現在、企業はさまざまな媒体からデータを獲得し、膨大なデータを用いて会社を運営しています。
ITテクノロジーを提供するデル・テクノロジーズ株式会社が、世界15カ国の従業員数250人超の企業と公的機関の意思決定者1,000人を対象に実施した調査によると、企業が管理しているデータ量は、平均13.53PB(ペタバイト)と非常に膨大であることがわかりました。
PBとはデジタルデータ量を示す非常に大きな単位で、スマートフォンの通信量などで使用されるGB(ギガバイト)で表現した場合、1PBは100万GBに相当します。
2016年度の同調査では平均1.45PBであったことを加味すると、数年間で扱うデータ量はおよそ8.31倍にまで大幅に増加していることがわかります。
参考:『【抄訳版】デル テクノロジーズ、データ保護に関する最新調査結果を発表』
扱うデータ量が増加した要因の1つに企業のDX化の推進があります。
DX化とは、デジタルトランスフォーメーションの略称であり、経済産業省はDXについて以下のように説明しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
一般社団法人日本能率協会が689社を対象に実施した調査によると、DX導入率は2022年時点で約56%まで増加しており、大企業では8割が導入していることがわかりました。
DX化推進によりデータに対するニーズが増加したことは、企業が所有しているデータ数が増加した要因の1つです。
企業のDX化に伴い、勘や経験に依存しないデータマーケティングを導入する企業も増加しました。
データマーケティングは客観的な数値を根拠にしたマーケティング手法であることから、失敗するリスクが少なく、確実性の高い企業運営を実現できます。
膨大なデータ量を抱える企業にとって今後ますます活用する機会が増えていくデータマーケティングですが、実際にデータマーケティングを深く理解できていない方も多いのではないでしょうか?
当記事では、データマーケティングの特徴やメリット、導入手順や実際の活用事例について詳しく紹介します。
関連記事:『BtoBマーケティング7つの成功事例から学ぶデジタルマーケティング戦略』
Contents
データマーケティングとは
データマーケティングとは、顧客データをマーケティング戦略の意思決定に役立てる手法のことを指します。
企業が蓄積した顧客データからユーザーの行動や嗜好の傾向を分析し、商品開発になどのマーケティングを最適化することができます。
このように「データに基づいたマーケティング手法」であることから「データドリブンマーケティング」と呼ばれることもあります。
データマーケティングで使用するデータは多岐に渡り、具体的には以下のようなものが当てはまります。
- 顧客の住所
- 年齢
- 年収
- 家族構成
- 顧客の購買履歴
- Webサイトのアクセスログから取得される行動履歴
- お客様の声
- クレーム
- SNSに投稿された文章
参考:『データマーケティングとは? 始め方や活用メリット・注意点、成功するためのポイントを解説』
データマーケティングが話題になっている理由
データに基盤を置いたデータマーケティングですが、冒頭で説明したように企業のDX化に伴い、近年ますます注目を集めています。
ここでは、データマーケティングが注目を集め導入する企業が増えている理由について紐解いていきます。
急速なデジタル化の発展
データマーケティングが話題になっている要因として、デジタル技術の発展が挙げられます。
株式会社富士キメラ総研が2022年に公開した調査結果によると、2020年度の国内DX市場規模は1兆3,821億円で、2030年度には5兆1957億円まで拡大すると予測されています。
このような急速なDX化の要因として、コロナ禍によるテレワークを導入する企業の増加や顧客アプローチの主戦場としてオフラインからオンラインへ切り替える企業が増加したことが挙げられます。
社会情勢の変化により企業の働き方やビジネスモデルが見直され、業務の生産性を上げるためにデジタル化の需要が高まったとともにデータ活用への障壁が低くなったことから、データマーケティングのニーズが高まっているのです。
参考:『2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編|株式会社富士キメラ総研』
顧客行動の多様化
顧客の行動が多様化したこともデータマーケティングが注目を集めている理由の一つです。
インターネットの普及により情報化社会が進んでいる現代において、ユーザーの情報収集手段にも大きな変化が生まれました。
これまでテレビや新聞広告などからの受動的な情報収集が主流であったのに対し、近年ではインターネットを使ってユーザー自身が能動的に情報収集をするようになってきています。
こういったユーザー行動の変遷に合わせて、マーケティング手法も柔軟に変化させる必要があります。
多様化した顧客行動のニーズに合わせた的確なアプローチ戦略の一環として、データマーケティングの活用が効果的なのです。
参考:『データマーケティングとは?重要性とメリット・実施ステップを解説』
データマーケティングのメリット
データマーケティングを活用することで、以下のようなメリットがあります。
- 必要なマーケティング施策を限定できる
- 属人化の解決につながる
- 顧客ロイヤルティを高めることにつながる
必要なマーケティング施策を限定できる
マーケティングを担当している方の中には、目標を達成するための方法を検討する際に、どの手段が最も効果的か悩むことがあると思います。
例えば、売上アップを目標とした場合、考えられる施策には以下のようなものが挙げられます。
- 顧客数を増やす
- 購入頻度を増やす
- 客単価を上げる
全て売上アップにつながる可能性のある施策ですが、思いついた施策をすべて実行するとなるとその分時間やコストが多くかかってしまうため、効果的な施策はどれか目星をつけた上でアクションを起こす必要があります。
この際、費用対効果が最も高い施策はどれかを判断するのにデータの活用は非常に有用です。
客観的なデータを確認することで、自社が抱えている課題を明確にすることができ、その課題を改善するための施策を絞ることが可能になります。
データを活用して根拠に基づいた施策を実行していくことで、効果的なマーケティング施策が実現します。
属人化の解決につながる
属人化とは、会社内で業務の内容やフローに関する情報共有ができていないことが原因で、一部の業務を特定の担当者もしくは限られた人員のみで対応しなければならない状況のことを指します。
大企業の場合、分業化が進んでいることが多く、それぞれの業務ごとに担当者がついていることが多いです。
しかし、業務の内容やフローについて共有できていない状況で担当者が不在になった場合、属人化している業務をうまく処理できないリスクがあります。
企業のマーケティング業務を行う際も同様です。
特に、データを活用しない勘や経験に依存したマーケティングを行なっている場合は、担当者が不在になった場合、それまでと同様に対応することは至難の業です。
データを主軸においたマーケティングを行うことで、特定の担当者に依存することなく常に安定した経営ができます。
顧客ロイヤルティを高めることにつながる
データを活用することで、顧客ロイヤルティを高めることができます。
顧客ロイヤルティとは、ユーザーが特定の企業やブランドのサービス・商品に対して持つ信頼や愛着心を意味します。
ロイヤルティの高いユーザーを増やすことで、顧客のリピート率の上昇、客単価の改善など様々なメリットを獲得可能です。
それでは、なぜロイヤルティの向上にデータマーケティングが有用なのでしょうか。
ロイヤルティはCX(Customer Experience)を改善することで向上します。
例えば、アフターフォローや商品購入後のメンテナンスなどがCXに該当し、販売している商品やサービス以外の部分で顧客に提供できる価値を意味します。
CXを改善するためには、提供している顧客体験を分析し、課題を明確化した上で1つ1つ改善していく必要があり、そのプロセスにおいて顧客データは必要不可欠です。
また、CX改善施策の1つにカスタマージャーニーマップがあります。
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが商品やサービスに出会ったタイミングから、商品やサービスを購入し優良顧客になるまでの一連のプロセスをまとめたものです。
カスタマージャーニーマップは、以下のステップで作成します。
- ペルソナの設定
- フェーズの設定
- フェーズごとにユーザーの行動を洗い出す
- 行動要因の分析
- 課題の洗い出し
獲得した情報をまとめると以下のようなマップを作成できます。
引用:『カスタマージャーニーならKARTE』
ペルソナの設定やフェーズごとのユーザー行動を洗い出す際はデータに基づき客観的に分析する必要があります。
CX改善施策の一環であるカスタマージャーニーマップの活用は、ユーザーの行動ごとにCX改善に対するアプローチ方法を策定でき、最終的には顧客ロイヤルティの改善にもつながります。
カスタマージャーニーをはじめ、CX改善施策について検討する上でデータは必要不可欠です。
参考:『顧客ロイヤルティとは?3つの向上施策と成功事例を解説』
関連記事:『ペルソナがなぜ重要なのか?LPの効果を高める作り方とポイント3選!』
データマーケティングの4つの手順
データマーケティングの重要性やメリットについて詳しく解説してきました。
では、実際にデータマーケティングを導入するにはどのように進めたらよいのでしょうか?
ここからは、データマーケティングを効果的に進める手順を4つの流れで説明します。
データマーケティングを取り入れたいと考えている方は、以下の手順を意識してみてください。
- 必要なデータを収集する
- 収集データを分析する
- 分析結果に応じた施策を実行する
- 効果検証して改善する
必要なデータを収集する
まずは、マーケティングに必要なデータを収集する作業から始めましょう。
データ数が多ければ多いほど質の高い分析に繋げることができますが、ありとあらゆるデータを無限に収集しようとすると工数が膨大にかかってしまってきりがないため、まずは目的に応じたデータに絞って収集するのがおすすめです。
データを収集する際のポイントは、顧客の「属性」「行動」「心理」をベースとしたデータを意識的に集めることです。
具体的には以下のようなものがあります。
- 顧客属性…性別、年齢、職業、興味があるカテゴリーなど
- 顧客行動…購買履歴、購入経路など
- 顧客心理…アンケートの回答結果、Webサイトの滞在時間、Webサイト内での行動など
参考:『データマーケティングとは? 始め方や活用メリット・注意点、成功するためのポイントを解説』
収集データを分析する
必要なデータを収集できたら、次にデータの分析に入ります。
収集したデータをどこまで細分化できるかによって、その後の施策の方向性が大きく変わります。
データマーケティングの分析方法にはさまざまな種類がありますが、すべて一つの分析方法に統一するのではなく目的に合わせて手法を変えることで多角的にデータを解析することができます。
ここではデータ分析に使える手法を6つご紹介します。
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析ではその名の通り、様々な切り口を用いてセグメント化することによって分析する手法です。
セグメントごとに全体を細かく分析できることから、多様化している消費者のニーズに対して確度の高い分析が可能です。
参考:『セグメンテーション分析とは?重要な理由や具体的な方法・成功事例を解説』
RFM分析
RFM分析とは、Recency(最終購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3つの軸を用いて分析する手法のことです。
顧客のポジションに応じて、優良顧客や優良顧客候補、休眠顧客などに分類し、それぞれの顧客にとって最適な施策を考案します。
なお、RFM分析については以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:『RFM分析とは?3つの指標による顧客分析を初心者向けに解説!』
デシル分析
デシルはラテン語で10等分を意味する単語です。
デシル分析では、顧客を購入金額ごとに並べ10分割した上でそれぞれのグループごとに分析します。
売上の多い層に施策を実施するか、売上の少ない層に施策を実施するかは企業によって異なりますが、ペルソナを設定する上で有用な分析手法の1つです。
参考:『顧客分析の手法(デシル分析、RFM分析)』
ABC分析
ABC分析とは、商品の売上や在庫、コストといった指標を重要度に応じてA~Cにランク分けし、重要度の高い項目から優先的に分析していく手法です。
もともとは在庫管理を目的とした分析手法でしたが、そこから派生して売り上げやコスト管理にも活用されるようになりました。
例えば、商品の売上を指標として取り上げる場合、以下のように商品別の売上額を降順に並べ、全商品におけるそれぞれの売り上げ構成比や累計構成比を算出することで売り上げ貢献度が高い商品を可視化できます。
参考:『ABC分析とは? 具体的な手法とメリット、活用方法を紹介』
テキストマイニング
テキストマイニングとは、大量のテキスト(text mining)から情報を採掘(mining)する分析手法です。
自然言語の分野で近年注目を集めている分析手法で、文字列を対象に単語ごとに分析することで顧客情報から有益なデータを抽出することができます。
SNSの投稿やWebサイトなどの文章から商品改善につなげたいときなどに有効です。
参考:『テキストマイニングとは?方法やツールを分かりやすく解説』
クラスター分析
クラスター分析とは、異なる種類の集団の中から性質が類似しているものを集めてクラスター(集団)を作り、その集団ごとの関連性を分析する手法です。
顧客の属性だけでなく、顧客の意識や行動などを分類して分析することで、それぞれの顧客に対して効率的かつピンポイントなマーケティング施策が実現できます。
分析結果に応じた施策を実行する
分析ができたら、いよいよ分析結果に基づいたマーケティング施策の検討と実行に移ります。
分析結果の中で特に課題だと思われる部分に対して、仮説を交えながら施策を立てていきます。
例えば、商品の売り上げが低迷している要因として「リピーターが減少している」ことが分析結果から分かった場合、商品購入時に再来店を促すクーポン配布や店舗限定商品の開発などが施策案として挙げられるでしょう。
また、実行可能な施策をアクションプランとしてマニュアル化し「誰が、いつ、どのような施策を実行するのか」を明記した上で社内で共有するのもおすすめです。
関連記事:『顧客分析はなぜ必要?4つのポイントと注意点をプロが解説』
効果検証して改善する
施策を実行した後は、それが実際に結果につながったかの効果検証をしなければいけません。
マーケティング施策によって、売り上げや顧客の行動にどのような変化が起きたのかを評価し、改善の余地がある場合は新たな施策を立案する必要があります。
このように、実行した施策は必ず結果を検証し、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を繰り返し行うことで徐々に精度の高いマーケティングに近づくことができます。
参考:『データマーケティングとは?重要性とメリット・実施ステップを解説』
データマーケティングを行う際の2つのポイント
データマーケティングをより効果的なものにするためには、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
定量と定性のデータを両方活用する
データマーケティングで使用するデータには定量データと定性データの2種類があります。
それぞれ異なる性質のデータですが、この両方のデータを上手く組み合わせることで顧客ニーズを深く分析することができます。
定量データ
数値として把握可能なデータのことを指します。
商品の市場占有率や売上高などが定量データに該当します。
定量データの場合、Googleアナリティクスなどのツールを活用することで「誰が、何を、いつ、どこで購入したか」のデータを簡単に収集できます。
定性データ
数値で表すことができない質的なデータのことを指します。
「なぜ購入したか」など数値で表現できないデータが定性データに該当します。
顧客が何を考えて購入に至ったかなど心理面におけるユーザーの意見について把握できます。
定性データの場合、数値化できないデータであることから、ユーザーに対し直接アンケートを実施しデータを収集することが一般的です。
また、データを効率的に使用するためには、収集したデータを一元管理することが効果的です。
データ量が膨大で手動で管理することが難しい場合はツールを導入し、一括で管理可能な環境を構築するようにしましょう。
参考:『定量データ/定性データ | 市場調査・日本リサーチセンター』
関連記事:『アンケートLPの活用方法とは?設問の作り方と3つのメリットを紹介』
データ主導のPDCAを回す
データマーケティングでは、データ主導でPDCAサイクルを回すことが不可欠です。
繰り返しになりますが、データマーケティングとは顧客データを駆使して効果的なマーケティング戦略を実行することです。
貴重なデータをたくさん収集できたとしても、自身の勘やこれまでの経験に基づいた仮説を優先してしまってはデータを活用できているとはいえません。
PDCAを回すプロセスにおいて、自身の感情面での意向ではなく、あくまでデータの中から得た客観的な仮説を施策に落とし込むようにしましょう。
関連記事:『おすすめの広告効果測定ツール5種類!分析可能な項目もご紹介』
データマーケティングを始める際の注意点
ここからは、データマーケティングを始める際に気をつけるべき注意点を説明します。
過度にデータに依存しすぎない
データに依存しすぎてしまい、自ら考えることを放棄することは避けるようにしましょう。
データはあくまで新しい施策について検討する上での判断材料の1つです。
客観性が高いことから信頼度は高いものの、データ任せのマーケティングではデータマーケティングの価値が半減してしまいます。
例えば、アンケートを実施することにより「なぜ購入したか」など感情面についての定性データを収集できますが、1人1人と感情の機微までは表現できません。
そこで、生身の人間のクリエイティビティやイマジネーションを加えてデータマーケティングをすることで、これまで実現し得なかった深い分析を実現できます。
関連記事:『データドリブンアトリビューションとは?4つのメリットを解説』
複数のツールを使いすぎない
データマーケティングを実施する際にはツールを使用することが一般的です。
データマーケティングをする際に使用するツールには、マーケティング活動を可視化・自動化するMAツール(マーケティングオートメーションツール)や、大量のデータを収集し分析することに特化したBIツール(ビジネスインテリジェンス・インテリジェンスツール)などがあります。
これらのツールは業務効率化により手間を削減できるため、データマーケティングにおいては大きなアドバンテージになりますが、たくさんのツールを併用してしまうと、その分工数も増えてしまい、結果的に非効率的な施策になってしまうリスクがあります。
効率的なデータマーケティングを実施するために、可能な限り少ないツールでデータマーケティングを実施するように心がける必要があります。
参考:『MAツールとBIツールの違いとは?それぞれの役割や導入メリットを解説』
データマーケティングの導入事例
ここからは、実際にデータマーケティングを活用して成果を出した企業事例をいくつかご紹介します。
城崎温泉の導入事例
データを活用した施策策定により売上アップを実現した事例の1つに城崎温泉があります。
引用:『ビッグデータ活用の本質とその進め方 ~城崎温泉の事例にみるデータ活用のポイント~』
城崎温泉は、兵庫県北部に位置する温泉街で、7ヶ所の外湯が有名です。
元々は一般的な温泉街の1つでしたが、現在は「ゆめぱ」と呼ばれるデジタル外湯券を発行するなどDX化を実現しています。
「ゆめぱ」によって顧客は現金を持たずに湯めぐりやお土産を購入できるようになり、また温泉側は顧客データの収集を実現しました。
「ゆめば」を導入したことで獲得したデータから、顧客の行動や城崎温泉内で開催したイベントの効果測定ができ、温泉街を活性化するために効果的な施策は何かを明確にすることができました。
例えば、イベントの効果測定により、花火などの立ち止まって楽しむイベントに比べ、灯籠流しなどの街を歩き回るイベントの方が売り上げに貢献することがわかりました。
顧客データの分析により、課題を明確にできることから、データマーケティングは施策の策定に役立ちます。
ワークマンの導入事例
引用:『WORKMAN』
作業服チェーン最大手のワークマンは、DX化により作業効率のアップを実現しました。
ワークマンはAIを使用した分析ツールではなく、Excelによるデータ分析の定着によりDX化を実現しています。
新たな企業風土として、全社員それぞれがデータを用いた仮説検証を一人で行える組織体制の構築を目指したワークマンでは、全社員の35%がExcelを使用したデータ分析ツールを作成できる体制にし、2021年には全社員のデータ分析スキルを向上させるためにExcel研修を取り入れるなどしてDX化に注力しています。
その結果、業務の属人化を防ぐことができ、発注にかかっていた時間を10秒まで短縮したり、他社と取引する際にデータを開示することで発注でのミスを防止させるなど業務効率化の実現につながりました。
参考:『現場の自由な発想を引き出すDXとは ワークマンを躍進させた「草の根データ分析」』
スターバックスの導入事例
スターバックスはカスタマージャーニーマップの作成により顧客に対する理解を深めることに成功した企業の1つです。
スターバックスでは、入店前から店を出るまでのユーザーの行動と感情をカスタマージャーニーマップによって可視化しました。
引用:『顧客行動を可視化する「カスタマージャーニーマップ」とは』
上のカスタマージャーニーマップでは、ユーザーの行動と感情の記録を時系列で示しています。
スターバックスはコーヒーの品質よりも店に訪れたユーザーのCX(カスタマーエクスペリエンス)の方が重要であると考え、スターバックスに行くことでユーザーが獲得できるユーザー体験を以下のように定義しました。
- 購入するドリンク自体だけでなく店の雰囲気などから得られる購入体験のすべて
- 自分へのご褒美感や特別感
- どこにでもあり、どこでも同じ品質のコーヒーを楽しめる特別感
皆さんの中にも、スターバックスに他のコーヒーショップにはない居心地の良さを感じている方や、特別感を感じている方もいるのではないでしょうか。
このような企業努力もあり、スターバックスは世界最大手のコーヒーチェーンに成長し、国内では2023年1月時点で、国内最多の1,727店舗と2位のドトールコーヒーショップの1,067店舗に大差をつけています。
参考:『カフェチェーンの店舗数ランキング【2022年版】』
関連記事:『【基本】カスタマージャーニーとは?目的と6つの活用場面を紹介』
まとめ
データマーケティングには施策の策定や属人化の改善など様々なメリットがあり、顧客との関係構築にも有用であることから、多くの企業で採用させているマーケティング方法です。
データの収集、分析により施策を策定するシンプルな手法であることから簡単に見えますが、必要なデータを収集し、適切に分析するためには知識が必要であることから、データの取り扱いにおいても社内研修などを実施する必要がある点にも注意しましょう。
また、データに依存しすぎることも避ける必要があります。
最大限にデータマーケティングを活用するためにも分析する人間は思考停止せず考え続けるようにしましょう。
また、この記事を読んで、データマーケティングを行うことは難しいと感じた場合や、よくわからないと感じた場合は、広告代理店に任せるのも1つの手です。
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監修者
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