Google広告をはじめ多くのWeb広告では、機械学習による広告運用が主流になりつつあります。
例えば、Google広告には、設定した目標を達成するための最善の入札単価を機械学習により算出し、決定する自動入札機能が搭載されています。
皆さんの中にも、機械学習を使用した広告運用をしている方が多いのではないでしょうか。
機械学習を使用した広告運用は手動での運用と比較し、運用に必要な時間を大幅に削減可能であることから、非常に有用な施策の1つです。
機械学習を使用した広告運用を開始する上での最初の関門に、データ収集があります。
Googleは自動入札を実施する際に必要なデータ数について以下のように述べています。
掲載結果を正確に評価するには、1か月以上の長い期間に 30 回以上のコンバージョン(目標広告費用対効果の場合は 50 回以上)を獲得していることが推奨されます。
運用開始時に豊富なコンバージョン数を持っている企業であれば、問題なくクリアできる数値ですが、ビジネスを始めて間もない企業にとって、コンバージョン数30はハードルの高い数値になる場合があり、クリアするためには工夫を凝らす必要があります。
当記事では、機械学習を促進する方法について紹介します。
Contents
機械学習を用いて広告運用するメリット
機械学習とは、広告運用していく中で獲得した膨大なデータをAIが学習することを指します。
参考:『機械学習-野村総合研究所』
機械学習によるWeb広告運用を実現することで、初期設定などの最低限の作業で効果の高い広告を配信する事が可能です。
機械学習によるWeb広告の自動化は2010年以降に急速に普及しました。
本来、広告運用は入札調整や配信する広告枠などを手動で設定する必要があることから、豊富なノウハウを要する作業でした。
しかし自動化により、比較的工数を抑えながら広告運用ができるようになりました。
参考:『「広告×DX」歴史から見る広告とデジタルとの親和性』
広告運用を機械学習で実施するメリットは以下の2点です。
- 手間を省くことが可能
- 広告効果を高めることが可能
手間を省くことが可能
Web広告の運用を手動で実施する場合、キーワードの設定や入札単価の設定などを常に確認し最適化する必要です。
時間も手間もかかるため、現在手動で広告運用している方の多くは可能であれば自動化したいと考えているのではないでしょうか。
例えば、広告効果を高めるためにはシーズンに合わせてキーワードを変更する必要のある場合やキーワードごとの効果を検証し、入札単価を変更する必要のある場合など、状況に応じて頻繁に広告設定の変更を実施する必要があります。
このような労力を減らしたい方におすすめの施策が機械学習による広告運用です。
機械学習を用いた広告運用の場合、デバイス、地域、時間帯、リマーケティング、リスト、ブラウザ、言語などさまざまなシグナルを検知し、それに基づいて広告運用を行います。
参考:『スマート自動入札|Google広告ヘルプ』
機械学習を用いた広告運用の場合、入札戦略に応じて設定する必要のある項目はあるものの、シグナルから獲得した膨大なデータを分析する手間を省略することが可能です。
関連記事:『スマートディスプレイキャンペーン(SDC)の設定方法と4つのコツ』
広告効果を高めることが可能
機械学習を用いた広告運用は手動と比較し広告効果を高められる可能性が高いといった特徴があります。
Googleには広告オークションと呼ばれる配信する広告を決定するための仕組みがあります。
広告オークションとは、検索が行われるたびに実施される広告の掲載の有無、そして掲載順位を決めるためのものです。
広告ランクによって決定され、この広告ランクを決定する要因の1つが入札単価です。
引用:『オークション|』Google広告ヘルプ』
手動で入札単価の調整を行う場合、広告オークションが実施されるたびに単価を調整できないことから、単価調整に限界があります。
これに対し、自動入札の場合、AIが自動で入札単価を調整することから、オークションのごとに最適な金額を提示する事が可能です。
Google広告の機械学習による自動化を導入することで広告効果の促進に成功した企業はたくさんあります。
例えば、SEOとリスティング広告でWeb集客を行う東晶貿易株式会社では、自社運営するメディア「転職キャリアガイド」でGoogle広告の機械学習による自動入札とキーワードのインテントマッチを導入したところ、コンバージョン数69%増加を達成しました。
引用:『転職キャリアガイド』
常に最適化し続けられる自動入札は、広告効果が思うように伸びず悩んでいる方に導入を検討していただきたい施策の1つです。
関連記事:『Google広告の自動入札とは?6つの戦略と手動入札との違いを紹介』
参考:『自動入札と部分一致の導入により、コンバージョン数 69% 増加を達成|Google広告』
機械学習を促進するメリット
Web広告において機械学習を使用できるシチュエーションはさまざまです。
具体的には、広告オークションの入札単価の決定やレスポンシブ検索広告での広告文章の設定などです。
いずれも広告効果を高める上で非常に重要です。
なぜなら、オークションで広告ランクを高めなければ配信されない可能性もあるからです。
また、広告文がユーザーにとって魅力的でない場合は、クリックすらされない可能性も考えられます。
機械学習を促進することで、広告効果が思うように上がらないリスクを低減することが可能です。
これは広告運用に限った話ではありませんが、データ数が多くなることで信頼度の高いデータを得ることが可能になるということが統計学上明らかになっています。
大量のデータを収集し、機械学習を促進することでAIによるミスの少ない広告運用を実現することが可能になるのです。
参考:『登録属性からのサンプリング』
参考:『スマート自動入札について|Google広告ヘルプ』
関連記事:『CTRを高める施策!レスポンシブ検索広告を使用するメリット2選』
機械学習を促進する方法
それでは、時間効率に長けており、広告効果を高められる可能性が高い機械学習による広告運用を実施する上で重要なデータの収集は何をすればよいのでしょうか。
機械学習を促進する施策には以下の5点があります。
- 教師あり学習を実施する
- 広告グループを細分化しすぎない
- インテントマッチを採用する
- さまざまな入札戦略を試してみる
- マイクロコンバージョンを設定する
教師あり学習を実施する
教師あり学習とは、機械学習に対しあらかじめデータと正解を与え、学習させる手法のことです。
参考:『【AI基礎講座】「教師あり」と「教師なし」の違いが言えますか?』
0から機械学習を行う場合と比較し、元々データを保有している分、学習速度が速く、また精度の高い分析を行うことが可能です。
教師あり学習を実施する場合、教師を入力する人間は、正解をわかっている必要があります。
現在広告を運用しており、機械学習への移行を検討している場合であれば、データをストックし、教師となるモデルを制作しましょう。
教師あり学習での広告運用に成功した企業の1つに、車の廃車買取を行うユニオンエタニティ株式会社があります。
ユニオンエタニティ株式会社はBigQueryというGoogleが提供しているサービスを用いてコンバージョンにつながりやすそうなユーザーを強化するモデルを作成しました。
参考:『Google Big Queryの何がすごいのか?|株式会社電算システム』
結果、機械学習を促進することにつながり、コンバージョンは24%増加、顧客獲得単価は13%削減することができました。
コンバージョンに繋がりやすいデータ収集を行い、事前にモデルを作成してAIに読み込ませることで短期間での効率的な広告自動運用を実現しやすくなります。
関連記事:『Googleカスタマーマッチとは?概要から設定方法を4ステップで解説』
広告グループを細分化しすぎない
広告グループを細分化しすぎない理由はデータの分散を防ぐためです。
Googleはhagakureと呼ばれるアカウント構造の簡略化を推奨しています。
例えば、ペットに関する広告を配信する場合であれば、キーワードごとに広告グループを作成するのではなく、「ペット 価格」や「ペット ケア」などをまとめて広告グループを作成します。
参考:『プロが解説!hagakure構造とは?メリットや例、使い方をご紹介』
データが分散した場合、必要なデータ数を獲得するために必要な期間が伸びてしまうことから、コンバージョン数がまだ多くない広告では、少ない広告グループでとにかくデータの蓄積を重視する事が重要です。
まだキーワードごとに十分なコンバージョンを獲得できていない段階では少ない広告グループで広い範囲で十分なデータを収集してみてはいかがでしょうか。
インテントマッチを採用する
Web広告の多くではマッチタイプを設定する事ができ、設定したキーワードに対しどの程度マッチしている場合に広告オークションに参加するかを決定する事が可能です。
Google広告やYahoo!広告のマッチタイプには、インテントマッチ、フレーズ一致、完全一致の3項目があり違いは以下の表の通りです。
マッチタイプ | 説明 | 具体例 (設定キーワード:芝刈りサービス) |
インテントマッチ | キーワードに関連する検索に対して広告が配信されます。 関連していれば配信可能であることから最も一致率の低いマッチタイプです。 | 芝刈り エアレーション 価格 |
フレーズ一致 | キーワードの意味を含む語句の検索に対して広告が表示されます。 含まれた場合は配信可能であることから中程度の一致率で配信するマッチタイプです。 | 近所の芝刈りサービス 募集
|
完全一致 | キーワードと同じ意味を持つ語句の検索に対して広告が表示されます。 余分な情報が含まれた場合オークションに参加しないため最も高い一致率を要求するマッチタイプです。 | 芝刈りサービス |
参考:『キーワードのマッチタイプについて|Google広告ヘルプ』
参考:『マッチタイプについて|Yahoo!JAPAN広告ヘルプ』
オークションへの参加回数が最大になる可能性が最も高いマッチタイプはインテントマッチです。
インテントマッチの場合ターゲットとしていないユーザーに対して広告配信されてしまう可能性が高いことから、避けているユーザーもいると思いますが、データを集めることに照準を合わせた場合、極力配信されやすい施策を選択すべきです。
十分なデータ収集完了後でもマッチタイプの変更は可能であることから、データ収集のフェーズでは、インテントマッチを選択しましょう。
関連記事:『リスティング広告のマッチタイプ3種類を解説【正しい効果測定も紹介】』
さまざまな入札戦略を試してみる
広告を機械学習で運営する場合、さまざまな入札戦略があり、設定した入札戦略を達成できるように広告運用します。
入札戦略については以下の記事を参考にしてください。
関連記事:『Google広告の自動入札とは?6つの戦略と手動入札との違いを紹介』
それぞれの入札戦略には目的あり、基本的には自身の目標と一致するものを選択すべきですが、ハードルが高くなってしまい、十分なコンバージョンを獲得で来ていない場合は、少し敷居の低い入札戦略に変更することは手段の1つです。
具体的には、いきなり商品の購入を目標とするのではなく、「Webサイトへの流入を目標にする」などです。
小さな目標に設定することで十分なデータの蓄積に必要な期間を短縮することにつながります。
マイクロコンバージョンを設定する
マイクロコンバージョンとは、最終的に目指すコンバージョンに至るまでに経由するポイントのことです。
仮に商品の購入をコンバージョンとした場合、以下のようなものがマイクロコンバージョンに該当します。
- 問い合わせ
- 資料請求
- 見積もり依頼
マイクロコンバージョンは自動入札を行う上で必要なコンバージョン数を獲得する際に有効な施策です。
コンバージョンに至っていないものの、ユーザーが中間地点まで流入しているかどうかAIが把握することでそのユーザーに対して次回リマーケティングを実施したり、似たユーザー属性は期待値が高いと判断する事が可能です。
また、中間地点に至っていたにもかかわらず、購入に至らなかった場合、Web広告の流入先であるLPに原因があると判断することも可能です。
コンバージョンとマイクロコンバージョンの両方を把握することで、広告についてより厳密な分析を可能にします。
参考:『マイクロコンバージョンとは?設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』
関連記事:『マイクロコンバージョンとは?活用する3つのメリットを解説』
まとめ
当記事では、機械学習を用いたAIによる広告運用をする上で重要なデータ収集方法について解説しました。
機械学習はWeb広告を運用する上で非常に重要ですが、コンバージョン数などサンプル数が十分に集まっていない場合うまく機能しないデメリットがあります。
サンプル数が少ない場合、手動で広告運用する必要がありますが、手動で広告運用を行う場合、手間も時間もかかってしまいます。
少しでも手間を減らして広告運用を効率化させたいと思った方は、機械学習促進施策を実施しましょう。
教師あり学習や広告グループを極力削減するなど機械学習促進施策はさまざまです。
1つずつ検証を行い、機械学習を促進する上で最も有効な手段はどれか把握しましょう。
また、当記事を読んで自身で広告運用する事が難しいと感じた場合、広告代理店に相談することも手段の1つです。
株式会社Unionは、リスティング広告をはじめとするGoogle広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
弊社の広告運用担当はYahoo!広告、およびGoogle広告の認定資格保持者であり、知識のアップデートを行っており、蓄積されたノウハウから短期間で課題を解決に導くことが可能です。
薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。