Web広告のフォーマットの1つにリワード広告があります。
リワード広告の利用により、ユーザーに対して質の高い報酬を与えると同時に、ユーザーのエンゲージメントや継続率を高め、広告収益の向上が期待出来ます。
特に、ゲームアプリでは約90%がリワード広告を利用しているというデータがあります。
実際に、PickCrafterと呼ばれるモバイルゲームではリワード広告を採用し、エンゲージメントの最適化を図り広告収益を165%と大幅に向上させたという結果が出ています。
リワード広告は、動画広告を視聴して報酬が付与されるため高い視聴率が期待でき、認知度の拡大や広告収益の向上が見込めます。
本記事では、リワード広告の特徴や仕組みについて紹介し、リワード広告のメリットや利用するうえで効果を上げるポイントについて解説します。
参考:『動画リワード広告とは:活用事例と10のベストプラクティス』
参考:『PickCrafter boosts revenue with rewarded video ads』
関連記事:『Web広告【PPC広告とは?】 代表3種類や費用の仕組みを解説!』
リワード広告とは
リワード広告とは、ユーザーが条件を満たした際に、ユーザーに対して報酬(リワード)として、アプリ内で利用することのできるアイテムや、買い物で利用することのできるポイントなどの特典を付与する広告です。
ユーザーに課される条件としては以下のようなものが挙げられます。
- 広告のリンクからアプリをダウンロードする。
- 広告の動画を最後まで視聴する。
- 広告として表示された体験プレイを行う。
上記の成果が発生した後に、成果報酬が与えられます。
実際の報酬例としては
- 戦闘ゲームにおけるライフの回復
- パズルゲームのおけるプレイ回数の増加
- マンガアプリで先読みを可能にする
- ツールアプリにおいて制限のかかっていた機能を一時的に開放する
などが挙げられます。
参考:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
参考:『リワード広告の単価・費用を解説!リワード広告のメリットは?インセンティブの設定例やリワード広告で成功するポイントもご紹介』
参考:『リワード広告の仕組みとは?メリットも紹介』
リワード広告の特徴
参考:『動画リワード』
リワード広告の特徴として「短い動画を使用」していることが挙げられます。
リワード広告で用いられる動画は、基本的に10~30秒ほどで、報酬の付与を待っているユーザーが不快感を得ることがないように短く設定しています。
2021年にGivee株式会社が行った動画に関する意識調査では、「企業の広告動画は何秒までなら見られますか」という質問に対して、約半数に当たるユーザーが「5秒」と回答しました。
次に約3割に当たるユーザーが「15秒」と回答しました。
8割以上のユーザーにとって動画広告を見ていられるのは、15秒以内であることが分かります。
そのため、短い時間内で自社の商品やサービスをユーザーにしっかりと伝えることが必要になります。
参考:『リワード広告ユニットを作成する Google AdMobヘルプ』
参考:『リワード広告の仕組みとは?メリットも紹介』
参考:『【2021年版調査】動画広告が見られるのは「5秒」まで!Givee株式会社が企業向け動画トレンドレポート』
リワード広告の仕組み
参考:『リワード広告とは?アフィリエイト広告やブースト広告との違い、メリットなどを解説!』
リワード広告において、ユーザーへの報酬付与は広告主が直接行うわけではありません。
リワード広告の仕組みは、「広告主」「ユーザー(サイト訪問者)」「アドネットワーク」「アプリ・Webサイト運営者」から成り立ちます。
- リワード広告を利用する広告主がアドネットワークと呼ばれる、様々なアプリに広告配信を行うサービスに登録します。
- ユーザーが、広告のリンクをクリックした後に、アプリのダウンロードや動画視聴などの条件を達成した際にアプリ・Webサイトの運営者からユーザーへ報酬が与えられます。
- その報酬分の広告費を広告主がアドネットワークに支払います。
- 最後に広告費を受け取ったアドネットワークがその費用をアプリやWebサイトの運営者に支払います。
上記が、リワード広告の仕組みになっています。
参考:『リワード広告とは?メリットやデメリット、おすすめのサービスを紹介』
リワード広告のメリット
リワード広告を利用することのメリットは以下が挙げられます。
- インストールの数が増加し、認知度が上昇する
- 動画の再生に対して抵抗がなくユーザーに視聴されやすい
- ユーザーからの課金を促すことができる
- 掲載の仕方の幅が広い
参考:『リワード広告とは?メリットやデメリット、おすすめのサービスを紹介』
参考:『リワード広告の仕組みとは?メリットも紹介』
インストールの数が増加し、認知度が上昇する
ユーザーに課す条件をアプリのダウンロードや、アプリのチュートリアルを完了させるとしたリワード広告を配信することでアプリのインストールの数を増加させることができます。
インストールに伴い、自社の商品やサービスに対する認知度を獲得することができます。
特に、ゲームアプリなどで報酬の条件を「レベル〇〇クリアをすればポイント獲得」などに設定すれば、アプリ内の機能や仕様を実際に利用して知ってもらうことが可能になります。
また、インストールの増加だけでなく、広告のコンバージョン率を向上させます。
Futureplayによる「Farm Away!」では1つのインストールあたり平均で動画広告の視聴数が22回を達成し、1日あたり広告のコンバージョン率が80%まで向上しました。
リワード広告の実装に伴い、Futureplay共同創業者兼開発責任者であるミカ・ラーコ氏は「エンゲージメントが非常に高まり、米国市場にてプレイヤー1人あたり1日で0.15ドルの収益を上げている」とコメントしました。
参考:『動画リワード広告とは:活用事例と10のベストプラクティス』
参考:『リワード広告とは?メリットやデメリット、おすすめのサービスを紹介』
動画の再生に対して抵抗がなくユーザーに視聴されやすい
リワード広告は、広告動画を最後まで視聴されやすい傾向にあります。
広告動画のコンテンツをしっかりとユーザーに伝えることで、自社の商品やサービスの認知の拡大やエンゲージメントの獲得が可能になります。
シドニーを拠点とするNot Dopplerにより配信されているカジュアルゲームの「Earn To Die2」でリワード広告を利用したところエンゲージメント率の向上に成功しました。
具体的には、ゲーム内でステージごとに動画広告を表示し、「リワードを2倍にする」という報酬を継続的にユーザーに提示したところ、結果は「Earn To Die2」のエンゲージメント率が約38%上昇しました。
リワード広告の視聴完了率が高い理由としては、リワード広告が「プル型」の広告であることが挙げられます。
参考:『動画リワード広告とは:活用事例と10のベストプラクティス』
リワード広告は「プル型」広告
「プル型」の広告では、ユーザーが広告動画を再生するかどうかを自由に選択することができることです。
従来の広告がベースにしている「プッシュ型」の、デベロッパー側によってユーザーに広告が掲載されるタイミングが指定されるのに比べて、ユーザー側が広告を表示するタイミングを指定することができる利点があります。
YouTubeなどの視聴している際に動画の間に出てくる広告を視聴することに比べて、ユーザー自身が広告動画を視聴することを決めるのでスキップされる可能性が低くなります。
参考:『リワード広告とは?メリットやデメリット、おすすめのサービスを紹介』
参考:『リワード広告の仕組みとは?メリットも紹介』
ユーザーからの課金を促すことができる
リワード広告の報酬でユーザーに疑似的に課金の体験をしてもらい、課金をすることで得られる魅力を伝えます。
これまで、課金をしたことがなかったユーザーに関しても、疑似的な課金体験によりそれによって得られるサービスの質の高さを知ってもらうことができます。
その経験によりにユーザーの課金を引き出す役割を果たします。
課金をするユーザーは、アプリのインストールをしたユーザー全体の約2%という統計データが存在します。
IronSourceの調査によると動画広告を視聴しリワードを獲得したユーザーが、その後アプリ内で購入する確率が、他のユーザーと比較して6倍も高くなっていることがわかりました。
参考:『アプリの課金率の目安は?事業収益を伸ばすにはサブスクリプションの加入と継続率が鍵』
参考:『動画リワード広告とは:活用事例と10のベストプラクティス』
参考:『リワード広告の仕組みとは?メリットも紹介』
掲載の仕方の幅が広い
リワード広告を利用することで掲載方法の幅が広がるというメリットがあります。
ユーザーが条件を満たした際に付与する報酬を設定することができれば、リワード広告として成立するので掲載の仕方は無数に存在します。
例として、「アプリのインストールで、アプリの制限を一時的に解除する」や、「動画広告の視聴で、買い物に利用することのできるクーポンを付与する」など条件と報酬の無数の組み合わせにより、広告の掲載に無数の選択肢があります。
また、掲載するタイミングでも多様化を図ることができ、ゲームアプリ内で、アイテムがなくなったタイミングで広告を掲載し報酬としてアイテムを付与したり、ゲーム中に広告を表示させてアイテムを付与させたりと広告掲載の仕方幅が広いです。
参考:『リワード広告とは?メリット、ポイントを紹介』
参考:『リワード広告の仕組みとは?メリットも紹介』
リワード広告の効果を高めるポイント
効果を高めるポイントの以下に関して解説します。
- 広告のデザイン
- 配置する位置
- 付与するリワードを決定する
- 広告を配信するユーザーの区分を分ける
広告のデザイン
広告のデザインは、ユーザーが報酬の獲得をするために、広告の視聴やアプリのインストールなどの設定された条件を達成するかどうか決定するうえで重要な指標になります。
表示される広告のデザインが良いと、ユーザーの広告へのオプトイン率が高まり、結果として広告の視聴回数が増加し、収益が向上します。
オプトインとは、ユーザーが広告の受け取りを許可することを示します。
具体的には以下の2点について考えます。
- メッセージをわかりやすく表示し特典を伝える。
- ユーザーのターゲットに沿ったデザインにする。
参考:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
メッセージをわかりやすく表示し特典を伝える
引用:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
プロンプトに表示される広告では、ユーザーが条件を満たすことで獲得することのできる報酬をわかりやすく表示し、これから発生する条件と報酬の交換をユーザーに明確に伝えることが求められます。
上記の画像は広告の一例なのですが、デザインやカラーパターンが統一されたプロンプト表示によって見やすい広告になっています。
そして、この広告の視聴によって報酬としてアプリ内で利用できるブースターボックスの付与がされるという価値交換が明確に理解できるようになっています。
参考:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
ユーザーのターゲットに沿ったデザインにする
引用:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
どのようなユーザーに対して広告を表示し、どのようなやり取りをするかを把握し、そのユーザーに沿ってニーズや好みに合わせたデザインにします。
上記のTutoTOONSについて、想像力や教育を促進することにフォーカスしたTutoTOONSの主要なユーザー層を意識することで明るい色を採用し、親しみやすいデザインです。
また、広告のデザインとアプリの外観とのデザインに統一感を持たせるようにした結果、広告の収益に関してはおよそ20%上昇しました。
参考:『ironSourceのAd Qualityを利用してユーザークレームを60%減少させたTutoTOONSの事例』
参考:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
配置する位置
リワード広告の配置を調整することでも、配置より高い効果を得ることができます。
拠点が韓国にあるビデオゲームデベロッパーのCookAppsは、リワード広告を掲載するにあたり、配置する位置を調整し86%収益を向上させました。
広告の配置位置に関して、以下の2点について解説します。
- ユーザートラフィックが高い場所に掲載する
- ユーザーエクスペリエンスで重要である場所に掲載する
上記の指標を測定するにあたって、アクセス解析ツールを用いることで確認することができます。
例としては、Googleアナリティクス4やAdobeアナリティクスなどが挙げられます。
参考:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
参考:『CookApps、AdMobのリワード広告とメディエーションにより広告収入86%アップを実現』
参考:『リワード広告とは?メリットやデメリット、おすすめのサービスを紹介』
ユーザートラフィックが高い場所に掲載する
引用:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
ユーザートラフィックの高い箇所に広告を掲載することもリワード広告の効果を高めることに役立ちます。
ユーザーが必ず訪問するホームページなどに、ポップアップを利用しユーザーの注目を集めてオプトインを促すことは、広告を掲載するうえで最適な手段の1つになります。
ポップアップとは、操作画面において、すでに表示されているほかの要素の画面に被さるように、最前面に飛び出すウィンドウなどの表示要素を指します。
CookAppsというアプリを例にすると、アクティブなユーザーが最後に訪問することになるゲームセッション画面にてリワード広告をポップアップ表示するようにしました。
その結果、アプリを利用しているユーザーの目に広告が留まる確率やエンゲージメントの増加に成功し、広告収益が86%、そして1日のアクティブユーザーあたりの平均収益に関しては4%上昇しました。
参考:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
参考:『ポップアップ』
ユーザーエクスペリエンスの中で重要な場所に掲載する
引用:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
ユーザーエクスペリエンスを考えた際に重要な場所に広告を掲載することもリワード広告の効果を高めるポイントになります。
ユーザーエクスペリエンスという言葉は、ユーザーが商品やサービスを活用した際に得ることのできるユーザー体験を意味しています。
ユーザーテストを通して、アプリ内においてオプトインされやすい場所を探します。
見つけた場所にリワード広告を掲載することで、ユーザーのエンゲージメントが上昇し、収益が向上します。
Four Thirty-Threeを例にすると、ボクシングゲームアプリ「Boxing Star」において、リワード広告をゲーム内のラウンドで負けたユーザーに向けて提示するようにしました。
オプトインまでの時間を10秒と設定し、広告の視聴という条件を満たしたユーザーに報酬としてアプリ内で使うことのできるゴールドバーを50個付与するように設定しました。
参考:『ユーザーエクスペリエンス ~3つの観点から理解するUXの本質~ :デジタルマーケティング コラム』
参考:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
付与するリワードを決定する
付与するリワードを決定するにあたり以下の3点について解説します。
- ユーザーを確保する特典を用意する
- 報酬の価値のちょうどよいバランスを探す
- リワードの効果を測定する
ユーザーを確保する報酬を用意する
引用:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
アプリ内において様々な報酬を用意しユーザーのセッション時間を長くします。
Habbyというアプリを例にすると、この広告では、広告の視聴という条件に対して無料で、アプリ内で利用することのできるジェムを付与します。
ジェムの個数によって獲得することのできるアイテムが異なるため、ユーザーはより価値の高いジェムの獲得を目指し、アプリ内にとどまり繰り返し広告の視聴を行います。
参考:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
報酬の価値のちょうどよいバランスを探す
引用:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
報酬を設定する際に、ユーザーが報酬を獲得することの代わりに、動画広告の視聴などの条件を満たそうと感じるような報酬を用意することが必要です。
しかし、広告の運用をするうえで、報酬を付与しても、アプリ内の購入によって獲得できる収益に損失を出さないようにすることが求められます。
よって報酬の価値を考えバランスのよい設定にすることがポイントになります。
アプリゲームのGame Insightでは、広告の視聴で、ゲーム内で利用することのできるルビーと呼ばれる通貨を付与します。
このルビーはゲーム内でほかの複数のアイテムと交換することに利用する重要な通貨です。
動画の視聴という条件を果たすことで、得られるルビーは5つに設定されており、それ以上のルビーが欲しいならばアプリ内で課金をする必要があり、購入を促進する働きをします。
参考:『Google AdMob リワード広告ハンドブック』
リワードの効果を測定する
さまざまな報酬を用意し、どの報酬であればユーザーの求めたものと合致し、リワード広告の条件をユーザーが達成することが多いかをテストし最も効果の高い報酬を設定します。
1つの例として、ゲームアプリ内でユーザーがライフを使い切ったタイミングでリワード広告を提示するのであれば、高い広告効果を期待できる報酬としては、コインなどの他のアイテムではなく、ライフを報酬として設定することが的確だといえます。
参考:『リワード広告とは?メリットやデメリット、おすすめのサービスを紹介』
広告を配信するユーザーの区分を分ける
リワード広告を配信するにあたり、ユーザーを複数のグループに分割して配信を行うこともポイントの1つです。
グループに分割する際に、アプリユーザーの行動を基準にして区分を分けます。
例として、頻繁にアプリの利用が観察されるユーザーに対しては、リワード広告で価値の高い報酬を付与しなくともアクティブなユーザーとしてアプリの利用をしてくれます。
逆に、あまりアプリを利用しないユーザーに対しては、価値の高い報酬を付与し、より多くの時間アプリを利用することを促すことができます。
また、配信する広告のコンテンツによって配信の対象を絞ることも、広告に対する反応の獲得において重要なポイントになります。
例として、健康促進に関する広告内容の広告を掲載するのであれば、ユーザーの中でヘルスケアや医療に関心を持つ人や、若年層より高齢層の人の画面にリワード広告として提示するほうが、広告の視聴がされやすいです。
参考:『リワード広告とは?メリットやデメリット、おすすめのサービスを紹介』
まとめ
本記事では、リワード広告について、リワード広告の特徴や仕組みについて紹介し、リワード広告の4個のメリットや利用するうえで効果を上げる4個のポイントについて解説しました。
この記事を読んで、Web広告の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。