一度自社のサイトを閲覧したユーザーに対してアプローチをかける、リターゲティング広告。
とりわけ精度が高いリターゲティングのプラットフォームとして多くの企業に利用されているCriteo(クリテオ)をご存じでしょうか。
今回はリタゲ広告として高いパフォーマンスが期待できるCriteoの特徴について解説します。
Contents
リターゲティング広告とは?
今回ご紹介するCriteoは、リターゲティング広告を配信する広告プラットフォームです。
リターゲティング広告とは、自社のサイトやLP(ランディングページ)を訪れたユーザーに広告を配信するWebマーケティングの手法を指します。
あるサイトを離脱したあとに、別のサイトで広告が表示された経験がある方は多いのではないでしょうか。
リターゲティング広告は、一度で購入や申し込みに至らなかったユーザーに対しての有効なアプローチとして定着しています。
商品の購入やサービスへの申し込みをする際、多くのユーザーは事前にさまざまなサイトをめぐって情報収集したり、類似のプロダクトを比較検討します。
このように、リサーチや検討のステップでサイトを訪れたユーザーに対して、追いかけで広告を表示できるのがリターゲティング広告です。
関連記事:『ターゲティング広告とは?6種類と仕組みをわかりやすく解説!』
リターゲティング広告の仕組み
リターゲティング広告を配信する際は、自社のサイトやLPの特定のページにリタゲ用のタグを設置します。
タグが置かれたページを訪問すると、ユーザーにCookieが与えられます。
Cookieをもとに、Web上でユーザーの行動を追跡することが可能です。
参考:『株式会社ベーシック「今さら聞けない…リターゲティング広告の基本的な仕組みを理解しよう」』
関連記事:『 Facebook広告のコンバージョンAPIとは?運用するメリット2選 』
リターゲティング広告の種類
リターゲティング広告を配信できる代表的な媒体をご紹介します。
- Googleディスプレイネットワーク(GDN)
- Yahoo!広告ディスプレイ広告(運用型)(YDA)
- Facebook広告
- Instagram広告
- Twitter広告
- LINE広告
- Criteo
- SmartNews
- Gunosy
GDN・YDAのディスプレイ広告のほか、SNS広告や、特定のアプリの配信面に表示させるSmartNewsやGunosyなどの広告もあります。
とくにGDNやYDAは配信面の種類が豊富です。
GDNはGoogle提供のサービスや提携する配信先、Googleアドセンスの認証を受けた個人ブログなどに、そしてYDAはYahoo!JAPANが提供するサービスや提携配信先に表示されます。
その他の媒体については、下記の記事にて詳しく解説しています。
関連記事:『ディスプレイ広告とは?GDNとYDAの5つの違いを解説』
関連記事:『SmartNews広告でターゲティングすべきユーザーの特徴2選』
Criteoとは?
引用:『Criteo社「リテールメディア」』
リターゲティング広告の配信プラットフォームの一つであるCriteo。
フランスのCriteo社が提供する広告配信サービスです。
Criteo社は2005年創業の新しい会社ですが、創業から20年足らずでCriteo広告は100カ国以上で展開され、アクティブユーザーは全世界で1日に7.50億人というスケールにまで成長しています。
日本には、2011年に上陸しました。
参考:『Criteo社「オープンインターネットのためのコマースメディアプラットフォーム」』
参考:『「CRITEO History ~ 連載:Criteoの進化 VOL.7」』
Criteoの特徴
Criteoの特徴の一つとして、インパクトのある広告ビジュアルが挙げられます。
バナー内で複数の商品の画像がくるくると回転しながら表示されるため、見た目の訴求力が高くユーザーの目を引きつけます。
表示されるのは、ユーザーが閲覧したりカートに入れたが購入には至らなかった商品をはじめ、興味やニーズにマッチするものが選定されています。
そのためリターゲティング広告としての働きはもちろんのこと、閲覧にされていない関連商品との接点としての役割も期待できるのです。
Criteoは、リターゲティング広告のなかでも「ダイナミック(動的)リターゲティング広告」に分類されます。
ユーザーの動向から効果的な配信方法を分析し、登録された商品データなどをもとにニーズに合わせた広告を自動生成するのが特徴です。
参考:『THE HILL OFFICE合同会社「ダイナミックリターゲティング広告って?普通のリタゲとは違う?」』
Criteo広告のビジュアル
引用:『Criteo社「広告ギャラリー」』
関連記事:『広告クリエイティブとは【クリック率向上の制作ポイントを5つ紹介】』
Criteoの活用に向いている業種
Criteoは、複数の商品を並べて表示するため、ECサイトでのリターゲティングに適しています。
商品の写真や金額を表示できるため、ビジュアルでの訴求が重要なアパレルや雑貨などの商材と好相性です。
また興味・関心などをもとに、希望する条件のものがレコメンドされるので、旅行サイトや求人サイト、住宅情報サイトでの活用にも適しています。
複数の候補を比較検討する商品やサービスにおいて、特性を発揮しやすいでしょう。
Web広告の分析などを行うアメリカのWordStream社が発表した、業種別のGoogleリスティング広告・GDNの平均コンバージョン率(CVR)についての調査結果をご紹介します。
業種別のGoogleリスティング広告・GDNの平均コンバージョン率
業種 | 平均CVR(Googleリスティング広告) | 平均CVR(GDN) |
擁護団体 | 1.96% | 1.00% |
自動車 | 6.03% | 1.19% |
BtoB | 3.04% | 0.80% |
消費者サービス | 6.64% | 0.98% |
出会い | 9.64% | 3.34% |
eコマース | 2.81% | 0.59% |
教育 | 3.39% | 0.50% |
就職・転職 | 5.13% | 1.57% |
金融・保険 | 5.10% | 1.19% |
医療・健康 | 3.36% | 0.82% |
家庭用品 | 2.70% | 0.43% |
産業 | 3.37% | 0.94% |
法律 | 6.98% | 1.84% |
不動産 | 2.47% | 0.80% |
テクノロジー | 2.92% | 0.86% |
旅行 | 3.55% | 0.51% |
引用:『WordStream社「Google Ads Benchmarks for YOUR Industry」』
業種によって差はあるものの、リスティング広告の方がCVRが高い傾向にありました。
リスティング広告を経由して自社のサイトやLPを訪問した、見込みの高いユーザーに対してCriteoでアプローチするのも一つの方法です。
注目したいのが、eコマースや不動産の分野におけるGDNのCVRです。
全分野のCVRの平均が約1.08%ですがeコマースは0.59%、旅行は0.51%と低い傾向にありました。
通常のディスプレイ広告で成果を出しにくい業種こそ、ビジュアルの訴求力やデータを活用したターゲティングが可能なCriteoの導入を検討してみると良いでしょう。
リスティング広告については、下記の記事で詳しく解説しています。
関連記事:『検索連動型広告とは?仕組みと運用開始までの12のステップを解説』
Criteoを導入するメリット・デメリット
ここからはCriteoを活用することで得られるメリットや、あらかじめ知っておきたいデメリットについて説明します。
ぜひ、自社での導入を検討する際の判断材料として役立ててください。
メリット①幅広い配信面を提供
Criteoは、配信できる広告枠の充実度に定評があります。
Google(GDA)、Yahoo!(YDA)などのアドネットワークと提携しているほか、Facebook、InstagramといったSNSにも広告を出稿できます。
CriteoはYahoo!の広告枠を利用できる第三者媒体であり、その点も大きなメリットです。
参考:『株式会社インフィニティエージェント「【今更聞けない】Criteoとは?注目される理由を解説」』
関連記事:『SNS広告の5つのメリットと4つのデメリット!成功事例までご紹介!』
メリット②膨大なデータに基づいた精度の高い広告配信
Criteoでは、これまでに蓄積された膨大なデータをもとに、独自の配信アルゴリズムを構築しています。
ユーザーに対してどのタイミングで広告を表示すれば効果的なのかを見極め、個々に最適化した配信を行います。
Criteoの広告バナーも、ユーザー一人ひとりに合わせて自動生成されるのが特徴です。
ユーザーの行動履歴などを解析したうえで、閲覧済みの商品、カートに入れたが購入に至らなかった商品などをバナーで表示します。
さらにユーザーが詳細ページを訪れたり購入を検討した商品以外にも、興味を持ちそうなものを判断してレコメンドするため、サイトでは閲覧されなかった商品との接点を作れるところも大きな魅力です。
ユーザーにとっては、一度購入した商品の広告が画像付きで表示されることに加え、自分の好みやニーズに近い関連商品の情報まで得られるので、購買へのモチベーションが高まります。
このようなユーザーの情報を適切に取得したリターゲティングの実施には、サイトにCriteoのタグを設置する必要があります。
参考:『Criteo社「Criteoダイナミックリターゲティング」』
メリット③デバイスをまたいだターゲティングが可能
PC、スマートフォン、タブレットなど複数の端末を利用するユーザーに対しては、デバイスをまたいでシームレスにアプローチできるところもメリットの一つです。
匿名識別子を用いたクロスデバイス広告ソリューションの機能によって、複数のデバイスを利用するユーザーを一致させます。
参考:『株式会社翔泳社「Criteo、クロスデバイス広告ソリューション発表~デバイスを超えてパーソナライズ広告の配信が可能に」』
デメリットは…?
Criteoの導入において、下記がデメリットとして懸念されます。
- 月間のユニークユーザー(UU)数が4万以上、または1日あたりのサイト訪問者数が1,500以上という条件を満たさないと導入ができない。
- 業種によってはCriteoでの広告配信が禁止されている。
- 最低出稿金額である50万円分は必ず配信する必要がある。
Criteoを円滑に運用するにはある程度の数量のユーザーデータが不可欠です。
そのためどんなサイトでも導入ができるというものではなく、上記のように月間のUU数または1日の訪問者数が一定数以上なければなりません。
また、Criteoのガイドラインでは広告配信ができない商品・サービスが規定されています。
以下は、配信禁止のコンテンツです。
- 商業的なインセンティブおよび特定の金融サービス
- 嫌がらせ、ヘイトスピーチ、および暴力
- 子ども向けサイト
- アダルトコンテンツ、裸、ポルノ、性行為
- ショッキング、攻撃的、または誤解を招くコンテンツ
- アルコール、違法薬物および道具
- 違法行為、または法的に問題のある行為
さらに、複数ある商品を並べて訴求するという性質上、配信の元データとなるフィードの細やかなメンテナンスは欠かせません。
「リンク先の商品が品切れだった」「新しい商品が反映されていない」といったCVの機会損失を防ぐためにも、常にフィードを最新の状態にしておく必要があります。
また、Criteoでは50万円が最低出稿予算として定められています。
Web広告の代理店を通して運用する場合は、さらに代理店の手数料が加算されます。
手数料は代理店によって異なりますが、おおむね月間でかかった費用の20%程度です。
出稿予算である50万円は、月予算ではなく最低限配信しなければならないデポジットの金額です。
時間をかけて予算を消化することも可能です。
参考:『アジト株式会社「Criteo広告運用代行おすすめ代理店5選と上手な選び方」』
Criteoの導入に必要な準備
自社でCriteoを導入する場合、どんな準備が必要なのかを解説します。しっかり準備期間を設けましょう。
フィードを準備する
Criteo広告に出稿するために、広告に表示させる商品の画像や金額、商品名などの情報を記載したデータ(フィード)を用意します。
フィードの形式はCSVまたはXMLで、業種に最適化した配信ができるよう複数のフォーマットが用意されています。
フォーマットの種類は、一般/小売・ホテルと宿泊施設・求人広告・求人掲示板があります。
たとえば「一般/小売」のフォーマットの場合は、下記がそれぞれ必須・任意の項目として設定します。
Criteoで設定する必須項目
- id…商品の識別子(SKUを推奨)
- title…広告に表示させる商品名
- link…広告にリンクさせる商品ページのURL
- image_link…商品画像へのファイルパスを指定するURL
- price…商品の価格
任意の設定項目
- additional_image_link…商品画像へのファイルパスを指定するURL
- sale_price…セール商品の価格 availability…商品の在庫の状態を、preorder(仮注文可)out of stock(在庫なし)in stock(在庫あり)の3種類から表示
- availability…製品がサイトで購入できるかどうか明記
- description…バナーに表示される商品の説明文を指定(Facebookに出稿する際はこの項目は必須)
- google_product_category…Googleの商品分類に基づいてカテゴリーを指定
- brand…商品のブランド名を指定(Criteoリテールメディアにて必須)
- star…アイテムの評価
- item_group_id…詳細(サイズ、カラー、素材、柄など)のみが異なるバリエーション商品をグループ化する、親レベルの商品識別子
- adult…全ユーザー・オーディエンスに商品を提示しても安全かどうかを示す属性
参考:『Criteo社「商品カタログ仕様」』
自社のサイトにCriteo用のタグを設置する
Criteoに必要なユーザーのデータを収集するためには、自社のサイトに専用のタグを設置する必要があります。
Criteoには、以下のタグが用意されています。
設置が必須のタグ
- ローダーファイル…Criteのタグを機能させるために、全てのページに設置が必須
- 訪問タグ…ユーザーのサイト訪問を認識。以下のタグが設置されていない全ページに必須
- 商品タグ…商品詳細のページに設置し、ユーザーが関心を持つ商品の情報を収集
- コンバージョンタグ…購入完了時に表示されるサンクスページに設置。購入商品や点数、金額などの情報を収集
任意で設置するタグ
- ホームページタグ…サイトのトップページの訪問を認識
- 一覧ページタグ…商品一覧や検索結果など、複数の商品が表示されるページに設置。どの商品が比較検討されているのかを測る
- カート追加タグ…商品がカートに追加されたことを認識
- カート・申込みページタグ…カートページに設置。商品をカートに入れたが購入しなかったユーザーを認識する
参考:『株式会社キーワードマーケティング「GTMを使えば意外と簡単!Criteoのタグを設定する方法」』
Criteoの活用事例
Criteoの公式サイトでは、アパレルブランドを複数運営する株式会社ユナイテッドアローズの事例が紹介されています。
同社では、Cookieの規制への対応策としてCriteoの「コンテクスチュアル広告」を導入。
同時期に運用していた他社の施策と比較して、CTR(広告のクリック率)が約8倍、CVRは約3倍という非常に大きな成果を挙げました。
Criteoコンテクスチアル広告
掲載先の媒体に合った広告を配信する「コンテクスチュアルターゲティング」を活用した配信方法を指します。
Criteoが蓄積した膨大なデータをもとに、商品の広告がクリックされやすい掲載先を選定。
商品と配信面のマッチング度が点数(アフィニティスコア)として表示されるのが特徴です。
Cookie規制の傾向が強まるなかで、大きな注目を集めています。
自社の商品と親和性の高いコンテンツに表示させることで、新規ユーザーの獲得も期待できます。
参考:『株式会社翔泳社「Cookieレス×フルファネルに対応!Criteoのコンテクスチュアル広告が持つ強み」』
まとめ
Criteo広告は、ビッグデータを活用した効率的なリターゲティング広告として、多くの企業で導入されています。
蓄積された膨大なデータに裏打ちされたアルゴリズムによって、ユーザー一人ひとりにパーソナライズされた広告配信ができる点が大きな魅力です。
この記事を読んで、リターゲティング広告の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
弊社ではWeb広告のプロがお客様の課題を解決するWeb広告運用サービスを展開しております。
Web広告の運用経験を豊富に蓄積している他、Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。