多くの企業が、自社の商品・サービスの魅力をPRしたり、顧客になるユーザーを獲得したりするためにデジタルコンテンツを運用しています。
記事や動画をはじめ、SNS投稿、ウェビナーなどコンテンツの形態はさまざまですが、「実際のところ、どれぐらいの利益につながっているのかが見えにくい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介する「ROI」は、コンテンツマーケティングによって生み出された利益を把握するために役立つばかりでなく、運用方針や施策の決定の一助となります。
コンテンツ運用による成果を見える化したいと考えているなら、ぜひ最後までチェックしてください。
なお、これから自社メディアを立ち上げる、コンテンツマーケティングを始めるという方は、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:『オウンドメディアでコンテンツを資産に!目的と6つのメリットを紹介』
Contents
コンテンツマーケティングとは?
まずは、コンテンツマーケティングがどのようなものであるのかをみていきましょう。
また、ユーザーが商品を知ってから購入に至るまでのステップについても解説します。
コンテンツを通して顧客を育成するマーケティング手法
「コンテンツマーケティング」とは、ユーザーのニーズに沿った有益なコンテンツを提供することで自社の商品・サービスの認知を獲得し、潜在層を見込み客・顕在顧客にまで育成していくマーケティングの手法を指します。
ここでいうコンテンツには、記事や動画、SNS投稿、音声配信、ニュースレターといった多様な形態があります。
コンテンツマーケティングの方法の一例として、以下が挙げられます。
- Google、Yahoo!などのサーチエンジンで自社の商品・サービスに関連するキーワード検索をした際に上位表示させ、ユーザーを自社メディアのコンテンツに呼び込む
- SNSに画像や動画などのコンテンツを投稿し、商品・サービスの認知を広げる
プラットフォームやコンテンツの配信方法の選択肢が多彩なため、自社のユーザーのニーズや行動パターンに合う方法が選べる点が大きなメリットです。
参考:『コンテンツマーケティングの費用対効果(ROI)の計測と考え方』
以下の記事では、SEOとコンテンツマーケティングの違いを説明しています。
コンテンツマーケティングへの理解を深めるために、ぜひご覧ください。
関連記事:『【SEOとコンテンツマーケティング】2つの違いとは?各施策を解説』
ユーザーの購買行動には段階がある
コンテンツマーケティングでは、ユーザーの購買行動の段階に合わせたコンテンツを提供することが重要です。
例)美容家電の購入を検討しているユーザー
すでに購入意欲が高まっており、製品の基本的な知識について情報収集が完了している場合
- 「初めてヘアアイロンを購入する方必見!選び方のポイントを解説」
- 「ヘアアイロンのおすすめの太さは?26㎜、32㎜、38㎜のウェーブを画像で解説」
上記の①、②であれば、ユーザーのニーズに適しているのは後者だと考える方が多いでしょう。
以下は、ユーザーが商品・サービスについて認知し、購入に至るまでの行動フローを表した「パーチェスファネル」です。
商品・サービスについて認知していないユーザーには、まずは興味を持ってもらえるようなコンテンツ、購入・申し込みを検討しているユーザーには「購入する」ボタンのクリックを後押しするようなコンテンツを用意しておくことで、顧客がどの段階にあってもフォローが可能です。
また上図の先には「維持・リピート」という段階があります。
一度購入したユーザーに継続して利用してもらうためのアクションも、企業の存続には欠かせません。
参考:『マーケティングファネルとは?基礎から活用方法を徹底解説』
こちらの記事では、マーケティングファネルの種類や各段階に有効な施策をご紹介しています。
あわせて参考にしてください。
関連記事:『広告戦略に役立つマーケティングファネル!3つの種類を解説』
ROIとは?
ここからは、マーケティングの成果を測る指標の一つであるROIについて解説します。
ROIの意味や算出方法のほか、混同されやすい「ROAS」という指標との違いも理解しておきましょう。
ROI=投資利益率
ROIとは「Return on Investment」の略語です。
「投資利益率」つまり、施策に投じたコストに対して得られた利益や成果を意味しています。
今回はコンテンツマーケティングにおけるROIを解説しますが、マーケティング以外の分野においても活用される指標です。
ROIはパーセンテージで示され、100%に達した状態は、投じたコストを利益として回収できていることになります。
一方、100%に満たない場合はコストを利益が下回った状態です。
初期投資額が多い施策や、すぐに成果が出にくい施策の場合、コストの回収に時間がかかることも想定しておく必要があります。
参考:『コンテンツマーケティングのROIの計算方法|設定すべきKPIや注意点も解説』
Webマーケティングの成果を測定するためには、指標の種類や意味の把握が欠かせません。
以下の関連記事を読むと、さまざまな指標と解析レポートの作成方法がわかります。
関連記事:『どの数字が重要?広告運用の解析レポートに欲しい指標11選!』
ROIの算出方法
ROIは、施策によって発生した利益を施策に投資した金額で割って算出します。
計算式は以下の通りです。
ROI(%)=【利益】÷【コスト(投資額)】×100
算出例
商品の開発に合計で3,000万円の費用がかかり、利益として回収できた金額が4,500万円だった場合のROI
4,500万円(利益)÷3,000万円(コスト)×100=150%
商品の開発・販売によるROIは150%です。
参考:『コンテンツマーケティングのROIの計算方法|設定すべきKPIや注意点も解説』
ROASとの違い
ROASとは「Return on Ad Spend」の略語で、広告の費用対効果を測る際に用いられる指標です。
以下の計算式で算出することができます。
ROAS(%)=【売り上げ】÷【広告費】×100
ROASが100%に満たない場合は、赤字となります。
算出例
300万円の広告費用を投じて売り上げが600万円だった際のROAS
600万円(売り上げ)÷300万円×100=200%
この場合のROASは200%です。
ROIとの大きな違いは、利益ではなく「売り上げ」をベースに計算を行うという点にあります。
ROIでは売り上げから経費などを差し引いて「利益」を求める必要がありますが、ROASの算出では売り上げと広告費用がわかれば算出が可能です。
参考:『マーケティングROIとは|コンテンツマーケティングにおけるROIの考え方』
こちらの記事では、ROIとROASの違いやそれぞれのメリットをより詳しくご紹介しています。
2つの指標への理解を深めるためにお役立てください。
関連記事:『広告運用でよく聞くROI・ROASとは?2つの算出方法とメリットを解説』
コンテンツマーケティングにおけるROI
コンテンツマーケティングの場合は、プラットフォームやコンテンツの種類によって、施策を行う目的が異なります。
また前述のように、購買におけるさまざまなフェーズのユーザーが混在するため、「コンテンツの目的」や「ニーズの段階」などによってROIの設定を行うことをおすすめします。
目的別・ROI算出方法の例
- コンテンツマーケティングによる単純な利益を測るなら、一般的なROIの算出で使用される【利益】÷【コスト(投資額)】×100
- リード(見込み客の獲得)を利益とみなし、コンテンツへの流入からリードにつながった割合をROIと設定するなら、【リード獲得数】÷【コンテンツのPV数】×100
- リピーターの獲得を目的とするニュースレターのROIを測る場合は、【リピート購入者数】÷【ニュースレター配信数】×100
例えば、パーチェスファネルの各フェーズごとに「何をROIとするか」を決定しておくと、どの段階のユーザーに対して成果を挙げられているのかを容易に把握できるようになります。
参考:『コンテンツマーケティングのROIの計算方法|設定すべきKPIや注意点も解説』
なお、コンテンツマーケティングのROI算出で使用されるPV数などの数値は、Googleアナリティクス4(GA4)などの解析ツールを用いて計測を行います。
GA4の使い方もチェックしておきましょう。
関連記事:『Googleアナリティクス4の特徴は?設定と6つの注意点を解説』
コンテンツマーケティングにROIの計測が必要な理由
ROIの計測は、目に見えた成果がすぐには出にくいコンテンツマーケティングの利益を継続的に追い続け、施策を改善するために必要です。
SEO対策のコンテンツを例に挙げると、Googleの公式では効果が実感できるようになるまでに通常は4ヶ月から1年ほどの期間が必要だと言われています。
また、コンテンツにはさまざまな目的があります。
「将来見込み客になりそうな層に認知を広げる」「自社の商品・サービスへの関心度を高める」などの目的を定めている場合、成果を明確にするのは難しいでしょう。
適切な指標を設定して長期的に計測をすることで、コンテンツマーケティングの成果を可視化できます。
前項でもご紹介したように、「リード獲得数」「リピーター数」など何を利益とみなすのかを決定し、コンテンツマーケティングのROIを算出しましょう。
ROIの計測によって、利益に貢献しているコンテンツとそうでないコンテンツが明確になります。
ROIを最大化するため、新たな取り組みにつなげることが大切です。
施策の一例
- 予算配分の組み直し
- コンテンツのブラッシュアップを行う
- コンテンツの種類を増やす
- 新たなプラットフォームを導入する
参考:『SEO業者の利用を検討する Google検索セントラル』
参考:『コンテンツマーケティングのROIの計算方法|設定すべきKPIや注意点も解説』
参考:『BtoBコンテンツマーケティングでROIを上げる秘訣』
利益につながる良質なコンテンツの作成には、ユーザーの動向やニーズの把握が欠かせません。
コンテンツマーケティングに取り組むにあたり、ユーザーインサイトについてもぜひ知っておきましょう。
関連記事:『【マーケティング用語】ユーザーインサイトとは?5つの方法で明確化』
コンテンツマーケティングの段階ごとに目標を設定する
「2-4.コンテンツマーケティングにおけるROI」の項目でもお伝えしたように、パーチェスファネルにおけるフェーズごとに「何を利益とみなすのか」を定めておくことで、どのプロセスで成果が出ているのかを把握できるようになります。
ここでは、パーチェスファネルの①認知、②興味・関心、③比較・検討、④購入・申し込みに加え、購入後のフェーズである⑤維持・リピートを加えた5つの段階に分けて、計測するべき指標をご紹介します。
認知
ユーザーとの最初の接点である「認知」のフェーズでは、自社のコンテンツにアクセスしてもらうことが何よりも重要です。
ユーザーはまだ自身の課題やニーズをはっきりと認識していない状態にありますが、適切なコンテンツの提供によって興味を植え付けられます。
この段階では、コンテンツへの流入数やPV数、UU数などに着目しましょう。
InstagramなどのSNSではインプレッション数、リーチ数、動画コンテンツの場合は再生回数が該当します。
参考:『コンテンツマーケティングのROIの計算方法|設定すべきKPIや注意点も解説』
以下の記事では、企業がInstagramでマーケティングを行う際の基礎知識について触れています。
関連記事:『企業がInstagramを成功させる基礎知識!おすすめ運用法5選』
興味・関心
商品・サービスやそれらが属するカテゴリーに対しての興味が深まっている段階です。
商品・サービスの詳細やスペックについてリサーチを行います。
このフェーズのユーザーは、しっかりと情報収集を行うために時間をかけてコンテンツを閲覧したり、SNSで保存やシェアなどの行動をとったりします。
興味・関心の段階にあるユーザーをどの程度獲得できているのかは、滞在時間やお気に入り登録、SNS投稿の保存数やシェア数といった指標に着目することで把握できます。
参考:『コンテンツマーケティングのROIの計算方法|設定すべきKPIや注意点も解説』
比較・検討
前段階までに集めた情報をもとに、どの商品・サービスを購入するべきか絞りはじめます。
複数の候補が挙がっている状態にあり、自分のニーズに合うものはどれなのかを比較・検討するのがこのフェーズにあるユーザーです。
Webサイトやパンフレットはもちろん、実際に使用した人のレビューのチェック、サンプル商品の使用などを通して購入の決め手を探します。
比較・検討段階のユーザー数を把握するにあたっては、「サイトへの再訪問率や資料・サンプル請求の数」「説明会の予約数」「商品スペックなどについて記載されたページの閲覧数」「SNSのフォロワー数」といった指標が有効です。
参考:『コンテンツマーケティングのROIの計算方法|設定すべきKPIや注意点も解説』
なお、競合との差別化を測るには、市場の動向チェックは欠かせません。
市場分析に取り組むなら、以下のコンテンツが参考になるでしょう。
関連記事:『【初心者向け】市場分析のやり方とは?6種類の手法と事例を紹介』
購入・申し込み
情報収集や比較・検討を重ねたすえに、ユーザーが商品やサービスの購入に踏み切る段階です。
ここでようやく売り上げが発生します。
初回の購買行動は完結しますが、この先に顧客を維持したり、リピートを促したりするフェーズが続きます。
計測するための指標として、コンテンツを経由した商品やサービスの購入・申し込み数や売り上げなどがあります。
参考:『コンテンツマーケティングのROIの計算方法|設定すべきKPIや注意点も解説』
維持・リピート
維持・リピートは、商品やサービスを利用したユーザーを自社のファン化し、優良顧客に育てるフェーズにあたります。
既存顧客向けにニュースレターを配信する、レビューの投稿に特典つける、会員専用サイトのコンテンツを充実させるなど、接点を作ることが大切です。
リピート購入率や契約更新率、レビューの投稿数、SNSでのシェア数といった数値が指標となります。
参考:『コンテンツマーケティングのROIの計算方法|設定すべきKPIや注意点も解説』
既存顧客とコミュニケーションをとる手段として、LINEの公式アカウントを利用してみるのはいかがでしょうか。
以下の記事では、LINE公式アカウントの解説方法や機能をご覧いただけます。
関連記事:『スマホで始めるLINE公式アカウント!12項目をアプリで簡単管理』
コンテンツマーケティングでROIを計測する際の注意点
コンテンツマーケティングでROIを分析するにあたり、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
ここでは、押さえておきたいポイントをご紹介します。
コストを正確に把握する
売上利益をもとにROIを算出するにあたり、コスト(投資額)を把握することが大切です。
コンテンツマーケティングにかかる費用についてみていきましょう。
サイトの開発・維持費用
自社のサイトにコンテンツを掲載する場合は、サイトの開発やドメインの使用、レンタルサーバーの費用が発生します。
コンテンツの枠組みを用意するためのコストとなります。
コンテンツの制作費用
コンテンツの制作にも費用が必要です。
たとえば記事コンテンツを作る場合は、記事の文字数や本数に応じた制作費が発生します。
また、SNSや動画プラットフォームに掲載する画像や映像についても同様です。
コンテンツの制作を社内のリソースでまかなう場合も、人件費がかかります。
ROIを正確に算出するためには、コストを厳密に管理する必要があります。
参考:『コンテンツマーケティングの費用対効果(ROI)の計測と考え方』
社内の担当者がコンテンツの制作を担うケースもあるでしょう。
以下の記事では、SEOライティングのコツをまとめています。記事コンテンツを作る際の参考になるでしょう。
関連記事:『【初心者向け】SEOライティングで上位表示を狙うための9つのコツ』
成果が出るには時間がかかる場合が多い
例えば、SEOでは記事がインデックスされてから検索の上位を獲得できるようになるまでに、ある程度時間がかかる場合があります。
前述のように、Googleの公式でも効果が現れるまでに通常 4ヶ月〜1年ほどの期間が必要だと言及しています。
また、SNSアカウントもフォロワーを増やすのは一朝一夕にできるものではありません。
一方で、一度作成したコンテンツはサイトの資産となります。
インターネット上にある限り、継続的に集客のポイントとして稼働し続けます。
少しずつコンテンツを増やし、ユーザーを呼び込むための間口を広げていけるのはコンテンツマーケティングのメリットの一つです。
こういった背景もあり、コンテンツマーケティングのROIは、徐々に高くなる傾向が見られます。
ROIは、期間を定めて定期的に算出・分析を実施しましょう。
コンテンツマーケティングを開始して間もない期間は、Web広告に投じる予算を多めにするなど、複数の施策の併用がおすすめです。
たとえばリスティング広告のようなオークション形式のWeb広告であれば、出稿から短期間で掲載することができます。
参考:『SEO業者の利用を検討する Google検索セントラル』
参考:『コンテンツマーケティングのROIの計算方法|設定すべきKPIや注意点も解説』
参考:『コンテンツマーケティングの費用対効果(ROI)の計測と考え方』
コンテンツマーケティングとあわせてWeb広告の運用を検討しているなら、手軽に始められて種類も多いGoogle広告がおすすめです。
ぜひ以下の記事をチェックしてみてください。
関連記事:『Google広告6種類を解説!それぞれの特徴やメリットもご紹介 』
まとめ
この記事を読んで、コンテンツマーケティングの運用や最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。