Web広告は検索結果の画面やSNS、動画上など多くの場所に掲載することが可能であり、広告の課金方式も様々な種類があります。
そのため、実際に広告運用を行う際には、目的に合った課金方式を採用することが求められます。
より高い広告パフォーマンスを実現させるためにも、広告の課金方式について特徴を理解しておく必要があります。
今回は数ある課金方式の中でも「CPM」という課金方式について説明します。
本記事では、CPMについての解説の他に、似た用語の説明や利用できる広告媒体、計算方法、メリットやデメリットについて解説していきます。
参考:『Web広告の課金方式7つを解説!仕組みやメリット・デメリットは?』
参考:『Facebook広告(Meta広告)の課金方式とは?目的に合った課金方式を徹底解説!』
Contents
CPMについて
CPMとは
CPMとは「Cost Per Mille」の略で、Web広告の課金方式を指します。
日本語では「インプレッション単価」とも訳されますが、ここでの「Mille」は、ラテン語で「1,000」を意味します。
つまりCPMは、Web広告が1,000回表示される毎にかかるコストを示し、広告主が広告表示回数に対していくら支払うかを定めるものになります。
CPMは、広告の費用対効果を評価するための指標としても使用されます。
この方式では、広告がクリックされる回数にかかわらず表示された回数に基づいて課金されることで、クリック率によって費用対効果が変動するためです。
具体的には、クリック率が高い場合、多くのユーザーが広告をクリックしてサイトへ訪問することになり、結果的に比較的低コストで多くのサイト訪問者を獲得できます。
しかし、クリック率が低い場合は、多く表示されているにも関わらずクリックが少ないため、クリック一つあたりのコストが高くなる可能性があります。
参考:『CPM(インプレッション単価)とは?計算方法から課金方式を徹底解説!』
参考:『今さら聞けない「CPM(インプレッション単価)」とは?計算方法やeCPM、CPVとの違い、注意点を解説』
CPMの計算方法
CPMは以下の式で求めることができます。
CPM=広告費用/広告の表示回数×1,000
実際の計算例として、広告費が10,000円の広告がユーザーに50,000回表示された場合、
CPM=10,000/50,000×1,000=200
CPMは200円となります。
参考:『Web広告用語【CPM】の意味とは?CPCとの違いと計算式を解説!』
参考:『今さら聞けない「CPM(インプレッション単価)」とは?計算方法やeCPM、CPVとの違い、注意点を解説』
CPMと似ている用語とCPMとの違い
CPC
CPC(Cost Per Click)は、1クリックごとの広告費用を示すWeb広告の課金形態であり、「Pay Per Click(クリック課金型)」とも呼ばれます。
CPM課金では広告が表示される回数に応じて広告費が発生する方式であるのに対し、CPCでは実際にユーザーが広告をクリックしたときにのみ広告費が発生します。
そのため、表示回数に依存せずに費用が計算されます。
CPCは通常、検索広告などで使用され、「CPC=広告費用/広告の表示回数」によって算出されます。
関連記事:『リスティング広告のクリック単価改善方法【CPCの相場についても紹介】』
関連記事:『リスティング広告のよくある質問5つ!広告代理店のプロが回答』
参考:『Web広告用語【CPM】の意味とは?CPCとの違いと計算式を解説!』
参考:『今さら聞けない「CPM(インプレッション単価)」とは?計算方法やeCPM、CPVとの違い、注意点を解説』
CPA
CPA(Cost Per AcquisitionまたはCost Per Action)は、広告からの「成約(コンバージョン)」が確定するごとに発生する広告コストを指します。
具体的には、1つの成約が生じるごとに料金がかかり、計算方法は「CPA=広告コスト÷コンバージョン数」です。
この指標は顧客獲得単価を示し、1人あたりの制約にかかる費用を表します。
広告キャンペーンの費用対効果を評価するための重要なKPI(Key Performance Indicator)として活用され、資料請求やセミナー参加など、さまざまなケースでCPAが利用されています。
関連記事:『リスティング広告で悩むポイント!目標CPAの決め方3つを解説』
参考:『CPA とは 意味/解説/説明 (シーピーエー) 【Cost per Acquisition,Cost Per Action】』
参考:『CPMとは?CPCやCPAとの違いや効果を高めるポイントを解説』
CPV
CPV(Cost Per View)は、動画広告において1視聴に対する広告費用を示す指標であり、「CPV=広告費/動画広告の再生数」で計算されます。
特に動画広告では視聴回数が重要な指標となるため、CPVが多く活用されます。
動画広告の視聴は媒体によって定義が異なりますが、一般的にGoogle広告では30秒間(30秒未満の広告の場合は最後まで)の視聴や、CTAが表示されたオーバーレイやバナーのクリックといった動画に対する操作が視聴とされます。
これに対してCPM(Cost Per Mille)は広告表示にかかる単純な費用を示し、CPVでは広告が表示される回数ではなく、動画の実際の視聴回数に焦点が当たっている点が大きな違いです。
参考:『今さら聞けない「CPM(インプレッション単価)」とは?計算方法やeCPM、CPVとの違い、注意点を解説』
参考:『CPM(インプレッション単価)とは?計算方法から課金方式を徹底解説!』
参考:『広告視聴単価(CPV)』
eCPM
eCPM(effective Cost Per Mille)は、広告が1,000回表示されるごとの「事実上」のコストを示す指標です。
CPCやCPAでの課金方式の採用時に、CPM換算でのコストを概算で出したいときに使う指標です。
あくまで概算での値ですので、「effective(事実上の、実質の)」と言葉がついています。
計算方法は、「eCPM=広告費用/実際に広告が表示された回数×1,000」で求めることができます。
CPMが確定した金額を表すのに対し、eCPMは計算によって出された予想上の金額という違いが存在します。
参考:『eCPMとは』
参考:『CPMとは?CPCやCPAとの違いや効果を高めるポイントを解説』
参考:『CPM(インプレッション単価)とは?計算方法から課金方式を徹底解説!』
vCPM
vCPM(viewable Cost Per Mille)は、「Web 広告で実際にユーザーが視認できる範囲に表示された回数」で広告費を割った指標です。
この指標は、広告が実際にユーザーの目に触れた状態で表示された回数を基準に算出されます。
具体的な計算式は、「vCPM=広告費用/広告の視認範囲の表示回数×1,000」です。
VCPMの特徴は、表示回数のカウント方法がCPMと異なる点にあります。
CPM広告の表示回数は、実際にユーザーに表示された回数ではなく、クリックした後に広告がWebブラウザ上に読み込まれた回数でカウントされます。
そのため、CPMではユーザーの視界に入らない部分に表示されても1回として計上されますが、vCPMではユーザーが広告を実際に視認できる領域に表示された場合のみが表示回数としてカウントされます。
GoogleとYahoo!では、広告がユーザーに視認された状態の定義が異なります。
Google広告
- 静止画について、画面に広告の半分以上が1秒以上表示された場合
- 動画について、画面に広告の半分以上が2秒以上表示された場合
Yahoo!広告
- 静止画と動画共に、画面に広告の半分以上が1秒以上表示された場合
参考:『今さら聞けない「CPM(インプレッション単価)」とは?計算方法やeCPM、CPVとの違い、注意点を解説』
参考:『CPM(インプレッション単価)とは?計算方法から課金方式を徹底解説!』
CPM課金方式を利用できる広告媒体
SNS広告
引用:『LINEヤフー for Business』
下記に示すSNS広告媒体では、キャンペーンの目的によってCPM課金を選択することが可能です。
SNS媒体とそのキャンペーンの目的の例を以下に示します。
- LINE広告:Webサイトのコンバージョン、アプリのインストール、動画の再生、友達の追加など
- Meta広告:認知度アップ、リンクのクリック、コンバージョン獲得、動画の再生など
- Twitter広告:ブランドの認知度向上
- TikTok広告:リーチの獲得、コンバージョン獲得、アプリのインストールなど
各広告媒体において、Webサイトへのアクセスや、認知度の向上、コンバージョン獲得などのさまざまな広告目的に対応してCPM課金を利用できます。
SNS広告でCPMを利用する際の費用相場としては、「400~600円/1,000回表示」とされています。
参考:『今さら聞けない「CPM(インプレッション単価)」とは?計算方法やeCPM、CPVとの違い、注意点を解説』
参考:『SNS広告の費用がまるわかり!課金方式や費用相場、代理店手数料まで詳しく解説』
ディスプレイ広告
Googleディスプレイ広告やYahoo!ディスプレイ広告、さらにはGoogle動画広告(YouTube広告)においてもCPM課金が選択可能です。
通常、表示回数が主要なKPIであり、クリック数があまり重要でない場合には、CPM課金が選択されます。
また一般的には、CPC課金に比べてCPMの方が費用が低くなることがあります。
CPM課金は広告を一定の費用で表示させることができ、特に新商品や社名などの認知度向上やブランドイメージの構築などに適しています。
また、魅力的な広告デザインによりクリック率を向上させることも可能です。
ディスプレイ広告の利点は、広告自体が商品やサービス、社名、またはブランド名の認知度を高めることが期待され、特にランディングページへの誘導が不要な点にあります。
この課金方式は、クリック数が多くても広告費が影響を受けないため、CPM課金はクリックの多い広告において非常にコストパフォーマンスが優れています。
CPC課金を利用した際の費用相場 | 50~200円/1クリック |
GoogleディスプレイのCPM利用の費用相場 | 10~500円/1,000回表示 |
Yahoo!ディスプレイ広告のCPM利用の費用相場 | 数十円~数百円/1,000回表示 |
動画広告(YouTube広告)のCPM利用の費用相場 | 10~500円/1,000回表示 |
関連記事:『ディスプレイ広告とは?GDNとYDAの5つの違いを解説』
参考:『ディスプレイ広告の費用とは?課金方式やGoogleとYahoo! の相場を解説』
参考:『Google広告の費用の目安は? 課金の仕組みから予算設定・費用対効果を高める方法まで解説』
参考:『CPMの計算方法や基本を押さえ、効果的なデジタル広告戦略を知る』
CPMのメリット
広告費用が一定である
CPMの利点の一つは、広告費用が一定であることです。
たとえば、10万円の広告費を使った場合、クリックが何度あろうとも広告費用は変わりません。
これに対してCPCではクリックごとに広告費用が発生します。
CPMでは広告費用が事前に固定されるため、費用の調整がしやすくなります。
参考:『CPMとは?CPCやCPAとの違いや効果を高めるポイントを解説』
参考:『Web広告用語【CPM】の意味とは?CPCとの違いと計算式を解説!』
高いクリック率によってクリック単価を安くすることができる
CPM課金は表示回数に対して固定されるため、クリック数が増えれば増えるほど単価が割安になります。
特定のケースでは、CPCよりも安く広告を表示することが可能です。
CPCを使用すると、クリック数が増加すると広告費用が高騰する可能性がありますが、CPM課金ではそのような心配はありません。
例えば、CPCによって広告のクリック率を調査したうえで、成功が見込まれる広告を特定した後、それをCPMに切り替えて出稿することで、費用対効果を最大化できます。
そのためCPMは広告費用の節約の面でも広告主にとってメリットがあるといえます。
参考:『CPMとは?CPCやCPAとの違いや効果を高めるポイントを解説』
参考:『Web広告用語【CPM】の意味とは?CPCとの違いと計算式を解説!』
参考:『今さら聞けない「CPM(インプレッション単価)」とは?計算方法やeCPM、CPVとの違い、注意点を解説』
広いリーチによって認知を向上させる
CPM課金は CPC課金やCPV課金に比べて、より幅広い範囲に広告を届けることが可能になります。
通常、バナーを使用した広告のクリック率は0.1%から高くても5%程度であり、CPC課金ではその一部のユーザーに対して広告を絞り込むため、広告が表示されるユーザー数が制限される可能性があります。
一方で、CPM課金ではクリックの発生を考慮せずに広告が配信されるため、設定したターゲットを必要以上に制約せず、多くの人に広告を表示できます。
CPMは、認知度向上の目的で使用されることが基本です。
新商品や新サービスの内容を購入前にユーザーに認知・訴求してもらうことが重要なためです。
良い商品やサービスであっても、そもそもユーザーに認識されなければ購入や利用を促すことが難しいです。
CPM課金を通じて広告を多くの人に表示することで、認知度を向上させ、購買意欲を高める効果が期待されます。
参考:『今さら聞けない「CPM(インプレッション単価)」とは?計算方法やeCPM、CPVとの違い、注意点を解説』
参考:『Web広告用語【CPM】の意味とは?CPCとの違いと計算式を解説!』
CPMのデメリット
表示するだけで費用がかかる
CPM課金は表示されるだけで費用が発生するため、クリックされない場合であっても費用が発生してしまいます。
特に、Googleディスプレイ広告やYahoo!ディスプレイ広告では、バナーが視認範囲に表示された時点で費用が発生します。
ユーザーが実際に広告を見ているかどうかにかかわらず視認範囲に表示されるだけで費用がかかってしまうのです。
そのため、CPM課金は広告を多く表示することが主な目的である場合に利用するのがおすすめです。
参考:『CPMとは?CPCやCPAとの違いや効果を高めるポイントを解説』
参考:『今さら聞けない「CPM(インプレッション単価)」とは?計算方法やeCPM、CPVとの違い、注意点を解説』
クリック数が下がる恐れがある
上述のように、CPM課金は広告がページ読み込み時に表示されるだけで費用が発生するため、ブラウザ上で閲覧可能な位置に表示されていなくても費用が発生します。
この仕組みにより、ニーズの少ないユーザーにも広告表示がされることで、表示回数に対してクリック数が低くなる傾向があります。
クリック率が低下するということは、広告費用が発生している状態にも関わらず広告への流入が少ない状態になるので、費用対効果が悪くなってしまいます。
もちろん、クリック率が高い場合は費用対効果も高くなるため、CPM課金を利用したい場合は配信ユーザーをターゲティングするなどしてできるだけ見込みユーザーにアプローチしましょう。
参考:『CPMとは?計算方法、メリット・デメリット、eCPM・vCPM・CPC・CPVとの違い』
参考:『CPM(インプレッション単価)とは?計算方法から課金方式を徹底解説!』
まとめ
本記事では、CPMについて解説しました。
この記事を読んで、広告運用の最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
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監修者
UnionMedia編集部2012年創業、新宿のWebマーケティングに強い広告代理店「株式会社Union」が運営。Webマーケティングの知見を深め、成果に繋がる有用な記事を更新しています。「必要な情報を必要な人へ」をスローガンに、Web広告運用や動画制作など各種Webマーケティングのご相談を受付中。