Google広告やYahoo!広告を使用する際、CTR(クリック率)が思うように伸びず 、高い広告効果を実現できなかった、もしくは現在も数値の改善に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
アメリカのマーケティング会社、LocaliQが2023年5月に公開した調査によると、Google広告における業種ごとのCTRは以下のように発表されています 。
業種 | 平均CTR(2023年) |
動物、ペット | 8.12% |
アパレル、ファッション、アクセサリー | 6.46% |
芸術、エンターテインメント | 11.78% |
弁護士、法的サービス | 4.76% |
自動車販売 | 8.77% |
自動車修理 | 5.91% |
美容、パーソナルケア | 6.87% |
ビジネスサービス | 5.11% |
仕事、雇用 | 6.67% |
歯医者、デンタルサービス | 5.34% |
教育機関 | 6.41% |
金融、保険 | 6.18% |
家具 | 6.19% |
健康、フィットネス | 6.44% |
暮らし、リフォーム | 4.80% |
工業、商用 | 5.57% |
パーソナルサービス | 7.54% |
内科、外科 | 6.73% |
不動産 | 9.09% |
レストラン、食べ物 | 8.65% |
ショッピング、お祝い、ギフト | 6.39% |
スポーツ、レクリエーション | 10.53% |
旅行 | 10.03% |
参考:『Updated Search Advertising Benchmarks for 2023 (+Expert Tips to Improve Results)』
概ね10%を下回っており、9割以上のユーザーが広告を見てもクリックしていないことがわかります。
レスポンシブ検索広告は、AIによる自動分析により、それぞれのユーザーに対し適した広告案を提案するためのサービスです。
ユーザーのニーズに合うような訴求内容の広告文を作成することができるため、これまでの広告文では訴求しきれなかったユーザーに対してもニーズに合った広告を配信することができます。
それでは、レスポンシブ検索広告では、どのような仕組みでAIによる広告文の最適化を達成しているのでしょうか。
関連記事:『リスティング広告のクリック率が向上するキーワード選定方法5選!』
Contents
レスポンシブ検索広告とは
Google広告のWebページでは、レスポンシブ検索広告は以下のように説明されています。
レスポンシブ検索広告では、より豊富なテキストを使って、ユーザーに関連性の高いメッセージを表示する広告を作成できます。
レスポンシブ検索広告の作成時に広告見出しと説明文を複数入力すると、時間の経過とともにさまざまな組み合わせが自動的にテストされ、最も効果的な組み合わせが学習されます。
レスポンシブ検索広告では、広告のコンテンツとユーザーの検索語句との関連性が高まるように調整されるため、キャンペーンの掲載結果の向上を見込めます。
あらかじめ、広告見出し3〜15個と、説明文2〜4個を設定しておくことで、掲載時に、AIが見出しと説明文の位置を調整し、広告文を構成します。
例えば、広告見出しに、見出しA、見出しBと設定し、説明文に、説明文Aと説明文Bを追加した場合を想定します。
それぞれのテキストを組み合わせた場合、見出しA&説明文B、見出しB&説明文Aなどといった形で、広告文を構成することができます。
レスポンシブ検索広告では、これらの広告文が自動でテストされ、最も効果的な組み合わせが検証されます。
全般的に効果の高い訴求文をテストするだけでなく、検索したキーワードなども加味した上でそれぞれのユーザーに対し最適化された広告文を作成することができます。
最適化された広告文を作成することで多くのユーザーにとって価値のある広告を提供することに繋がり、CTRの向上に貢献できる施策です。
参考:『レスポンシブ検索広告について』
関連記事:『リスティング広告のクリック単価改善方法【CPCの相場についても紹介】』
レスポンシブ検索広告を使用するメリット
デジタルマーケティングの最適化を支援するBRUCE CLAY.が自社コラムの中で、レスポンシブ検索広告の成功事例を紹介しており、結果は以下の通りです。
期間 | 表示回数 | クリック数 | CV | CPA |
アセット追加前 | 24,072 | 1,252 | 12.92 | ¥6,633 |
アセット追加後 | 31,574 | 1,785 | 17.38 | ¥6,269 |
参考:『RSAに広告見出しを追加してCV数が1.3倍になった事例』
ここでのアセットとは、画像や動画に加え、広告文や説明文を含みます。
なぜレスポンシブ検索広告を使用するのでしょうか。それは、以下の2点のようなメリットがあるからです。
- 手間をかけずに効果的な広告配信を実現
- 広告ランク向上に貢献
参考:『RSAに広告見出しを追加してCV数が1.3倍になった事例』
関連記事:『Google広告のアセットライブラリとは?7つの機能と操作方法』
手間をかけずに効果的な広告配信を実現
レスポンシブ検索広告は最初に広告見出しと説明文を設定することで、自動で最適化を図るサービスです。
多くの場合、広告配信をする際、効果を高めるために効果検証を行います。
例えば、広告AとAから特定の箇所のみ変更したBを作成し、効果を比較することで、AとBどちらの方が広告効果が高いか検証するA/Bテストなどを使用していく中で、広告改善に取り組みます。
これに対し、レスポンシブ検索広告では、AIが自動で各アセットの組み合わせの効果検証を行うため、広告効果を検証するための工数が削減できます。
手間なく、分析により効果があると判断された手法で広告掲載できる点で、レスポンシブ検索広告は優れています。
また、レスポンシブ検索広告では、自動でそれぞれのデバイスに適した文字数で広告文を作成することも可能です。
ユーザーはパソコンやスマートフォン、タブレットなど様々なデバイスを使用し、検索を行います。
また、一言でスマートフォンと言ってもサイズや縦横の比率は様々で、代表的なスマホを例に出すと、iPhone16は縦横比19.5:9、画面サイズ6.1インチが採用され、またXperia1Ⅳは縦横比21:9、画面サイズ6.5インチが採用されています。
関連記事:『スマホ向けリスティング広告の特徴と成果を出す10の方法!』
デバイスの大きさの比較
全てが当てはまるわけではありませんが、パソコン、タブレット、スマートフォンの大きさは上のように分布しています。
デバイスが多様化している現在、それぞれのデバイスに合わせた広告配信を行うことは重要です。
縦横比や画面サイズによって、画面に表示可能な文字数も異なります。
各々のデバイスで広告文を読む際、文章が見切れてしまい、情報が伝えきれないことを避け、それぞれのデバイスで伝えられる最大限の情報を伝達することができます。
参考:『レスポンシブ検索広告のご利用ガイド』
参考:『2024年最新スマホ画面サイズ一覧_iPhone/Android(アンドロイド)のインチ/解像度/大きさ/比較 | デジマースブログ』
参考:『【2024年最新】Xperiaシリーズ徹底比較|歴代からおすすめ10機種を厳選』
広告ランク向上に貢献
Google広告やYahoo!広告では、広告オークションによって、掲載される広告とその掲載順位が決定されます。
広告オークションとは、ユーザーが特定のキーワードを検索した際に行われる掲載する広告と、その広告の掲載順位を決定するためのオークションです。
広告の表示回数や、ユーザーのクリックに対し最大いくらまで課金できるかを設定した入札単価と広告の品質を採点した広告ランクなどによって、どの広告をどこに表示するか決定します。
この際の重要なポイントは、Google広告やYahoo!広告では、検索したキーワードと広告文の関連性が広告ランクの判断基準の1つとなっていることです。
レスポンシブ検索広告であれば、ユーザーが検索したキーワードに対し、関連性の高い広告文を作成し、広告オークションに参加できるため、広告ランクが向上し、広告の掲載頻度や、掲載順位の向上が見込めます。
参考:『広告ランク|Google広告ヘルプ』
参考:『掲載順位の決定方法|Yahoo!広告ヘルプ』
検索順位とCTRの関係
参考:『2023 comparison of Google organic clickthrough rates (SEO CTR) by ranking position』
企業のマーケティングに関する課題解決をサポートするSmart Insightsが2023年に公開した調査結果を見ると、検索順位が高ければ高いほどCTRが高い傾向にあることがわかりました。
データによると、Googleでの検索順位1位における平均CTRは39.8%と高く、また、順位を落とすにつれて急激にCTRが低減していることがわかります。
広告を掲載する際は、少しでも上位に掲載できるように、広告オークションの判断基準に関連する要項に気をつける必要があり、広告ランクの面で貢献可能なレスポンシブ検索広告は有用です。
参考:『2023 comparison of Google organic clickthrough rates (SEO CTR) by ranking position』
関連記事:『検索連動型広告とは?仕組みと運用開始までの12のステップを解説』
レスポンシブ検索広告を使用する際の注意点
レスポンシブ検索広告では、広告見出しや説明文の設定後、基本的にはAIによる分析に基づき掲載を行います。
自分で分析する必要がなく、手間を省くことができる有用な施策ですが、効果を最大化するには注意点があります。
それでは、広告効果を向上するために運用する際、何に注意すれば良いのでしょうか。
レスポンシブ検索広告を運用する際は以下の2点に注意する必要があります。
- 広告見出しと説明文の最適化
- AIに依存しすぎず、自らで広告効果を検証する
広告見出しと説明文の最適化
先述した通り、レスポンシブ検索広告は広告見出しと説明文を設定することで使用をスタートすることができます。
ここで設定した文章を組み合わせる中でAIは最適な広告文を検証します。
しかし、設定した文章の精度がそもそも低い場合、AIによる分析で作成した広告文であっても、広告効果の見込めない文章になってしまう可能性もあります。
そのため、広告見出しや説明文を設定する際は、ある程度根拠ある作成を心がけるようにしましょう。
レスポンシブ検索広告はユーザーにあわせて文章を構築できる性質上、設定した広告見出しや説明文の中に、ユーザーのニーズとマッチするものがあれば、広告効果の高い広告文を作成することが可能です。
そのため、設定する文章でターゲットになりうるユーザー全てに対応できるようにしておく必要があります。
例えば、スポーツ用品を経験者だけでなく初心者に対しても販売したい場合であれば、設定する広告見出しに専門用語だけでなく、初心者向けの単語を設定する必要があります。
「初心者でも安心」や「1から丁寧に説明します」などといった初心者でもクリックしやすい見出し設定で、初心者に対してもリーチしやすいレスポンシブ検索広告になります。
参考:『【すぐできる】クリック率が上がる広告文の作り方を8つ紹介』
関連記事:『【初心者向け】成果を上げる広告文の作り方と8つの訴求軸を解説』
AIでの運用に加え、自らで広告効果を検証する
引用:『Google広告』
AIで分析を行なっているとはいえ、完全ではありません。
必ず広告の有用性を確認するようにしましょう。
Google広告ではレスポンシブ広告の有用性は「優良」「良」「平均的」「低い」「未完了」の5つで分類されます。
「優良」をキープすることで、より効果的にレスポンシブ広告を運用できる可能性が高まります。
「優良」の状態にするためには、AIが様々なパターンを出稿できるよう、なるべく多くのパターンの広告見出しや説明文を追加する必要があります。
また、どの文章が頻繁に使用されているか確認することも非常に重要 です。
引用:『Google広告』
Google広告では、アセットの詳細を表示からどの食い合わせが頻繁に表示されているか確認することができます。
AIによって頻繁に使用されているにもかかわらず、実際にLPに訪問した際に、あまりその情報についての記載がない場合、違和感のある広告になってしまいます。
また、多く使用している広告見出しや説明文を分析することで、ターゲットとなるユーザーが求めている情報はどれか把握することにつながります。
レスポンシブ検索広告導入当初、想定していたニーズと本来のニーズが離れている可能性も往々にしてあるため、AIに依存しすぎず、自らで分析することは非常に大切です。
また、広告結果を見て改善するポイントの多くは、広告見出しと説明文です。
広告見出し、説明文の設定をし実際に広告運用をした結果を踏まえ、検証を行う中で広告見出しや説明文を改善するといった形で、PDCAを回していくことでAIと相まって、効率よく広告効果を向上させられます。
参考:『レスポンシブ検索広告に関する広告の有効性について』
関連記事:『Googleリスティング広告で効果を上げるための10のポイント』
広告カスタマイザの使用でレスポンシブ広告の広告効果をさらに高める
広告カスタマイザとは
引用:『Google広告』
広告カスタマイザ(Yahoo!広告ではアドカスタマイザー)とは、{}で囲まれたパラメータを挿入することで広告が表示される際に動的テキストに置き換える機能です。
動的テキストとは、キャンペーンのカウントダウンや、検索した商品名など、ときどきによって変化する情報や検索した情報に応じて広告に単語を挿入する場合の代替となるテキストのことです。
動的テキストの例
- 限定割引終了まであと〇日
- 〇〇を買うなら今がチャンス
- 〇〇県でサービスをお探しならこちら
検索された際は、事前の設定に基づき、残り時間や検索した商品名などに置き換えられます。
参考:『レスポンシブ検索広告の広告カスタマイザを作成する』
関連記事:『Google広告の広告カスタマイザとは?入稿の4STEPを紹介』
関連記事:『リスティング広告の運用に検索ニーズを反映させる3ポイント』
レスポンシブ検索広告内での活用方法
レスポンシブ検索広告では、設定次第で広告見出しや説明文で広告カスタマイザを活用することができます。
例えば、「チワワ 病気」など犬種を使用した検索をしたユーザーに対し、動的テキストに検索した犬種が挿入されるように設定しておきます。
そうすれば、広告文の中に「チワワ」というフレーズを挿入することができ、より一致性の高い広告文章を作成することができます。
また、位置情報で動的テキストを設定することも可能で、「賃貸」と検索した際に、ユーザーが渋谷にいる場合は、広告文の中に「渋谷」というフレーズを挿入することができます。
このように、本来レスポンシブ検索広告を使用した場合、広告見出しや説明文の設定できる数に限りがあるため、AIを使用した場合であっても、パターンは有限です。
しかし動的テキストを組み込むことで、さらにパターンを増やすことにつながり、よりユーザーのニーズに合った広告配信を実現します。
広告カスタマイザをレスポンシブ検索広告に組み込む方法については、以下のリンクを参考にしてください。
参考:『レスポンシブ検索広告の広告カスタマイザを作成する|Google広告ヘルプ』
参考:『地域別に広告文を作れる!Google広告カスタマイザの設定方法』
関連記事:『【Google/Yahoo!広告】キーワード挿入機能の設定6STEP』
まとめ
以上のようにレスポンシブ検索広告を使用することで効率よく広告運用を行うことができます。
AIによって最適化を図るため、広告配信をする際の広告文で手間を削減することができ、その分広告見出しや説明文の設定に注力することができます。
様々なターゲットに対し、効果的な広告を配信できる有用な施策であるため、CTRが向上しないなどの面で悩んでいる方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、広告カスタマイザをレスポンシブ検索広告内に作成することで、広告文のパターンをさらに増加させることができ、より多くのユーザーのニーズに合った広告配信を行うことができます。
また、レスポンシブ検索広告は効率的な施策ですが、導入すれば確実に効果の出る施策ではありません。ターゲットのニーズを把握し、広告見出しや説明文を作成しなければ、AIが分析を行なったとしてもうまくいかない可能性もあります。
当記事を読んで、少しでもレスポンシブ検索広告の運用が難しいと感じた際は、1度広告代理店に相談してみるのはいかがでしょうか。
弊社ではリスティング広告運用代行というサービスを展開しております。
リスティング広告をはじめとするGoogle広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されています。蓄積されたノウハウから短期間で課題を解決に導きます。
弊社の広告運用担当はYahoo!広告、およびGoogle広告の認定資格保持者であり、知識のアップデートを行っております。
お客様のあらゆるニーズに対し分析・調査を行い最適なプランをご提案しますので、お気軽にご相談下さい。
監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。