YouTubeのアウトストリーム広告とは、YouTubeなどの動画コンテンツの外で表示されるモバイル専用の動画広告を指します。
アウトストリーム広告の特徴は、広告枠があればプラットフォームを問わず配信できることで、動画コンテンツを利用していないユーザーにも動画広告を届けられる点です。
インターネットが普及した現代では、動画広告の活用が認知拡大や販売促進を行ううえで欠かせないWebマーケティング施策の一つといえます。
CCI・D2C・電通・電通デジタルの4社が共同で実施した「2022年日本の広告費インターネット広告媒体費詳細分析」では、動画広告費が前年比115.7%と大きく伸びており、今後も拡大していくと予測されています。
上記資料から、動画広告市場の継続的な成長に伴って、動画コンテンツ内で配信されるインストリーム広告はもちろんのこと、アウトストリーム広告の需要も高まっていることがわかります。
また、総務省の「令和3年通信利用動向調査の結果」では、インターネット利用者の割合は82.9%、SNS利用者は78.7%といずれも高い利用率が発表されました。
これらの背景から、SNSやWebサイトなど配信先の自由度が高いアウトストリーム広告は、Webマーケティングでますます重要な施策になると考えられます。
本記事では、これからアウトストリーム広告の出稿を検討されている方に向けて、同広告の特徴や活用するときのポイント、具体的な事例を紹介します。
参考:『動画フォーマットの概要』
関連記事:『YouTube動画を含めた市場規模はいくら?動画広告の4つのメリット』
Contents
アウトストリーム広告とは?
引用:『動画広告フォーマットの概要 | Google公式ヘルプ』
アウトストリーム広告とは、YouTubeなどの動画コンテンツの中で流れる広告ではなく、動画コンテンツの外で再生される動画広告を指します。
具体的には、Webサイトやアプリ、SNSなどに設けられた広告枠で表示される動画広告がアウトストリーム広告です。
まずは、アウトストリーム広告の理解を深めるため、以下3つについて解説します。
- アウトストリーム広告の種類
- アウトストリーム広告の料金
- アウトストリーム広告とインストリーム広告の違い
参考:『動画フォーマットの概要』
アウトストリーム広告の種類
アウトストリーム広告には、「インリード広告」「インバナー広告」「インタースティシャル広告」の3種類があります。
各広告の特徴を説明します。
インリード広告
インリード広告は、ニュースやコラムなどのコンテンツの間や末尾、SNSのフィードの間に挿入された動画広告のことです。
インリード広告は、ユーザーが閲覧しているコンテンツの流れに自然と差し込むことができる広告です。
ユーザーの目に止まりやすいタイプの動画広告ですが、あくまでもコンテンツの間や末尾で動画が再生されるので、ユーザーの行動を阻害せず不快な印象を与えにくい点が特徴といえます。
またインリード広告は、広告が画面に表示されてから動画がスタートするため、冒頭部分からユーザーに見てもらえる点も魅力の一つです。
このことから、インリード広告はストーリー性のある動画を配信しやすい広告といえるでしょう。
参考:『【完全版】アウトストリーム広告とインストリーム広告の違いとは?』
インバナー広告
インバナー広告とは、Webサイトなどに設けられた広告枠に表示されるバナー形式の動画広告のことです。
インバナー広告は、ユーザーが動画広告を掲載したページに訪問した瞬間に自動再生されます。
コンテンツの枠外に設置されたバナー枠で配信するため、ユーザーが閲覧しているコンテンツを邪魔することがなく動画広告を流せます。
一方で、ユーザーの関心を引く動画でなければ、広告が再生されていても認識してもらえない可能性があります。
広告枠を設置している媒体であれば配信が可能なので、訴求範囲が広い場合のWebマーケティングと相性が良いでしょう。
参考:『【完全版】アウトストリーム広告とインストリーム広告の違いとは?』
インタースティシャル広告
インタースティシャル広告とは、Webサイトのページを移動するタイミングで表示される動画広告です。
インタースティシャル広告は、インリード広告やインバナー広告よりも大きく動画広告が流れるので、ユーザーにインパクトを与えられることが特徴です。
しかし、ユーザーは目的のページを早く見たい思いから広告を不快に感じるケースや、広告をほとんど視聴せずにスキップしてしまう可能性があります。
そのため、ユーザーがページを移動するたびに広告を表示することは避けた方が良いでしょう。
また、広告を見るつもりのないユーザーでも、つい最後まで見てしまうような動画広告の工夫が必要です。
参考:『【完全版】アウトストリーム広告とインストリーム広告の違いとは?』
アウトストリーム広告の料金
アウトストリーム広告の料金は、視認範囲のインプレッション課金の方式で決まります。
視認範囲とは、広告が視認できたと判断される範囲のことを指します。
具体的には、50%以上の広告面積が2秒以上表示された場合に、広告表示された回数(インプレッション)としてカウントされ、インプレッション1,000回ごとに、決められた単価が課金されます。
ユーザーが動画広告を閲覧できる状態でカウントされるので、認知拡大を目的とする際には費用対効果が高い課金方式といえるでしょう。
関連記事:『YouTube広告&チャンネル運営の用語46選!基本を解説』
アウトストリーム広告とインストリーム広告の違い
アウトストリーム広告とインストリーム広告の違いは、動画広告の配信場所です。
アウトストリーム広告は動画コンテンツの「外」で表示されますが、インストリーム広告は動画コンテンツの「中」で再生されます。
YouTubeなど動画配信プラットフォームで動画を再生した際に、目的の動画が始まる前や動画の途中、動画の最後に流れる動画広告がインストリーム広告です。
インストリーム広告は、動画配信プラットフォームで蓄積されたデータを使用して、年齢、性別、興味関心などターゲットを細かく設定ができます。
ターゲットに合わせた動画広告を配信できることからコンバーションにつながりやすく、販売促進や見込み顧客の獲得に効果的といえます。
一方、アウトストリーム広告は、動画コンテンツの外で広告枠があれば配信できるので、配信先の自由度が高い広告です。
アウトストリーム広告の主な配信先は、以下があげられます。
- Webサイト
- SNS
- アプリ
このようにさまざまな配信先があるので、動画の視聴をするユーザーに限らず幅広く認知拡大をしたいときに適した動画広告です。
関連記事:『YouTubeインストリーム広告とは?6種類やメリット、出稿方法を解説』
アウトストリーム広告の5つの特徴
アウトストリーム広告の主な特徴は、以下の5つがあげられます。
- 幅広いユーザーにPRができる
- 低コストで動画広告を運用できる
- 動画広告が自動で再生される
- ユーザーがクリックしない限り音声は出ない
- ユーザーがストレスを感じにくい
順番に説明します。
幅広いユーザーにPRができる
アウトストリーム広告の最大の特徴は、配信先の自由度が高く幅広いユーザーに動画広告を届けられることです。
インストリーム広告は動画コンテンツの中でしか配信できないため、配信場所が限定されていますが、アウトストリーム広告は動画内以外の広告枠であれば設置できます。
つまり、動画コンテンツの視聴はしないけれど、Webサイトやニュースサイトはチェックするユーザーやアプリユーザーにアプローチしたい場合は、アウトストリーム広告が効果的といえます。
低コストで動画広告を運用できる
アウトストリーム広告は、視認可能なインプレッションに対して料金が発生することも特徴の一つです。
動画広告が再生されるとすぐに画面を変えたり、閉じたりするユーザーに対しては課金が発生しにくいため、無駄な費用をかけずに広告運用できます。
動画広告が自動で再生される
アウトストリーム広告は、画面に動画広告が出ると自動で再生されることも特徴の1つです。
スマートフォンの普及によって、Webサイトやアプリ、SNSの利用者が増加していることから、多くのユーザーに自動で宣伝できる点はメリットといえるでしょう。
ただし、ユーザーの意図に反して広告が流れてしまうことは、スキップや画面を閉じることが可能であっても、ユーザーが広告やPR商材に嫌悪感を抱いてしまうリスクはあります。
マーケティング支援を行う株式会社ネオマーケティングの「動画広告の接し方」アンケートでは、動画広告の嫌いな点として「急に広告画面に切り替わって驚かされる点」をあげるユーザーが36.3%いることがわかりました。
特に、Webサイトのページ移動時に大きく表示されるインタースティシャル広告は、広告内容によってユーザーが広告を不快に感じる可能性が考えられます。
また、広告が動画ファイル形式であることから、閲覧ページ全体が重たくなってしまうこともあります。
そのため、アウトストリーム広告の場合は、ユーザーの心をつかむ動画の内容や演出を考えることが大切です。
参考:『20歳~69歳の男女1000人に聞いた「動画広告の接し方に関する調査」』
ユーザーがクリックしない限り音声は出ない
アウトストリーム広告は、動画コンテンツ内で動画と音声が自動再生されるインストリーム広告とは異なり、消音状態で動画が再生される特徴もあります。
ユーザーが広告をタップするとミュートが解除されますが、少なくとも冒頭部分の音は聞かれないケースが多いでしょう。
そのため、アウトストリーム広告は字幕を入れるなど音声が出なくても内容が伝わる工夫が必要です。
また、ユーザーがミュートを解除したくなるような動画の構成や工夫も求められます。
ユーザーがストレスを感じにくい
インストリーム広告は、スキップできるタイプの広告であっても数秒間は動画広告を見ななければなりません。
目的の動画が見たいユーザーにとっては、広告を見ることに嫌気がさしてしまうことも考えられます。
以下は、マーケティング支援を行う株式会社ネオマーケティングの動画広告の接し方に関する調査結果です。
参考:『20歳~69歳の男女1000人に聞いた「動画広告の接し方に関する調査」』
同調査によると、動画広告の嫌いな点として「本編の動画を邪魔される点」をあげる人が、81.9%もいることがわかります。
しかし、アウトストリーム広告は動画コンテンツ内ではなく、Webサイトのコンテンツの間やコンテンツの外などに挿入されるため、ユーザーの行いたいことを妨げることがなくストレスを感じにくいでしょう。
ただし、アウトストリーム広告の中でもインタースティシャル広告の場合は、Webのページを切り替える時に大きく動画広告が出てくるので、広告の出し方に注意が必要です。
ユーザーが魅力を感じる動画広告であれば、購入などのアクションを起こすだけでなく、SNSで拡散されて認知拡大につながる可能性もあります。
関連記事:『YouTubeアナリティクスで動画を分析するときに注目したい5つの指標』
効果的にアウトストリーム広告を活用する3つのポイント
前述したとおり、Webサイトなどの広告枠で表示されるアウトストリーム広告はコンテンツを邪魔しない特徴がありますが、それゆえにユーザーの興味を引けなければ広告の視聴をしてもらえない可能性もあります。
そこで、効果的にアウトストリーム広告を活用するためのコツを以下3つ紹介します。
- もっとも伝えたいメッセージを考える
- ターゲットを設定する
- 効果測定を行い改善する
1つずつ解説します。
もっとも伝えたいメッセージを考える
効果的な動画広告を出稿するためのポイントは、ユーザーに伝えたい内容を整理しておくことです。
広告は多くの情報を盛り込みすぎるよりも、内容を絞り込んだ方がユーザーに伝わりやすくなります。
たとえば自社製品を宣伝する場合、素材・デザイン・使用感・サイズなど、アピール内容によって動画の内容は変わってきます。
PRしたいものの魅力を最大限に出すために、まずは動画広告でユーザーにもっとも伝えたいメッセージを明確にしましょう。
アウトストリーム広告を通して、ユーザーに知ってほしいことや持ってほしいイメージから考えてみることがおすすめです。
ターゲットを設定する
動画広告で成果を出すためには、ターゲットを具体的に設定することも重要です。
アウトストリーム広告は、動画コンテンツ内以外で広告枠が設けられている媒体であれば、どこでも配信できます。
しかし、ユーザーによって使用するSNSやアプリ、Webサイトは異なるため、適切な配信先を選ぶ必要があります。
ターゲット設定の際には、既存顧客の分析や商材に関連したSNS投稿などのチェックがおすすめです。
年齢や性別、興味を示している対象などがわかれば、配信媒体を選定するときだけでなく、ターゲットの目を引く広告内容も見えてくるでしょう。
また、Google広告でアウトストリーム広告を出す場合は、ターゲットを年齢や性別だけではなくWi-Fiユーザーに絞り込むこともできます。
前述のとおり、アウトストリーム広告はモバイル専用の動画広告です。
モバイルデータ通信のみを使用しているユーザーの場合は、通信制限がかかった場合に通信速度の遅さから動画が再生されない場合があります。
ターゲット設定の際にWi-Fiユーザーを選択すれば、より見てもらえる可能性の高いユーザーに絞り込んで配信することができます。
参考:『モバイル デバイスのターゲット設定』
参考:『アウトストリーム広告の種類と事例を解説!配信のメリット・デメリットは?アウトストリーム広告の単価・費用や配信方法もご紹介』
関連記事:『ペルソナがなぜ重要なのか?LPの効果を高める作り方とポイント3選!』
効果測定を行い改善する
動画広告は出稿して終わりではなく、出稿後の効果測定が大切です。
クリック率や顧客の獲得にかかった広告費など、データを測定しながら改善点を洗い出し、広告を最適化していくことで、成果につなげることができます。
効果測定から課題を特定して改善策を出し、次に活かしていくというPDCAサイクルを回すことで、広告パフォーマンスを上げられるでしょう。
関連記事:『広告効果はどう分析する?基本の分析方法10種類を解説!』
アウトストリーム広告の事例
アウトストリーム広告の事例を以下2つ紹介します。
- 動画配信サービス「Hulu」の事例
- トヨタホームの新商品「LQ」の事例
各事例を順番に解説します。
動画配信サービス「Hulu」の事例
インバナー広告の事例は、HJホールディングス株式会社が展開する動画配信サービス「Hulu」を紹介します。
引用:『Hulu』
「Hulu」は、映画やドラマ、バラエティ、アニメなど国内外の作品を100,000本以上配信するサブスクリプション方式のサービスです。
「Hulu」が制作している新作のオリジナルドラマを、ニュースサイトの横に設置された広告枠を活用してPRをしていました。
このインバナー広告は、オリジナルドラマの一部を流し、「テレビでは見ることができない作品」という点を全面に出しています。
「ドラマの続きはどうなるんだろう?」とユーザーに思わせることで、アクションにつなげる動画広告となっています。
トヨタホームの新商品「LQ」の事例
インタースティシャル広告の事例は、トヨタホーム株式会社の新商品広告を紹介します。
引用:『トヨタホーム株式会社LQ』
トヨタホーム株式会社は、同社が用意した外観や家のベースを自分好みにアレンジができる新しい住宅プラン「LQ」のPRとして、インタースティシャル広告を活用しています。
家の外観や内観、部屋でくつろぐ家族の様子などを映像にすることで、ユーザーにセミオーダータイプの注文住宅の魅力を伝えています。
画面に大きく表示されるインタースティシャル広告の特徴を活かした、視覚的な訴求力のある動画広告といえるでしょう。
関連記事:『YouTube広告のABCDフレームワークとは? 5つの海外成功例で解説』
まとめ
本記事では、アウトストリーム広告の特徴や活用するときのポイント、具体的な事例を紹介しました。
アウトストリーム広告の最大の魅力は、動画コンテンツの視聴をしないユーザーにも動画広告を届けることができることです。
また、視認範囲のインプレッション課金方式であるため、無駄なコストがかかりにくい点も特徴といえます。
広告の目的や商材のターゲットに合わせた配信先選定をしたり、的確な効果測定に基づいた改善を行ったりすることで、アウトストリーム広告の効果を最大限に出すことができます。
しかし、「自社製品のPRに最適な広告の種類はどれだろう?」「効果測定をするリソースがない…」といった悩みを抱える企業は少なくありません。
そういった場合は、広告代理店に任せるのも一つの手です。
株式会社Unionは最小限のコストで最大限の成果が出るよう、お客様の課題や目的に適切なデジタルマーケティング、動画制作、広告運用を行っています。
Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されているため、動画広告はもちろんリスティング広告やアフィリエイト広告も対応が可能です。
また、弊社の広告運用担当はYahoo!広告・Google広告の認定資格保持者であり、各広告の特徴を把握したうえで効果的なWeb広告を提案します。
薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系の広告も適切に制作できます。
お客様のあらゆるニーズに対し分析・調査を行い最適なプランをご提案しますので、お気軽にご相談ください。
監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。