リスティング広告が上手く運用できているのか、そうでないのか判断に迷った経験はありませんか?
目標とするコンバージョン数を獲得できたとしても、費用がかかりすぎてしまっては本末転倒です。
リスティング広告をはじめ、広告運用では、企業全体で利益が挙げられるかどうかという視点を持つことが大切になります。
1件のCV獲得にかかった費用を指すCPAは、運用している広告の費用対効果を測るための重要な指標の1つです。
目標CPAを決めることで、少ない費用でも効率よく広告運用を行うことができます。
今回は「CPAの目標を立てずに運用している」「設定の仕方がわからない」という方に向けて、目標CPAの決め方について解説します。
広告の効果測定については以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
こちらはCPAを含む9種類もの指標をご紹介しています。
関連記事: 『広告効果測定はWebマーケに必須!9つの指標を徹底解説』
Contents
CPAとは?
目標CPAを設定する前に、まずはCPAの定義や算出方法について知っておきましょう。
CPA以外にも知っておくべき指標が多数あるので、そちらもあわせてご紹介します。
CPAの定義
CPAとは、Cost Per AcquisitionまたはCost Per Actionの略で、「コンバージョン(CV)を1件獲得するためにかかる費用(コンバージョン単価)」を指す言葉です。
CPAを算出することで、コンバージョン獲得に必要な金額の指標が出るため、費用対効果が出ているかどうかを測ったり、広告全体の予算を設定したりといった場面で役立てることができます。
コンバージョンとは、Webサイトのゴールとして設定されている最終的な目標となるユーザー行動です。
リスティング広告の場合、遷移先のランディングページやECサイトでの商品の購入や資料請求、来店予約、サンプル申し込みなどが該当します。
なお、CVには商品の購入や入会のようにユーザーによる支払いが発生するものと、資料請求や来店予約に代表されるように支払いが発生しないものがあります。
CVにともなう金額の発生有無によって、目標CPAの設定方法が異なります。
こちらは後ほど解説します。
CPAの計算方法
CPAは、以下の方法で算出できます。
CPA=広告にかかった費用÷コンバージョン数
①20,000円の広告費用を使って5件のCVを獲得した場合だと「20,000円÷5件」となり、CPAは4,000円
②50,000円の広告費を投じて10件のCVを獲得した場合は「50,000円÷10件」で、CPAは5,000円
①と②を比較すると、CVの獲得数自体は②の方が多いものの、①は1件あたりの獲得にかかるコストが抑えられていることがわかるでしょう。
費用対効果を重視した広告運用を行う場合は、①の方が高い成果が出ているとみなされます。
たとえば目標CPAを4,500円と設定していたなら、①は目標をクリア、②は目標に到達しなかったため改善が必要だと判断できます。
目標CPAを定めておくことで、このように費用対効果の測定が可能です。
リスティング広告は、1クリックごとに費用が発生する「PPC広告」です。
参考:『CPAとは?計算方法や注意点から、CPAを下げる方法まで解説!』
下記では、PPC広告について解説しています。
広告の仕組みについての理解を深めるのに役立つでしょう。
関連記事:『Web広告【PPC広告とは?】代表3種類や費用の仕組みを解説!』
広告運用のさまざまな指標
目標CPCを設定し、費用対効果の高い広告運用を目指すにあたり、リスティング広告のさまざまな指標を理解する必要があります。
とくに代理店に運用を依頼する場合は、以下の指標を知っておくとすり合わせがスムーズです。
表示回数(imp)
リスティング広告がユーザーの検索結果に表示(インプレッション)された回数
クリック数(click)
リスティング広告がクリックされた回数
クリック率(CTR)
リスティング広告がクリックされる割合【CTR(%)=クリック数×表示回数×100】
クリック単価(CPC)
広告の1クリックを獲得するのにかかった費用【CPC=広告にかかった費用÷クリック数】
コンバージョン率(CVR)
広告をクリックしたユーザーがコンバージョンに至った割合【CVR(%)=クリック数÷コンバージョン数×100】
広告費用対効果(ROAS)
ある期間で投じた広告費用に対して、どれだけの売り上げを回収できたか【ROAS(%)=広告経由で獲得した売上÷広告費用×100】
そのほか、リスティング広告に関連する用語や指標は、以下でもチェックしていただけます。
関連記事:『【保存版】リスティング広告の用語28選!マーケティングの基本を解説』
【ケース別】目標CPAの決め方3つを解説
広告費用に対して効果が出ているかどうかを測るために、必ず目標CPAを設定しましょう。
目標CPAよりも実際のCPAが高い場合は、そのまま運用を続けると想定よりも費用がかかってしまうため、広告を改善する必要があります。
目標CPAは、このまま運用を続けていいのか/改善をするべきかという判断をする際に役立ちます。
CPAは、業種や商品・サービスの内容によって平均値が異なります。
以下は、米国のデジタルマーケティング企業・LOCALiQ社が発表した、リスティング広告の業界別平均CPAです。
業種 | リスティング広告の平均CPA |
弁護士 | 15,182円 |
自動車 | 5,271円 |
BtoB(企業向けサービス) | 18,262円 |
一般消費者向けサービス | 14,263円 |
出会い | 12,070円 |
Eコマース | 7,118円 |
教育 | 11,433円 |
採用支援 | 7,555円 |
金融・保険 | 12,884円 |
健康・医療 | 12,280円 |
家庭用品 | 13,702円 |
工業サービス | 12,466円 |
法律関連 | 13,526円 |
不動産 | 18,336円 |
テクノロジー | 20,995円 |
旅行 | 7,033円 |
引用:『Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]|LOCALiQ社(和訳して引用)』
上記のデータをみると、業種によってCPAに差異があることがわかります。
しかし、同業種だからという理由で平均値を自社の目標CPAを決める際の基準にするのはおすすめしません。
目標CPAを決める際は、どの程度の利益を出したいのかや、商品の生産にかかる費用などを踏まえる必要があるからです。
同じ業種であっても、企業やビジネスモデルによって適切な目標CPAは異なります。
ここからは、目標CPAの具体的な設定方法についてご説明します。
参考:『今さら聞けないCPA(顧客獲得単価)とは?目標CPAの決め方を丁寧に解説』
CPAの改善方法については、こちらの記事で具体的な施策を解説していますので、併せて参考にしてみてください。
関連記事:『リスティング広告のCPA改善方法7選!【業種別の平均CPAを徹底解説】』
限界CPAとは?
目標CPAを設定する際、最初のステップとして「限界CPA」を算出します。
限界CPAとは、商品の単価から生産にかかる原価や販売にかかる経費などを差し引いた数値で、自社が利益を出せるボーダーラインのCPAを指します。
限界CPA= 商品の単価-原価-経費
例:7,000円の商品の原価が3,000円、販売にかかる諸経費が1,000円の場合
7,000円(単価)-3,000円(原価)-1,000円(経費)=3,000円(限界CPA)
この例では、CPAが3,000円以上だと利益よりも獲得単価が上回ってしまうため、赤字となります。
目標CPAを設定する際は、損益の分岐となる限界CPAを明確にしましょう。
参考:『今さら聞けないCPA(顧客獲得単価)とは?目標CPAの決め方を丁寧に解説』
目標CPAの設定方法(CVが売上の場合)
限界CPAが算出できたら、その数値をもとに目標CPAを設定してください。
目標CPAは、前述のようにCVにともなう金額の発生有無によって設定方法が異なります。
ここでは、ECサイトのようにCVによって売り上げが発生する場合の設定方法をご紹介します。
リピート購入がない商品・サービスの目標CPA
車や家電、結婚式場など、購入後にリピートの見込みが少ない商品の場合は、以下の方法で目標CPAを算出します。
利益の獲得目標には、1件のCVであげたい利益の金額を当てはめてください。
目標CPA=限界CPAー利益の獲得目標
例:限界CPAが3,000円、利益の目標が1,000円の場合
3,000円(限界CPA)ー1,000円(利益の獲得目標)=2,000円(目標CPA)
目標CPAは2,000円となります。
この数値を上回らないように運用を行うことで、目標とする利益を獲得できます。
参考:『【広告配信を始める前に】リスティング広告の目標CPAの計算方法とは?ビジネスモデル別にわかりやすく解説!』
リピートを前提とした商品・サービスの目標CPA
化粧品や健康食品、消費財など、リピートで利用される商品・サービスで目標CPAを設定する際は、LTVを踏まえる必要があります。
LTV(Lifetime Value)とは「顧客生涯価値」、つまり1人の顧客が生涯にわたりもたらす利益を予測した指標のことを指します。
リピート前提の商材の場合は、限界CPAを以下の方法で算出してください。
限界CPA=(平均売上単価-平均原価-平均経費)×平均購入回数
例:顧客一人あたりの平均売上単価が5,000円、平均原価が2,000円、平均経費が500円で、平均購入回数が3回の場合
【5,000円(平均売上単価)-2,000円(平均原価)-500円(平均経費)】×3回(平均購入回数)=7,500円(限界CPA)
スムーズに算出するためには、平均売上単価、平均原価、リピート回数などのデータを把握しておくことが重要です。
目標CPAは、リピート前提ではない商品・サービスと同様に目標CPA=限界CPA-利益の獲得目標で設定します。
参考:『【広告配信を始める前に】リスティング広告の目標CPAの計算方法とは?ビジネスモデル別にわかりやすく解説!』
目標CPA(CVに金額が発生しない場合)
資料請求や予約など、金額が発生しないユーザーアクションをCVとする場合は「成約率」を踏まえて目標CPAを設定します。
ここでの成約率は、CVをしたユーザーのなかから実際の購入に至った割合です。
限界CPA=(商品の単価-原価-経費)×成約率
例:商品の単価が100,000円、原価が50,000円、経費が5,000円で、CVからの成約率が10%の場合
【100,000円(商品の単価)-50,000円(原価)-5,000円(経費)】×10%(成約率)=4,500円(限界CPA)
目標CPAは、金額が発生するCVのケースと同様に目標CPA=限界CPA-利益の獲得目標で設定します。
参考:『【広告配信を始める前に】リスティング広告の目標CPAの計算方法とは?ビジネスモデル別にわかりやすく解説!』
広告予算の設定
目標CPAが決まれば、それをもとに広告予算を設定しましょう。
広告予算=目標CPA×目標CV数
例:目標CPAが5,000円、月の目標CV数が50件の場合
5,000円(目標CPA)×50件(目標CV数)=250,000円
なお、目標CPAを算出するための原価や経費、成約率などのデータは、社内の他部門と連携し、常に最新の状態にアップデートしておくことが大切です。
目標CPA・広告予算は定期的に見直しをし、適切な数値を設定できているかどうかをチェックしましょう。
リスティング広告の運用で成果があがらない場合は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
関連記事:『【3段階で分析】ボトルネック別・リスティング広告運用改善9案』
まとめ
この記事を読んで、目標CPAの設定が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
弊社ではリスティング広告運用代行というサービスを展開しております。
リスティング広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
蓄積されたノウハウから短時間で課題を解決に導きます。
また、薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。