Web広告は、TVや新聞、雑誌の広告と比較すると出稿金額が調整しやすい、ターゲットの絞り込みをかけやすいといったメリットがあります。
なかでもGoogle・Yahoo!などの検索エンジンに入力した語句に応じて表示されるリスティング広告は、低予算で始められるという点もあり、多くの企業が導入しています。
実際に2022年のインターネット広告媒体費は2兆4,801億円、その内でも検索連動型広告(39.4%)が最も高い構成比を占める事から、リスティング広告の利用率の高さが伺えます。
一方で「運用が複雑」「慣れるまでに時間がかかりそう」と不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、リスティング広告の運用でよく挙がる質問について、広告代理店のプロ目線から回答します。
リスティング広告の運用をスタートしたい方、始めてはみたものの上手く活用できていないと感じている方は必見です。
関連記事 :『中小企業のリスティング広告の始め方は2通り【自社運用VS業者依頼】』
参考:『2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析』
Contents
リスティング広告の3つの特徴
はじめに、リスティング広告の特徴について解説します。
導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
見込みの高いユーザーを獲得できる
リスティング広告は、自社の商品やサービスに関連のあるキーワードを入札し、該当する語句で検索をかけたユーザーに対して表示されるテキスト広告です。
自ら検索という行動をとるユーザーがターゲットとなるため、見込みの高い層にアプローチができます。
そのため自社の商品・サービスに興味を持つユーザーが検索しそうなキーワードをピックアップすることが重要です。
「営業職の求人が豊富な転職サイト」の広告を出稿するなら、一例として下記のキーワードが挙げられます。
- 転職 営業
- 転職 営業
- 未経験 転職
- 営業 30代
- 転職 営業 横浜
このように、ユーザーのニーズに沿った語句や組み合わせを洗い出し、入札を行います。
狙っている層に効率良くアプローチするためには、どんなユーザーに届けたいのか、像をしっかりと定めておくことが重要です。
実際に、キーワードのバリエーションを増やしたのち、コンバージョン(CV)*の見込みが薄いものを精査するという施策によって、CV獲得数を約3倍、CPA(平均コンバージョン単価)を70%抑制することに成功した事例も存在します。
参考:『株式会社MOLTS「リスティング広告運用を成功に導く!分析のポイントと改善の流れとは」』
下記の記事では、典型的なユーザー像であるペルソナを設定するための方法をご紹介しています。
関連記事:『ペルソナがなぜ重要なのか?LPの効果を高める作り方とポイント3選!』
予算を調整しやすい
リスティング広告は、クリックされるたびに費用が発生する「クリック課金型」の広告です。
1クリックの上限金額を設定したり、広告キャンペーンごとに1日の上限費用を設定が可能なため、限られた予算内で運用しやすい点もメリットです。
入札するキーワードの数を最小限に絞った運用もできるので、スモールスタートを希望する場合にもおすすめします。
関東にある楽器店のリスティング広告で「入札キーワードの厳選する」「スマートフォン用のLPを用意する」などの施策のもと、3,000円の広告費用で5件のCVを獲得した事例もあります。
参考:『SO Technologies株式会社『リスティング広告をたった5万円の費用で効果的にハックする手法』 』
リスティング広告をはじめとするクリック課金型広告の種類を解説した記事がこちらです。
関連記事:『Web広告【PPC広告とは?】 代表3種類や費用の仕組みを解説!』
PDCAを回しやすい
リスティング広告は、Google広告やYahoo!広告の管理画面を使って運用します。
キーワードやキャンペーンごとに、広告のインプレッションやクリック数、クリック率、コンバージョン数といった数値を閲覧できるのが特徴です。
リアルタイムで成果が確認可能なうえ、入札金額の変更なども管理画面で行うため、PDCAを回しやすいというメリットがあります。
Googleアナリティクスなどの解析ツールと連携させることで、広告がクリック後に遷移先のサイトでユーザーがとった行動についてもデータを得られます。
TVのCMや雑誌・新聞などの広告と異なり、成果を数値で確認できる点は、リスティング広告を含むWeb広告の大きな魅力です。
広告の効果測定に必要なコンバージョンタグを設定するには、ぜひ以下を参考にしてください。
関連記事:『Google広告のコンバージョンタグをタグマネージャーで設定する5ステップ』
リスティング広告の質問【基礎編】
ここからは、リスティング広告の運用を始めた初期段階で出やすい疑問をピックアップし、お答えします。
これらを知っておくと、リスティング広告の運用についてスムーズに理解できるでしょう。
質問①Web広告の用語がわからない
リスティング広告の運用を始めて最初につまづくことが多いのが、Webマーケティングの専門用語の複雑さです。
とくに代理店に運用を依頼する場合などは、施策の説明などにもWeb広告の用語が多用されます。
まずは基本となる下記の用語を覚えましょう。
インプレッション | 広告が表示された回数 |
クリック数 | 広告がクリックされた回数 |
クリック率(CTR) | インプレッションのうち広告がクリックされた割合 クリック数÷インプレッション×100=CTR(%) |
平均クリック単価(CPC) | 広告1回のクリックで発生した費用の平均値 |
費用 | キーワードやキャンペーンにかかった費用の合計 平均クリック単価×クリック数 |
コンバージョン(CV) | LPなどのサイトで設定されているゴール(申込や購入)に到達した数 |
コンバージョン率(CVR) | 広告のクリック数のうちコンバージョンに到達した割合 クリック数÷コンバージョン数×100=CVR(%) |
コンバージョン単価(CPA) | CV1件にかかった費用 費用÷CV=CPA |
最適化スコア | Google広告のアカウント設定が最適化されている度合い(0~100%で示される) |
関連記事:『【保存版】リスティング広告の用語14選!マーケティングの基本を解説』
質問②順位はどのようにして決まる?
リスティング広告は、検索結果画面に表示されます。
画面の上部に表示されることを表示順位が高いという言い方をしますが、その順位の決定方法が分からないという声もよく聞きます。
順位が高いとクリックされる確率が上がる
リスティング広告に出稿しても、表示順位が低かったり、競合に順位を押し下げられて自社の広告が表示されていなかったりすると、思うような成果は得られません。
リスティング広告の表示順位は、クリック率にどれぐらいの影響を及ぼすのでしょうか。
アメリカのCONTENTIVE社が2014年に発表した調査結果によると、リスティング広告の表示順位が1位の広告の平均クリック率は12.2%でした。
次いで1.5位は4.3%、2位は1.5%、2.5位は0.5%、3位は0.2%となり、上位になればなるほど有利であることが顕著にあらわれています。
引用:『CONTENTIVE社『PPC Click-Through Rate by Position: Does Rank Matter? [Data]』』
リスティング広告の表示順位は、広告ランク(オークションランク)によって決まります。
広告ランクは、以下の要素をふまえて割り出されるのが特徴です。
- キーワードの入札金額
- 広告の品質スコア
入札の金額が高くても、広告の品質スコアが低ければ、上位に表示されない可能性もあります。
一方で品質スコアが高いと、予算を抑えて上位表示させることもできます。
広告の品質スコア
品質スコアは、同一のキーワードで広告を配信している競合と比較した際に、自社の広告のクオリティーがどの程度であるかの判断材料になります。
品質はスコアは1~10の数値で示され、平均より上・平均的・平均より下のいずれかのステータスに振り分けられます。
スコアは以下をもとに決定されます。
- 広告の推定クリック率:広告が表示された場合にクリックされる可能性の高さ
- 広告とユーザーの検索意図の関連性:広告の内容がユーザーの検索の意図と一致する度合い
- ランディングページの利便性:ランディングページが、広告をクリックしたユーザーにどの程度関連性があり、有用であるか
参考:『Google広告『品質スコアについて』 』
広告やLPの内容をユーザーの検索意図やニーズをマッチさせることで、品質スコアの向上が見込めます。
質問③ランディングページ(LP)とは?
ランディングページ(LP)とは、ユーザーが広告をクリックした際に表示されるサイトを指します。
クリック後に遷移するページであればどんな形式でも該当しますが、Web広告では1ページで構成された申し込み・購入専用サイトをLPと呼ぶのが一般的です。
ユーザーが広告に興味を持ってクリックしても、
LPの内容がニーズに合わなければ成果にはつながりません。
広告はクリックされているけれどCV数が伸びない場合は、LPに要因があると考えられます。
CV率を上げるために、LPの内容を改善する取り組みをLPO(ランディングページ最適化)と呼びます。
LPOの一例として、下記があげられます。
- EFO(エントリーフォーム最適化):エントリーフォームの入力の手間を減らし、離脱を回避する
- ファーストビューの改善:訴求力の高い写真が画像を掲載する、ユーザーのニーズに合致させたキャッチコピーを作成するなど
- CTAの改善:CTA(コンバージョンに誘導するためのボタン)のデザインや配置などを変更する
たとえば、ある不動産関連の企業では、検討初期段階のユーザーがターゲットであるにもかかわらず、LPの内容がサービスの詳細説明に寄りすぎているという課題がありました。
LPを検討初期段階のユーザーに合わせた内容へと改善することで、CV率を0.4%から1.5%に引き上げました。
参考:『株式会社メディックス『【CVR375%改善の理由とは?】LPOおススメの手順・3STEP・事例を公開』
LPOの具体的な方法や改善ポイントの見つけ方については、下記にて解説しています。
関連記事 :『LPO(ランディングページ最適化)とは?基礎知識と改善ポイント5選!』
リスティング広告の質問【応用編】
ここからは、リスティング広告の運用に慣れた段階で生じやすい疑問についてお答えします。
効率の良い運用を目指すためには、ぜひ知っておきましょう。
質問④指名キーワードとは?
指名キーワードとは、社名や商品名、サービス名といった、その会社特有のキーワードを指します。
指名キーワードで検索をするユーザーは、すでに自社のことを知っているため、CV獲得の見込みが高いと考えられます。
上記の社名や商品名、サービス名、ブランド名などは入札しておきましょう。
競合の指名キーワードを入札することは、Google・Yahoo!ともに禁止はされていません。
しかし、トラブルを回避するためにも他社の指名キーワードで入札するのは避けることをおすすめします。
競合名の使用で起こりえるトラブルについては、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:『リスティング広告運用で競合名は使用OK?防止すべきトラブル3選』
参考:『機会損失を防ぐ指名キーワードでの広告配信。入札すべき4つの理由とポイントを紹介』
参考:『Google広告『商標』』
参考:『Yahoo!マーケティングソリューション『登録商標について』』
質問⑤運用をもっとラクにする方法は?
インハウス(自社)でリスティング広告を運用する場合など、入札価格の管理などに時間をさけない場合もあるでしょう。
また「こうしたい」という方針はあるものの、どういった運用が最適なのかわからないという声も耳にします。
そういった課題がある場合、自動入札を利用するのがおすすめです。
自動入札は、以下の戦略を選択し、自動で運用ができる仕組みです。
Google広告
- サイトアクセスを増やす
- 視認性を高める
- 目標コンバージョン単価でコンバージョンを増やす
- 各コンバージョンの価値が異なる場合に、目標広告費用対効果(ROAS)を達成する
- 予算全体を使いながらコンバージョンを増やす
- 予算全体を使いながらコンバージョン値を増やす
参考:『Google広告『自動入札機能について』 』
Yahoo!広告
- サイトアクセスを増やしたい
- 予算を最大限に使ってコンバージョンを増やしたい
- コンバージョン単価を一定に保ちつつ、コンバージョン数は増やしたい
- コンバージョン(広告経由の購入や登録、資料請求など)の件数を増やしたい
- 認知度を上げたい
- 予算を最大限に使って価値の高いコンバージョンを獲得したい
- コンバージョンごとに異なる価値を加味しながら、目標とする広告費用対効果を達成する
参考:『Yahoo!広告『自動入札とは』』
機械学習の機能が備わっているため、蓄積されたデータによって入札の精度が上がる点も魅力です。
ただし、自動入札を上手く機能させるためには一定の学習期間やCV数が必要となるため、注意が必要です。
たとえば金融関連のサービスを運営する、ある企業では、自動入札の学習を進めるために、細かく分類されていた広告キャンペーンを統合してデータの蓄積に努めました。
戦略を「目標コンバージョン単価でコンバージョンを増やす」に設定し、入札キーワードを増やすなどの施策を実施した結果、CPAを下げながらCVの獲得数を上げることに成功しています。
参考:『株式会社PLAN-B『《 事例あり》リスティング広告のアカウント構成変更と自動入札による効果改善』』
自動入札についてご紹介した記事はこちらです。
関連記事:『Google広告の自動入札とは?6つの戦略と手動入札との違いを紹介』
まとめ
この記事を読んで、リスティング広告の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
弊社ではリスティング広告運用代行というサービスを展開しております。
リスティング広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
蓄積されたノウハウから短時間で課題を解決に導きます。
また、薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能です。
お客様のあらゆるニーズに対し 分析・調査を行い最適なプランをご提案しますので、お気軽にご相談下さい。
監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。