本記事では、下記について解説します。
- YouTube広告の特徴
- ABCDフレームワークについて
- ABCDフレームワークを用いた事例
こんな方におすすめです。
- YouTube広告を検討している方
- YouTube広告のメリットを知りたい方
- ABCDフレームワークの仕組みを知りたい方
- ABCDフレームワークについての成功事例を知りたい方
関連記事:『YouTube内にディスプレイ広告を出すための8ステップを解説!』
Contents
YouTube広告の特徴
ユーザー数が圧倒的に多い
インターネット行動分析に強い株式会社ヴァリューズが、国内の20歳以上の男女3,384人を対象に実施した調査結果によると、YouTubeの利用率は男性90.4%、女性86.6%と全体で約9割となっており、特に20~30代の約3割が休日に3時間以上YouTubeを視聴していることが分かりました。
上記の現状からみると、YouTube広告が、いかに数多くの人に見られるチャンスがあるかということが分かります。
この点は、YouTube広告を利用する大きなメリットと言えるでしょう。
無駄なコストが不要
YouTube広告には複数の課金システムがあります。
その中には、広告がクリックされて、企業サイトへ移った場合のみ、料金が発生するという仕組みがあります。
広告の種類によっては、ユーザーが途中で広告をスキップした場合、広告料が発生しません。
そのため、無駄なコストの発生を避けることができます。
関連記事:『YouTube広告の費用対効果を高める5つのポイントと事例をご紹介』
参考:『YouTube広告の効果とは?メリットとデメリットを解説』
ターゲットを絞れる
YouTubeのプラットフォームは、各ユーザーの地域、年齢、性別、好みといった情報を保持しています。
そのような情報を基にしたターゲティングによって、より効果的なWebマーケティングが可能になります。
関連記事:『【すぐわかる】YouTube広告のターゲティング2種類と使い方を解説!』
参考:『YouTubeの広告動画の種類や特徴!広告を出す方法&メリットとは?』
ユーザーを企業の自社サイトへ直接誘導可能
自社サイトへ直接的に誘導する機能は、TVCMなど従来のマス広告にはないものです。
ユーザーはすぐに商品やサービスの詳細情報に触れることができます。商品購入やサービス利用の検討をしてもらうきっかけとなります。
参考:『【2021年9月更新】YouTube広告とは?広告配信目的やYouTube広告の種類を徹底解説』
興味をもつユーザーを追跡可能
ターゲティングできるユーザーは、YouTube動画広告を一定時間以上視聴した人や、特定の動画を視聴した人など、さまざまな場合が考えられます。
一度広告に興味を持ったユーザーに再度広告を見せることで、訴求力を高められるというメリットがあります。
もちろん何度も同じ広告を見せると、不快感をもたれてせっかくの広告効果を減少させてしまう可能性もあります。
その逆効果を避けるために、はじめに広告を出す目的について、しっかりと決めておくことが重要です。
例えば、まだ購入したことのないユーザーへ、新規顧客用の広告を配信します。
一度購入した後に再度広告を見せる場合、リピート購入用の広告を配信します。
参考:『YouTube広告の効果とは?メリットとデメリットを解説』
このように魅力的なYouTube広告ではありますが、ただ出稿するだけでは思ったような効果は得られません。
実はYouTube 広告を作成する際にGoogleに推奨されているABCDフレームワークがあります。
それを知っておくと、効果的な広告に含まれているコツが徐々に見えてきます。
関連記事:『YouTubeアナリティクスで動画を分析するときに注目したい5つの指標』
ABCDフレームワークとは?
ABCDフレームワークとは、以下の4つで構成されるフレームワークです。
- Attract :視聴者の関心を引き込む
- Brand :視聴者にブランドを認知してもらう
- Connect :視聴者の感情をブランドの内容と結びつける
- Direct :目標客層に対して明確に行動を促すフレーズを提示する
それぞれ解説していきます。
Attract(視聴者の関心を引き込む)
Attract:視聴者の関心を引き込む
- 構図:商品か人物かにかかわらず、被写体をアップで使用する。
- ペース:冒頭5秒間に 2つ以上のショットを入れる。
- 人物:人物を登場させる場合は、その人物を映した場面から始める。また可能であれば、その人物から直接視聴者に語りかける。
引用:『コンバージョンを促す動画広告に必要な「ABCD フレームワーク」で TrueView アクション広告を分析する』
視聴者が広告の冒頭をやり過ごして、すぐにスキップし、他のページやサイトへ移ってしまわないように、広告の作成者は工夫しなければなりません。
関連記事:『【業界別】サービス紹介動画の成功事例14選!動画の作り方まで解説』
Brand(視聴者にブランドを認知してもらう)
Brand:視聴者にブランドを認知してもらう
- 紹介:冒頭 5 秒間で商品やブランドを紹介することで、すべてのブランド指標とプラスに相関。
- 強調:ロゴの表示は重要。どのような表示方法が効果的かは、マーケティング目標によって異なる。
- 位置:ロゴの表示位置は中央から左。YouTube のインターフェースを考慮すると、この位置が目線を誘導しやすく、ブランドを訴求できる。
引用:『コンバージョンを促す動画広告に必要な「ABCD フレームワーク」で TrueView アクション広告を分析する』
単に企業名や商品名を視聴者に覚えてもらうために、繰り返しアピールすればいいわけではありません。
社名やロゴの表示の位置やタイミングも考えて効果的に行う必要があるのです。
Connect(ストーリーと視聴者を結びつける)
Connect:ブランドストーリーと視聴者の感情を結びつける
- 惹きつける:ブランドに合った、(アクション、ユーモア、好奇心などの)感情に訴える手法を活用する。
- 関連付ける:人物をストーリーの中心に据える。広告の冒頭に人物を登場させると、視聴者を引き込むことができ、感情的なつながりを築ける。
引用:『コンバージョンを促す動画広告に必要な「ABCD フレームワーク」で TrueView アクション広告を分析する』
広告は様々なコンテンツ(写真、動画、音楽、イラスト、キャッチコピー、ロゴマークなど)を用いてストーリーを伝えられる媒体の1種類です。
ストーリーを上手く利用して自社と視聴者を結びつけましょう。
なお、YouTube広告には、宣伝自体は可能でも法的根拠など表現に制限があるコンテンツがあります。
具体例として、下記のようなもの挙げられます。
- アダルト コンテンツ
- アルコール
- 著作権
- ギャンブル、ゲーム
- ヘルスケア、医薬品
- 政治に関するコンテンツ
- 金融サービス
- 商標
- 法的要件
- その他の制限付きビジネス
YouTube広告を作成する際に、制限付きのコンテンツなどにも気を付けましょう。
関連記事:『YouTube広告&チャンネル運営の用語46選!基本を解説』
Direct(望むアクションを視聴者に提示する)
Direct:ブランドが望むアクションを視聴者に対して明確に提示する
- 提示する:テキストカード、シンプルなアニメーション、ナレーションなどを使って、オファーや行動を促すフレーズを提示。
- 動機付ける:「期間限定」「数量限定」「無料モニター」など、切迫感やお得感を与えるオファーを行う。
- 行動を促す:具体的な「行動を促すフレーズ」(「ウェブにアクセス」「お申し込み」「今すぐ購入」など)を使用したり、検索バーを追加したりして、行動を起こさせる。
引用:『コンバージョンを促す動画広告に必要な「ABCD フレームワーク」で TrueView アクション広告を分析する』
視聴者との繋がりが上手くできていても、そこから先の行動喚起などの要素を充実させなければなりません。
例えば広告の最後に「今すぐ購入」、「期間限定」、「無料体験」などのフレーズをつけることによって、視聴者は気に入った商品を「すぐに手に入れたい!」と思いたくなるでしょう。
YouTube広告は、人物やもの、文字、音声、図形などの要素でできています。
したがって、広告作成者は、それらの要素を駆使して、如何に広告の対象者に伝えればいいかを考える必要があります。
関連記事:『5大SNS広告運用入門!適したターゲットや特徴を解説!』
ABCDフレームワークを用いた事例
では実際にABCDフレームワークが用いられたYouTube広告の成功事例を5つ紹介します。
ポイントも説明に加えていますので、是非YouTube広告を検討・制作する際に参考にしてください。
ライザップの広告
この広告は、2021年に公開されたライザップの宣伝用の広告です。
ライザップは、同社が運営している店舗型のゴルフ個別指導レッスンサービス「RIZAP GOLF」の宣伝として、YouTube広告への配信を開始しました。
当時はテレビCMでも打ち出していましたが、YouTube広告に比べて単価が高く、PDCAを回しにくいというデメリットを抱えていました。
そこで、低予算からでも配信でき、参入障壁が低いYouTube広告への配信を検討したのです。
動画再生回数は、約4.7万回(2023年5月時点)となっています。
このライザップの宣伝動画には、以下のようなABCDフレームワークが見て取れます。
Brand:逆L字型バナー内でロゴと商品内容を常時訴求し、ブランドの認知向上を図った
Connect:半信半疑の視聴者に対して、ゴルフスキルが上達する成功ストーリーを見せることで感情に訴えかけた
Direct:動画終盤でゴルフに関するお悩み相談の申し込みへと誘導した

「Brand」として逆L字バナーを効果的に使用したことが、広告想起率の増加に起因していますね。
参考:『RIZAP、アドビ、カネボウの YouTube 広告の作り方 —— ABCD フレームワークで広告効果が向上』
サントリーウエルネスの1分間広告
この広告は、2019年にサントリーウエルネスが公開した年齢美容ドリンクの動画広告です。
サントリーウエルネスは、健康グッズや美容サプリメント、スキンケアなどといった商品を幅広く開発、販売している健康食品ブランドです。
この広告では、加齢による肌悩みを抱える40代、50代女性をターゲットに自社製品の年齢美容ドリンクを訴求しています。
動画内の上下には商品名のロゴとそのキャッチコピーが固定で表示されており、違和感なく自然にブランド認知ができています。
ここではABCDフレームワーク「Brand」のメソッドが使われていることが分かります。
また、動画内ではターゲットのペルソナに近い人物を起用し、「何歳に見える?」と問いかけることで視聴者を引き込み、ブランドストーリーと視聴者の感情を上手く結び付けています。

ABCDフレームワークの「Connect」が上手くできた広告の1つとも言えます。
また、スマホから視聴するユーザーが多いことを想定し、あえて動画内の素材サイズを縦型動画したり、動画終了後に数秒間の余白を設け、画面が切り替わるまでに猶予を設けている点も視聴者への行動喚起要素になっています。
動画のいたるところで「初回限定」「お試しモニターキャンペーン」「特別お試しセット」などといった限定性を訴求していることからも、新規顧客に対して購入促進をしていることが分かります。
これはABCDフレームワークのうち、視聴者にアクションを起こさせる「Direct」に当てはまります。
動画再生回数は、約320万回(2023年5月時点)です。
視聴者との繋がりが上手くできた上で、視聴者に伝えたいメッセージや訴求をシンプルにテンポよくまとめて強調している、ABCDフレームワークをバランスよく活用しているYouTube広告です。
参考:『コンバージョンを促す動画広告に必要な「ABCD フレームワーク」で TrueView アクション広告を分析する』
関連記事:『インフィード動画広告でYouTubeチャンネル登録者数を増やす際の4つの注意点』
ブランディアの広告
https://www.youtube.com/watch?v=SJmeiAT9qV4
この広告は、2019年に公開されたブランド品買取サービスを提供している「ブランディア」の広告です。
ブランディアは、2019年3月に開始したブランドバッグレンタルサービス「ブランディアレンタル」のYouTube広告を配信しました。※現在はサービスを終了しています。
たった15秒の広告動画ではありますが、様々なポイントを押さえた結果、動画再生回数は約982万回(2023年5月時点)と高い再生回数を誇っています。
この広告が注目を集めた理由は大きく分けて以下の2点あります。
- 冒頭5秒に惹きつける内容を入れる
- 開始直後にストーリーのピークを作る
まずは、冒頭5秒を意識した動画構成です。
YouTubeの動画広告において、最初の5秒は最も重要です。
なぜなら、冒頭5秒間で視聴者の心を掴めるかどうかで、視聴者がスキップするかどうかが決まるからです。
逆に言うと、冒頭の数秒間で視聴者の興味関心を掻き立てることができなければ、視聴者は動画をスキップしてしまい、離脱につながります。
ブランディアの広告動画では、まさに冒頭において巧妙な工夫が施されています。
冒頭は認知度の高いタレントのアップからスタートし、ドラマ風なストーリーを想像させるようなシーンで視聴者を惹きつけています。
さらに、開始直後にストーリーのピークを作ることで、スキップせずにいる視聴者をストーリーに惹きこんでいます。
最後のブランド名の掲示も自然な流れではありますが、視聴者に強いインパクトを残した手法でブランド効果を高めています。

これはまさにABCDフレームワークの「Attract」に気を配った動画です。
参考:『コンバージョンを促す動画広告に必要な「ABCD フレームワーク」で TrueView アクション広告を分析する』
ベネッセの広告
この広告は、2021年に公開されたベネッセによる「進研ゼミ小学講座」の広告です。
『楽しく学べて、学力がつく通信教育』をコンセプトにした、新小学1年生向け「1年生準備スタートボックス」の案内動画になっています。
ベネッセは、動画素材やクリエイティブによる効果の違いを検証するために、広告フォーマットやターゲットなどは変えずに複数のパターンでYouTube広告を配信しました。
ABテストを行うために配信したのは以下の4つのパターンです。
- テレビCMと全く同じ素材を使用したパターン
- 右上にロゴを表示し、字幕を大きくして画面の明度を上げるなど視認性を強化したパターン(Driect)
- 逆L字型のバナーを追加してユーザーへの行動喚起を強化したパターン
- 冒頭にオファーを追加したパターン(Attract)
比較検証の結果、4つの中で最もブランド認知効果があったのは、視認性を最適化した素材②でした。
この広告はこれまで145万回のYouTube視聴回数を記録し、認知度の向上が成し遂げられました。
このように、YouTube広告のクリエイティブ検証において、ABCDフレームワークに最適化することで効果的な広告配信に繋げることも可能です。
参考:『4 つのクリエイティブでコネクテッドテレビでの認知効果を検証——ベネッセと探る「ABCD フレームワーク」』
関連記事:『YouTubeインストリーム広告とは?6種類やメリット、出稿方法を解説』
Michelob ULTRAの広告(ビール)
この広告は、2020年に公開されたビールの広告です。
ビールを飲む人、あるいはビールを飲みたい人に対して、Michelob ULTRAという商品を伝えることを目的にした広告です。
動画再生回数は、約880万回です。
この広告の最初のハプニングを見たときに、好奇心が湧いたのではないでしょうか。
冒頭に 2つ以上のショットを入れるのはまさに、ABCDフレームワーク「Attract」の「ペース」の手法です。

さらにブランドの名前が最初だけでなく、ストーリーの中でも繰り返し表示されています。ABCDフレームワークの「Brand」が上手くできているといえます。
ビールと言えば、不健康で太りやすいようなイメージがあります。
しかし、このビールの広告では、全ての場面がスポーツに関連して展開されています。
つまり、スポーツを通して、爽やかで健康的な商品であるというメッセージを伝えているわけです。
「ビールが好きだけど、太りやすいから……」と迷っている人は、この広告を見て少し不安が解消できるのではないでしょうか。
それにより視聴者との繋がりを築くことができ、購買意欲を刺激することに繋がります。
これはABCDフレームワークの「Connect」を素晴らしく応用した例の一つです。
まとめ
YouTube広告の種類、特徴はそれぞれ違います。しかし、成功事例から見えたポイントを動画制作やマーケティング運用に活用すれば、ユーザーにアクションを起こさせる広告を作り出せるでしょう。
YouTube広告は現在も毎日更新を続けています。
継続的に成功事例をまとめることで、より効果的な広告マーケティングができるのではないかと思っております。
この記事を読んで、YouTube広告の最適化が難しいと少しでも感じたら、制作会社に任せるのも一つの手です。
弊社では成果にこだわる広告動画制作というサービスを展開しております。
自社チャンネルや動画広告を含む200本以上の漫画動画制作の実績があります。
TikTok広告やYoutube広告などのSNS動画広告の運用経験も豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
蓄積されたノウハウから短期間で課題を解決に導きます。
漫画動画の制作でお困りでしたら是非お気軽にご相談ください。
監修者
2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。