「入札設定から出稿までを自動化してくれる機能を探している」
そうした方はGoogleディスプレイ広告(GDN)に搭載されたスマートディスプレイキャンペーン(SDC)の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)は、Googleディスプレイ広告(GDN)の諸設定を自動化する機能があり、運用における工数を削減したい方にはおすすめの機能です。
本記事ではスマートディスプレイキャンペーン(SDC)の機能、導入条件、制限されている機能、課金方式、メリット及びデメリット、向いている人、設定の手順、コツについて解説します。
関連記事:『ディスプレイ広告とは?GDNとYDAの5つの違いを解説』
Contents
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)とは
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)とは、Googleディスプレイ広告(GDN)の複雑な設定を自動化する機能です。
通常Google広告の運用においては、担当者がキーワードを検討して入稿作業をし、Google広告ヘルプによると、ライフサービスメディア事業を行う株式会社じげんではサービス拡大に伴いキーワード設定、入稿などの設定作業に半日近くの時間を充てていました。
一方でスマートディスプレイキャンペーンを活用すると、Google広告の諸設定が自動化され、広告担当者の広告運用者の工数の削減が見込めます。
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)では以下の設定が自動で最適化されます。
- 入札設定
- ターゲット設定
- 広告の作成
なお、最適化の条件としては、新規キャンペーンの場合はキャンペーンのコンバージョン数が50件以上、もしくは運用期間が2週間以上経過していること、既存キャンペーンの場合は少なくとも2週間以上経過していることです。
参考:『スマート ディスプレイ キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ』
参考:『成功事例 | Google 広告』
参考:『最適化されたターゲティングを使用する – Google 広告 ヘルプ』
入札設定
引用:『Google広告のキャンペーン タイプを確認する 』
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)では目標コンバージョン単価と過去の掲載結果に応じて、コンバージョンを最大化するよう、入札単価が自動で設定されます。
コンバージョンが見込める可能性が高い場合は入札単価が引き上げられ、コンバージョンが見込める可能性が低い場合は入札単価が引き下げられます。
参考:『スマート ディスプレイ キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ』
ターゲット設定
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)の実行中にターゲット設定が自動化および最適化され、コンバージョンの可能性が高い箇所に広告が配信されます。
運用者がターゲティングの指定を行う必要はありません。
参考:『スマート ディスプレイ キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ』
広告の作成
広告見出し、説明文、ロゴ、画像を管理画面に入稿すると、それらを組み合わせて広告が自動で作成されます。
さらに、これらの広告は、Googleディスプレイネットワークのほぼすべての広告スペースに合わせてサイズやレイアウトが自動的に調整されます。
参考:『スマート ディスプレイ キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ』
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)で制限されている機能
ここまではスマートディスプレイキャンペーンの概要についてお伝えしました。
自動入札、自動ターゲティング・自動広告作成といった機能があり、広告運用者の工数削減につながるという魅力があります。
ですが反対に、スマートディスプレイキャンペーン(SDC)で制限されている機能というものがいくつかあります。
- 個別単価設定の使用
- 配信方法と配信先デバイスを設定する
- PC専用またはモバイル専用のキャンペーンを使用する
- 手動ターゲティングの設定
- すべての広告を手動で作成する
- スマートアシストキャンペーンを他のタイプのディスプレイキャンペーンに変更する
また、変更を加えることができない箇所も存在します。
ただし、プレースメント、サイトカテゴリ、キーワードなどの除外設定を追加することは可能です。
関連記事:『YouTube内にディスプレイ広告を出すための8ステップを解説!』
スマートディスプレイキャンペーンの課金方式
コンバージョンに対するお支払い
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)では従来のGoogle広告のようにクリック毎ではなく、コンバージョン(実際の購入やお問い合わせといった成果)が発生した段階でお支払いをすることも可能です。
たとえば、目標コンバージョン単価が1,000円、1ヶ月間のコンバージョン数が10件発生した場合、お支払い額は10,000円になります。
このコンバージョンに対するお支払いを選択した場合は、コンバージョンにつながったクリックやインプレッションに対しては料金は発生しません。
参考:『Use pay for conversions in Display campaigns – Google Ads Help』
コンバージョンに対するお支払いの利用条件
コンバージョンに対するお支払いを利用するには、過去30日間にアカウントのコンバージョン数が100件を超えている必要があります。
同時に、そのうちのコンバージョンの90%はユーザーが広告をクリックしてから7日以内に発生している必要があります。
ですので、広告のクリックからコンバージョンまでの期間が1週間を超えることが多い場合は、コンバージョンに対するお支払いは利用できないケースも出てきます。
参考:『Use pay for conversions in Display campaigns – Google Ads Help』
スマートディスプレイキャンペーンの入札戦略
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)では、下記の入札戦略を設定することができます。
- コンバージョンの最大化
- 目標コンバージョン単価
- 目標広告費用対効果
個別の入札単価は、平均コンバージョン単価が目標コンバージョン単価と同額になるように調整されます。
たとえば、目標コンバージョン単価を1,000円とした場合、平均1,000円でコンバージョン数を最大化するように、入札単価が自動調整されます。
すべての広告オークションでの掲載結果を改善するため、入札単価の調整には、デバイス、ブラウザ、地域、時間帯、リマーケティングリストなどのリアルタイムのデータが使用されます。
参考:『Use pay for conversions in Display campaigns – Google Ads Help』
関連記事:『Google広告の自動入札とは?6つの戦略と手動入札との違いを紹介』
コンバージョンに対するお支払いを選択する場合の導入条件
なお、スマートディスプレイキャンペーン(SDC)でコンバージョンに対するお支払いを選択する場合は導入条件がありますので、自社アカウントが次の条件を満たしているかどうか確認しましょう。
- ディスプレイ広告で過去30日間に50件以上のコンバージョン以上、もしくはアカウント全体で過去30日間に100件以上コンバージョンが必要
- 90%以上のコンバージョンが広告のクリックから7日以内に発生
ビジネスモデルの都合上、導入条件を満たすことができない方は、*マイクロコンバージョン(例えば、入力フォーム到達率や購入ページ到達率など)を活用した目標設定をすることで、コンバージョンデータを貯めることができます。
参考:『Create and manage Smart Display campaigns – Google Ads Help』
参考:『アカウントのデフォルトのコンバージョン目標について – Google 広告 ヘルプ』
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)のメリット・デメリット
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)を活用する際のメリット、そしてデメリットにはどういったものがあるのでしょうか。
メリットとデメリットを考慮した上で導入を検討しましょう。
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)のメリット
スマートディスプレイキャンペーンを活用するメリットは次の通りです。
- 高い成果が見込めるキャンペーンを数分で作成できる
- 新規ユーザーにアプローチできる
高い成果が見込めるキャンペーンを数分で作成できる
これまでGoogleアドワーズや運用型広告は、ターゲット設定や入札設定、運用結果に基づいた調整(プレースメントの除外など)が必要なものでした。
スマートディスプレイキャンペーンではクリエイティブ作成に必要な広告の見出し、説明文、ロゴ、画像を入稿するだけで、目標コンバージョン単価と予算の範囲内で最大限のユーザーにアプローチできます。
つまり、運用者の工数の削減と高い成果が期待されるキャンペーンの自動作成が可能になります。
参考:『スマート ディスプレイ キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ』
関連記事:『広告の機械学習促進施策5選!教師ありAIで広告最適化!』
新規ユーザーにアプローチができる
スマートディスプレイキャンペーンではターゲティングを自動で行ってくれるので、運用者が想定していなかったユーザー層にアプローチが可能です。
新規ユーザーにアプローチすることは、スマートディスプレイキャンペーンの2つのターゲティング方法によって可能になります。
- 自動リマーケティング
- 自動ターゲティング
自動リマーケティングは、広告主のウェブサイトを訪れたことがあるユーザーにアプローチします
一方で自動ターゲティングは、購買プロセスの初期段階にいるユーザーにアプローチできます。
例えば、炭酸水を提供していると仮定します。炭酸水キャンペーンのターゲットを設定する際に、キーワードとして「事務用品」を追加しようとは考えません。
スマートディスプレイキャンペーンでは、「事務用品」と炭酸水の販売に強い関連性があるとわかった場合、このキーワードが自動的にターゲットとして設定されます。
これはほんの一例ですが、スマートディスプレイキャンペーンではこうしたキーワードを多数見つけることが可能です。
機械学習やブラウザのデータに基づき、自分では思いつかないようなシグナルがターゲットとして設定されます。
参考:『スマート ディスプレイ キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ』
関連記事:『Google広告のコンバージョンタグをタグマネージャーで設定する5ステップ』
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)のデメリット
スマートディスプレイキャンペーン(SDC )のデメリットは次の通りです。
- 機械学習の学習期間中は数値が安定しない
手動での細かいターゲット設定ができない
機械学習の学習期間中は数値が安定しない
過去の掲載データが蓄積されていない状態でスマートディスプレイキャンペーンを配信してしまうと、機械学習の学習期間中はコンバージョン単価といった数字が安定しない場合があります。
スマートディスプレイキャンペーンは、過去のデータを基に最適な配信先を選ぶという性質上、判断材料に欠けると最適な配信がしづらくなるという弱点を持っています。
Google広告の公式ヘルプでは、「必要な学習期間が終わり、2週間が経過するか、またはコンバージョンが50件に達した時点で、キャンペーンの最適化が開始されます。」と記載があります。
逆に言えば、学習期間を過ぎていない場合やCV件数が多く出ていないアカウントでは、成果が安定しないリスクがあるといえます。
最適化を早めるためには、通常のディスプレイキャンペーンで反応の良いアセットを絞り込む、他の配信でコンバージョンデータを蓄積しておくといった施策を事前に行うことが有効です。
参考:『スマートディスプレイキャンペーンの仕様と始め方をわかりやすく解説!』
参考:『スマート ディスプレイ キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ』
手動での細かいターゲット設定ができない
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)ではターゲット設定が自動で最適化されるため、手動での細かい調整ができません。
例えば、PC専用もしくはモバイル専用のキャンペーンを使用することはできないため、PCかモバイルのいずれかに絞って配信したい場合は、スマートディスプレイキャンペーン(SDC)は不向きです。
参考:『スマートディスプレイキャンペーン、Google 推奨設定やメリット・デメリット | 株式会社グラッドキューブ』
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)が向いているケース
先述したスマートディスプレイキャンペーンのメリット・デメリットに基づいて、スマートディスプレイキャンペーンは、下記のようなケースに向いているといえます。
- 新規ユーザーにアプローチをしたいケース
- 短い期間で高い成果が見込めるキャンペーンを作成したいケース
- ディスプレイ広告の設定管理の工数を削減したいケース
スマートディスプレイキャンペーン設定の手順
ここでは、スマートディスプレイキャンペーン(SDC)の設定方法についてお伝えします。
Google広告の管理画面の「+」をクリックし、目標を設定
Google広告の管理画面を開きます。管理画面を開くと「新しいキャンペーンを作成」とありますので、クリックをします。
そうすると、「販売促進」、「見込み客の獲得」、「ウェブサイトのトラフィック」の項目がありますので、自社の目標に合わせて選択します。
「キャンペーンタイプ」の項目がありますので、「ディスプレイ」を選択します。
「ディスプレイ」を選択すると、「キャンペーンのサブタイプ」の項目が表示されますので「スマートディスプレイキャンペーン」 を選択しましょう。
「目標をどのように達成するかを選択してください」という欄が表示されますのでURLを入力しましょう。
以上でキャンペーンの目標設定は完了となります。
参考:『スマート ディスプレイ キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ』
キャンペーンの詳細設定で単価設定や日予算の情報を入力
続いての画面では、単価設定を行っていきます。
今回は、重視している要素として「コンバージョン」、コンバージョンの獲得戦略として「コンバージョン数を自動的に最大化」としてみます。
「コンバージョン数を自動的に最大化」(コンバージョン数の最大化)は、具体的な目標コンバージョン単価が定まっておらず、まずは予算内で最大限にコンバージョン数を集めたい場合に有効な入札戦略です。
その後は、日予算などの設定を行いましょう。
参考:『スマート ディスプレイ キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ』
クリエイティブの素材を設定
最後に広告の素材を設定しましょう。
広告の素材となるアセットの推奨文字数やデータサイズなどの情報は次の通りです。
- 広告の見出し(半角25文字以内)、説明(半角70文字以内)、それぞれ5件まで
- 会社名
- 最終ページURL
- 画像(1.91:1、1:1、ロゴ)
推奨サイズ
- 1200×628(横長)
- 1200×1200(正方形)
データサイズ
- 1MB以下
※広告の見出し、説明、画像は3件以上、入稿することが推奨されています。
参考:『スマート ディスプレイ キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ』
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)の4つのコツ
上記ではスマートディスプレイキャンペーンの設定方法をお伝えしましたが、始めるにあたって意識しておきたいコツというものがあります。
- コンバージョン数が確保されているキャンペーンで行う
- 機械学習が進むまでクリエイティブを変更しない
- 目標コンバージョン単価を過度に低く設定しない
- コンバージョンポイントを複数設定しない
上記のコツを意識しつつキャンペーンを利用しましょう。
参考:『スマートディスプレイキャンペーン(SDC)とは?メリット•デメリットや課金体制、設定方法まで徹底解説!』
コンバージョン数が確保されているキャンペーンで行う
まずは、コンバージョン単位でスマートディスプレイキャンペーンを運用する条件を確認します。
過去30日間にディスプレイネットワークで50件以上のコンバージョンが発生している必要があります。
推奨は100件以上となります。
検索ネットワークのみ配信の場合は、検索ネットワークで100件以上のコンバージョンです。
そのため、ある程度定期的にコンバージョンが発生しやすいキャンペーンを選択する、もしくはコンバージョンのポイントをより手前(購入→カートへ入れる、など)にすることで、スムーズな運用が可能になります。
引用:『スマート ディスプレイ キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ』
参考:『スマートディスプレイキャンペーン、Google 推奨設定やメリット・デメリット』
機械学習が進むまでクリエイティブを変更しない
機械学習が進行するのには、早くて1〜2週間ほど要します。
学習期間中に変更が起きるとこれまで蓄積したデータが使えなくなる場合があるため、機械学習が進行していないタイミングでクリエイティブを変更することは控えましょう。
参考:『スマートディスプレイキャンペーン(SDC)とは?メリット•デメリットや課金体制、設定方法まで徹底解説!』
目標コンバージョン単価を過度に低く設定しない
目標コンバージョン単価を過度に低く設定すると、スマートディスプレイキャンペーン(SDC)のシステム側からその単価でコンバージョンに繋がるユーザーはいないと判断されてしまう恐れがあります。
この場合、広告の表示回数の減少により、コンバージョン数が下がり、最適化のためのデータが不十分で機械学習の精度が低下するという悪循環を生み出してしまいます。
効果的な広告運用のため、目標コンバージョン単価を過度に低く設定することは控えましょう。
参考:『スマートディスプレイキャンペーン(SDC)とは?メリット•デメリットや課金体制、設定方法まで徹底解説!』
コンバージョンポイントを複数設定しない
コンバージョンポイントを複数設定すると、実際に商品の成約につながっていないコンバージョンポイントに偏った最適化が起こってしまう可能性があります。
株式会社J・Gripの調査結果によると、スマートフォン上の電話ボタンのタップとウェブサイトでのお問い合わせなどの複数のコンバージョンポイントに設定した場合、電話CVに偏った最適化が行われてしまったという結果があります。
電話ボタンタップには誤タップもコンバージョンに含まれるので、有効なコンバージョンでないところで最適化した配信となりました。
コンバージョンポイントを複数設定する際は、このような現象が起きないように慎重に設定しましょう。
参考:『GDNスマートディスプレイキャンペーンで自動的に成果最大化』
まとめ
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)はGoogleディスプレイ広告(GDN)の設定を自動的に最適化する機能です。
以前のGoogle広告では、ターゲット設定や入札設定、運用結果に基づいた手動の調整(プレースメントの除外など)が必要でした。
スマートディスプレイキャンペーン(SDC)を活用することで、広告運用の工数が削減されるというメリットがあります。
自動最適化の内容は入札設定、ターゲット設定、広告の作成の3点です。
自社での広告運用に時間がかかっている方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、当記事を読んで、Google広告の管理画面を使用した場合の広告運用もGoogle Ads Editorを使用した広告運用も難しいと感じた方は1度広告代理店に相談してみてはいかがでしょうか。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。