Googleカスタマーマッチとは、顧客から提供されたオンラインやオフラインのデータをもとに、情報を提供した既存顧客や類似顧客を広告のターゲットにする手法です。
WordStreamの調査では、既存顧客は新規顧客よりコンバージョン率が2~3倍高いことが分かっています。
カスタマーマッチは、顧客のデータを活用してユーザーにアプローチし、コンバージョンやブランドの認知度拡大を促進します。
本記事では、カスタマーマッチの概要・設定方法・成功事例などについて詳しく解説していきます。
関連記事:『【基本】カスタマージャーニーとは?目的と6つの活用場面を紹介』
参考:『Google広告ヘルプ』
参考:『WordStream』
Contents
カスタマーマッチとは?
カスタマーマッチとは、Google広告のターゲティング機能の一つで、自社が保有している顧客データをもとにユーザーに広告配信を行う手法のことです。
具体的には、電話番号やメールアドレスといった顧客情報をGoogle広告にアップロードして顧客リストを作成することで配信先を簡単に絞り込むことができます。
Google検索やGmail、YouTubeなどのGoogleネットワークを利用しているユーザーへのアプローチが可能です。
カスタマーマッチを活用することで以下のようなメリットがあります。
- 既存顧客を別の商品やサービスに誘導できる
- 既存顧客と似た特徴を持つ類似ユーザーにアプローチできる
- 一部の既存顧客を配信対象から除外できる
カスタマーマッチではさまざまなGoogleネットワークに広告配信ができるため、ブランド認知やコンバージョンの促進など幅広い目的に応じた活用ができる点が特徴です。
参考:『カスタマー マッチについて|Google広告ヘルプ』
参考:『カスタマー マッチご利用ガイド|Google広告ヘルプ』
マッチングの仕組み
カスタマーマッチのマッチングは、メールアドレスや電話番号などの自社が保有する顧客データとGoogleアカウントを照合して、マッチしたリストに広告を配信できる仕組みになっています。
マッチングには最低1,000件以上のデータが必要になり、マッチ率は平均して20~30%となっています。
WordStreamの調査で、Google、Facebook、Twitterのマッチ率を比較したところ、下図の通りGoogle広告のメールアドレスのマッチ率は50.4%と最も高いことが分かりました。
参考:『4 Hacks to Supercharge Your Search & Social Marketing with an Email List』
カスタマーマッチの配信面
カスタマーマッチを利用できる配信面は以下の通りです。
- 検索広告・ショッピング広告:顧客リストのユーザー行動に基づいて入札単価を調整できます。
- Gmail広告:顧客リストのユーザーのGmail受信トレイにパーソナライズド広告(※1)を配信します。
- YouTube広告:顧客リストのユーザーがYouTubeを閲覧する際に動画広告を配信します。
- ディスプレイ広告:顧客リストのユーザーのWebサイトやアプリにパーソナライズド広告を配信します。
自社が保有する顧客データとマッチしたGoogleアカウントに対して、これら5つの配信面でカスタマーマッチを利用できます。
カスタマーマッチによってリスト化されたユーザーがGoogleアカウントにログインした状態でこれらの配信面を閲覧すると広告が表示されます。
参考:『カスタマーマッチについて|Google広告ヘルプ』
関連記事:『【すぐわかる】YouTube広告のターゲティング2種類と使い方を解説!』
類似ユーザーリストも対応可能
カスタマーマッチの顧客リストに基づいて類似ユーザーリストが自動的に作成されます。
カスタマーマッチの顧客リストが最低要件を満たしている場合に作成されます。
類似ユーザーリストでは、顧客リストのユーザーと同じような興味関心を持っている、または行動や属性を持つ新規ユーザーへ、効率的に広告を配信できます。
参考:『ディスプレイネットワークでの類似セグメントについて|Google広告ヘルプ』
カスタマーマッチの注意点
利用条件を確認する
Google広告では、アカウントが満たしている条件によって利用できる機能が異なります。
利用条件と利用できる機能について以下で確認しておきましょう。
利用できる機能 | Google広告で90日以上のご利用実績があり、ご利用金額が通算5万米ドルを超えているアカウント | ポリシーを遵守している全てのアカウント |
ターゲティング設定 | 〇 | × |
モニタリング設定 | 〇 | 〇 |
カスタマーマッチ向けの類似ユーザー | 〇 | 〇モニタリング設定/除外設定で利用可能 |
個別の入札単価調整 | 〇 | × |
除外設定 | 〇 | 〇 |
ポリシーを遵守しているアカウントが「カスタマーマッチ向けの類似ユーザー機能」を利用するためには、「モニタリング設定」および「除外設定」を行う必要があります。
また、米ドル以外の通貨でアカウントを管理している場合は、その通貨の月別平均為替レートで米ドルに換算されます。
詳しい利用条件については以下を参考にしてください。
参考:『カスタマーマッチのポリシー|Google広告ポリシーヘルプ』
関連記事:『リスティング広告の審査対策5選【Google広告・Yahoo!広告】』
利用には1,000件以上のデータが必須
カスタマーマッチの注意点として、最低でも1,000件以上の顧客データがないと利用できないという点があります。
これは広告配信対象となるユーザー数が、最低1,000人必要とGoogle広告が定めているためです。
その際、1,000件の顧客データが全てGoogleアカウントのデータと合致するわけではない点はご注意ください。
例えば1,000件のデータをアップロードしても、マッチ率が80%であれば活用できるのは約800件ということになり、カスタマーマッチを活用することができなくなります。
マッチしないデータがあるということをあらかじめ把握した上で、顧客データは余裕を持って多めに収集しておくのがおすすめです。
参考:『Google 広告、カスタマーマッチがより使いやすく|マッチ率のリアルタイム表示やリスト更新のタイミングを通知』
個人情報の取り扱いに十分配慮する
カスタマーマッチを利用する際は、基本的に自社で直接収集した顧客データのアップロードのみが許可されています。
例えば、自社のWebサイトやアプリ、実店舗など顧客が自社のビジネスと直接接触する場を通じて収集されたものです。
ただし、以下の二つの条件を満たした場合は、自社商品を販売する小売業者が収集した顧客データや、第三者が自社のGoogle広告アカウントに顧客データをアップロードすることが可能になります。
- その小売業者/第三者がこのポリシーを遵守していることを書面で保証すること
- 適用される法律で求められる場合には、かかる小売業者/第三者と書面で契約を交わしておくこと
詳しい顧客データに関するポリシーについては以下を参考にしてください
参考:『顧客データに関するポリシー|Google広告ポリシーヘルプ』
広告配信を代理店に依頼する場合などは、顧客データの取り扱い方法を事前に協議しておくことをおすすめします。
ちなみに、個人情報を適切に取り扱っている代理店か、判断基準の一つに「プライバシーマーク」があります。
プライバシーマークとは、個人情報の取扱いが適切で、基準に適合した事業者に使用を認められるマークです。
引用:『プライバシーマーク制度|一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)』
情報を安全に保つための仕組み
Googleカスタマーマッチでは、アップロードする顧客データ(メールアドレスや電話番号など)はハッシュ化(暗号化)されたのちに、Googleサーバーへ送信されます。
ハッシュ化はご自身で行うことも、Google広告によって自動的に行うこともできます。
ちなみに、ハッシュ化にはSHA256 アルゴリズムが使用されます。
SHA256 アルゴリズムは、一方向ハッシュ関数なので顧客データを安全に保つことができます。
参考:『ハッシュ化したデータをアップロードするためのフォーマット|ガイドラインGoogle広告ヘルプ』
カスタマーマッチの設定方法4ステップ
①「オーディエンスマネージャー」を選択
Google広告管理画面の右上「ツールと設定」から「オーディエンスマネージャー」を選択します。
② 顧客リスト」を選択
左サイドバー「分類して表示」を選択した状態で、一覧画面に出ている青色の「+」を押し、「顧客リスト」を選択します。
③ 「アップロードして作成」をクリック
必要なデータ入力後、ページ最下部の「アップロードして作成」をクリックすることでデータがアップロードされます。
アップロードするデータファイルは、ASCIIまたはUTF-8(UTF-16はサポート対象外)でエンコードされたCSV形式で作成します。
詳しいフォーマットやハッシュ処理のガイドラインについては以下を参考にしてください。
参考:『顧客データファイルのフォーマットについて|Google広告ヘルプ』
④ 顧客リストのキャンペーンへの適用
管理画面の左側のページメニュー「オーディエンス」≫「ターゲット設定」からアップロードした顧客リストを選択して適用は完了です。
参考:『カスタマーマッチのマッチ率について|Google広告ヘルプ』
マッチ率の確認・改善方法
カスタマーマッチのマッチ率とは、アップロードした顧客リストのうちGoogleユーザーと結びつけることができたものの割合です。
つまり、リストのうちどれくらい使用可能なのかを表しています。
例えば、1,000件のリストをアップロードした結果、推定マッチ率が50%未満の場合、配信可能なリストが500件未満だということが分かります。
以下では、マッチ率の確認・改善方法を解説していきます。
確認方法
顧客リストの作成後、アップロード完了ページにマッチ率が表示されます。
また下図のように、アップロードしたリストのマッチ率と、過去のマッチ率を管理画面のオーディエンスマネージャーから確認できます。
過去にアップロードされたすべてのデータが表示されるため、マッチ率の統計情報を把握することができます。
改善方法
- メールアドレスに加えて電話番号などを追加する
- 定期的にリストを更新する
- データファイルのフォーマットやハッシュ処理を見直す
- 広告代理店に相談する
マッチ率を改善するには、メールアドレスに加えて電話番号を追加するなど、顧客データをできるだけ多く追加しましょう。
Googleによると、顧客データを2種類アップロードするとマッチ率が28%、3種類アップロードすると35%高まるということが分かっています。(2020年5月)
また、定期的にリストを更新する必要があります。リストを更新しなければリストが古くなり、オーディエンスを特定するための情報が制限されてしまいます。
Googleによると、リストを更新すると、トラフィックとコンバージョンが平均 17% 増加するということが分かっています。(2020年5月)
リストを更新するタイミングは、下図のように最適化案ページに自動的に表示されます。
引用:『カスタマー マッチリストが使いやすくなりました|Google広告ヘルプ』
そして、アップロードする顧客データファイルのフォーマットやハッシュ処理を見直してみましょう。
フォーマットやハッシュ処理に問題があり、正しくアップロードされていない可能性があります。
詳しいフォーマットやハッシュ処理の解決方法については以下を参考にしてください。
参考:『カスタマーマッチの問題の解決|Google広告ヘルプ』
カスタマーマッチの成功事例
Telia
Teliaは、企業や家庭向けのモバイルソリューションを提供している企業で、既存顧客へのアプローチと契約率を高めたいと考えていました。
そこでTeliaは、カスタマーマッチを利用して、顧客をニーズごとに分類し、カスタマイズしたメッセージやおすすめを配信しました。
その結果、収益を15%、コンバージョン率を22%向上させることができました。
参考:『Produkterogtjenester|TeliaBedrift』
ISACA
ISACAは、ITプロフェッショナルのキャリア向上を支援する国際的な非営利団体で、非アクティブなメンバーに協会への再登録を促したいと考えていました。
そこでISACAは、ディスプレイ&ビデオ360でカスタマーマッチのメールアドレスを使用し、以前登録していた会員にカスタマイズしたメッセージを送信しました。
その結果、メンバーシップの更新にかかるクリック単価を77%まで削減することができました。
参考:『EmpowerYourTeam|ISACA』
参考:『カスタマーマッチで既存の顧客とつながり、新しい顧客にアプローチする|Google広告ヘルプ』
まとめ
カスタマーマッチでは、自社の保有する顧客データを活用することで、より効果的な広告配信を行うことができます。
検索広告やYouTube広告など、様々な配信面で活用することができ、類似ユーザーへの配信も可能です。
「設定方法が分からない」「個人情報の取扱が不安」という方は、広告代理店に相談してみるのも一つの手です。
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リスティング広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。