顕在ユーザーへのアプローチができるリスティング広告を運用する上で、広告パフォーマンスを左右する重要な指標になるのがキーワード選定です。
Googleリスティング広告の平均クリック率は3.17%といわれているものの、キーワードの選定や広告ジャンルによってもクリック率は大きく変動します。
参考:『Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]』
そんなリスティング広告のキーワードを自社で選定する上で、
「自社と同じ業界の平均クリック率が知りたい」
「キーワード選定方法について知りたい」
上記のようなお悩みが生じるかと思います。
本記事では、企業のリスティング広告運用担当者様へ向けて、リスティング広告にキーワード選定の重要性や、成果が出やすいキーワード選定方法、キーワード選定のポイントなどを詳しくご紹介しています。
関連記事:『スマホ向けリスティング広告の特徴と成果を出す10の方法!』
Contents
リスティング広告におけるキーワード選定の重要性
リスティング広告におけるキーワードとは、検索結果で広告を表示させるためのフレーズを意味します。
では、そもそもなぜリスティング広告にはキーワードの選定が重要なのでしょうか?
リスティング広告では、ユーザーが検索エンジンに入力したキーワードと連動して広告が表示されます。
そのため、ユーザーが抱えているニーズとの関連性が高いキーワード選定ができれば広告はクリックされ、より多くのコンバージョンが期待できます。
一方、適切なキーワードが選定できないと、広告を見てもらいたいターゲットとなるユーザーに対して広告表示ができません。
そのため、リスティング広告をユーザーにクリックしてもらえるかどうかはキーワード選定によっても大きく左右されます。
広告効果を最大化させるためには、ユーザーの検索意図に基づいたキーワード選定が非常に重要なのです。
関連記事:『リスティング広告の運用に検索ニーズを反映させる3ポイント』
キーワード選定前にやるべきこと
リスティング広告でキーワード選定を効果的に進めるには、いきなりキーワードを探し始めるのではなく、事前準備として「ヒアリング」「ユーザーの属性分析」「競合調査」の3つを行うことが大切です。
ユーザーへのヒアリング
キーワード選定を行う前に、まずはユーザーの気持ちを理解しなくてはいけません。
そのため、実際にこれまで自社商品を購入したユーザーに対して「アンケート」や「インタビュー」を実施し、ターゲットユーザーのニーズを汲み取る必要があります。
また、ユーザーにヒアリングをすることで、ニーズの理解だけでなく「自社商品はどんなユーザーに求められているか」「どこが強みか」「弱みはあるか」といった他社製品との違いも明確になるでしょう。
アンケート調査の場合、無料で簡単にフォームが作成できる「Googleフォーム」がおすすめです。
またアンケートやインタビュー以外にも、SNS上でユーザーが投稿した口コミを収集したり、競合サイトの類似商品のレビューを参考にするなどの方法もあります。
このようなデータが後々キーワードを選定する上で重要になってくるので、ヒアリングは定期的に実行するようにしましょう。
関連記事:『検索意図をリスティング広告に活かすための5つの考え方とは?』
ユーザーの属性分析
ユーザーのヒアリングをしたあとは、ユーザーの属性分析も欠かせません。
ターゲットとなるユーザーの属性を分析することで、効果が見込みやすいキーワード選定が実現可能です。
例えば、頻繁に「20代」からクリックを獲得しているのであれば「20代」というユーザー属性から新しいキーワードを考えて追加するのも有効です。
ユーザーの属性を分析するには「Googleアナリティクス」を活用がおすすめです。
Googleアナリティクス(GA4)では、広告をクリックしたユーザーやコンバージョンを達成したユーザーの属性が詳細に分析できます。
具体的には以下のデータ属性の取得が可能です。
- 年齢(18~24歳/25~34歳/35~44歳/45~54歳など)
- ユーザーがアクションを起こした国、都市、地域
- 性別
- ユーザーの興味や関心
- ユーザーが使用しているデバイスの言語
参考:『[GA4] ユーザー属性の詳細レポート|アナリティクスヘルプ』
競合調査
リスティング広告で効果的なキーワードを選定するには、事前の競合分析も必要です。
例えば、自社で「価格の安さを前面に押し出した商品」をリスティング広告で販売したいと思っていても、不特定多数の業者が自社と同じように価格の安さを前面に押し出していた場合、同じ強みで戦うのは得策ではない可能性が高いです。
ヒアリングで調査した自社商品の強みをあらかじめいくつかピックアップしておき、競合よりも自社の強みが上回っているのか確認した上でキーワード選定ができます。
他社と差別化を図るには、4P分析などのフレームワークを活用するのも有効です。
市場分析や競合分析については以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:『マーケティングの4P・4Cとは?それぞれ4つの活用方法をわかりやすく解説!』
関連記事:『【初心者向け】市場分析のやり方とは?6種類の手法と事例を紹介』
リスティング広告の正しいキーワード選定手順
ここまで解説したように、リスティング広告を効果的に運用するには、事前にユーザーへのヒアリングと属性分析、競合分析を行うのが得策です。
そのうえで、実際にユーザの検索意図に基づいたキーワードの選定に入っていきます。
ここからは、リスティング広告で成果が出やすい正しいキーワード選定手順を3つのステップで解説していきます。
リスティング広告のキーワード選定方法に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
- メインキーワードを選定する
- サブキーワードを分析する
- キーワードを絞り込む
メインキーワードを選定する
キーワード選定の最初のステップとして、メインキーワードを選定しましょう。
メインキーワードとは、ユーザーが検索する際に軸となるキーワードを指します。
例えば「ワコールのシルクパジャマ」をリスティング広告で打ち出したい場合のメインキーワード選定方法についてみていきましょう。
まず、メインとなるキーワードを下記のように5つに分類していきます。
キーワードの種類 | メインキーワード |
固有名詞 | ワコール シルクパジャマ |
商品名 | シルクパジャマ |
ニーズ | 寝付けない 快眠 |
類似商品 | コットンパジャマ ルームウェア |
周辺商品 | 枕 布団 毛布 |
リスティング広告では「固有名詞」や「商品名」のキーワードが最もクリックされやすいといわれています。
しかし「固有名詞」や「商品名」だけでは自社商品を認知しているユーザーにしかリーチはできない上に、競合が多すぎるためコンバージョンにつながりにくい傾向があります。
そのため、「ニーズ」や「類似商品」などのキーワードも設定しておくことで潜在層のユーザーにもアプローチしていく必要があります。
このように、メインキーワードを選定していく際は、目標や商品の特徴に合わせて「商品名×ニーズ」「類似商品×固有名詞」などで組み合わせてみることがおすすめです。
サブキーワードを分析する
メインキーワードを決めたら、サブキーワードを決めていきます。
サブキーワードとは、ユーザーが検索する際にメインキーワードに加えて検索するキーワードです。
効率的にサブキーワードを選定するには、キーワード調査ツールの活用がおすすめです。
キーワード調査ツールを使うことでユーザーに検索されやすいキーワードを効率的に選定することができ、的を絞った広告配信が可能になるためクリック率の向上が見込めます。
また、このサブキーワードとメインキーワードが組み合わさったものをサジェストキーワードといいます。
例えば、「シルクパジャマ おすすめ」「シルクパジャマ ブランド」などです。
サジェストは、Googleなどの検索エンジンにキーワードを入力すると、検索結果画面に関連する検索キーワード候補として表示されます。
Googleの場合、サジェストには下記のような選定基準があります。
- 検索ボリューム
- 多くのユーザーによって検索された回数
- トレンド
- キーワードを内包するサイト数
- ユーザーの検索場所または言語
- ユーザーの検索履歴
このようにGoogleのサジェストは、実際にユーザーが検索したキーワードの履歴情報をもとに推測されています。
サジェストは関連性の高いキーワードなので、メインキーワードと合わせて活用するサブキーワードを選定するときに参考にしてみましょう。
ここでは、サジェストキーワード、サブキーワード調査において特に利便性の高い無料ツールを3つご紹介します。
ラッコキーワード
ラッコキーワードは、サジェストキーワードを調べたいときに便利なツールです。
引用:『ラッコキーワード』
上記画像のようにメインキーワードを入力するとサジェストの一覧が表示されます。
また、「Yahoo!知恵袋」「教えて!goo」のようなQ&Aサイトとも連動しており、ユーザーのニーズ分析にも便利です。
引用:『ラッコキーワード』
キーワードデータはCSVダウンロードで一括取得することもできます。
入力したキーワードに関連する「お悩み」が一覧で確認できるので、キーワードの検索意図を把握する上でも便利といえるでしょう。
関連記事:『【リスティング広告】クリック率が向上する広告文の作成ポイント8選』
キーワードプランナー
サブキーワードを調べる際にはキーワードプランナーがおすすめです。
キーワードプランナーとは、Google広告が提供する運用ツールで「関連キーワード取得」や「検索ボリュームの調査」が可能です。
リスティング広告では、メインキーワードのみの出稿ではなく「メインキーワード+サブキーワード」で掛け合わせて出稿するのが基本となります。
メインキーワードのみだと競合が多く、クリック単価が高くなる傾向があるためです。
そのため、軸となるメインキーワードをあらかじめ選定した上で、キーワードプランナーを活用してサブキーワードを取得していきます。
手順は下記の通りです。
「新しいキーワードを見つける」を選択
引用:『キーワードプランナー』
Google広告管理画面右上の「ツールと設定」からキーワードプランナーを立ち上げて「新しいキーワードを見つける」を選択します。
メインキーワードを入力
引用:『キーワードプランナー』
メインキーワードを入力して「結果を表示」を選択します。
表示されたサブキーワードを確認する
引用:『キーワードプランナー』
キーワード候補として、関連するサブキーワードが表示されるので、この中からリスティング広告に利用できそうなものをピックアップしましょう。
キーワードプランナーでは「競合性」「クリック単価目安」「月間検索ボリューム」の3点も確認できます。
ある程度の検索ボリュームがあり、競合性が低いキーワードを選定するようにしましょう。
なお、競合性は「高」「中」「低」の3段階で表示されます。
検索したキーワードでリスティング広告を配信している競合サイトが多い場合は「高」と表示され、比較的競合が少なく参入しやすいキーワードの場合は「低」と表示されます。
関連記事:『Googleキーワードプランナーの使い方とは?6つの便利機能を解説』
Googleトレンド
キーワードのトレンド性を知りたい場合はGoogleトレンドを活用してみましょう。
Googleトレンドとは、リアルタイムで急上昇中のキーワードやトレンドのキーワードを分析できる無料ツールです。
引用:『Google Trends』
具体的には、日本国内で検索されているキーワードだけでなく世界で検索されている急上昇キーワードも分析できます。
リスティング広告運用において、キーワードのトレンド性を重要視している方は少ないかもしれません。
しかし、メディアで取り上げられたキーワードが一時的にトレンドとしてヒットすることで大幅な売り上げ増加につながる場合も大いに考えられます。
検索ボリュームやユーザーニーズを基準にキーワード選定をすることはもちろん、定期的にトレンドを調査することでクリックの機会損失を防ぐことができます。
キーワードを検索する際には、調べたい国、検索期間、カテゴリー、検索の種類(画像検索やニュース検索など)の条件を指定することができます。
参考:『Googleリスティング広告でトレンド把握が可能な分析情報(インサイト)機能を解説』
キーワードを絞り込む
メインキーワードとサブキーワードの分析まで行い、ある程度のキーワード候補が挙がったら、キーワードを絞り込む工程に入ります。
最終的にキーワードを選ぶ際は「コンバージョンに繋がりやすいかどうか」でふるいにかけるのがおすすめです。
例えば、リスティング広告のコンバージョンを「ワコールのシルクパジャマの購入」においた場合、「セシール シルクパジャマ」のキーワードはたとえ検索ボリュームが妥当であっても、コンバージョンに繋がりにくいと推測ができます。
もちろん、狙っているターゲット層や広告予算によっても多少変動するため、あくまで広告の目的に合わせた絞り込みが重要です。
キーワード選定で押さえておきたいポイント
ここからは、キーワード選定をする上で押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。
以下のポイントに留意してキーワード選定することで、さらに効率的な広告運用につながります。
- 入札単価を確認しておく
- 競合が少ないキーワードから狙う
- マッチタイプを設定する
- キーワードの除外設定をする
入札単価を確認しておく
リスティング広告のキーワードを選定する際には、入札したいキーワードの平均単価を確認しておきましょう。
入札単価とは、ユーザーが広告をクリックするごとに発生する費用の上限です。
入札単価が低ければ低いほど広告費用を抑えた運用が可能になりますが、その分広告をユーザーに見てもらえる頻度が少なくなります。
一方で人気なキーワードや検索ボリュームが大きいキーワードは、競合が多いため入札単価も吊り上がります。
狙うキーワードによっては費用が大きく変動するため、費用対効果の高いリスティング広告にするためにもキーワードの入札単価を確認した上で選定するようにしましょう。
なお、入札単価の確認はキーワードプランナーでできます。
競合が少ないキーワードから狙う
リスティング広告におけるキーワード選定に限ったことではありませんが、キーワード選定は検索ボリュームと競合がともに少ないキーワードから狙うのが得策です。
競合が比較的少ないキーワードとして多いのがロングテールキーワードです。
ロングテールキーワードとは、3~4語で構成されたキーワードのことで、トータルのキーワードが長くニッチなニーズが多いことから検索ボリュームが少ないという特徴があります。
ロングテールキーワードを狙うことで上位表示がされやすく、またユーザーのニーズが顕在化していることからその後のクリックにも繋がりやすいというメリットがあります。
商材や市場規模にもよりますが、目安として検索ボリュームが1,000以下のキーワードであれば競合が多くないと言えます。
関連記事:『Googleリスティング広告で効果を上げるための10のポイント』
マッチタイプを設定する
キーワードのマッチタイプとは、指定したキーワードと実際に検索されたキーワードにおいてどの程度の一致を求めるかを指定することです。
このマッチタイプを設定しておくことで、目的に合わせた広告配信が可能になり、広告クリック率の向上が見込めます。
リスティング広告におけるマッチタイプは以下の3種類です。
- インテントマッチ:キーワードに関連する内容の検索
- フレーズ一致:キーワードと同じ意味を含む
- 完全一致:キーワードと全く同じまたは同じ意図の検索
一致度は完全一致が最も高く、インテントマッチは関連性がある幅広いキーワードに対しての表示が可能です。
引用:『キーワードのマッチタイプについて』
例えば、指定したキーワード以外にもそれに関連するような多様なキーワードを指定することで幅広いユーザーにアプローチしたい場合はインテントマッチでの設定がおすすめです。
一方で、購入意向が高いユーザーやコンバージョンにつながりそうな質の高いクリックを集めたい場合は、完全一致で指定することで狙いを定めたキーワード選定が可能になります。
このように、ターゲット層や目標に応じてマッチタイプを使い分けることが重要です。
参考:『キーワードのマッチタイプについて』
キーワードの除外設定をする
キーワードの除外設定をするのも有効です。
リスティング広告では、広告との関連性が低いキーワードを除外して広告の配信対象から外すことができます。
例えば、海外旅行の格安プランを打ち出したい場合、「国内 旅行」や「海外 高級ホテル」といったキーワードで広告が表示されてもコンバージョンの確度は低いです。
また、ネガティブな意味を持つキーワードや広告と無関係なキーワードも除外設定をしておくと良いです。
このような明らかにクリックに繋がらないようなキーワードを排除することで、関心のあるユーザーに絞った配信ができるためクリック率が向上しやすく効果的です。
参考:『除外キーワードについて』
参考:『リスティング広告のキーワード選定|プロの選び方・考え方を解説』
設定できるキーワード数の上限に注意点
リスティング広告では、設定できるキーワード数に上限があります。
以下がGoogle広告やYahoo!広告それぞれに登録できるキーワードの上限数です。
Google広告 | Yahoo! | |
キーワード | 最大500万個まで | 合わせて最大5万個まで ※広告グループなども含む |
除外キーワード | 最大1万個まで |
上限数を超えることでガイドライン違反になったりGoogle広告アカウントが停止されるなどといったことはありませんが、上限内に抑えることで不必要なキーワードが削減され、広告の最適化につながります。
キーワードを選定する際は、登録数の上限を考慮した上で「本当に適切かつ有効なキーワードかどうか」を考えましょう。
参考:『Google 広告で設定できる項目の上限数について|Google広告ヘルプ』
参考:『アカウント・キャンペーン・広告グループに登録できる項目の上限数について|Yahoo!広告ヘルプ』
まとめ
リスティング広告で効果が出やすいキーワード選定方法5選を紹介しました。
リスティング広告では、キーワードの選定によってその後のクリック率やコンバージョンが変動するので、本記事を参考にキーワードを選定してみましょう。
この記事を読んで、キーワード選定を含むリスティング広告運用が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
弊社ではリスティング広告運用代行というサービスを展開しております。
リスティング広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
蓄積されたノウハウから短時間で課題を解決に導きます。
また、薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。