今日、私たちの生活では所々で広告が見られます。
飲料水やヨガ、化粧品、クレジット会社やアーティストの新曲発売日の広告などは既に電車や町の一風景になっています。
一般的な広告としてテレビ広告、雑誌広告、ラジオ広告が挙げられますが、近年パソコンや携帯電話利用の定着、またサービスの多様化や端末の多機能化・高機能化が進んだことによって、右肩上がりの成長を見せているのがWeb広告です。
株式会社電通グループが2023年12月に発表したレポートからも、デジタル広告(Web広告)の成長は見て取れます。
2025年、2026年にかけても、世界の広告市場は堅調に成長し、それぞれ4.2%増の7,846億米ドル、4.3%増の8,184億米ドルを予測しています。
また、総広告費に占めるデジタル広告の割合は、2025年に59.9%、2026年には61.1%と、初めて60%台に達する見通しです。
このような状況において、広告は既に生活の一部として日常そのものに浸透しています。
広告はなぜこのように広い範囲で必要とされているのでしょうか。人々に物やサービスを買ってもらうための販売促進の道具だけとして使われているのでしょうか。
本記事で広告とは一体どのような目的で使用されるのか、また企業側と消費者側にとっての「価値」などについて紹介していきます。
関連記事:『無料ツールだけでビジネスマンガ広告を作る5つのステップ!』
広告とは?
広告の定義
日本大百科全書(ニッポニカ)によると、「広告」は送り手である広告主が、受け手である消費者の態度や行動に影響を与える目的で、新聞、放送などの広告媒体(advertising media)を通じて有料で行う情報伝達活動であると解説されています。
簡潔に説明すると、広告とは、人々への有料のコミュニケーションメッセージです。
そのメッセージを通して人々に何かを知らせたり、人々に何かを買ってもらったり、体験してもらったりするように影響を与えます。
広告の掲載手段として、オンライン広告、オフライン広告に分類できます。
オフライン広告
オフライン広告には主に新聞や雑誌、パンフレット、チラシ、看板などが挙げられます。
確実に一定以上の人の目に触れるという特徴があるため、広告の露出率が保証できます。
広告費用には先払いが多く、金額が確定されていることが多いです。
特別な知識がない人でも簡単に広告を使用できます。
オンライン広告
オンライン広告(別名:Web広告、インターネット広告)にはSNS広告や動画広告などが挙げられます。
「誰に広告を表示するのか」を設定できるという特徴があるため、ターゲットが絞りやすいことが特徴です。
さらに「広告が何回表示されたか」「何人が広告からホームページ(HP)を訪れたか」など細かいデータが取れるため、広告の効果も測りやすいです。
広告費の料金プランが幅広く、常に調整することも可能なので、自社の予算や成果報酬に合わせて柔軟に宣伝対策が考えられます。
さらに総務省の『情報通信白書』(令和5年版)によると、主なメディアの利用時間と行為者率には、全年代で平均利用時間は、平日及び休日ともに、「インターネット利用」が最も長い状況でした。
今後5G時代に向けてオンライン広告の優位性や需要がさらに高まるでしょう。
もちろん「広告のすべてをオンライン広告にした方が良い」ということではありません。
オフライン広告にもメリットがあるので、効果的に顧客にアプローチするために、両者の強みを生かしながら使い分けたり、併用したりするのも考えられます。
参考:『コトバンク』
参考:『Google広告でビジネスを拡大しましょう』
参考:『オンライン広告とオフライン広告の違いを明らかに!メリットや優位性をチェック』
参考:『総務省 | 令和5年版情報通信白書「主なメディアの平均利用時間と行為者率」』
関連記事:『YouTubeアナリティクスで動画を分析するときに注目したい5つの指標』
広告の特徴
- 有料の形態:広告は商業目的を果たすためのものであり、広告内容の作成や媒体利用、広告の効果測定などに予算が必要です。
- プロモーション活動のツール:ある商品やサービスに対する需要を喚起、維持するために、買手や利用者に情報を提供したり説得したりするよう広告内容を作成する必要があります。
- 多くは単方向の通信:広告は、企業側がさまざまな媒体を通じて顧客に伝える一方通行のコミュニケーションです。
- 対象者が特定または不特定:広告は、テレビやラジオ、新聞広告のように不特定多数の対象者に働きかけます。一方ソーシャルメディアのネット広告のように特定的対象者にも働きかけます。
各メディアの広告の特徴は下記の表のようにまとめられます。
各メディアの広告の特徴 | |
テレビ | 普及率が高いメディア 多様な層にリーチ可能 |
ラジオ | 不特定多数の人に情報の提供が可能 やや地域性が強いメディア 低コストで不特定多数の人にリーチ可能 |
新聞 | 社会的信頼の高いメディア 読者層に合わせてリーチ可能 |
雑誌 | (ファッションや金融など)効率的に特定のターゲットへのリーチが可能 |
交通 | 一定時間に渡って自然に情報を提供するメディア 接触率が高く、多様な層にリーチ可能 |
インターネット | 双方向交流型で速報性に優れているメディア 年齢や性別によってターゲティングが可能 広告の効果分析も簡単に実現可能 |
参考:『マスメディアとは?4大媒体の種類・役割・影響力など基本情報や、広報活動におけるマスコミの役割を紹介』
メディアごとの広告の種類やスタイルは異なり、リーチできる層も異なるので注意が必要です。
その広告媒体の特徴をよく把握しながら、最適なメディアを選んでいきましょう。
参考:『マスメディアとは?4大媒体の種類・役割・影響力など基本情報や、広報活動におけるマスコミの役割を紹介』
関連記事:『5大SNS広告運用入門!適したターゲットや特徴を解説!』
広告の目的とは?
広告には主に3つの目的があります。
簡潔に説明すると、以下のようになります。
- ブランドや商品について人々に知らせること
- 購入や体験などの行動を促すこと
- ブランドや商品についてのメッセージを想起させる
具体的には下記で説明いたします。
情報の提供
広告物を消費者に認知・理解してもらうことが広告の目的の一つです。
認知・理解してもらう情報は、商品やサービスの良さ、使い方、価格といった製品そのものが中心です。
潜在的な顧客に対するブランドや製品についての情報提供は、ビジネス目標を達成する最初の一歩です。
そのため、ターゲット市場でブランドの認知度や露出度を高めたいときに広告を利用する場合があります。
花王株式会社の事例
国内有数の消費財メーカーである花王株式会社は、テレビとデジタルを統合したマーケティングを展開。
従来はテレビCM中心の企画をデジタル広告に適用していたものを、企画段階からテレビとデジタルを想定した広告作りへとフローを作り変えました。
その中の一つの試みとして、掃除用品の「クイックルワイパー ドライシート」をYouTube広告にて配信しました。
YouTube広告では15秒のスキップ可能なインストリームで商品理解、6秒のバンパー広告で購入喚起などフォーマット毎に役割を分担。
さらにそれぞれのオーディエンス層に対して配信を行ったことで、動画視聴完了率でGoogleの消費財平均数値を13%上回る成果を残しました。
参考:『花王、リクルート、日本コカ·コーラはマーケティングでビジネス成長 —— AI など最新動向を押さえた YouTube 広告活用』
参考:『認知広告とは?7種類のWeb広告や効果測定のKPIを網羅解説』
参考:『〈20〜30代男女〉約7割がSNS広告きっかけで商品ページ/ブランドサイトを見た経験があると回答!ECとSNSに関する調査』
行動までの説得
特定の行動を促すために消費者を説得することが目的となります。
説得するために消費者がブランドに対するイメージやブランドへの好意を持たせることが大切です。
例えば、製品カテゴリーの良い点を示したり、他社製品と比べることで自社製品の優位性を示したりする手法がこの目的に当たります。
例えば、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社では、NURO光というネット回線商品のメジャー感やベネフィット、信頼度という購買行動を促す広告内容で申込件数20%の増加を達成しています。
関連記事:『運用型広告の種類7選!【本当に効果のある広告はどれ?】』
参考:『Performance for Action部門は「YouTube 広告でブランドの誤解を解いた」ホットペッパービューティーが受賞、予約増加率は 9.1% 増——顧客の意思決定を後押しした7作品』
リマインド
広告のもう一つの目的は、築いてきたブランドイメージを維持・強化し、ブランドを忘れさせないために行います。
ブランドに関心を持っている既存の消費者、またはこれから関心を持ちそうな潜在的な消費者にとって広告商品など利用し続けられる安心感を促せます。
企業側にとって、競合他社で自社顧客の流失も防ぐことができます。
製品の開発段階によって、広告の目的が異なってくるので、広告の目的に合わせながら段階的に広告対策を考えた方が良い場合があります。
例えば、製品の導入期に情報の提供を主な目的に、成長期に入ったら情報提供だけではなく行動までの説得も目的に加え、成熟期に入ったら情報提供や行動への説得以外に定期的にリマインドするような広告対策が考えられます。
具体的な例として、Web広告にはリマーケティング広告という種類の広告が存在します。
見込客に対して複数回広告を表示し、初回のWebサイト訪問時は低かったユーザーの購買意欲を、広告を見せて高めていき、購入へと誘導します。
そのためCVRが高くなりやすい傾向で知られています。
広告の重要性
消費者にとって
- 消費行動の利便性:自分の要件や予算に合わせた希望な広告内容が絞られるので、消費者の意思決定プロセスまで楽にゴールできます。
- 内容の豊かさ:広告の中で入手に可能なさまざまな製品の紹介を見た消費者にとって、簡単に情報の収集ができます。獲得した多様な情報は、製品を比較し最適な製品を選択するのに有利です。
- 品質の保証:広告へ出稿している企業側にとって、ブランドのイメージが重視されているので、悪品質のものを販売することなどが難しくなっています。それは消費者にとって、より良い品質の商品を購買することができる利点があります。
企業側にとって
- 認知度:広告は、ターゲットしたい客層に届きやすいので、製品や企業の認知度を高めることができます。
- ブランドのイメージ:広告の内容やデザインを通して、ブランドのイメージが消費者に届きやすくなります。それは企業側のブランドイメージの構築に非常に有利な点となります。
- 製品の優位性:広告の中では、競合他社のものと比較することができるので、各社製品の優位性が見られます。ターゲットされた消費者の要望に合わせた自社製品の優位性には、説得力を持って伝えることが可能です。
- 好意の上昇:広告を通して、ブランドのことを消費者に想起させ、ブランドへの好意の維持や強化ができます。
- 費用:広告によって、幅広い視聴者にメッセージを発信できます。伝統的なプロモーション活動に比べて、広告の費用対効果が高い傾向があります。
今後の広告業界
現在、テレビ広告とインターネット広告、そしてビルや電車内でよく見られる電子広告が広告媒体の主力ですが、雑誌や新聞、ラジオといった伝統的な媒体は情報の獲得においてユーザーの場所や時間に制限がある場合も少なくありません。
また、Web広告と比較すると網羅的な施策を打つのに莫大な準備金が必要な他、欲しい情報を直ちに検索して入手する方法は少ないため、衰退の可能性もあると考えられています。
合わせてWeb広告の市場成長を裏付けるデータも存在します。
4社(CCI/電通/電通デジタル/セプテーニ)が共同で公開した『2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析』の調査によると、日本の広告費について以下の記載があります。
2023年の日本の総広告費は、通年で前年比103.0%の7兆3,167億円となり、1947年の推定開始以降、前年に続き過去最高を更新しました。
その中でインターネット広告費(1996年に推定開始)は、社会のデジタル化を背景に堅調に伸長し、前年より2,418億円増加して3兆3,330億円(前年比107.8%)と過去最高を更新し、日本の総広告費全体の45.5%を占めました。
参考:『株式会社CARTA COMMUNICATIONS(CCI)/株式会社電通/株式会社電通デジタル/株式会社セプテーニ | 2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析』
これらの数値からも明らかなように、マスコミが覇権を握っていた広告業界の勢力図が近年目まぐるしく成長するインターネット広告によって逆転されようとしています。
さらに目まぐるしく技術が進化している現代では、非常に速いスピードで情報のやりとりがされているため、広告にも革新的な試みやメディアが登場するかもしれません。
例えば、Supernatural(フィットネスゲーム)は、バーチャルリアリティ(VR)を用いて、家庭内でも撮影された美しい風景を眺めながら、プレイできます。
そのため、広告業界にとって、どのような新プロジェクトであっても積極的にアイディアを出す前向きな姿勢が求められます。
今後はグローバル化がさらに進むこともあり、各国の広告動態も変化していく可能性があります。
その最新動態を把握するために、広告事業にも一定レベルの語学力が必要となることが考えられます。
また顧客のニーズの多様化によって、最適とされる広告は必ずしも1つではなくなりました。そのため、広告の形式や内容も柔軟的に対応していく必要も出てきます。
人工知能(AI)や5Gが実現可能となった現代において、ユーザー1人ひとりに合わせたオーダーメイドの広告を自動で作り出すことが比較的容易になってきました。
個別にターゲットを絞った精度の高い広告活動へと変化していくかもしれません。
その場合、高度なテクノロジーを使いこなすエンジニアやデータ分析を行うアナリストが広告業界を支えるようになるでしょう。
参考:『広告業界の変化と、今後広告代理店の営業に求められるものとは』
参考:『大自然の中で運動できるVRアプリ「Supernatural」を体験–自宅待機中に最適かも』
参考:『株式会社CARTA COMMUNICATIONS(CCI)/株式会社電通/株式会社電通デジタル/株式会社セプテーニ | 2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析』
関連記事:『おすすめのBtoB広告代理店10選!会社選びで見るべき6つのポイント』
まとめ
以上で広告の種類&特徴、また企業側と消費者側にとっての価値、今後の動向を紹介いたしました。
この記事を読んで、広告の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
弊社ではリスティング広告運用代行というサービスを展開しております。
リスティング広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
蓄積されたノウハウから短時間で課題を解決に導きます。
また、薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。