YouTubeは、世界中で最も人気のある動画プラットフォームの一つです。
月間25億400万人ものユーザーがYouTubeを利用しており、その視聴者層は非常に広範囲で多様です。
動画広告を積極的に活用することでこの巨大な視聴者層にアプローチすることができます。
今回解説する動画広告シーケンスとは、複数の動画広告を連続して配信する手法のことです。
Google広告のキャンペーンサブタイプのひとつで、 YouTubeでのみ配信が可能である事が大きな特徴です。
単一の広告ではなく、一連の広告を組み合わせることで、視聴者に対してストーリーを展開したり、メッセージを効果的に伝えたりすることが可能となります。
この連続的な広告配信により、ブランドに視聴者の興味を引きつけ、購買行動を促進し広告効果を最大化することができます。
本記事では、Google広告の動画広告シーケンスについて詳しく解説し、その効果を可視化するためのポイントをご紹介します。
参考:『2024年4月現在、月間アクティブユーザー数でランキングされた世界で最も人気のあるソーシャルネットワーク|Statista』
参考:『動画広告シーケンス キャンペーンを作成する | Google広告ヘルプ』
関連記事:『YouTubeアナリティクスで動画を分析するときに注目したい5つの指標』
Contents
動画広告シーケンスとは?
引用:『【Google広告】動画広告でシーケンス配信が全アカウントで使用可能に』
動画広告シーケンスとは、複数の動画広告を指定した順序でユーザーに配信することができる機能です。
複数の動画を組み合わせてストーリー仕立てで配信することで、ユーザーの関心を引き付け、商品やサービスのメッセージを効果的に伝えることができます。
例えば、動画シーケンスでは以下のようなの流れでユーザーのアクションを誘発できます。
- まずは6秒のバンパー広告でティザー動画を配信
- その広告を見たユーザーにインストリーム広告で本編を配信
- 本編を最後まで見たら「ご予約はこちらから」などのアクションを促進
バンパー広告やインストリーム広告など、複数の動画の順番を設定して配信することで一連のオリジナルストーリーをユーザーに届けることが可能です。
参考:『動画広告シーケンスについて|Google広告ヘルプ』
関連記事:『YouTubeバンパー広告とは?8つの特徴と料金、設定方法まで解説』
動画広告シーケンスの仕組み
動画広告シーケンスは、複数の動画広告を組み合わせて配信することができ、各動画は「ステップ」と呼ばれています。
動画を見たユーザーの「表示」「視聴」「スキップ」のいずれかの行動に対してステップを追加できます。
例えば、インストリーム広告をスキップしたユーザーに6秒のバンパー広告を再配信するといった配信が可能です。
ただし、「スキップ不可のインストリーム広告」または「バンパー広告」を使用した場合、ステップを追加できるアクションは「表示」のみとなります。
参考:『動画広告シーケンスについて|Google広告ヘルプ』
関連記事:『YouTubeインストリーム広告とは?6種類やメリット、出稿方法を解説』
利用可能な広告フォーマット
使用できる動画広告のフォーマットは以下の3つです。
- スキップ可能なインストリーム広告:5秒視聴するとスキップできる動画広告
- スキップ不可のインストリーム広告:15秒以内のスキップできない動画広告
- バンパー広告:6秒以内のスキップできない動画広告
関連記事:『YouTubeインストリーム広告とは?6種類やメリット、出稿方法を解説』
入札戦略
選択できる入札戦略は以下の2つです。
- 目標インプレッション単価(推奨):目標インプレッション単価では、広告が1,000回表示されるごとに支払う平均金額を設定します。設定した金額に基づいて入札単価が最適化されます。
- 上限広告視聴単価:上限広告視聴単価では、1回あたりの動画広告の視聴に対して支払う上限額を設定します。
選択した入札戦略によって、利用可能な広告フォーマットが異なります。
それぞれの入札戦略で使用できるフォーマットは、以下の表でご確認ください。
入札戦略 | 利用可能なフォーマット |
目標インプレッション単価(tCPM) |
|
上限広告視聴単価(上限 CPV) |
|
なお、目標インプレッション単価では複数のフォーマットを組み合わせることも可能です。
参考:『動画広告シーケンスについて|Google広告ヘルプ』
関連記事:『YouTube広告&チャンネル運営の用語46選!基本を解説』
ターゲティング
動画広告シーケンスでは、ユーザー属性、興味・関心、行動履歴などに基づいてターゲットユーザーの絞り込みや除外を行うことができます。
ただし、プレースメント、トピック、キーワードなどの配信面のターゲティングはできません。
キャンペーン単位で除外することは可能です。
利用可能なターゲティング
ユーザー属性
性別、年齢、子どもの有無、世帯収入。
詳しいユーザー属性
大学生、住宅所有者、最近子供が生まれたユーザーなど。
興味 / 関心
ユーザーの興味や関心に基づくターゲティング。
- アフィニティセグメント:関連するトピックにすでに強い関心を持っているユーザー
- カスタムアフィニティセグメント:よりターゲットを絞ったアフィニティセグメント
- ライフイベント:引越し、大学卒業、結婚などの人生の節目
- 購買意向の強いセグメント:サービスや商品に似たものの検索・購入に動くユーザー
- カスタムセグメント:検索語句に基づいて、購買決定プロセスにいると思われるユーザー
データセグメント
広告主様の動画、動画広告、YouTubeチャンネルとの接触履歴。
カスタマーマッチ
オンラインやオフラインの自社データを使用。
類似セグメント
データセグメントまたはカスタマーマッチと似た特徴を持つ新規ユーザーをターゲティング。
利用不可能なターゲティング
プレースメント
YouTubeチャンネル、YouTube動画、Googleディスプレイネットワーク上のウェブサイトやアプリ。
トピック
「自動車」などYouTubeとGoogleディスプレイネットワーク上の特定のトピック(話題)。
キーワード
単語やフレーズで指定したキーワード。
デバイス
パソコン、スマートフォン、モバイル デバイス、テレビ画面。
参考:『動画キャンペーンのターゲティングについて|Google広告ヘルプ』
関連記事:『ターゲティング広告とは?6種類と仕組みをわかりやすく解説!』
レポート
動画広告シーケンスでは、インプレッション数、視聴回数、クリック数などの指標をキャンペーンや広告グループ単位で確認することができます。
このキャンペーンや広告グループなどの単位を「シーケンスステップ」といいます。
またレポートの「シーケンスパス」列では、次のステップに進むための必要なアクションや各ステップの広告を確認することもできます。シーケンスパスの矢印の意味は以下の通りです。
- 青 → 表示
- 緑 → 視聴
- 赤 → スキップ
シーケンスパスを確認することで、広告の表示から視聴までの流れやスキップの傾向を把握でき、広告配信の最適化に役立てることができます。
参考:『動画広告シーケンスについて|Google広告ヘルプ』
参考:『YouTube 広告の動画広告シーケンスとは?仕組みと設定方法』
効果を高める3つのポイント
複数のシーケンスステップを用意する
三井住友カード株式会社は、学生から支持を得ているYouTubeクリエイターを起用し「学パ、あげてこ」のキャンペーンを実施しました。
このキャンペーンを担当した広告代理店は「3回以上広告に接触することで、サービス認知と検索数が向上する」というデータを保持していました。
そこで、1人に対して3回以上広告に接触するように「TrueViewインストリーム広告」と「バンパー広告」を組み合わせて広告配信を行いました。
動画広告シーケンスを利用し、TureViewインストリームを視聴したユーザーとスキップしたユーザーに別々のバンパー広告を配信して接触を図りました。
その結果サービスの理解が促進され、目標に対して、顧客獲得単価(CAP)は86%改善・キャンペーン全体の検索数は30%向上することが出来ました。
シーケンスステップを複数用意することで、動画広告シーケンスの効果を向上させることが期待できます。
パフォーマンスの高い広告をテストする
20th Century Foxは「The Greatest Showman」のプロモーションで、パフォーマンスの高い動画広告をテストして、動画広告シーケンスの最適化を行いました。
まず、3種類のスキップ可能な映画のトレーラー動画広告の結果を比較し、視聴時間と完全視聴率が高い広告を調査しました。
次に、効果のあった広告を最初のステップ(アンカー広告)として、視聴したのかスキップしたのかに基づいて、下図のような動画広告シーケンスを作成しました。
引用:『20th Century Fox’s digital video advertising strategy|Think with Google』
その結果、アンカー広告単独と比べて、検討率が149%増加し、視聴率が33%増加し、オーガニック検索が157%増加しました。
異なる広告のバリエーションや順序をテストし、データに基づいた動画広告シーケンスの構築を行うことで広告効果を向上させることができます。
参考:『20th Century Fox’s digital video advertising strategy|Think with Google』
ターゲットに適したストーリーを提供する
ターゲットに適したストーリーを提供することで新規顧客を獲得しやすくなります。
通信講座を提供しているユーキャンでは、もともとユーザーへのアプローチとして潜在層にはテレビCM、顕在層にはデジタル広告を運用していましたが、テレビCMではまかないきれない層が年々増加傾向にあったことから、デジタル広告への一本化を決めました。
そのデジタル戦略として、動画広告シーケンスを活用してユーザーの興味を掻き立てるようなストーリー展開の実現を試みたのです。
具体的な内容としては、ターゲット層を明確に定めた上で「受講前」「受講中」「受講後」それぞれのユーザーの興味関心を分析し、それらに響く要素を盛り込んだストーリー構成です。
また、1つ目の動画で講座の認知度を高め、2~3つ目の動画で興味を喚起することでサイト訪問から申し込みへと積極的な行動を促しました。
その結果、1つ目の動画だけの視聴後サイト訪問率を100%とした場合、1つ目と2つ目の動画の連続視聴では350%と大幅に向上しました。
このように動画シーケンスでターゲットの的を得たストーリーを組み立てることで、ユーザーのアクションを効果的に促すことができます。
参考:『ストーリーで興味喚起する「動画広告シーケンス」を使って新規ユーザー拡大、ユーキャン|Think with Google』
動画広告シーケンスの作成方法
動画広告シーケンス設定において、入札戦略やターゲティングなどの大部分はキャンペーンごとに選択します。
動画広告シーケンスのルールや入札戦略、広告フォーマットは各ステップで設定していきます。
まずはGoogle広告にログインしましょう。
➀新しいキャンペーンを作成する
左側のページメニューから 「キャンペーン」を選択し、プラスボタンから新しいキャンペーンを作成します。
➁キャンペーン目標を選択する
キャンペーン目標として「商品やブランドの比較検討」「ブランド認知度とリーチ」「目標を指定せずにキャンペーンを作成する」のいずれかを選択します。
③キャンペーンタイプを選択する
キャンペーンタイプとして「動画」を選択します。
④キャンペーンのサブタイプを選択する
キャンペーンサブタイプとして「広告シーケンス」を選択します。
⑤キャンペーン名と入札戦略を入力する
キャンペーン名を入力し、入札戦略を選します。
ここで選択した入札戦略によって、利用可能な広告フォーマットが決まります。
⑥キャンペーンの詳細を設定する
キャンペーンの詳細(地域/言語/ターゲティングなど)を設定します。
⑦シーケンスの作成方法を選択する
シーケンスの作成方法を選択します。
カスタムシーケンスで独自に作成するか、自動シーケンスによる最適化を行うか、シーケンステンプレートの使用から選択できます。
- カスタムシーケンス:動画広告を自由に組み合わせて独自のシーケンスの順序を作成します。
- 自動シーケンス:任意に組み合わせた動画広告の順序を、Googleが自動的に最適化します。
- 紹介と補強:長い動画広告で商品やサービスを紹介した後、短い動画広告でメッセージを補完します。
- 興味をかき立て挑発する:短い動画広告で視聴者の興味を引きつけ、長い動画広告で視聴者の行動を促進します。
参考:『動画広告シーケンスについて|Google広告ヘルプ』
参考:『動画広告シーケンスキャンペーンを作成する | Google広告ヘルプ』
⑧新しいステップを作成する
「新しいステップ」をクリックして、動画広告シーケンスキャンペーンのステップを作成します。
⑨広告グループ名とURLを入力する
最初のステップの広告グループ名とYouTube動画のURLを入力します。
⑩入札単価を設定する
ステップの入札単価を設定し、「シーケンスに追加」をクリックします。
その後、「新しいステップ」をクリックして、次のステップを作成します。
⑪次のステップへ進むための条件となるアクションを選択する
アクションの種類は、選択した入札戦略によって異なります。
- インプレッション:広告が視聴者に表示された場合。
- 視聴:広告を視聴者が操作した、または広告の長さが30 秒以上(広告が 30 秒未満の場合は広告全体を)視聴した場合。ただし、キャンペーンの入札戦略が「目標インプレッション単価」であり、広告フォーマットで「スキップ可能なインストリーム広告」を選択した場合のみ。
- スキップ:広告を視聴者がスキップした場合。ただし、キャンペーンの入札戦略が「目標インプレッション単価」であり、広告フォーマットで「スキップ可能なインストリーム広告」を選択した場合のみ。
ステップの追加が完了したら「キャンペーンを作成」をクリックして、動画広告シーケンスキャンペーンの作成は完了です。
参考:『動画広告シーケンスキャンペーンを作成する|Google広告ヘルプ』
動画広告シーケンスキャンペーンの編集方法
次に、動画シーケンスキャンペーンを編集する際の手順をご紹介します。
- Google広告にログインします。
- 管理画面左側のメニューから「キャンペーン」をクリックします。
- プルダウンメニューから「広告グループ」または「広告」をクリックします。
- 「キャンペーン」≫「アセット」から鉛筆アイコンをクリックします。
- 「動画シーケンスの編集」≫「新しいステップ」をクリックして新しいステップを追加するまたは、既存のステップを選択します。
- 動画広告シーケンスの編集が完了後、「シーケンスを保存」≫「はい、順序を変更します」をクリックして確定します。
参考:『動画広告シーケンスキャンペーンを作成する|Google広告ヘルプ』
動画広告シーケンスのレポート表示方法
最後に、動画広告シーケンスのレポート表示方法をご紹介します。
レポートではインプレッションや視聴回数などのデータを確認することができます。
- Google 広告にログインします。
- 管理画面左側のメニューから「キャンペーン」をクリックします。
- 確認したい動画広告シーケンスのキャンペーンを選択します。
- 選択したキャンペーンの「広告グループ」タブから、各ステップの掲載結果を確認できます。
シーケンス内のステップの位置やステップ追加条件は、「シーケンスパス」列から確認できます。
参考:『動画広告シーケンスキャンペーンを作成する|Google広告ヘルプ』
まとめ
この記事を読んで、動画広告シーケンスの最適化が難しいと少しでも感じたら、広告代理店に任せるのも一つの手です。
株式会社Unionは、YouTube広告運用のご相談を承っております。
Google広告、Yahoo!広告の正規代理店として認定されており、蓄積されたノウハウから短期間で課題を解決に導きます。
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監修者
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