実店舗をはじめ、Web以外の販売経路がある商品・サービスを扱う場合、オフラインでのユーザー行動を把握することがマーケティングの精度向上につながります。
ユーザーのなかには「Web広告をクリックしてランディングページやWebサイトを閲覧したものの、後日ショップに来店してサービスを申し込む」といった行動をとる方もいるでしょう。
ユーザーのオフライン行動のなかで、自社のビジネスにおいて重要度の高いものを「オフラインコンバージョン」としてゴールに設定することで、よりニーズや動向が把握しやすくなります。
この記事では、オフラインコンバージョンの定義、導入するメリットと注意点に加え、計測方法をご紹介します。
以下の記事では、オンライン・オフラインの両方におけるコンバージョンの種類や測定方法について説明しています。
あわせて参考にしてみてください。
関連記事:『コンバージョン測定とは?確認方法や計測できる9種のCVを解説!』
Contents
オフラインコンバージョンとは?
まずは、オフラインコンバージョンがどのようなものであるのかを解説します。
Web上でのコンバージョンとの違いを理解しておきましょう。
オフラインで行われる重要なユーザー行動
多くのWebサイトでは、「商品の購入」や「問い合わせ」、「来店予約」などのユーザー行動がコンバージョン(Webサイトでのゴール)として設定されています。
しかし、商品やサービスによっては、Web上で計測できないユーザー行動が売り上げや利益を大きく左右する場合があります。
たとえば「ネットで来店予約をしたのち、実店舗でサービスを契約する」のように、自社のビジネスにおいて重要度の高いオフライン上でのユーザーによる行動をオフラインコンバージョンと呼びます。
オフラインコンバージョンの流れ
- ユーザーがリスティング広告などのWeb広告をクリックした際に固有のIDを付与する
- 予約フォームなどに入力されたユーザー情報とともにIDを保管する
- ユーザーが実店舗で申し込みや購入などの行動(オフラインコンバージョン)に至る
- コンバージョンの際に得た顧客情報と、Web広告クリック時に付与されたIDの紐付けを行う
- 広告プラットフォームの管理画面にインポートすると、IDの情報をもとにオフラインコンバージョンとしてカウントされる
ユーザーのクリックIDとコンバージョンが紐づくことで、どのようなキーワードやターゲティングを経由して成果につながったのかを把握することができます。
なお、従来のオンラインでのコンバージョンとは、コンバージョンポイントがWeb上にあるのかそうでないのかという点で区別されます。
同じ商品でも、Web上で購入まで完結した場合は(オンライン)コンバージョン、電話で購入をした場合はオフラインコンバージョンとなります。
参考:『オフラインコンバージョン完全ガイド!運用から実装方法まで解説』
オフラインコンバージョンの例
オフラインコンバージョンにおける、代表的なコンバージョンポイントの例をご紹介します。
電話
ユーザーがWeb広告を経由してランディングページ(LP)やサイトを閲覧し、その後電話での予約、商品の購入などのアクションがあった場合はオフラインコンバージョンとしてカウントされます。
広告に掲載された電話番号をスマートフォンでタップすると発信ができる設定にしておくと、通話によるコンバージョンのトラッキングが可能です。
コンバージョンの例:英会話スクールのWeb広告に掲載されている電話番号をタップし、通話で体験レッスンの予約を行った
以下の記事では、電話によるコンバージョンの特徴や設定方法について詳しくご説明しています。
こちらもぜひチェックしてください。
関連記事:『通話コンバージョントラッキングとは?特徴と5種の設定ステップ』
来店
Web広告を経由して来店予約をしたユーザーが、実際に店舗に足を運んだ時点でコンバージョンとしてカウントを行います。
Web予約は入っても、実際の来店につながらない場合もあります。
来店をコンバージョンとして計測すると、どの媒体経由の予約が来店率が高いのかを把握できるのもメリットです。
コンバージョンの例:Webで新築マンション購入の説明会に申し込み、実際に会場に訪れて説明を受けた
来店コンバージョンについてより詳しく知りたい方は、以下の関連記事も役立ちます。
関連記事:『Google広告の来店コンバージョンとは?計測する2つのメリットを紹介』
店舗での購入・申し込み
ユーザーが店舗に来店して商品を購入したり、サービスに申し込んだりした時点でコンバージョンとしてカウントを行います。
Webサイトと店舗の両方で購入や申し込みができる場合は、オフラインコンバージョンを計測することで、総数の把握が可能です。
コンバージョンの例:Web広告を経由して美容室を予約して来店に至り、カットとヘアカラーの施術を受けた
参考:『オフラインコンバージョンとは?トラッキングの設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』
こんな商品・サービスを扱う企業におすすめ
オフラインにキャッシュポイントがある商品・サービスを展開している企業であれば、オフラインコンバージョンの計測がWeb広告運用の最適化に役立つでしょう。
たとえば、現地でカリキュラムの説明を受けて申し込みをするのが一般的なスクールやスポーツジム、Webで予約をして来店時にサービスを受ける美容室・飲食店などが該当します。
オフラインコンバージョンを計測し、データを蓄積することによって、Web以外からのコンバージョン数を増やすための施策を実施できるようになります。
一方、オンラインで購入行動がすべて完結する場合は、オフラインコンバージョンの導入には不向きです。
参考:『オフラインコンバージョンとは?トラッキングの設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』
オフラインコンバージョンを導入するメリット
オフラインコンバージョンの導入によって、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
一つ一つみていきましょう。
より精度の高い分析ができる
コンバージョンポイントをオフラインに設定することで、Web上では測れないデータの収集が可能です。
たとえば「説明会のWeb予約」をコンバージョンとして設定していると、その後のユーザーの動向を正確には把握できません。
しかし「説明会に参加後のサービス申し込み」をコンバージョンポイントにすると、説明会の参加率やサービスの申し込みに至る割合などのデータが手に入ります。
高額な商品・サービスを扱っているといった理由でコンバージョンの獲得数が少ない場合は、オンラインでのマイクロコンバージョンを設定する方法もあります。
マイクロコンバージョンとは、最終的なコンバージョンの前段階として設定するユーザー行動を指します。
マイクロコンバージョンとしてWeb予約、オフラインコンバージョンとして来店や購入を計測すれば、広告のクリック〜コンバージョンまでのユーザーの動きがよりわかりやすくなるのでおすすめです。
参考:『オフラインコンバージョンとは?トラッキングの設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』
参考:『Google広告オフラインコンバージョンの活用方法』
関連記事:『マイクロコンバージョンとは?活用する3つのメリットを解説』
ユーザーのニーズが把握できる
オフラインコンバージョンの導入によって、ユーザーとの最初の接点になるWeb広告と、最終ゴールであるコンバージョンが紐づけられます。
そのため、ユーザーの検索キーワードやクリックされた広告の文言、ターゲティングの設定(年齢や地域など)ごとに、どれだけオフラインコンバージョンを獲得できたのかがわかるというのもメリットの一つです。
ユーザーにクリックされやすい検索キーワードや文言、商品・サービスに興味を持ちやすい層がより明確になるため、Web広告運用の精度向上が期待できます。
参考:『オフラインコンバージョンとは?トラッキングの設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』
参考:『Google広告オフラインコンバージョンの活用方法』
関連記事:『リスティング広告でクリック率(CTR)を上げる7つのポイント』
自動入札の学習効率が上がる
オフラインでのコンバージョンをGoogle広告などのプラットフォームに取り込むことで、自動入札の機械学習に使用されるデータの精度が高まります。
入札の金額が最適化され、より効率的に費用の分配が行われるというのもオフラインコンバージョンの大きなメリットです。
たとえば「商品・サービス説明会への参加」をコンバージョンポイントとし、自動入札戦略で「コンバージョン数の最大化」を選択した場合、上限に設定した金額の範囲で参加者数の最大化を目標として入札金額がコントロールされます。
参考:『オフラインコンバージョンとは?トラッキングの設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』
参考:『Google広告オフラインコンバージョンの活用方法』
関連記事:『Google広告の自動入札戦略とは?3つのメリットや手動入札との違いを紹介』
さまざまなパターンのオフラインコンバージョンを計測できる
Google広告では、トラッキング可能なオフラインコンバージョンとして以下の例を挙げています。
- オフライン(電話や実店舗など)で取引が成立し、その取引を顧客関係管理システムでトラッキングするとき
- オンラインで販売が成立してから30日後(返品になった取引を除外するため)
- 新規顧客との取引が成立したときのみ
- 顧客が2度目の購入を行ったときのみ
- オンラインで成立した取引で、JavaScriptベースのコンバージョントラッキングソリューションを利用できないとき
新規のみならず、リピーターに絞ったコンバージョンの計測も可能です。
ぜひ、自社の商品・サービスの特性や狙っているユーザー層に合わせてオフラインコンバージョンのトラッキングを行ってください。
参考:『オフラインコンバージョンとは?トラッキングの設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』
参考:『Google広告オフラインコンバージョンの活用方法』
オフラインコンバージョンの注意点
さまざまなメリットが得られるオフラインコンバージョンですが、導入にあたっていくつか注意したい点もあります。
事前にチェックして、スムーズな運用を目指しましょう。
IDが引き継がれるようにしておく
オフラインコンバージョンの計測では、広告をクリックして自社のWebサイトに流入する際に、ユーザーごとに固有のIDが付与されます。
IDの名称は媒体により異なり、Google広告の場合は「GCLID」、Yahoo!広告の場合は「YCLID」と呼ばれます。
広告のクリックとオフラインコンバージョンを紐づけるためには、ユーザーがWebページ内を回遊してもクリックIDが問題なく引き継がれなければなりません。
とくに、複数のドメインにまたがるクロスドメインのWebサイトでは、ドメイン間を遷移する際にIDの情報が保持できないケースがあります。
こちらはWebマーケティング担当とシステム担当が連携を取り、Web上での予約や問い合わせが完了するまでIDが引き継がれるようにサイトの仕様を整えましょう。
参考:『オフラインコンバージョンとは?トラッキングの設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』
参考:『Google広告オフラインコンバージョンの活用方法』
関連記事:『【基本】サブドメインとは?SEOへの影響や3つのメリットを解説!』
クリックからコンバージョンまでに90日以上かかる場合は計測不可
Google広告、Yahoo!広告では、コンバージョンの測定の計測期間を1〜90日の間で設定します。
クリックから90日を超えてしまうとコンバージョンとしてカウントされないため、購入や申し込みまでに長い期間を要する商品・サービスの場合は正確なデータを収集することができません。
コンバージョンポイントを「来店」など、最終ゴールである購入・申し込みの前段階に設定するか、前述のようにマイクロコンバージョンを導入するといった方法で対策を行いましょう。
参考:『オフラインコンバージョンとは?トラッキングの設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』
参考:『Google広告オフラインコンバージョンの活用方法』
オフラインコンバージョンの計測ができる媒体
さまざまなWeb広告のプラットフォームでオフラインコンバージョンの計測が可能です。
代表的な媒体としては、以下が挙げられます。
- Google広告
- Yahoo!広告
- Facebook広告
- Instagram広告
媒体によって、コンバージョンデータのインポート方法が異なります。
媒体名/ インポートの方法 | API連携 | 手動インポート | 自動インポート | 定期インポート |
Google広告 | ◯ | ◯ | ◯ | |
Yahoo!広告 | ◯ | ◯ | ||
Facebook広告 | ◯ | ◯ | ◯ | |
Instagram広告 | ◯ | ◯ | ◯ |
参考:『オフラインコンバージョンとは?トラッキングの設定方法や効果的な活用方法を詳しく解説』
オフラインコンバージョンを計測する手順
ここからは、Google広告を例に挙げて、オフラインコンバージョンを計測する手順について説明します。
Google広告の管理画面でトラッキングの設定を行い、完了後にコンバージョンデータの作成・インポートをします。
トラッキングの設定
STEP1:コンバージョンアクションの作成
まずは、Google広告の管理画面左側にあるメニューの「目標」を選択し、「コンバージョン」→「概要」をクリックしてください。
「新しいコンバージョンアクション」をクリックすると、トラッキングするコンバージョンの種類を選択する画面が表示されるので、一番右にある「インポート」を選びましょう。
「インポート」にカーソルを合わせると、以下のように表示されます。
- グーグルアナリティクス
- Salesforce
- オフラインでの見込み顧客コンバージョン
- 電話での販売
クリックすると、インポートするコンバージョンの選択肢が出現するので、「CRM やファイルなどのデータソース」にチェックを入れます。
そうすると、さらに枝分かれした選択肢が出るので、「クリック経由のコンバージョンをトラッキング」にチェックを入れてください。
なお、このとき画面の右側には、インポートに必要なものとして以下が示されています。
- コンバージョンの日付
- GCLIDまたはユーザー識別子(電話番号またはメールアドレス)
次に表示があるデータソースについての項目は、今回は「この手順を省略し、後でデータソースを設定する」を選択し、「続行」をクリックします。
ページを遷移すると、コンバージョンポイントとなるアクションを選ぶスロットと、コンバージョン名の入力欄があります。
選択、入力して「追加」→「保存して次へ」をクリックしましょう。
次のページでは、以下の項目を設定します。
- コンバージョンの値
- カウント方法
- コンバージョンの計測期間
- コンバージョン列に含める(「はい」を選択)
- アトリジュージョンモデル
「作成して続行」→「完了」をクリックします。
STEP2:Webサイトで見込み顧客のトラッキングシステムを有効にする
Webサイトのページを、オフラインコンバージョンのトラッキングに対応できる仕様に更新します。
- 見込み顧客情報送信フォームの各ページを更新して、GCLIDが見込み顧客管理システムに引き継がれる状態にしておく。
- すべてのWebページのコードにスクリプトを追加し、GCLIDを取得・保存できる状態にする。
- 顧客のデータを管理する顧客管理システムに変更を加え、入力フォームからGCLIDが渡される際に、顧客情報とともに保存できる状態にしておく。
なお、②で追加するスクリプトについては、Google広告の公式で例として以下が示されています。
<form action=”” name=”myForm”>
名前: <input type=”text” name=”name”>
<input type=”hidden” id=”gclid_field” name=”gclid_field” value=””>
<input type=”submit” value=”Submit Form” name=”btnSubmit”>
</form>
システムの担当者と連携をはかって、更新を実施しましょう。
参考:『Google広告オフラインコンバージョンの活用方法』
コンバージョンデータの作成とインポート
コンバージョンをトラッキングするための設定が完了したら、実際にデータのインポートを行いましょう。
前述のように、Google広告では以下の3つの方法でデータを取り込むことが可能です。
- 手動アップロード
- 定期的にファイルをアップロード
- APIを経由してデータをアップロード
今回は、定期アップロードの方法をご紹介します。
STEP1:インポートするデータの作成
Google広告の管理画面左側にあるメニューの「目標」を選択し、「コンバージョン」→「アップロード」と進んでください。
「+(プラス)ボタン」→「テンプレートをご覧ください」とクリックすると、Excel・CSV・Googleスプレッドシートから選択してテンプレートを取得できる画面が表示されます。
テンプレートへの記載項目
項目名 | 概要 |
Google Click ID | オフラインコンバージョンを獲得したGCLIDを入力 |
Conversion Name | コンバージョンデータのインポート先となるコンバージョンアクションの名前 |
Conversion Time | コンバージョンが発生した日時 |
Order ID(省略可) | 注文確認番号などの識別子 |
Conversion Value(省略可) | コンバージョンに設定する値を入力(通貨や、1〜10で示される相対値)。この項目が空欄の場合は、コンバージョンアクション作成の際に設定したコンバージョン値を反映 |
Conversion Currency(省略可) | コンバージョン値の通貨を入力。日本円の場合は「JPY」 |
参考:『ファイル(従来版)を使用して、広告のクリックを経由したコンバージョンのデータをGoogle広告にインポートする』
コンバージョン1件につき、シートの1行を使って情報を入力します。
インポート用のデータが準備できたら、定期アップロードの設定を行いましょう。
STEP2:アップロードのスケジュールを設定
Google広告の管理画面左側にあるメニューの「目標」→「コンバージョン」→「アップロード」と進み、「スケジュール」のタブを選択します。
「+(プラス)ボタン」をクリックし、「ソースの選択」でSTEP1で作成したインポート用のデータを選びます。
アップロードの頻度・時間を設定し、「保存してプレビュー」→「OK」を選択すれば完了です。
参考:『Google 広告のオフラインコンバージョントラッキングの概要と使い方』
まとめ
この記事を読んで、オフラインコンバージョンの管理や計測が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
弊社ではリスティング広告運用代行というサービスを展開しております。
リスティング広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されており、蓄積されたノウハウから短時間で課題を解決に導きます。
また、薬機法医療法遵守広告代理店の認証を受けておりますので、広告審査の厳しい薬事・医療系も対応可能です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。