
無駄な手間や時間をかけたくないという方は広告代理店に任せるのも一つの手です。
弊社ではリスティング広告運用代行というサービスを展開しております。
リスティング広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
蓄積されたノウハウから短時間で課題を解決に導きます。
また、薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能です。
お客様のあらゆるニーズに対し分析・調査を行い最適なプランをご提案しますので、お気軽にご相談下さい。
監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。