インターネット上の仮想空間を通してコミュニケーションや経済活動を行うことができる「メタバース」。
旧facebook社が2021年に「Meta」へと社名変更をしたり、2023年にはApple社がメタバース用のデバイス「Apple Vision Pro」を発売したりしたことが、世界的にも話題となりました。
今回ご紹介する「Fortnite」というゲームは、企業がメタバースを利用して自社のプロモーションができるという点が注目を集めています。
メタバースの市況やFortniteの特徴とともに、複数の企業の活用事例をご紹介します。
参考:『Facebook、社名を「メタ」に変更 仮想空間に注力』
参考:『Apple Vision Pro|Apple』
Contents
メタバースの市況
まずは、そもそもメタバースが何を指しているのかという定義や市場規模の推移についてみていきましょう。
メタバースとは?
メタバースとは、インターネット上に設けられた3次元の仮想空間のことを指します。
メタバースでは、自分自身の分身である「アバター」を介して他者とのコミュニケーションやさまざまな活動を行います。
メタバースの語源は「meta(超越)」と「universe(宇宙)」を組み合わせた造語であるとされています。
作家のニーズ・スティーヴンスンが著作『スノウ・クラッシュ』のなかで描いた仮想空間「メタヴァース」が由来となります。
メタバースはゲーム型、NFT型、SNS型、EC型の4つに分類されます。
メタバースの分類
分類 | 特徴 | 代表的なメタバース |
ゲーム型 | メタバース内でゲームをプレイしたり、他のユーザーと交流する | Fortnite、どうぶつの森 |
NFT型 | NFTの売買を前提としたメタバースゲーム。 ゲームをしながらNFTによる収益を得られるのが特徴 | TheSandBox、Decentraland |
SNS型 | ユーザー同士のコミュニケーションを軸としたプラットフォーム | ZEPETO、VRchat |
EC型 | メタバース内の体験を通してショッピングを行う | IKEA Place |
参考:『メタバース』
参考:『メタバースの語源とは?由来と活用例を簡単に解説』
参考:『メタバースの種類とは?ゲーム型やEC型などを事例10選とともに解説』
市場規模の予測
参考:『メタバースの国内市場動向調査を実施(2023年)』
経済産業省が発表した調査結果では、世界のメタバースの市場規模は2022年時点では8兆6,144億円ですが、2030年には123兆9,738億円まで成長することが予測されています。
日本市場でも同様に加速度的な成長が見込まれており、株式会社矢野経済研究所では「国内市場規模推移・予測」を発表しています。
この調査では、2027年の日本国内のメタバース市場は、 2兆円を超えると予想されています。
今後数年で、メタバースの普及はより拡がっていくことが考えられます。
自社でメタバースを活用したプロモーションを検討している企業は、いち早く情報収集を行うことで競合他者をリードできるでしょう。
参考:『令和5年版情報通信白書|総務省』
参考:『メタバースの国内市場動向調査を実施(2023年)』
Fortnite(フォートナイト)とは
「Fortnite(フォートナイト)」は、全世界に7,000万人以上(2023年3月時点)のアクティブプレイヤーを抱えるゲーム型メタバースです。
参考:『Fortnite(フォートナイト)とは?5億人がハマる魅力やビジネス活用事例を解説』
メタバースを活用したオンラインゲーム
引用:『Travis Scott and Fortnite Present: Astronomical(Full Event Video)』
Fortniteは、アメリカのゲーム会社であるEpic Games(エピック・ゲームズ)から2017年にリリースされたオンラインゲームのプラットフォームです。
基本的には無料でプレイできるのが特徴で、全世界の総ユーザー数は5億人以上にものぼります。
4つのゲームモードが用意されているほか、仮想空間内でアーティストのライブを開催したり、企業が仮想空間を制作して自社のプロモーションを実施したりと、ゲーミングプラットフォームの枠を超えた活用が注目を集めています。
ユーザーはアバターを介してライブやイベントに参加し、メタバースならではの体験を得ることができます。
2020年にミュージシャンのトラヴィス・スコットがFortniteでバーチャルライブを行った際は、仮想空間ならではのユニークなライブセットや演出が話題となりました。
約9分間という短時間ながらも、同時接続数は1,230万人を記録し、2,000万ドル(約21億円)という売り上げを記録しています。
参考:『Fortnite(フォートナイト)とは?5億人がハマる魅力やビジネス活用事例を解説』
参考:『人気メタバースFortniteとは?企業の活用事例やメリットも紹介』
3つのゲームモードをプレイできる
Fortniteには以下の4つのモードが用意されています。
1.バトルロイヤル
「バトルロイヤル」は、Fortniteのベーシックなプレイモードです。
およそ2㎢の島を舞台に、100人のプレイヤーが最後の一人となることを目指して闘います。
ゲーム中で資材を集め、それらをもとに壁、やぐらなどを建築できるのが特徴です。
建築物は身を隠したり、移動に使ったりと、ゲームの攻略において重要な役割を果たします。
2.パーティーロイヤル
「パーティーロイヤル」は、バトルが目的ではなくメタバースのなかでイベントやライブを楽しむためのモードです。
3.クリエイティブ
「クリエイティブ」は、ユーザーが制作したゲームをプレイするモードです。
Fortniteでは、ユーザーがオリジナルの島を作ってゲームモードやルールを設定し、他のプレイヤーにシェアすることができます。
プラグイン機能である「UEFN」を活用すれば、クリエイティブモードよりもさらにハイレベルなゲーム制作が可能です。
4.世界を救え
「世界を救え」は、広大なフィールドを舞台にプレイヤーが武器を調達したり基地を作ったりして、モンスターと闘うゲームモード。
有料のゲームパックを購入することでプレイが可能となり、プレイヤーは4名まで参加できる仕様です。
参考:『5分でわかる「フォートナイト」 世界が熱狂するバトルロイヤルゲーム』
参考:『Unreal Editor for Fortnite(UEFN)とは?概要と始め方・使い方を解説』
UEFNでより自由度の高いゲーム制作が可能
「Unreal Editor for Fortnite(UEFN)」は、Fortniteでゲームの制作をするためのプラグインです。
ユーザーは自分独自の島を作り、ゲームモードやルールの設定を行います。
UEFNはクリエイティブモードと比較するとアセットのバリエーションが多く、より自由なゲーム制作を叶えます。
なお、UEFNで開発されたゲームを通して発生した利益はクリエイターに分配されます。
クリエイターは、フォートナイトのアイテムショップで発生した純収益と、ゲーム内でのリアルマネーでの購入額の40%を受け取ることができます。
企業が自社のプロモーションとしてFortniteを活用する場合も、このUEFNによって独自のバーチャル空間を作成します。
参考:『ゲームの新たな形?メタバース化した「Fortnite」について解説!』
Fortniteを活用したプロモーションの強み
数多くの企業がプロモーションにFortniteを導入しています。
Fortniteを通した宣伝・PRにはどのような強みがあるのでしょうか。
全世界のユーザーにアプローチが可能
前述のように、Fortniteは全世界で7,000万人以上(2023年3月時点)のアクティブユーザーがプレイする大型プラットフォームです。
日本のユーザー数は推定で500万人以上とされ、国内の宣伝・PRにおいても効果を期待できます。
話題性の高いFortniteで自社独自の空間を作ってプロモーションを行うことで、多くの人の目に触れる機会を得られるでしょう。
デジタルネイティブであるZ世代へのアプローチにおいても存在感を発揮します。
参考:『Fortnite(フォートナイト)とは?5億人がハマる魅力やビジネス活用事例を解説』
参考:『【2024年版】ユーザー数の多いメタバースゲーム10選』
参考:『デジタルネイティブとは? 世代の特徴や指導方法、消費傾向』
企業・ブランドの世界観を仮想空間でアピールできる
引用:『Disney x Epic Games』
Fortniteの空間内では、メタバースならではのユニークな体験を提供できます。
たとえば前述のトラヴィス・スコットのライブにおいては、現実ではありえない巨大なトラヴィスが出現してパフォーマンスを披露しました。
ライブのセットも美しく幻想的で、リアルな世界のライブとは一味違った楽しみ方が可能です。
また、2024年2月、ディズニーがEpic Games社の株式を取得し、15億ドル(約2,220億円)もの出資を行うことが発表されました。
「ディズニー」「ピクサー」「マーベル」「スター・ウォーズ」「アバター」といったディズニー傘下のコンテンツをFortnite内で体験できる仮想空間の共同開発が進行中です。
作品の世界をより深く体験できるメタバースに、世界中から関心が寄せられています。
自社独自の空間(ワールド)で、自社の商品・サービスを擬似的に体験してもらったり、関連するテーマのゲームを楽しんでもらったりと、自由度の高いプロモーションを展開できるのが大きな魅力といえるでしょう。
参考:『人気メタバースFortniteとは?企業の活用事例やメリットも紹介』
参考:『ディズニーがEpic Gamesに約2225億円の出資、フォートナイトと繋がる新空間を共同開発』
Fortniteを活用した企業の実例3選
Fortniteを活用してプロモーションを実施した企業をご紹介します。
どの企業も、自社の商品・サービスの魅力やブランドの世界観などを効果的に訴求しています。
コカ・コーラ
引用:『日本コカ・コーラ株式会社』
コカ・コーラは、2022年4月に、Fortniteから着想を得た限定フレーバー「ゼロ・シュガー・バイト(Zero Sugar Byte)」を発売しました。
同社はプロモーションとしてFortniteに島を設け、ネオンカラーが印象的な仮想空間を使ってPRを行っています。
ユーザーに商品のイメージを反映させた4種類のミニゲームを楽しんでもらうことで新フレーバーを印象付けるという取り組みが、当時大きな話題となりました。
参考:『コカ・コーラが フォートナイト で限定フレーバーを発表した狙い :「ブランドにとって安全な、巨大プラットフォームだ」』
参考:『【2024年最新版】フォートナイトとコラボしている企業13選!なぜ活用されるのか人気の理由を紹介』
熊本県
引用:『公開から2ヵ月、熊本の魅力がゲームを通して世界へ世界的人気オンラインゲームFORTNITEの熊本を舞台にした新ステージ「くまモン島」が累計プレイ回数23万回を突破!!』
熊本県は、地域の魅力を発信する目的のため、2024年1月に、Fortnite内に熊本を舞台にしたステージ「くまモン島」を公開しました。
熊本県のご当地キャラクターとして親しまれている「くまモン」が重要なキャラクターとして登場するこの島では、熊本県の特産品の収穫や魚釣りをしてコインを稼ぎ、県の名所の建設を行います。
熊本城をはじめ、黒川温泉、球磨川くだりなどの観光スポットをバーチャルで楽しむことができるユニークな仮想空間です。
参考:『くまモン島 -KUMAMON ISLAND TYCOON-|熊本県』
参考:『「フォートナイト」くまモンが登場する“くまモン島”が1月31日公開。“巨大くまモンロボ”極秘計画のため島を巡る』
東京農工大学
引用:『あの世界的大人気オンラインゲームにキャンパスを再現! キャンパスツアーが変わる|東京農工大学』
東京農工大学工学部では、オープンキャンパスの一環としてFortniteを導入しています。
具体的には、受験生が学内のリアルな雰囲気を体感できるように、Fortnite内に小金井キャンパスの主要エリアを再現した仮想空間を設けました。
在学生による「フォートナイト・バーチャル・キャンパスツアー」と題した企画が行われ、この様子は大学のYouTubeチャンネルでも配信されました。
参考:『あの世界的大人気オンラインゲームにキャンパスを再現! キャンパスツアーが変わる|東京農工大学』
参考:『【2024年最新版】フォートナイトとコラボしている企業13選!なぜ活用されるのか人気の理由を紹介』
岡山城をメタバース化!Unionでの事例・実績
引用:『フォートナイト(Fortnite)で岡山城を舞台にした『謎解き脱出ゲーム』を公開』
株式会社Unionでは、岡山県岡山市の観光名所である岡山城をメタバース化するという取り組みを実施しました。
Fortniteの仮想空間内に岡山城を制作し、プレイヤーが脱出ゲームを楽しめるという企画です。
夏のライトアップイベント「夏の烏城灯源郷」とタイアップしており、メタバース内では、夜の岡山城の幻想的な雰囲気を満喫しながら散策できます。
引用:『フォートナイト(Fortnite)で岡山城を舞台にした『謎解き脱出ゲーム』を公開」』
謎解き脱出ゲームには、「かんたん、ふつう、むずかしい、おに」の4つのレベルがあり、初心者の方から上級者の方までゲームを楽しむことができます。
引用:『フォートナイト(Fortnite)で岡山城を舞台にした『謎解き脱出ゲーム』を公開』
不明門(あかずのもん)や天守、月見櫓(つきみやぐら)といった、岡山城の見どころが細部までリアルに作り込まれている点も魅力です。
引用:『フォートナイト(Fortnite)で岡山城を舞台にした『謎解き脱出ゲーム』を公開』
ゲーム内には、岡山城のキャラクター「じゃじゃじゃのにんじゃ」 (上記右画像)が登場したり、ご当地の特産品として知られる白桃(上記左画像)やピオーネ、マスカットを探索したりと、岡山県ならではの要素がたっぷり盛り込まれています。
ゲームをクリアをしたプレイヤーは、リアルでは見られるタイミングが限られている岡山城のレインボーライトアップを体験できるのも注目ポイントの一つです。
Fortniteで中国・四国地方の観光スポットがメタバース化されるのは、この企画が初となります。(2024年7月時点)
参考:『フォートナイト(Fortnite)で岡山城を舞台にした『謎解き脱出ゲーム』を公開』
参考:『【中国・四国地方初】フォートナイト(Fortnite)で観光地をメタバース化!岡山城を舞台にした『謎解き脱出ゲーム』を公開』
まとめ
この記事を読んで、メタバースの活用に興味を持っていただけたなら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
株式会社Unionでは、Fortniteに特化したメタバース制作のサービスを展開しています。
企画から正確、プロモーションまで一気貫通で行い、ビジネスや商品・サービスの特色にあわせたマーケティングプランの提供が可能です。
お客様のあらゆるニーズに対し分析・調査を行い最適な施策をご提案しますので、お気軽にご相談下さい。
なお、メタバースに関するメディアをお探しの方は、monoAI technology株式会社様の記事『メタバース相談室』を是非ご覧下さい。
監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。